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第1章
初めてみる魔法
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「おぉーレグルス!まーたやってんのかぁ?」
シャイネス王国第3地区ミネ領。
あまり人の立ち入らない白山(ハクザン)は魔法使いのレグルスにとって絶好の練習場所であった。
「うるせぇ。邪魔すんな。」
「今日は何やってるの?」
「うるせぇ。邪魔すんな。」
「てンめー!レグルス!俺のユミィにうるせぇなんてどの口が物申してんだゴラァーー!」
「やめて、サルドナ。うるさいから。」
「うぇぇぇ?!!」
レグルス、サルドナ、ユミィはミネ領主の治める第3地区で生まれ育った幼なじみである。
魔法を使える人種は少なく、一般市民は警戒が強い。また、難ありな性格も災いしてレグルスは友達が多い方ではなかった。
料理人見習いのサルドナと花屋のユミィは仕事の休日を利用して、ハクザンで1人、魔法の練習をしているレグルスに会いに来るのである。
チカチカッッ
「わ! あれなんだ?」
レグルスを茶化し、ユミィに冷たく諭されるといういつものことを成し遂げたサルドナは、ハクザンの中腹に何か光るものを見た。
「! きた!!」
瞬間、レグルスが山を駆け出した。サルドナとユミィは顔を見合わせ、とりあえず急いでレグルスを追うことにしたのだった。
なんでわたし、こんな木の枝に挟まってるの……??
足も腕も顔も小枝に引っ掛けた切り傷でピリピリするし、稽古着やスニーカー、台本が入ったバッグは大木の下にドシャっと落ちている。中身が出ていないのが幸いか。
荷物よりも心配なことが他にある。
自分が挟まっている大木の枝が先程からミシミシと音を鳴らしているのだ。これは間違いなくそろそろ限界であるという木側からの意思表示であろう。しかし、こちらも頭より上に足があるという無理な体勢のせいで力を入れることもできなければ脱出しようもないのである。困った。
なんとか足が頭より下にこないかなと身をよじったその時ーー
バキバキバキッッ
「きゃーーーーーーーーー!!!!」
やっぱり折れたーーーー!!!
「やだ! 危ないっっ!!!」
衝撃への恐怖に目を閉じた瞬間、耳に女の子の声が届いた気がした。
ギュルギュルギュルッッ
グンっ
グンっ
そして自分が予測した衝撃とは違う痛みが、落ちているはずの自分の足首を襲ったのである。
「うわぁ?! 痛い! 何??!」
恐る恐る目を開けると、自分の両方の足首に細い蔓が何本も巻かれ、その先をたくさんの小鳥が咥えて空を飛んでいた。
「 え…??!」
一体どうなっているーー
宙吊りになったまま血の上りかけている頭で考える。
まさか小鳥の群れに助けられたというのか?
「おおー!さすがだぜー!」
「よかったぁぁぁぁぁ!!!」
人の声に不思議に思って辺りを見回すと頭の下の方に人がいた。
ふわっふわの茶髪でツインテールにしている女の子。
先程『危ない!』と叫んでいたのは彼女だろう。
その隣に金髪ツンツンヘアーの男の子。わたしを支えてくれている小鳥に向かって両手の指で四角をつくり『カシャカシャ』と言っている。いわゆるカメラマンの真似事。…呑気すぎないか?
そして彼らより奥に珍しい水色頭の男の子。空に突き上げた腕の間に頭を埋めているので顔は見えないが、この3人の中で唯一わたしに向かって何らかのアクションを起こしているので、きっと彼が原因なのだろう。この宙吊り状態の。
悠長に観察ができているのは紛れもなくこの鳥さん達のおかげだが、いかんせん頭が下にあるので色んなことが限界にきている。
そろそろ地面にゆっくりと安全に下ろしていただけないかと考えているとーー
バサッ
がくんっ
「ぎょえぇ??!」
ひとつ大きな羽音がしたと思ったら、支えてくれている鳥が減った。突然速度を上げて落下したものだから(すぐ持ち直した)変な声が出てしまった。
「ーーくっ。」
水色くんから苦しそうな声が漏れる。
え?彼も限界が近いというの?
がくん
「ひぃぃ!」
また鳥が減った!!
ギリギリギリ
減った鳥の分を残った鳥がカバーしようとして蔓が今まで以上に強く固くまとわりつく。足首がギュギュッと縛り上げられた。
血が、、血が止まる、、、
真っ青。
地面へと落ちている怖さと血流の悪さとで徐々に冷や汗が出てきたその時ーー
「あ、もう無理だ」
急にやる気をなくした声が耳に届いたと思ったら、ぽんぽんっと音を発して残った鳥も全て消え
わたしの身体は真下の地面にズドンと落とされたのであったーー
シャイネス王国第3地区ミネ領。
あまり人の立ち入らない白山(ハクザン)は魔法使いのレグルスにとって絶好の練習場所であった。
「うるせぇ。邪魔すんな。」
「今日は何やってるの?」
「うるせぇ。邪魔すんな。」
「てンめー!レグルス!俺のユミィにうるせぇなんてどの口が物申してんだゴラァーー!」
「やめて、サルドナ。うるさいから。」
「うぇぇぇ?!!」
レグルス、サルドナ、ユミィはミネ領主の治める第3地区で生まれ育った幼なじみである。
魔法を使える人種は少なく、一般市民は警戒が強い。また、難ありな性格も災いしてレグルスは友達が多い方ではなかった。
料理人見習いのサルドナと花屋のユミィは仕事の休日を利用して、ハクザンで1人、魔法の練習をしているレグルスに会いに来るのである。
チカチカッッ
「わ! あれなんだ?」
レグルスを茶化し、ユミィに冷たく諭されるといういつものことを成し遂げたサルドナは、ハクザンの中腹に何か光るものを見た。
「! きた!!」
瞬間、レグルスが山を駆け出した。サルドナとユミィは顔を見合わせ、とりあえず急いでレグルスを追うことにしたのだった。
なんでわたし、こんな木の枝に挟まってるの……??
足も腕も顔も小枝に引っ掛けた切り傷でピリピリするし、稽古着やスニーカー、台本が入ったバッグは大木の下にドシャっと落ちている。中身が出ていないのが幸いか。
荷物よりも心配なことが他にある。
自分が挟まっている大木の枝が先程からミシミシと音を鳴らしているのだ。これは間違いなくそろそろ限界であるという木側からの意思表示であろう。しかし、こちらも頭より上に足があるという無理な体勢のせいで力を入れることもできなければ脱出しようもないのである。困った。
なんとか足が頭より下にこないかなと身をよじったその時ーー
バキバキバキッッ
「きゃーーーーーーーーー!!!!」
やっぱり折れたーーーー!!!
「やだ! 危ないっっ!!!」
衝撃への恐怖に目を閉じた瞬間、耳に女の子の声が届いた気がした。
ギュルギュルギュルッッ
グンっ
グンっ
そして自分が予測した衝撃とは違う痛みが、落ちているはずの自分の足首を襲ったのである。
「うわぁ?! 痛い! 何??!」
恐る恐る目を開けると、自分の両方の足首に細い蔓が何本も巻かれ、その先をたくさんの小鳥が咥えて空を飛んでいた。
「 え…??!」
一体どうなっているーー
宙吊りになったまま血の上りかけている頭で考える。
まさか小鳥の群れに助けられたというのか?
「おおー!さすがだぜー!」
「よかったぁぁぁぁぁ!!!」
人の声に不思議に思って辺りを見回すと頭の下の方に人がいた。
ふわっふわの茶髪でツインテールにしている女の子。
先程『危ない!』と叫んでいたのは彼女だろう。
その隣に金髪ツンツンヘアーの男の子。わたしを支えてくれている小鳥に向かって両手の指で四角をつくり『カシャカシャ』と言っている。いわゆるカメラマンの真似事。…呑気すぎないか?
そして彼らより奥に珍しい水色頭の男の子。空に突き上げた腕の間に頭を埋めているので顔は見えないが、この3人の中で唯一わたしに向かって何らかのアクションを起こしているので、きっと彼が原因なのだろう。この宙吊り状態の。
悠長に観察ができているのは紛れもなくこの鳥さん達のおかげだが、いかんせん頭が下にあるので色んなことが限界にきている。
そろそろ地面にゆっくりと安全に下ろしていただけないかと考えているとーー
バサッ
がくんっ
「ぎょえぇ??!」
ひとつ大きな羽音がしたと思ったら、支えてくれている鳥が減った。突然速度を上げて落下したものだから(すぐ持ち直した)変な声が出てしまった。
「ーーくっ。」
水色くんから苦しそうな声が漏れる。
え?彼も限界が近いというの?
がくん
「ひぃぃ!」
また鳥が減った!!
ギリギリギリ
減った鳥の分を残った鳥がカバーしようとして蔓が今まで以上に強く固くまとわりつく。足首がギュギュッと縛り上げられた。
血が、、血が止まる、、、
真っ青。
地面へと落ちている怖さと血流の悪さとで徐々に冷や汗が出てきたその時ーー
「あ、もう無理だ」
急にやる気をなくした声が耳に届いたと思ったら、ぽんぽんっと音を発して残った鳥も全て消え
わたしの身体は真下の地面にズドンと落とされたのであったーー
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