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お名前は?
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もしかして、私以外にもここにとばされてきたプレイヤーがいるの? そう思ってその黒目黒髪君をガン見していると、向こうもそれに気づいたのか、私をチラッと見た後、目を瞠いて二度見する。見ているのはもちろん、『コントラ』だ。
すると、
「アツヤ、知り合い?」
と黒目黒髪君を突っつく奴がいた。ま、ここ=この世界の社交界って言っても過言じゃないんだから、じろじろとお互い見合っていれば、恋に落ちたとか勘違いする奴はいるよな、うん。
「……いや、コントラが変……」
それに対して、その黒目黒髪君改めアツヤはいきなり爆弾発言をぶっ込む。変ってな……変って。悪かったな! そういうお前もそうだろーが。しかし、突っつく君(だって名前知らないんだもん)は、
「ああ、あのコントラ? 確かに名器な感じだな」
と、目を輝かせて私のコントラを見つめる。木製でつやっつやのそのボディーは美しい部類には入るかも知れないけど、どう見たって楽器じゃないでしょ。
「それに、アツヤのコントラに似た風合いだ。同じ工房なのかもな」
うん、多分ね。ってか、世界にとどろくサンテンドー謹製の大量生産だよっ! いつの間にか木製になってるし、キャラクター含めてぺらっぺらの背景に反して思いっ切り質感あったりするけどね。そういやこのゲーム、楽器だけはやたら不必要に書き込みが丁寧なんだった。ま、これでNPCにはコントローラーがちゃんとバイオリンに見えているってことが証明されたわけだしね、良き……そんな訳あるかっ!
「それはともかく、レディ、お名前をお聞かせ願えますか」
続いて、ニコニコしながら突っつく君が名前を尋ねる。だが私は、
「僕の名前はクリストファー・ティーノ・シュワルツベルグ。で、こっちがアツヤ・グランティス・シュワルツベルグね」
と先にしてきた自己紹介で仰け反る。シュワルツベルグって、もしかして……もしかしなくても王族じゃないのよ! しかも、NPCの突っつく君改めクリストファーはともかく、プレイヤーらしきアツヤもそうなの!? 私はつっかえながら、
「わ、私は、リーゼロッテ・マキャベリと申します。以後お見知り置きくださいませ」
と返す。そしたら、それを見たアツヤが吹いた。しかも、噛んだとこじゃなく、私の名前で。何よ、イヤな奴! アツヤっていう位だからどうせ本名なんでしょうけど、人の名前で笑うことないじゃん! どっちかっていうと、あんたの名前の方が周りから浮いてると思うけど!!
なんか、これから先が不安(ため息)
すると、
「アツヤ、知り合い?」
と黒目黒髪君を突っつく奴がいた。ま、ここ=この世界の社交界って言っても過言じゃないんだから、じろじろとお互い見合っていれば、恋に落ちたとか勘違いする奴はいるよな、うん。
「……いや、コントラが変……」
それに対して、その黒目黒髪君改めアツヤはいきなり爆弾発言をぶっ込む。変ってな……変って。悪かったな! そういうお前もそうだろーが。しかし、突っつく君(だって名前知らないんだもん)は、
「ああ、あのコントラ? 確かに名器な感じだな」
と、目を輝かせて私のコントラを見つめる。木製でつやっつやのそのボディーは美しい部類には入るかも知れないけど、どう見たって楽器じゃないでしょ。
「それに、アツヤのコントラに似た風合いだ。同じ工房なのかもな」
うん、多分ね。ってか、世界にとどろくサンテンドー謹製の大量生産だよっ! いつの間にか木製になってるし、キャラクター含めてぺらっぺらの背景に反して思いっ切り質感あったりするけどね。そういやこのゲーム、楽器だけはやたら不必要に書き込みが丁寧なんだった。ま、これでNPCにはコントローラーがちゃんとバイオリンに見えているってことが証明されたわけだしね、良き……そんな訳あるかっ!
「それはともかく、レディ、お名前をお聞かせ願えますか」
続いて、ニコニコしながら突っつく君が名前を尋ねる。だが私は、
「僕の名前はクリストファー・ティーノ・シュワルツベルグ。で、こっちがアツヤ・グランティス・シュワルツベルグね」
と先にしてきた自己紹介で仰け反る。シュワルツベルグって、もしかして……もしかしなくても王族じゃないのよ! しかも、NPCの突っつく君改めクリストファーはともかく、プレイヤーらしきアツヤもそうなの!? 私はつっかえながら、
「わ、私は、リーゼロッテ・マキャベリと申します。以後お見知り置きくださいませ」
と返す。そしたら、それを見たアツヤが吹いた。しかも、噛んだとこじゃなく、私の名前で。何よ、イヤな奴! アツヤっていう位だからどうせ本名なんでしょうけど、人の名前で笑うことないじゃん! どっちかっていうと、あんたの名前の方が周りから浮いてると思うけど!!
なんか、これから先が不安(ため息)
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