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生方志乃
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生方志乃は天然だ。
(こりゃ、お嬢ちゃんが心配するはずだ)と光一がうなってしまうほど、その行動は良く言えばピュア。
仕事ができないわけではない。コツコツとこなす作業は丁寧で、入社一年目としては寧ろ上出来な部類だろう。
しかし、問題は仕事ではなく、その言動。恋愛スキルが低いとでも言うのか、自分が男にどう映るかまるで解っていないのだ。
こいつ、仮にも東京の大学に四年も通ったんだろうがと、一旦光一はそう思ったが、その時光一は、志乃が女子大だったことを思い出す。合コンとかサークル絡みなどを除けば、女だけの世界だ。それに、庇護欲を駆り立てられた件のお嬢ちゃんが志乃を毒牙に晒さぬよう徹底的に守ったのだろうということは想像するに易い。過保護もたいがいにしろというところだが、そうしたくなる気持ちは解らなくもない。それほど、志乃は無防備なのだ。
ならば何故自分はYUUKIに来なかった。確かに親の会社では居心地が悪かろうし、アナウンサーを目指していたのは知ってるが、推しておいて丸投げとは。子羊を狼の巣に投げ込むようなものだぞと光一は誰もいないところで毒づいたこともある。
ついにはパソコン画面を見て目をしょぼしょぼさせている志乃に、
「コンタクトが性に合わないんだろう」
と自分が懇意にしている眼鏡店に行き、以前の野暮ったいケミカルなフレームではなく、シャープな印象の金属フレームのそれを強引に買い与えてしまったほどだ。ただ、志乃の方は光一にしばらく代金を借りていると思っているようだが。光一には端から受け取る気はない。元の眼鏡姿に戻れば、少しはそれから守れると思っただけのお節介。自分はお嬢ちゃんから引き継いで志乃の保護者をしているのだと、光一は何故か自分で自分に言い訳をしていた。
しかし後日、
「成瀬さんとこの新しい子、ウブちゃんだっけ? 良いですよね。前も可愛かったけど、今もシャープで出来る女って感じで。でも、話すとポワンとして、そのギャップ萌えがまたたまらないんですよね。
彼女、彼氏とかいるんですか?」
と営業の藤木が、出張旅費の申請のついでにそう言ってきたときには、それも逆効果だったかと頭を抱えてしまった。その時光一が、
「わ、私がそんなこと知る訳がないだろう」
と妙に慌てながらどこか書類に不備がないかと徹底的に粗を探してしまったことは言うまでもない。
(こりゃ、お嬢ちゃんが心配するはずだ)と光一がうなってしまうほど、その行動は良く言えばピュア。
仕事ができないわけではない。コツコツとこなす作業は丁寧で、入社一年目としては寧ろ上出来な部類だろう。
しかし、問題は仕事ではなく、その言動。恋愛スキルが低いとでも言うのか、自分が男にどう映るかまるで解っていないのだ。
こいつ、仮にも東京の大学に四年も通ったんだろうがと、一旦光一はそう思ったが、その時光一は、志乃が女子大だったことを思い出す。合コンとかサークル絡みなどを除けば、女だけの世界だ。それに、庇護欲を駆り立てられた件のお嬢ちゃんが志乃を毒牙に晒さぬよう徹底的に守ったのだろうということは想像するに易い。過保護もたいがいにしろというところだが、そうしたくなる気持ちは解らなくもない。それほど、志乃は無防備なのだ。
ならば何故自分はYUUKIに来なかった。確かに親の会社では居心地が悪かろうし、アナウンサーを目指していたのは知ってるが、推しておいて丸投げとは。子羊を狼の巣に投げ込むようなものだぞと光一は誰もいないところで毒づいたこともある。
ついにはパソコン画面を見て目をしょぼしょぼさせている志乃に、
「コンタクトが性に合わないんだろう」
と自分が懇意にしている眼鏡店に行き、以前の野暮ったいケミカルなフレームではなく、シャープな印象の金属フレームのそれを強引に買い与えてしまったほどだ。ただ、志乃の方は光一にしばらく代金を借りていると思っているようだが。光一には端から受け取る気はない。元の眼鏡姿に戻れば、少しはそれから守れると思っただけのお節介。自分はお嬢ちゃんから引き継いで志乃の保護者をしているのだと、光一は何故か自分で自分に言い訳をしていた。
しかし後日、
「成瀬さんとこの新しい子、ウブちゃんだっけ? 良いですよね。前も可愛かったけど、今もシャープで出来る女って感じで。でも、話すとポワンとして、そのギャップ萌えがまたたまらないんですよね。
彼女、彼氏とかいるんですか?」
と営業の藤木が、出張旅費の申請のついでにそう言ってきたときには、それも逆効果だったかと頭を抱えてしまった。その時光一が、
「わ、私がそんなこと知る訳がないだろう」
と妙に慌てながらどこか書類に不備がないかと徹底的に粗を探してしまったことは言うまでもない。
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