道の先には……(僕と先輩の異世界とりかえばや物語)

神山 備

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こうなりゃあいつも巻き込んで……

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「おぉ、薫。なぁ、今仕事大丈夫か?」
『うん、まだ月末じゃないしね、大丈夫だよ』
それに前よりみんな動いてくれるしね、と薫は言った。そりゃそうだろ、会長の孫で未来の社長夫人(とは言え、仕事を辞めたくないと言い張りやがって、まだ結婚はしてないんだけどな)を率先して顎で使える奴がいたら見てみたい。
「じゃぁ、お前体調悪いとかなんとか理由付けて早退して応接室に来い、頼みたいことがある」
暇だと聞いてそう言った俺に、薫は当然? 不満の声を上げた。
『ええーっ、理由は?』
「理由は……言えない」
宮本が魔法使って、クライアントを赤ん坊にしてしまった? んなこと、電話なんかで簡単に説明できるかよ。
「緊急事態なんだ。頼む」
それに対して俺は、いつになく低姿勢で頼んだが、
『今じゃなきゃダメなの?』
と、薫からは心底ウザそうな返事が返ってくる。それを聞いて、
「ぐだぐだ言ってないで早く来いよ!」
とつい怒鳴ってしまった俺に、
『横暴男!』
と言葉を買い取って薫は乱暴に着信を閉じた。あちゃー、やっちまった。あいつ来なかったらどうしよう。俺の背中に冷や汗が流れる。ふと横を見ると、ビクトールがそれを見てニヤニヤ笑ってやがった。
「何がおかしい!」
「いえ、別に」
イラつく俺に、ビクトールは心底おもしろそうにそう返す。ったく、こいつなんでこんなに嫌味なんだ。ああもう、ムカつくっったらありゃしねぇ!!
 俺がイライラと中司(ガキ)を抱きながら応接室を歩くこと15分、ノックの音がした。俺はすかさず扉に背を向けて、
「薫か?」
と聞く。薫だったらいいけど、他の奴の可能性もあるからだ。すると、
「うん、私。一体なにがあったの。一応気分が悪いからって言ってきたけど」
と言いながら、薫が入ってきた。
「まず、ドアを閉めろ」
「閉めたわよ、ちゃんと」
俺はその言葉を聞いて徐に薫の方を向いて、
「そうか。で、こいつがお前に来てもらった理由だ」
と、薫に中司(ガキ)を見せた。薫は目を丸くして一瞬フリーズした後、満面の笑みで、
「かわいい~」
と、言いながら包んでいるスーツごと中司(ガキ)を抱き上げて頬ずりした。
 薫はその後、
「ねぇ、宮本君ちょっと代わりに抱いててくれる?」
と言い、
「あ、いえ、私は……はい」
ビクトールは、すぐ横の床にぶっ倒れている宮本本人を横目で見ながら、自分が宮本ではないとなぜか言い切れずに、中司(ガキ)を薫から受け取った。
 そして、薫は俺をキッと睨むと、
「この浮気もの! もう、婚約解消する!!」
と言いながら、俺をグーで思いっきり殴りやがったのだった。
 
 
 
 
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