my precious

神山 備

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生きていた証に……(「満月に焦がれて」とのコラボ企画)

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 僕の名前は結城達也ゆうきたつや。でも、ホントのこと言うと、僕なんてガラじゃない。正直なところ、僕には結城の血は一滴も流れていないのだから。

 それをにして残したいと、大学時代のサークル仲間の櫻木快人さくらぎかいとに相談したら、
「寝た子を起こすようなことなんて、しなくていいんじゃね?」
と言われた。確かにそうかもしれない。

 しかし、向こう(母は夢で祖父母が結婚できなかった世界とつながっている)では既にその母自身が本にしているらしいし、僕がその事実を知ったのは、向こうでの娘(義理仲だが)にこっちの母が反応したから。
「既に物書きの僕が事実を書き留めるのは使命だと思う」
と快人に話すと、
「別に律義に追っかけなくていいと思うぜ。それがパラレルワールドだろ」
と言われた。それが正論だとも思う。

 ……それでも、ただ書きたいのだ。「梁原健史」という男が本当に生きていたという証をどこかに残したい。
そう言うと、快人はため息を吐きながらも名義貸しの事実を承諾してくれた。

 ただ、依頼料が名義貸し以上に上乗せしてあったのは、お前への謝罪の気持ちだ。名義貸しを依頼するのをお前にしたのは、実は、僕の代わりに次期社長に祀り上げられた双子の妹、穂波ほなみへの貢ぎ物でもあったので。
 ホントに、お前のその無駄に整ったシャイニーズも真っ青なアイドル顔は、穂波のドストライクだからな。思った以上に簡単に堕ちてくれて、内心拍子抜けしたよ。

 ま、母と快人の叔母さんが親友で、梁原さんが主人公の完全オリジナルを、僕たち二人が悪乗りして書いたことがバレて、タコ殴りされたのは誤算だったけど。

 それだけ、二つの世界は密につながってるってことだと思う。僕は改めてこの物語は書かねばならなかったんだと、書いたことに自信を持ったよ。快人が心配するように、「身バレ」することもなかったしね。

 あ、余談を言えば、あっちの穂香ほのか(穂波はあっちでは穂香という名前になっている)は、アイドルになった快人を追っかけて、所属芸能事務所を買い上げてまでモノにした。それに比べればカワイイもんだと思うけど。
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