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フレン家(ち)
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フレンが消えた後、馬車の中でフレンのお兄ちゃんと二人っきり。どうでもええけど、なんか思いっきり居心地悪い。
(あたし、悪いことなんか何にもしてないんやから堂々としてたらええんや)
そうは思うけど、お兄ちゃんに振る話題なんて何もあらへんしなぁ。いっそのことフレンの子供の頃の話を聞いてみるとか……アカンアカン、迂闊にそんなことしたら、余計カノジョフラグ立ってまう。『君子危うきに近寄らず』や。
しばらくして、馬車が大きく揺れて停まった。黙ったままゆらゆら揺られてあたしはまた寝てたみたい。ここにフレンがおらんで良かったぁ、おったら絶対『お前にとって極限状態とでも言うべきこの状況でよく寝られるな』とか言ってバカにされるに決まってる。
こっちに来て毎日ぐっすり寝られんのは、偏に昼間フレンがこき使うからやからな。
そうこうしている間に、馬車の扉が開いた。
「何をぼんやりしている。降りるぞ」
フレン兄はそう言ってたったと馬車を降りると、後からもそもそと降りる私の手をとって、エスコートしてくれる。フレン兄にとってはごく普通のことなんかもしれんけど、あたしは、今までの人生、一回もそんなことされたことないから、あたふたしてもうた。
フレンは地球をパラレルワールドやて言うてたから、英語圏やし、ここは地球で言うたらイギリスとかなんかもな。そしたら、この『紳士の国』っぽい動作も納得やけど。
で、ここがフレンの実家かぁと周囲を見回したあたしは、三百六十度ぐるっと回ったところでカチンとフリーズした。
「すいません、ここどこですか」
「決まっておろう、我が屋敷だ」
まだ寝ぼけているのかとフレン兄があきれ声で言う。
けど、これが屋敷ぃ! あたしの記憶が間違うてなかったら、屋敷って家って意味やよね。ま、屋敷って言うくらいやから普通の家より大きいのはそうなんやろうけど、これ、家ってサイズやない。城やよ、そう、城!
しかも、玄関に続く道の両側には、使用人と思しき人が、
「お帰りなさいませ、ランス様」
と、整列してスタンバってる。ここはネズミーランドか、伊豆の温泉旅館か、それともアキバのメイドカフェか。こんなんが『家』な訳ないやろ!
そして、その先に陣取っているキレイな女の人が一人。着てるもんが周りの人より良さげやからこの人がたぶん……
「母上、ただいま戻りました」
そう思ったとたん、フレン兄がその人の前で片膝を落として礼をする。やっぱりこの人がフレンのお母か。彼女はなぜかウルウルの瞳であたしを見ると、
「じゃぁ、この子がフレンの……」
と言うなりあたしの両手を取ると、
「かわいい~! やっぱり女の子はいいわぁ」
と言ってひしっと抱きしめた。突然感はバリバリあるけど、フレン兄とちごて女やて言うてくれるんは地味に嬉しい。ほら、ちゃんと見てくれる人おるやん。
「あ、あの……」
「ごめんなさい。驚かせたかしら。ようこそロッシュ家へ。わたくしフレンの母のジーナよ。
さぁ、どうぞ。まずは着替えて。それからお食事にしましょう」
フレン母は、こんな大きな息子さんがいるとは思えないくらいのキュートな笑みを浮かべながら、パタパタと手を振ると、あたしを待機してた侍女さんたちに引き渡した
(あたし、悪いことなんか何にもしてないんやから堂々としてたらええんや)
そうは思うけど、お兄ちゃんに振る話題なんて何もあらへんしなぁ。いっそのことフレンの子供の頃の話を聞いてみるとか……アカンアカン、迂闊にそんなことしたら、余計カノジョフラグ立ってまう。『君子危うきに近寄らず』や。
しばらくして、馬車が大きく揺れて停まった。黙ったままゆらゆら揺られてあたしはまた寝てたみたい。ここにフレンがおらんで良かったぁ、おったら絶対『お前にとって極限状態とでも言うべきこの状況でよく寝られるな』とか言ってバカにされるに決まってる。
こっちに来て毎日ぐっすり寝られんのは、偏に昼間フレンがこき使うからやからな。
そうこうしている間に、馬車の扉が開いた。
「何をぼんやりしている。降りるぞ」
フレン兄はそう言ってたったと馬車を降りると、後からもそもそと降りる私の手をとって、エスコートしてくれる。フレン兄にとってはごく普通のことなんかもしれんけど、あたしは、今までの人生、一回もそんなことされたことないから、あたふたしてもうた。
フレンは地球をパラレルワールドやて言うてたから、英語圏やし、ここは地球で言うたらイギリスとかなんかもな。そしたら、この『紳士の国』っぽい動作も納得やけど。
で、ここがフレンの実家かぁと周囲を見回したあたしは、三百六十度ぐるっと回ったところでカチンとフリーズした。
「すいません、ここどこですか」
「決まっておろう、我が屋敷だ」
まだ寝ぼけているのかとフレン兄があきれ声で言う。
けど、これが屋敷ぃ! あたしの記憶が間違うてなかったら、屋敷って家って意味やよね。ま、屋敷って言うくらいやから普通の家より大きいのはそうなんやろうけど、これ、家ってサイズやない。城やよ、そう、城!
しかも、玄関に続く道の両側には、使用人と思しき人が、
「お帰りなさいませ、ランス様」
と、整列してスタンバってる。ここはネズミーランドか、伊豆の温泉旅館か、それともアキバのメイドカフェか。こんなんが『家』な訳ないやろ!
そして、その先に陣取っているキレイな女の人が一人。着てるもんが周りの人より良さげやからこの人がたぶん……
「母上、ただいま戻りました」
そう思ったとたん、フレン兄がその人の前で片膝を落として礼をする。やっぱりこの人がフレンのお母か。彼女はなぜかウルウルの瞳であたしを見ると、
「じゃぁ、この子がフレンの……」
と言うなりあたしの両手を取ると、
「かわいい~! やっぱり女の子はいいわぁ」
と言ってひしっと抱きしめた。突然感はバリバリあるけど、フレン兄とちごて女やて言うてくれるんは地味に嬉しい。ほら、ちゃんと見てくれる人おるやん。
「あ、あの……」
「ごめんなさい。驚かせたかしら。ようこそロッシュ家へ。わたくしフレンの母のジーナよ。
さぁ、どうぞ。まずは着替えて。それからお食事にしましょう」
フレン母は、こんな大きな息子さんがいるとは思えないくらいのキュートな笑みを浮かべながら、パタパタと手を振ると、あたしを待機してた侍女さんたちに引き渡した
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