異世界転生モノの主人公に転生したけどせっかくだからBルートを選んでみる。

kaonohito

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第6話 貴族としての身の振り方を考えてみる。

Chapter-20

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 正直言って────

 いま、ここまでの事態になって、ただ、生涯独身を通すつもりはない。準男爵家の家長になったわけだし、それなりに家庭も持ちたいかな、何ぞと考えてはいる。

 ただ、俺は、この前のルイズの件で、ちょいとばかり女性不信に陥ってもいる。

 いや、だって、以前も言ったけど、ルイズって『転生したら辺境貴族の末っ子でした』のキャラとしては、それなりに気に入ってたんだよ?
 まぁどっちかって言うと、ユリア推しだったんだけど。

 それを、この世界が現実のものとなった途端、その嫌な部分まで見せられてしまって、俺の精神的に負担になってしまったのだ。

 で、そんな事があったから、俺が今、女性不信の対象にしないで済んでいるのが、キャロとエミしかいないわけだ。

 あ、もちろん姉弟子とか師匠とかは最初から話が別だぞ?

 まぁ、この2人もそれなりに下心があるのは承知している。
 でも、それでも信頼に足ると言うだけのものも、見せてくれたからな。

 ドラゴン退治の一件以来、この2人はもう、俺にとって、“噛ませ犬キャラ”なんかではないのである。

 で、実際問題として、俺はどっちを正妻にするかまでは、決めかねているのが事実だ。

 キャロの元気のいいところなんかは、正直見ていて気持ちがいいし、一方で、エミは……男が女にこういうのは変かもしれないが、頼もしく感じる。

 で、キャロを正妻にする分にはいいんだが、問題は、エミを正妻にして、さらにキャロを序列夫人や陪臣という形で傍に置こうとした場合。

 これ、今のままだと、嫡子のキャロに対して、エミは庶子なので、捻れてしまって、まずいんである。
 エバーワイン男爵家のメンツも潰してしまう。

 だが、俺がローチ伯爵家の寄騎ということになれば、優先度が変わってくるので、あまり問題にならなくなるのだ。

「なるほど」

 なんとなく色めき立った様子のエミとキャロとをよそに、ウィリアムは、身を起こしながら、悪戯っぽく笑って、言う。

「どちらにしても、我がローチ家にとっては、ドラゴン・スレイヤー竜騎勲章持ちでもある新参貴族を寄騎にできて、損のない話だからね。父上も快諾するだろう」

「まぁ、俺自身は、ある程度落ち着いたら、自分の領地に引き籠もろうと思ってるんで、ご期待に添えるかは、微妙なんですが……」

「いや、それだとしても、別に我が家としてはまったく損にはならない話なんだ。だから、受けさせてもらうよ。枢密院にも、そう伝えてしまっても、構わないんだろう?」

 え、いいの? そこまで話進めちゃって。
 だって、ウィリアムはあくまで、帝都での当代のローチ伯爵の名代であって、その最終判断は、伯爵本人が決めないとまずいんじゃないの?

「いいんですか、その、ウィリアムさんが決めてしまって……」

「問うまでもない、君にブリュサンメル上級伯の寄騎になる意志がないというのであれば、自分のところで囲い込みたい貴族家はいくらでもいるだろう、父上に相談するまでもない話なんだ。得をすることはあっても、損をすることは、まずない話だからね」

 まぁ、確かに。それなら、善は急げ、という話にもなるか。

「すみません、そう言う事でしたら、よろしくお願いします」

 俺は、そう言って、頭を下げた。

「いやいや、こちらこそ、だよ」

 ウィリアムは、穏やかに笑いながら、両手を広げるような仕種をして、そう言った。


「ところで──」

 俺のローチ伯爵家の寄騎入りの話が一段落したところで、ウィリアムは話題を変えてきた。

「君達は、帝都での宿と言うか、滞在するところは、もう、確保してあるのかな?」
「あ、実は、これから宿を探そうと思っているところでして」

 俺は、正直に言った。

 まぁ、俺も実際、準男爵に叙せられた以上、帝都屋敷というものを構えなきゃならないのだが、今日授爵を受けたばかりで、はい、すぐに入居できます、なんて物件が、あるわけもない。
 今日のところは、商人街まで出て、安宿でもいいから、当座の滞在先を、確保するつもりだった。

「だったら、我が家に滞在すればいい。見ての通り、この広い屋敷に、私と妻、それに数人の使用人しかいないんだ。部屋は、余ってるからね」

「それは、ありがたいですが、大丈夫なんですか?」

「ああ、構わないよ、なぁ?」

 俺が、念を押して問い返すと、ウィリアムは、俺にまずそう答えてから、エミとは反対側の隣に腰掛けていた、夫人に声をかけた。

「ええ、自分の家だと思って、寛いでくださいな」

 アイヴィ夫人も、そう言ってくれた。その笑顔に、裏は、無いようだった。

「それに、久しぶりに、末の妹と一緒の時間も、欲しいからね」

 ウィリアムは、そう言って、エミの頭を撫でた。

「すみません、そう言うことであれば、しばらくの間、お世話になります」

 俺は、そう言って、頭を下げた。

 正直、これから色々、官庁街で手続きしなきゃならないことがあるんで、そこに近い貴族屋敷に拠点を置けることは、ありがたいんである。

 使用人に、各々の部屋の割当をさせて、ベッドなんかを準備してくれた。あ、なんか、エミの部屋は、最初から用意してあったようである。
 いつでも、エミが、ローチ家を頼ってきてもいいように、ということなんだろう。
 本当に、仲がいいんだな、この兄妹。

 俺は……うん、転生して、前世の意識が戻ってからは、言ってしまうのもなんだが、あんましオツムの出来のよくない長男と、その他大勢に選り分けられた兄妹の中で、特に誰かと仲良くもなかったし、すぐに家を出て、師匠のもとに行ってしまった。

 だからかな、ちょっと、羨ましい。

 あ、蛇足を追加すると、前世では、俺は、2つ違いの、2人兄妹の長男長子だった。まぁ、両親ともに、所謂サラリーマン公務員だったから、現世みたいなしがらみはなかったんだけど。
 ただ、現世でも、末っ子じゃなくて、そうだな、妹がいてくれたら、もう少し、楽しい人生になっていたのかもしれない。

 ……そうか、今の状況、俺はどっちかって言うと、エミにじゃなくて、ウィリアムの方に、感情移入してるのか……
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