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犯罪の片棒
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そして、結城家を訪問した克也は秀一郎の提示した報酬にわが耳を目を疑った。
「これが、新しいクリニックの場所と権利証ね」
秀一郎は今大学病院勤めの克也に、開院できる場所と費用をすべて負担するというのである。しかもその場所は郊外ではなく東京23区内。しかも駅前で居住スペース付きだ。
「僕、趣味で株に投資してるんで、結構小銭は稼いでるんですよ」
と秀一郎は言うが、他の科とは違って医療機器の少ない心療内科とはいえ、おいそれとは出せない金額だ。それを小銭呼ばわりする秀一郎に克也は驚きを隠せない。
依頼内容は未来のカウンセリング。しかも心も身体もというのだから、克也は開いた口がふさがらなかった。秀一郎は、
「克也さん、僕はほのか以外の女性を愛そうとは思わない。でも、それじゃ結城の跡取りが生まれないんですよ」
と、にこやかにそうカミングアウトする。その笑顔に克也は悪寒が走った。確かに、この双子は幼い時から非常に仲が良かったとは思っていたが、こんなに歪んだ関係に陥っていたのかと。
また、新婚旅行での顛末を聞いた克也は愕然とする。一体、この双子はどこまで蝕まれているのだろう。
「だけど、そのあと、アフターピルを飲ませたんだろ?」
新婚旅行というのもはばかられてそう聞くが、
「そりゃ、そうですよ。どこの馬の骨かも分からない奴の子供を跡取りになんてできませんよ。
その点、克也さんなら小さいときからよく知ってますからね」
秀一郎は笑顔のままそう返した。
確かに、その時に妊娠した子供をそのまま育てるという選択肢はあるにはあるが、未来の心に大きな傷を残すのは必至だし、縦しんばそのことが相手の男たちに漏れでもすれば、男たちは自分が父親なのだと、秀一郎たちを強請にくる可能性もある。
ならば、一度リセットして信頼の置ける者にということで自分に白羽の矢が立ったというのである。
「そんな奴に金をくれてやるくらいなら、ちゃんとした仕事に投資したほうが健全だと思いませんか」
しかも医者-主治医となれば、未来一人でいる時にでもなんら怪しまれずに部屋に入っていける。
「ね、一石二鳥でしょ」
と言う秀一郎は、まるでどこかの悪ガキがいたずらの計画を説明するようなドヤ顔だ。その表情に克也は目眩がした。
「にしても、奥さんがその医者に性懲りもなく足を開くとは思えない」
それでも克也が気を取り直してそう反論すると、それに対して秀一郎は、
「そのままじゃね。でも媚薬を薬として処方すればどうですか。最初の日はムリでも、弱いのを毎日服用すれば、そのうち乱れてくれますよ」
そちらも何なら調達しますよと言った。
「そこまでするのか……」
呆気にとられている克也を後目に、秀一郎は、
「ええ、僕はほのかのためなら悪魔にだって魂を売りますよ」
と終始笑顔をたたえながらそう言ってのけた。
しかし、これは、どうみても犯罪である。しかし聞いてしまった後では、なかなか断り切れないものがあった。このまま警察に駆け込んで通報するのも一つの手段だが、相手は大企業の御曹司。一大スキャンダルに日本全体が揺るぎかねない。
それに、対象者の未来にも結婚式で会ったが、素直で可憐……はっきり言って、好みの女性だ。事が公になれば、彼女の人生もまた台無しになってしまう。ならば、自分が陰ながら幸せにしてやるというのもアリなのではないか。
克也は自分の心の中でもっともらしい理由をこじつけて、双子の犯罪の片棒を担ぐことを同意した。
「これが、新しいクリニックの場所と権利証ね」
秀一郎は今大学病院勤めの克也に、開院できる場所と費用をすべて負担するというのである。しかもその場所は郊外ではなく東京23区内。しかも駅前で居住スペース付きだ。
「僕、趣味で株に投資してるんで、結構小銭は稼いでるんですよ」
と秀一郎は言うが、他の科とは違って医療機器の少ない心療内科とはいえ、おいそれとは出せない金額だ。それを小銭呼ばわりする秀一郎に克也は驚きを隠せない。
依頼内容は未来のカウンセリング。しかも心も身体もというのだから、克也は開いた口がふさがらなかった。秀一郎は、
「克也さん、僕はほのか以外の女性を愛そうとは思わない。でも、それじゃ結城の跡取りが生まれないんですよ」
と、にこやかにそうカミングアウトする。その笑顔に克也は悪寒が走った。確かに、この双子は幼い時から非常に仲が良かったとは思っていたが、こんなに歪んだ関係に陥っていたのかと。
また、新婚旅行での顛末を聞いた克也は愕然とする。一体、この双子はどこまで蝕まれているのだろう。
「だけど、そのあと、アフターピルを飲ませたんだろ?」
新婚旅行というのもはばかられてそう聞くが、
「そりゃ、そうですよ。どこの馬の骨かも分からない奴の子供を跡取りになんてできませんよ。
その点、克也さんなら小さいときからよく知ってますからね」
秀一郎は笑顔のままそう返した。
確かに、その時に妊娠した子供をそのまま育てるという選択肢はあるにはあるが、未来の心に大きな傷を残すのは必至だし、縦しんばそのことが相手の男たちに漏れでもすれば、男たちは自分が父親なのだと、秀一郎たちを強請にくる可能性もある。
ならば、一度リセットして信頼の置ける者にということで自分に白羽の矢が立ったというのである。
「そんな奴に金をくれてやるくらいなら、ちゃんとした仕事に投資したほうが健全だと思いませんか」
しかも医者-主治医となれば、未来一人でいる時にでもなんら怪しまれずに部屋に入っていける。
「ね、一石二鳥でしょ」
と言う秀一郎は、まるでどこかの悪ガキがいたずらの計画を説明するようなドヤ顔だ。その表情に克也は目眩がした。
「にしても、奥さんがその医者に性懲りもなく足を開くとは思えない」
それでも克也が気を取り直してそう反論すると、それに対して秀一郎は、
「そのままじゃね。でも媚薬を薬として処方すればどうですか。最初の日はムリでも、弱いのを毎日服用すれば、そのうち乱れてくれますよ」
そちらも何なら調達しますよと言った。
「そこまでするのか……」
呆気にとられている克也を後目に、秀一郎は、
「ええ、僕はほのかのためなら悪魔にだって魂を売りますよ」
と終始笑顔をたたえながらそう言ってのけた。
しかし、これは、どうみても犯罪である。しかし聞いてしまった後では、なかなか断り切れないものがあった。このまま警察に駆け込んで通報するのも一つの手段だが、相手は大企業の御曹司。一大スキャンダルに日本全体が揺るぎかねない。
それに、対象者の未来にも結婚式で会ったが、素直で可憐……はっきり言って、好みの女性だ。事が公になれば、彼女の人生もまた台無しになってしまう。ならば、自分が陰ながら幸せにしてやるというのもアリなのではないか。
克也は自分の心の中でもっともらしい理由をこじつけて、双子の犯罪の片棒を担ぐことを同意した。
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