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そんな恰好で脚を組んで座るな。
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「それで、おまえは箱の中で歌っていて、何か大きな物音と同時にここにいたと言うのだな」
Chijuruの状況は実は俺も見て知っているが、一応知らない体で本人から聞く。その時に、
「頼むからカラオケボックスのカラオケを抜くのは止めてくんない」
と彼女は言う。『箱(ボックス)』と言うと、『段ボール』と言う名の紙の箱の中に入れられて捨てられるというイメージがあるらしい。どうもこいつの想像はぶっ飛び過ぎていて、ついていけない。
「たぶん、その音の原因が媒介となって界渡りをしてしまったのだろうな。帰る方法は……俺には見当がつかん」
それから偶然を装うように俺はそう言って、盛大にため息をつく。俺があちらを覗いていて手をさしのべたと分かれば、どうして見ていたかと尋ねられ、帰ろうと思えば帰れることもバレてしまう。実は、Chijuruの世界に通じる座標はまだ消えずに残っている。
俺は確かにChijuru本人に『アクセス』したのだが、その残滓なのだろうか、Chijuruがあちらに置いてきた掌サイズの石版にもそれがあるようなのだ、
彼女はそれをしょっちゅう指先で磨き上げ、時にそれに話しかけていた。それを辿れば簡単に彼女は元のチキュウ? ミナミ? に戻れるはずである。
ただ、それがそのままの場所に置かれているかどうかは分からないので、どこに出るか判らない。床が崩れているのだ、所構わず飛んだら、現れるのはゴミの中ということもあり得る。
「でも、床が抜けるってどうしたらそんなことになるんだろ」
Chijuruはそう言いながら、ベッド脇の椅子に腰掛けたのだが、あろうことか、彼女は、膝が見えるような服にもかかわらず、腰掛けた後、足を組んだのである。俺はそのクリーム色の足に一瞬釘付けになったが、慌てて首を振り目を逸らす。だが、一度気が付いてしまうと、その剥き出しの足が気になって仕方がない。どうして、男と分かっている俺の前でそんな格好ができる! 俺は動悸が止まらなくなり、
「と、とにかく、まずはその恰好を何とかしろ。
ハンナ、ハンナはいるか」
と、ハンナを呼んだ。
「フレン様何かご用ですか」
「ハンナ、こいつにもっとマシな服を着せてやってくれ」
ハンナは最初、Chijuruをびっくりした目で見ていたが、
「フレン様そちらのお方は? ああ、そうでございますか。おめでとうございます。ハンナは本当に嬉しゅうございます」
と、感激でうるうるした目で俺たちに祝い言葉を述べる。しまった、ここは寝所だ。そんなところで若い男女が二人っきりで、しかも女があられもない格好をしてるとあっては、誤解してくれと言っているようなものではないか。俺は慌てて、
「勘違いするな。こいつは並行世界の人間だ。理由は判らんが、あっちの世界の何らかのトラブルが元で突然界渡りしてきたのだ」
と、ハンナに告げる。
「それも天の思し召しでございますよ。奥様もさぞかしご安堵なさることでしょう」
しかし、ハンナは完全に舞い上がり状態だ。
「おい、母上にはこいつのことは言うんじゃないぞ」
と、一応釘を刺しておく。母上に知れたら、それこそすぐに結婚だとか騒がれかねない。
「大体だな、おまえがそんな下着のような恰好をしているのが悪い! そんな恰好で俺の寝室に現れたりするから誤解されるんだ」
そうだ、この足を早々に仕舞え。でないと、俺の心臓が保たない。
「コレのどこが下着だって言うのよ!」
すると、Chijuruはそう言って咬みついてきた。
「では、夜着か」
「こんなの着て寝る奴はいないよ! れっきとしたお出かけ着です!」
「並行世界の女はこんな裸同然で出かけると言うのか、騙るのもいい加減にしろ」
「誰がウソツキだって! あんたこそこの恰好で裸同然だなんて、どんだけ叔父さんよ!」
ああ言えばこう言う……まったく口の減らない奴だ。しかし、足を剥き出しにしているのを指摘したのに、どうして叔父上が出てくる。
ただ、思ったほど頭の回転は悪くないことが判った。だが、
「息もぴったりで、本当に仲睦まじくていらっしゃる。これでロッシュ家もますますご安泰ですわね」
とハンナに言われて、
「誰の仲が良いだと!」
と怒鳴り返す。そうやって何が何でも纏めようとするな!
【いや、それないわ! アホなこと言わんといて!】
しかし、間髪入れず思いっきり迷惑だという顔で、おそらく異を唱えていたであろうChijuruの態度に、チクっと胸の痛みを感じるのはどうしてだろう。
Chijuruの状況は実は俺も見て知っているが、一応知らない体で本人から聞く。その時に、
「頼むからカラオケボックスのカラオケを抜くのは止めてくんない」
と彼女は言う。『箱(ボックス)』と言うと、『段ボール』と言う名の紙の箱の中に入れられて捨てられるというイメージがあるらしい。どうもこいつの想像はぶっ飛び過ぎていて、ついていけない。
「たぶん、その音の原因が媒介となって界渡りをしてしまったのだろうな。帰る方法は……俺には見当がつかん」
それから偶然を装うように俺はそう言って、盛大にため息をつく。俺があちらを覗いていて手をさしのべたと分かれば、どうして見ていたかと尋ねられ、帰ろうと思えば帰れることもバレてしまう。実は、Chijuruの世界に通じる座標はまだ消えずに残っている。
俺は確かにChijuru本人に『アクセス』したのだが、その残滓なのだろうか、Chijuruがあちらに置いてきた掌サイズの石版にもそれがあるようなのだ、
彼女はそれをしょっちゅう指先で磨き上げ、時にそれに話しかけていた。それを辿れば簡単に彼女は元のチキュウ? ミナミ? に戻れるはずである。
ただ、それがそのままの場所に置かれているかどうかは分からないので、どこに出るか判らない。床が崩れているのだ、所構わず飛んだら、現れるのはゴミの中ということもあり得る。
「でも、床が抜けるってどうしたらそんなことになるんだろ」
Chijuruはそう言いながら、ベッド脇の椅子に腰掛けたのだが、あろうことか、彼女は、膝が見えるような服にもかかわらず、腰掛けた後、足を組んだのである。俺はそのクリーム色の足に一瞬釘付けになったが、慌てて首を振り目を逸らす。だが、一度気が付いてしまうと、その剥き出しの足が気になって仕方がない。どうして、男と分かっている俺の前でそんな格好ができる! 俺は動悸が止まらなくなり、
「と、とにかく、まずはその恰好を何とかしろ。
ハンナ、ハンナはいるか」
と、ハンナを呼んだ。
「フレン様何かご用ですか」
「ハンナ、こいつにもっとマシな服を着せてやってくれ」
ハンナは最初、Chijuruをびっくりした目で見ていたが、
「フレン様そちらのお方は? ああ、そうでございますか。おめでとうございます。ハンナは本当に嬉しゅうございます」
と、感激でうるうるした目で俺たちに祝い言葉を述べる。しまった、ここは寝所だ。そんなところで若い男女が二人っきりで、しかも女があられもない格好をしてるとあっては、誤解してくれと言っているようなものではないか。俺は慌てて、
「勘違いするな。こいつは並行世界の人間だ。理由は判らんが、あっちの世界の何らかのトラブルが元で突然界渡りしてきたのだ」
と、ハンナに告げる。
「それも天の思し召しでございますよ。奥様もさぞかしご安堵なさることでしょう」
しかし、ハンナは完全に舞い上がり状態だ。
「おい、母上にはこいつのことは言うんじゃないぞ」
と、一応釘を刺しておく。母上に知れたら、それこそすぐに結婚だとか騒がれかねない。
「大体だな、おまえがそんな下着のような恰好をしているのが悪い! そんな恰好で俺の寝室に現れたりするから誤解されるんだ」
そうだ、この足を早々に仕舞え。でないと、俺の心臓が保たない。
「コレのどこが下着だって言うのよ!」
すると、Chijuruはそう言って咬みついてきた。
「では、夜着か」
「こんなの着て寝る奴はいないよ! れっきとしたお出かけ着です!」
「並行世界の女はこんな裸同然で出かけると言うのか、騙るのもいい加減にしろ」
「誰がウソツキだって! あんたこそこの恰好で裸同然だなんて、どんだけ叔父さんよ!」
ああ言えばこう言う……まったく口の減らない奴だ。しかし、足を剥き出しにしているのを指摘したのに、どうして叔父上が出てくる。
ただ、思ったほど頭の回転は悪くないことが判った。だが、
「息もぴったりで、本当に仲睦まじくていらっしゃる。これでロッシュ家もますますご安泰ですわね」
とハンナに言われて、
「誰の仲が良いだと!」
と怒鳴り返す。そうやって何が何でも纏めようとするな!
【いや、それないわ! アホなこと言わんといて!】
しかし、間髪入れず思いっきり迷惑だという顔で、おそらく異を唱えていたであろうChijuruの態度に、チクっと胸の痛みを感じるのはどうしてだろう。
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