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穢れた血
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しかし、この時の秀一郎の発言には一つだけ嘘があった。病歴である。秀一郎は小さい頃から風邪ぐらいでほかの病気はしたことがない。彼が未来に告げた病名は、父が子どもの頃罹ったもので、本当の父親が違うであろう彼はその形質さえ受け継いではいない。だが、秀一郎はあたかも幼い頃そうだったように未来に告げた。-何故か。それは未来に第二子を産んでほしいからだ、
初めての子は半ば強引な形で産ませたが、根がバカ正直な未来のことだ、何らかの理由付けがなければ克也のアプローチがあっても同意しないのではないかと考えたのだ。
因みに、その薬は父が罹患していた頃には広く使われていたが、もっと安全な新薬が開発されて、秀一郎が生まれる前にもう製造中止になっている。秀一郎はこの情報を得たとき、母はこの薬のことを知っていて、父の子など生まれないとでも嵩を括っていたかもしれないと、悪魔の笑顔を思い出し、腹から虫でも這い出てくるような感覚にとらわれた。もう、本当にこれ以上この穢れた血を残す訳にはいかない。
だが、一人っ子はいけない。親なんていなくても、子どもが二人いれば互いに支え合って生きていける。(僕だって、父様が亡くなり母様が家を出て行っても、ほのかがいたから生きてこれた)
そして、ほのかもなんとか憲幸の子どもをさずかったようでホッとしている。千波より少し遅れて生まれてきた男の子は、赤ん坊の今でも憲幸にそっくりで、今や憲幸だけでなく、鳴澤家の面々がみんな骨抜き状態だ。
なにせ、子どもの頃からずっと一緒にいるのだ。ほのかが用意周到なことはよくよく知っている。おそらくは基礎体温も測っていたはずで、排卵日を狙って会おうとしているのを秀一郎は薄々感じていた。そこで秀一郎は憲幸に、
<ほのかが寂しがっているから、仕事を早めに切り上げてサプライズで帰宅してやってよ>
とメールを入れておいた。新婚旅行と称して自分の仕事に同行させた位だ。憲幸の方はほのかにべた惚れ状態と言ってもいい。
ただ、蜜月を楽しむために旅行中は避妊具をつけていたというので、少々不安ではあったが、それは旅の途中で妊娠してしまったら日本に帰れないからという理由だと聞いて、その分日本に戻ったらがっつり行くのだろうと推測したのだ。そして、憲幸は秀一郎の期待通り妹を妊娠させてくれた。ほのかもまた、子どもができてしまえば中絶までして自分との子どもを追い求める事はないだろうと踏んだ。
(な、ほの、これでよかったんだよ。あんな奴の血を引き継ぐのは僕たちだけでたくさんじゃないか。なのに、なんでそんなに僕の子に拘る……)
秀一郎は誰もいなくなった結城家の離れで、そうつぶやきながら一人グラスを傾けた。
初めての子は半ば強引な形で産ませたが、根がバカ正直な未来のことだ、何らかの理由付けがなければ克也のアプローチがあっても同意しないのではないかと考えたのだ。
因みに、その薬は父が罹患していた頃には広く使われていたが、もっと安全な新薬が開発されて、秀一郎が生まれる前にもう製造中止になっている。秀一郎はこの情報を得たとき、母はこの薬のことを知っていて、父の子など生まれないとでも嵩を括っていたかもしれないと、悪魔の笑顔を思い出し、腹から虫でも這い出てくるような感覚にとらわれた。もう、本当にこれ以上この穢れた血を残す訳にはいかない。
だが、一人っ子はいけない。親なんていなくても、子どもが二人いれば互いに支え合って生きていける。(僕だって、父様が亡くなり母様が家を出て行っても、ほのかがいたから生きてこれた)
そして、ほのかもなんとか憲幸の子どもをさずかったようでホッとしている。千波より少し遅れて生まれてきた男の子は、赤ん坊の今でも憲幸にそっくりで、今や憲幸だけでなく、鳴澤家の面々がみんな骨抜き状態だ。
なにせ、子どもの頃からずっと一緒にいるのだ。ほのかが用意周到なことはよくよく知っている。おそらくは基礎体温も測っていたはずで、排卵日を狙って会おうとしているのを秀一郎は薄々感じていた。そこで秀一郎は憲幸に、
<ほのかが寂しがっているから、仕事を早めに切り上げてサプライズで帰宅してやってよ>
とメールを入れておいた。新婚旅行と称して自分の仕事に同行させた位だ。憲幸の方はほのかにべた惚れ状態と言ってもいい。
ただ、蜜月を楽しむために旅行中は避妊具をつけていたというので、少々不安ではあったが、それは旅の途中で妊娠してしまったら日本に帰れないからという理由だと聞いて、その分日本に戻ったらがっつり行くのだろうと推測したのだ。そして、憲幸は秀一郎の期待通り妹を妊娠させてくれた。ほのかもまた、子どもができてしまえば中絶までして自分との子どもを追い求める事はないだろうと踏んだ。
(な、ほの、これでよかったんだよ。あんな奴の血を引き継ぐのは僕たちだけでたくさんじゃないか。なのに、なんでそんなに僕の子に拘る……)
秀一郎は誰もいなくなった結城家の離れで、そうつぶやきながら一人グラスを傾けた。
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