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vsお姉(形勢逆転)
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「うわぁ、ちょぉ待ち、壊れる! 解った、解ったからもう降ろし」
[Move]でお姉の車を持ち上げたあたしは、お姉のその悲鳴を聞いて徐に手を下ろして車を地面に付けた。
「ああ、助かった……」
無事地面に付いたのを見て、お姉はそう言うて脱力する。
「な、解ってくれた?」
あたしがそう言うて確認すると、
「手品と……解ったから、もう止めてや!」
まだ手品とか言いよるお姉。けど、あたしがすっと手をあげたらピッと背筋が伸びて涙目に。解ったらええんや、解ったら。
こうやってお姉には解ってはもらえたけど、
「異世界トリップってなぁ……こんなんお母やお父にはどないして言うのん」
と、ため息混じりにお姉が言う。
「せやんか。それが問題やねんわ」
お姉は言うてもまだ三十。こんなんでも柔軟に受け止められるけど。お父やお母の歳では同しことしてもあかんやろなぁ。
「なぁ、お父とお母には黙っといてくれへん?」
てあたしが言うと、
「死んでたと思てた娘が生きとんやで。なんで黙っとかならんの。説明したらええやん」
うちにしたみたいに、とお姉は言う。お姉はあの車お気に入りやから、さっきの根に持ったみたい。けど、あたし何も壊してへんやん。ちょっと持ち上げたくらいでガーガー言わんとって欲しいわと思うわ。
「ほな、帰ろか」
それから、運転席のドアを開けながらお姉がそう言うた。
「帰ろかて、どこへ」
「大阪の家に決まってるやん。あんたが帰るとこあそこしかないやろ」
当然の様に言うお姉。
「ちょっと待ってぇな。あたし、自分んちにお客さん待たせとんやで」
そやん。あたしデニスさんに『すぐに帰ってきます』て言うて出てきたんやもん。ええ加減帰らんと。けど、それ言うたら、
「お客さんて、何でそんなもん待たして帰ってくんのん」
んなもん全部片づけてこんかいなと、お姉に呆れられた。
「何でて、その人にヒントもろたからここに来れたんやもん」
実際はヒントやのうてフレンが帰り方を知ってることを引き出しただけやけど、モノは言い様や。
「その人がな、忘れん内に使こといたらって言うから、先来てん。せやから、帰るわ」
て言うてあたしはお姉に手を振って、
【フレン、帰ろ。帰りは別に元の所じゃなくてもいいんだよね】
とフレンに言う。フレンはあたしらがさっきからずっと日本語で会話してるから全然解らんし、
【もういいのか】
と不安気に聞く。
【うん、デニスさんが待ってるし】
とあたしが頷くと、フレンはホッとした様子で、
【そうか、いいんだな。じゃぁあの部屋の魔法陣を思い浮かべるんだ。当然[機械]を[魔法陣]に替えるのは解るな】
と言う。帰りはあの魔法陣が着地ポイントになんねんな。
【了解】
そして、あたしらが詠唱姿勢をとった時、
「ちょっと待ち! あんたら勝手に来て勝手に帰りな!」
お姉からそう言うてストップがかかった。
「うちはまだ正直あんたらが今異世界におるなんてはっきり信じてないんやわ」
とまだ言う。ただ、また車持ち上げられたらかなんと、車のボンネットは押さえとんのやけどな。
「そや、なんやったら、あっちの世界をビデオにとっといで、ほしたら信じたるわ」
ほんでお姉は続けてそんなことを言い出した。
「ビデオてムリやわ。第一あっちに電気なんかあらへんねんもん」
「えーつ、電気ないのん?」
「魔法がある分、機械は全然発達してへんのや。フレンが電気系の魔法が使えるからかろうじて電池の充電はしてもらえんねんけど、それが限度や。魔法てな、継続すんのものごっつ大変やねん。こっちで充電するとしても、ビデオカメラの充電て時間かかるやん」
お客待ってる待ってるて言うてるやろな。相変わらず人の話聞かんなと言うと、お姉はあからさまに怒った顔をして、
「四年ぶりに家族に会うたのに、返事がそれか? その客がどんだけ大事やねん」
て言い出す。
「ゴメン」
て謝ったあたしにお姉は、
「それに、あんたら何でここに出てきたん?」
と質問してきた。
「それは、スマフォのGPSの電波がかろうじてあっちに届いてる事が分かったからで……」
で、あたしがそう言うと、
「すごいな、GPSあっちまで届いたんや。お母がいつまでも未練たらしい充電しとったんが役にたったんやな。最新技術にもええとこあるやん」
スマフォなんて基本料金高いだけで、スライド式は誤動作するからヤやわって、言うてたお姉が、ビックリした顔でそう言うて、
「せやけど、そやったら余計大阪の家か、せめて男山のうちの家に戻らんと。あんたら今度戻ってくるとき、またこんな遠いとこへ出てくる気か? 時間のムダやん」
てラテの今度は後部座席を開けて、あたしらに乗るように促すんで、
【あの、フレン……お姉が今後の事があるからお姉の家に行こうって言い出したんだけど、大丈夫?】
あたしが、フレンの顔を覗き込んでそう聞くと、
【ああ、そうだな。ここで戻れば、次もまたここから始めねばならぬな。
やはりおまえたちニホン人は界渡りをよく心得ているな。
大丈夫だ、クララ(今家にいてるメイド頭さんの名前)にはガーランドさんをよくもてなすように言ってあるし、少々遅くなってもいいように客間の用意はさせてある】
フレンはそう言うて、心配すんなというように、あたしに笑って見せた。いや、そんなん心配してない。それは横で聞いてて知ってたし、心配しとんのはそこちゃうねん。
ほんでフレンは、(お姉、高速使こたしな)あたしの予想した通り、乗り込んだ車の中で真っ青な顔をしてあたしにずっとしがみつくことになったんやった。
[Move]でお姉の車を持ち上げたあたしは、お姉のその悲鳴を聞いて徐に手を下ろして車を地面に付けた。
「ああ、助かった……」
無事地面に付いたのを見て、お姉はそう言うて脱力する。
「な、解ってくれた?」
あたしがそう言うて確認すると、
「手品と……解ったから、もう止めてや!」
まだ手品とか言いよるお姉。けど、あたしがすっと手をあげたらピッと背筋が伸びて涙目に。解ったらええんや、解ったら。
こうやってお姉には解ってはもらえたけど、
「異世界トリップってなぁ……こんなんお母やお父にはどないして言うのん」
と、ため息混じりにお姉が言う。
「せやんか。それが問題やねんわ」
お姉は言うてもまだ三十。こんなんでも柔軟に受け止められるけど。お父やお母の歳では同しことしてもあかんやろなぁ。
「なぁ、お父とお母には黙っといてくれへん?」
てあたしが言うと、
「死んでたと思てた娘が生きとんやで。なんで黙っとかならんの。説明したらええやん」
うちにしたみたいに、とお姉は言う。お姉はあの車お気に入りやから、さっきの根に持ったみたい。けど、あたし何も壊してへんやん。ちょっと持ち上げたくらいでガーガー言わんとって欲しいわと思うわ。
「ほな、帰ろか」
それから、運転席のドアを開けながらお姉がそう言うた。
「帰ろかて、どこへ」
「大阪の家に決まってるやん。あんたが帰るとこあそこしかないやろ」
当然の様に言うお姉。
「ちょっと待ってぇな。あたし、自分んちにお客さん待たせとんやで」
そやん。あたしデニスさんに『すぐに帰ってきます』て言うて出てきたんやもん。ええ加減帰らんと。けど、それ言うたら、
「お客さんて、何でそんなもん待たして帰ってくんのん」
んなもん全部片づけてこんかいなと、お姉に呆れられた。
「何でて、その人にヒントもろたからここに来れたんやもん」
実際はヒントやのうてフレンが帰り方を知ってることを引き出しただけやけど、モノは言い様や。
「その人がな、忘れん内に使こといたらって言うから、先来てん。せやから、帰るわ」
て言うてあたしはお姉に手を振って、
【フレン、帰ろ。帰りは別に元の所じゃなくてもいいんだよね】
とフレンに言う。フレンはあたしらがさっきからずっと日本語で会話してるから全然解らんし、
【もういいのか】
と不安気に聞く。
【うん、デニスさんが待ってるし】
とあたしが頷くと、フレンはホッとした様子で、
【そうか、いいんだな。じゃぁあの部屋の魔法陣を思い浮かべるんだ。当然[機械]を[魔法陣]に替えるのは解るな】
と言う。帰りはあの魔法陣が着地ポイントになんねんな。
【了解】
そして、あたしらが詠唱姿勢をとった時、
「ちょっと待ち! あんたら勝手に来て勝手に帰りな!」
お姉からそう言うてストップがかかった。
「うちはまだ正直あんたらが今異世界におるなんてはっきり信じてないんやわ」
とまだ言う。ただ、また車持ち上げられたらかなんと、車のボンネットは押さえとんのやけどな。
「そや、なんやったら、あっちの世界をビデオにとっといで、ほしたら信じたるわ」
ほんでお姉は続けてそんなことを言い出した。
「ビデオてムリやわ。第一あっちに電気なんかあらへんねんもん」
「えーつ、電気ないのん?」
「魔法がある分、機械は全然発達してへんのや。フレンが電気系の魔法が使えるからかろうじて電池の充電はしてもらえんねんけど、それが限度や。魔法てな、継続すんのものごっつ大変やねん。こっちで充電するとしても、ビデオカメラの充電て時間かかるやん」
お客待ってる待ってるて言うてるやろな。相変わらず人の話聞かんなと言うと、お姉はあからさまに怒った顔をして、
「四年ぶりに家族に会うたのに、返事がそれか? その客がどんだけ大事やねん」
て言い出す。
「ゴメン」
て謝ったあたしにお姉は、
「それに、あんたら何でここに出てきたん?」
と質問してきた。
「それは、スマフォのGPSの電波がかろうじてあっちに届いてる事が分かったからで……」
で、あたしがそう言うと、
「すごいな、GPSあっちまで届いたんや。お母がいつまでも未練たらしい充電しとったんが役にたったんやな。最新技術にもええとこあるやん」
スマフォなんて基本料金高いだけで、スライド式は誤動作するからヤやわって、言うてたお姉が、ビックリした顔でそう言うて、
「せやけど、そやったら余計大阪の家か、せめて男山のうちの家に戻らんと。あんたら今度戻ってくるとき、またこんな遠いとこへ出てくる気か? 時間のムダやん」
てラテの今度は後部座席を開けて、あたしらに乗るように促すんで、
【あの、フレン……お姉が今後の事があるからお姉の家に行こうって言い出したんだけど、大丈夫?】
あたしが、フレンの顔を覗き込んでそう聞くと、
【ああ、そうだな。ここで戻れば、次もまたここから始めねばならぬな。
やはりおまえたちニホン人は界渡りをよく心得ているな。
大丈夫だ、クララ(今家にいてるメイド頭さんの名前)にはガーランドさんをよくもてなすように言ってあるし、少々遅くなってもいいように客間の用意はさせてある】
フレンはそう言うて、心配すんなというように、あたしに笑って見せた。いや、そんなん心配してない。それは横で聞いてて知ってたし、心配しとんのはそこちゃうねん。
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