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第2話 ソロモンの犬耳達
Chapter-12
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一瞬だけ後方に意識を向け、その次の瞬間、機銃の発射釦を押し込む。
ダダダッ
両翼の機銃から、曳光弾を伴う20mm機銃弾が、照準器内のF4Fに向かって迸る。
数発の機銃弾が着弾し、F4Fは黒い煙を吹き出しながら、分解しながら海面へ向かって落下していった。
その時、すでに3機の零戦は一度、巴戦と呼ばれる格闘戦の範囲内から一度離脱していた。
──2人共、ちゃんと着いてきているか。
坂井三郎一等飛行兵曹は、自身の小隊の柿本円次と羽藤一志の機体の存在を確認する。
前日、坂井の小隊3機は戦闘中にはぐれていた。坂井の主観では、2機はF4F、3機に追われていたため、坂井が乱戦に介入して数機のF4Fを撃墜した。特に1機は搭乗員の腕がかなりいいのか、坂井が巴戦を挑んでようやく落とした。
外部の評価と異なり、坂井は零戦を一撃離脱に適した高速機と捉え、その為に集団戦闘がより適しているとし、巴戦は最後の手段だと考えていた。小隊を任されるようになってからは、列機の搭乗員にもそう指導し、常に列機と共に行動し、不必要な単独戦をしないよう戒めていた。
だが、坂井の考え方を、ある事情が妨げていた。
零戦に搭載されている無線機である。
元々日本の電子部品の質が高くないこともあるが、何より、大日本帝国海軍の単座戦闘機用の無線機は、この頃の他の軍隊では当然に採用していた、送受信を同時に待機しているタイプではなかった。
通常、受信機のみ電源が入っていて、送信の為には無線機の再起動が必要だった。これは、無線機の消費電力を抑え、発電機とバッテリーを小容量で済ませ、軽量化につなげるための施策で、それは成功していたが、坂井のような搭乗員には弊害があまりにも大きく感じられた。
ちなみに、大日本帝国陸軍は、単座戦闘機の無線機も後世の人間にもおなじみのPTT方式であり、加藤建夫少佐を始めとして、戦闘中も多用するスタイルの指揮官もいる。
坂井は、戦場を一瞥するが、どうやら敵戦闘機はすべて排除したようだ。
──昨日だいぶやっつけたからな。
坂井の小隊は前日も出撃していた。同盟国軍の重爆が先陣を切って攻撃すると聞いて、緊張が強まったのを覚えている。
坂井は気付いていなかったが、この時、彼は、爆撃後の再合流に意識を取られて、付近を飛行していたダグラスSBD『ドーントレス』艦上爆撃機の小隊を見落としていた。
僅かに低い高度を、爆撃進入するRe4の姿が見えた。
水平爆撃を実施する爆撃機は爆撃進入~離脱コースをとっている時が、一定の高度で直進するしかないため、もっとも無防備になる。
零戦隊は引き続き周囲を警戒して、泊地上空を旋回する。
──あちらさんの無線機を買えないものだろうか。
緊張が緩んだ時、坂井はふと心中で呟いてしまっていた。
ラバウルにチハーキュ陸軍航空団が到着した際、El11の姿を見て、多くの海軍軍人は、
「空冷!? これが!?」
と、当然のようにこう反応した。多少ずんぐりむっくりであっても、まさかコクピットの後ろに空冷星型エンジンが収まっているとは、普通には考えられなかった。
その一方で、坂井は、El11の搭乗員との会話からの行きがかりで、機上無線機の整備を見学させてもらった。
その音質は素晴らしく、アメリカでもこれほどのものは持っていないのではないかとすら思えた。
周波数変調と呼ばれ、今日本軍が使用している無線電話や、ラジオ放送で使っているものとは根本的に違う、と教えられた。
これがあればだいぶできる事が増えると考えるのを止められなかった。
ただ、零戦用の中島『栄』発動機と、LV12やS5の単発単座機用では、外部電源用の発電機の容量に3倍近い差があって、無線機だけではなくエンジンにまで手をいれる必要があるが。
他方、El11の航続距離は1,200km。これはIe9も同じだった。戦闘行動半径は増槽装着時で600kmとされている。ラバウルからガダルカナルまでは1,000km以上離れており、Ie9やEl11はたどり着けない。攻撃隊の護衛は零戦にしかできなかった。
「くそっ! またパチモンB-17がきやがったぞ!」
「味方の戦闘機は何をしているんだ!」
27機のRe4が、連合軍の停泊地の上空に侵入してくる。
日本軍が体勢立て直しのため、飛行場西側のルンガ川から更に西のマタニカウ川西岸まで撤退したため、飛行場とその周辺の占領はすでに完了していたが、前日の爆撃により輸送船3隻と、駆逐艦『マグフォード』が沈没。その他、沈没は逃れたが大破し物資陸揚げを断念した輸送船は5隻になった。
護衛・上陸支援に当たる、TF62の駆逐艦が、重爆に向かって40mmボフォース対空機銃の射撃を浴びせようとするが、艦隊の隊列を組んでいるわけでもなく個艦で個別に撃ちあげても、機銃弾は爆撃機を逸れていく。それを嘲笑うかのように、地上からは悠々としているかの様子で、編隊を組んだ敵爆撃機は多数の爆弾を投下した。
重爆の水平爆撃の命中精度は高くはないが、一定の面積に輸送船が密集しているところへ、500lbと思しき爆弾だけで300発以上も投下されたのでは、それなりに当たる。
まず海岸寄り、その北東側、続けてその西南西側で、直撃を受けた輸送船から火柱が上がり、早くも半ばスクラップとなって燃え上がる。
「畜生!」
誰かが声を上げた。駆逐艦『バッグレイ』に立て続けに2発の爆弾が命中した。1発目は艦橋に直撃して粉砕し、次いで2発目を受けた時、大爆発が起こり、面影もないほどに破壊されたバッグレイはそのまま海中に引きずり込まれはじめた。
「なんでこんな大事な作戦の前に、パピー共まで怒らせた! バカが!!」
「電波警戒器に感。右舷側、1時半方向から接近。単機のようです」
「また来たわね……対空戦準備!」
『キャルヴェロン』戦闘艦橋。
電波警戒器のディスプレイと向かい合っているオペレーターの報告に、アリシアが右舷側の窓越しに空に忌々しげな視線を向けながら、下令する。
およそ50分前の8時20分、“殴り込み艦隊”のチハーキュ艦はDKR-203電波警戒器に単機飛行する航空機を捉えた。
戦艦『ユリン』にも搭載されているDKR-203は、メートル波の対空警戒用DKA-1に対して、対水上用を兼ねる35cm波電波警戒器である。
その情報を受けた三川の指示で、艦隊は北へ向かうようにしつつ、哨戒機の予想進路を回避。それは功を奏したのか、哨戒機は有視界内に入らずに逸れていった。
この機体はロッキード『ハドソン』のオーストラリア空軍機だが、そんな事は三川やアリシア達は知らない。
「各艦の判断で対空戦闘。日本機への誤射に気をつけて」
「了解」
進路上の哨戒のため、日本艦は水上偵察機を飛ばしていた。チハーキュ艦も対潜哨戒の為にセレスSe6水上機を飛ばしていたが、チハーキュ艦の乗組員は複葉単フロートのSe6を見慣れているため、双フロートの川西E7K 九四式水上偵察機、それに加えて単葉の愛知E13A 零式水上偵察機は、咄嗟に誤認する可能性が高い。
だが、
「接近中の機体視認しました!」
見張員の声が、受令電話器越しに響いてくる。
「双発の陸上機です! 高度下げた! ラピス・デル・フエルトに向かう!」
緊迫した声がキャルヴェロンの戦闘艦橋内に響く。
その一瞬前、ラピス・デル・プエルトの右舷側対空火器が射撃を始めた。
12.5cm両用砲、75mm対空砲の対空砲弾が炸裂し、青丸に白い星のマークを着けたロッキードPBO『ハドソン』哨戒機がそれをくぐり抜けてくる。
だが、機首で爆発があったかと思うと、そのまま姿勢を崩し、哨戒機自身から見て右側に大きく傾き、その右翼端が海面に接触し、分解して墜落した。
45mmリボルバーカノンの1発が、ほぼ真正面からハドソン哨戒機の機首に命中していた。
「拾い上げてあげたいけど、今はそれができないの。幸運を祈るわ」
右手に浮かぶハドソン哨戒機の残骸を見ながら、アリシアはそう言った。
「司令、航空隊の報告が入っています」
「うむ」
TF61、旗艦空母『ワスプ』(USS CV-7)、CIC。
アメリカ合衆国海軍、TF61指揮官のフランク・ジャック・フレッチャー少将の元に、午前中の戦闘の報告がもたらされた。
「戦闘機の損害が激しすぎるな……」
フレッチャーはつぶやきながら、顔をしかめる。
昨日の戦闘と合わせて、24機のF4Fが失われていた。チハーキュのものであろうB-17類似の爆撃機の存在が搭乗員の錯誤を誘発し、ゼロに優位をとられたことが原因だ。
ワスプとレンジャーは、それぞれ28機のF4Fを搭載していた。つまり、この2日の戦闘で、半数近い戦闘機を喪ったことになる。
それに対して、戦闘機隊は2日間合計で大型爆撃機4機、一式陸攻14機、九九艦爆10機、零戦2機を撃墜したと主張していた。
だが実際には、被撃墜は一式陸攻2機と九九艦爆2機のみにとどまっていた。
Re4は米軍の迎撃そのものではついに1機も落ちず、1機が降着装置が展開できずラバウルの海岸に不時着し大破喪失となった他、4機が今日の出撃までに修理が間に合わなかった。
また、前日には航続距離の足りない九九艦爆の収容のためにホワイトアローがショートランド南方沖まで向かい、九九艦爆7機が着艦。そのうち損傷の酷かった2機を修理不可能として海上で投棄した。
「…………哨戒機が受信した890Mc/s付近の電波の正体は解ったのか?」
「正確な報告はまだですが、おそらくレーダー波で間違いないかと」
早朝、哨戒の為に飛行していた、オーストラリア空軍の双発哨戒機、ロッキード『ハドソン』の1機が、正体不明の電波を受信していた。
それは860~890Mc/sの間の複数の周波数で確認された。音声信号にある電波の短時間の強弱や周波数の遷移が見られず、ただ無変調の電波が断続的に送出されていたため、当初よりレーダー波であることが疑われていた。
なお、旧単位であるc/sと後世使用されるHzは同値と考えて差し支えない。
「電波の方角は哨戒機から北東方面…………」
フレッチャーは、海図を見ながら、呟くように言う。
海図の上には、哨戒機が電波を受信した位置にピンが立てられていた。
想定される電波源の範囲内に、日本軍が泊地化しているショートランド諸島が含まれていた。
「この範囲からレーダー波と疑われる電波の送出があったということは、味方ではない艦がこちらへ向かっている可能性がある、ということか……」
「日本軍はレーダーの使用に積極的ではありませんが、チハーキュ軍はレーダーを使用している可能性が高いとされています」
フレッチャーの言葉に、彼の参謀は賛同の意味でそう言った。
ミッドウェイでは、現在判明しているチハーキュ艦への誤認攻撃の30分ほど前から、ミッドウェイの通信所がやはり、300Mc/s付近の正体不明の電波を受信していて、ハワイへの有線電話で報告されていた。
海戦に敗退し、ミッドウェイが日本軍に占領されたため、詳細な資料を得ることはできなかったが、ハワイに設置されている、太平洋方面の通信監視部隊・HYPOは、この報告を無視するべきではないとしていた。今回同様、断続的な無変調波と報告されていて、レーダー波であることが疑われていた。
「この探知範囲内に、チハーキュ艦を伴う日本艦隊が存在する可能性が高いが……」
フレッチャーは言いながら、参謀の顔をちらりと見る。
参謀は、それに気づくと、こくりと頷いた。
「我々が空母を伴う部隊であることは理解しているはずです」
「だとすれば、その艦隊が空母を伴わない水上艦だけの部隊である可能性は低い」
チハーキュが派遣した4隻の空母は、中部太平洋方面にいることが解っている。
日本の空母は、ミッドウェイ戦後の再編のために日本に寄港しているとされたが、そのすべての所在が把握できているわけではなかった。
「もしそうだとすると、我々は今、非常に危険な位置にいる」
フレッチャーが、極めて険しい表情でそう言った。
「今の我々の位置は、ミッドウェイでのナグモ艦隊と同じになっている。敵空母の存在が明らかだが、まだ発見はできていない」
電波源は常に追えているわけではない。30Mc/s以上の超短波は直進性が高いが、地球は丸いため、然程高くない高さのアンテナから送信された超短波は、そのまま直進していって宇宙まで飛び出してしまい、水上・陸上から検知できる範囲は半径100kmに満たない。
哨戒機は高い位置にいるため、より遠くからこの電波を受信する事ができる。だが、現状では航空優勢が充分ではなく、ソロモン諸島より西方に向かって哨戒機を電波監視のためだけに飛ばしておくことは現実的ではなかった。
他方、第61任務部隊は、戦闘機は陸上支援にとられ、艦隊の防空は薄くなっている。これはナグモ艦隊、つまりミッドウェイでの日本機動部隊の状況に近かった。
日本機動部隊が被害を受けなかったのは、VB-6がチハーキュ艦隊を誤認して攻撃した、という、日本艦隊にとっての幸運があったために過ぎない。
「────────そしてそんな幸運を期待して戦うことはナンセンスだ」
フレッチャーは言う。
「我々は海兵隊とTF62の支援を一時中断し、日本空母部隊の捜索を実施する。発見できない場合は、安全な海域まで離脱する」
フレッチャーは、そう命令を出した。
「宜しいのですか?」
参謀は、戸惑いつつも然程慌ててはおらず、険しい表情で、手振りを加えながら聞き返した。
「現段階で、これ以上空母を喪うわけにはいかない」
ワスプとレンジャーを大西洋から引き抜いたことで、アフリカ方面の連合軍の反攻スケジュールは大幅な見直しを余儀なくされていた。
それは米海軍の危機感に基づいたものだが、それを作戦を無理強いして喪ったのでは元も子もなくなる。
「ターナー(TF62指揮官、リッチモンド・ケリー・ターナー少将)とヴァンデグリフト(第1海兵師団指揮官、アレクサンダー・アーチャー・ヴァンデグリフト海兵隊少将)にはそのまま伝えておけ。『我々の援護がない状況での上陸作戦継続が困難であれば撤退しろ』と付け加えてな。ああ、それと────」
フレッチャーはそこまで言って、忌々しげに表情を歪ませた。
「──ついでに、マッカーサーのやつにもな」
「あれから敵には接触されずにここまでこれたが……」
『鳥海』戦闘艦橋。
「これは僥倖かね? それともなにか理由があるか、神君はどう思う?」
三川は、自身の参謀長である神重徳に問いかけた。
14時頃、チョイスル島・サンタイザベル島と、ニュージョージア島・ガダルカナル島を結ぶ線との間、連合軍側が“ザ・スロット”と呼んでいる海域を、“殴り込み艦隊”はガダルカナル島へ向けて南東方向に進んでいた。
「はっきりしたことは言えません。ただ、敵は空母の手が足りていないのかもしれません」
神はそう答える。
「空母が足りないと?」
「はい。アメリカが現在作戦投入できる大型空母は、最大限見積もっても3隻。ハワイ方面をがら空きにできないでしょうから、少なくとも1隻はそっちに行っているとして、2隻。そこへ持ってきて、昨日、今日と我が軍、それにチハーキュ軍の重爆の攻撃を受けていますから……」
「上陸部隊の上空援護だけで手一杯、というわけか」
「ええ」
三川達は、フレッチャーが作戦を離れて単独行動をしていることを知らない。
もっとも神の言う通りだとして、陸上の哨戒機もやって来ないことを、三川は若干怪訝に思っていたが、それ以上の追求はしなかった。
ラピス・デル・プエルトが撃墜したハドソン機は、攻撃に移る直前に「大型巡洋艦2隻、中型巡洋艦3隻、駆逐艦3隻ないし4隻、水雷艇4隻」の艦隊がいると報告していた。これは、鳥海やキャルヴェロンでも傍受していた。
ところが、この報告を受信したニューギニア島・フォールリバーの連合国通信基地は、この報告を上級司令部に伝達することを後回しにしていて、この時点では、連合軍の指揮官達には知らされていなかった。
「司令! 二五航戦からの報告が入っています」
通信士がそう告げる。
「我が戦隊と902航空団の攻撃により、巡洋艦1隻、駆逐艦1隻撃沈、輸送船少なくとも10隻を撃沈破。なお敵空母の所在不明」
大爆発したバックレイを巡洋艦と誤認していたが、この他に駆逐艦『ジャーヴィス』(USS, DD-393)も轟沈し、輸送船に与えた損害も含めて、それほど大きく逸脱しない内容が伝えられていた。
「突入を決行する!」
自信を深めた三川は、そう決断し、麾下の艦に訓示を行う。
『帝国海軍ノ伝統タル夜戦ニオイテ必勝ヲ期シ突入セントス。各員冷静沈着ヨク其ノ全力ヲツクスベシ』
ラピス・デル・プエルトとヴェンタ・トレドールが増速し、日本第六戦隊と鳥海を追い抜き、先頭に立つ。
出撃前の軍議で、突入直前に序列を交代し、ラピス・デル・プエルト級2隻が先行することになっていた。議論は色々あったが、最終的に大型で防御力もあり、火力に優れる2隻を先頭とし、日本艦隊、キャルヴェロン以下のチハーキュ本隊の順で突入する。集団機動に不安があるため、この3隊は1つの縦隊に再集結せず、そのまま、ガダルカナル島とその北端の対岸に位置するサボ島の間を突っ切る。
──ついに夜戦ができるぞ……夢にまで見た夜戦が!!
隣を追い抜いていくヴェンタ・トレドールを横目に見ながら、鳥海艦長・早川幹夫大佐が、興奮を抑えられないと言った様子で、握った拳をぶるぶると震わせていた。
ダダダッ
両翼の機銃から、曳光弾を伴う20mm機銃弾が、照準器内のF4Fに向かって迸る。
数発の機銃弾が着弾し、F4Fは黒い煙を吹き出しながら、分解しながら海面へ向かって落下していった。
その時、すでに3機の零戦は一度、巴戦と呼ばれる格闘戦の範囲内から一度離脱していた。
──2人共、ちゃんと着いてきているか。
坂井三郎一等飛行兵曹は、自身の小隊の柿本円次と羽藤一志の機体の存在を確認する。
前日、坂井の小隊3機は戦闘中にはぐれていた。坂井の主観では、2機はF4F、3機に追われていたため、坂井が乱戦に介入して数機のF4Fを撃墜した。特に1機は搭乗員の腕がかなりいいのか、坂井が巴戦を挑んでようやく落とした。
外部の評価と異なり、坂井は零戦を一撃離脱に適した高速機と捉え、その為に集団戦闘がより適しているとし、巴戦は最後の手段だと考えていた。小隊を任されるようになってからは、列機の搭乗員にもそう指導し、常に列機と共に行動し、不必要な単独戦をしないよう戒めていた。
だが、坂井の考え方を、ある事情が妨げていた。
零戦に搭載されている無線機である。
元々日本の電子部品の質が高くないこともあるが、何より、大日本帝国海軍の単座戦闘機用の無線機は、この頃の他の軍隊では当然に採用していた、送受信を同時に待機しているタイプではなかった。
通常、受信機のみ電源が入っていて、送信の為には無線機の再起動が必要だった。これは、無線機の消費電力を抑え、発電機とバッテリーを小容量で済ませ、軽量化につなげるための施策で、それは成功していたが、坂井のような搭乗員には弊害があまりにも大きく感じられた。
ちなみに、大日本帝国陸軍は、単座戦闘機の無線機も後世の人間にもおなじみのPTT方式であり、加藤建夫少佐を始めとして、戦闘中も多用するスタイルの指揮官もいる。
坂井は、戦場を一瞥するが、どうやら敵戦闘機はすべて排除したようだ。
──昨日だいぶやっつけたからな。
坂井の小隊は前日も出撃していた。同盟国軍の重爆が先陣を切って攻撃すると聞いて、緊張が強まったのを覚えている。
坂井は気付いていなかったが、この時、彼は、爆撃後の再合流に意識を取られて、付近を飛行していたダグラスSBD『ドーントレス』艦上爆撃機の小隊を見落としていた。
僅かに低い高度を、爆撃進入するRe4の姿が見えた。
水平爆撃を実施する爆撃機は爆撃進入~離脱コースをとっている時が、一定の高度で直進するしかないため、もっとも無防備になる。
零戦隊は引き続き周囲を警戒して、泊地上空を旋回する。
──あちらさんの無線機を買えないものだろうか。
緊張が緩んだ時、坂井はふと心中で呟いてしまっていた。
ラバウルにチハーキュ陸軍航空団が到着した際、El11の姿を見て、多くの海軍軍人は、
「空冷!? これが!?」
と、当然のようにこう反応した。多少ずんぐりむっくりであっても、まさかコクピットの後ろに空冷星型エンジンが収まっているとは、普通には考えられなかった。
その一方で、坂井は、El11の搭乗員との会話からの行きがかりで、機上無線機の整備を見学させてもらった。
その音質は素晴らしく、アメリカでもこれほどのものは持っていないのではないかとすら思えた。
周波数変調と呼ばれ、今日本軍が使用している無線電話や、ラジオ放送で使っているものとは根本的に違う、と教えられた。
これがあればだいぶできる事が増えると考えるのを止められなかった。
ただ、零戦用の中島『栄』発動機と、LV12やS5の単発単座機用では、外部電源用の発電機の容量に3倍近い差があって、無線機だけではなくエンジンにまで手をいれる必要があるが。
他方、El11の航続距離は1,200km。これはIe9も同じだった。戦闘行動半径は増槽装着時で600kmとされている。ラバウルからガダルカナルまでは1,000km以上離れており、Ie9やEl11はたどり着けない。攻撃隊の護衛は零戦にしかできなかった。
「くそっ! またパチモンB-17がきやがったぞ!」
「味方の戦闘機は何をしているんだ!」
27機のRe4が、連合軍の停泊地の上空に侵入してくる。
日本軍が体勢立て直しのため、飛行場西側のルンガ川から更に西のマタニカウ川西岸まで撤退したため、飛行場とその周辺の占領はすでに完了していたが、前日の爆撃により輸送船3隻と、駆逐艦『マグフォード』が沈没。その他、沈没は逃れたが大破し物資陸揚げを断念した輸送船は5隻になった。
護衛・上陸支援に当たる、TF62の駆逐艦が、重爆に向かって40mmボフォース対空機銃の射撃を浴びせようとするが、艦隊の隊列を組んでいるわけでもなく個艦で個別に撃ちあげても、機銃弾は爆撃機を逸れていく。それを嘲笑うかのように、地上からは悠々としているかの様子で、編隊を組んだ敵爆撃機は多数の爆弾を投下した。
重爆の水平爆撃の命中精度は高くはないが、一定の面積に輸送船が密集しているところへ、500lbと思しき爆弾だけで300発以上も投下されたのでは、それなりに当たる。
まず海岸寄り、その北東側、続けてその西南西側で、直撃を受けた輸送船から火柱が上がり、早くも半ばスクラップとなって燃え上がる。
「畜生!」
誰かが声を上げた。駆逐艦『バッグレイ』に立て続けに2発の爆弾が命中した。1発目は艦橋に直撃して粉砕し、次いで2発目を受けた時、大爆発が起こり、面影もないほどに破壊されたバッグレイはそのまま海中に引きずり込まれはじめた。
「なんでこんな大事な作戦の前に、パピー共まで怒らせた! バカが!!」
「電波警戒器に感。右舷側、1時半方向から接近。単機のようです」
「また来たわね……対空戦準備!」
『キャルヴェロン』戦闘艦橋。
電波警戒器のディスプレイと向かい合っているオペレーターの報告に、アリシアが右舷側の窓越しに空に忌々しげな視線を向けながら、下令する。
およそ50分前の8時20分、“殴り込み艦隊”のチハーキュ艦はDKR-203電波警戒器に単機飛行する航空機を捉えた。
戦艦『ユリン』にも搭載されているDKR-203は、メートル波の対空警戒用DKA-1に対して、対水上用を兼ねる35cm波電波警戒器である。
その情報を受けた三川の指示で、艦隊は北へ向かうようにしつつ、哨戒機の予想進路を回避。それは功を奏したのか、哨戒機は有視界内に入らずに逸れていった。
この機体はロッキード『ハドソン』のオーストラリア空軍機だが、そんな事は三川やアリシア達は知らない。
「各艦の判断で対空戦闘。日本機への誤射に気をつけて」
「了解」
進路上の哨戒のため、日本艦は水上偵察機を飛ばしていた。チハーキュ艦も対潜哨戒の為にセレスSe6水上機を飛ばしていたが、チハーキュ艦の乗組員は複葉単フロートのSe6を見慣れているため、双フロートの川西E7K 九四式水上偵察機、それに加えて単葉の愛知E13A 零式水上偵察機は、咄嗟に誤認する可能性が高い。
だが、
「接近中の機体視認しました!」
見張員の声が、受令電話器越しに響いてくる。
「双発の陸上機です! 高度下げた! ラピス・デル・フエルトに向かう!」
緊迫した声がキャルヴェロンの戦闘艦橋内に響く。
その一瞬前、ラピス・デル・プエルトの右舷側対空火器が射撃を始めた。
12.5cm両用砲、75mm対空砲の対空砲弾が炸裂し、青丸に白い星のマークを着けたロッキードPBO『ハドソン』哨戒機がそれをくぐり抜けてくる。
だが、機首で爆発があったかと思うと、そのまま姿勢を崩し、哨戒機自身から見て右側に大きく傾き、その右翼端が海面に接触し、分解して墜落した。
45mmリボルバーカノンの1発が、ほぼ真正面からハドソン哨戒機の機首に命中していた。
「拾い上げてあげたいけど、今はそれができないの。幸運を祈るわ」
右手に浮かぶハドソン哨戒機の残骸を見ながら、アリシアはそう言った。
「司令、航空隊の報告が入っています」
「うむ」
TF61、旗艦空母『ワスプ』(USS CV-7)、CIC。
アメリカ合衆国海軍、TF61指揮官のフランク・ジャック・フレッチャー少将の元に、午前中の戦闘の報告がもたらされた。
「戦闘機の損害が激しすぎるな……」
フレッチャーはつぶやきながら、顔をしかめる。
昨日の戦闘と合わせて、24機のF4Fが失われていた。チハーキュのものであろうB-17類似の爆撃機の存在が搭乗員の錯誤を誘発し、ゼロに優位をとられたことが原因だ。
ワスプとレンジャーは、それぞれ28機のF4Fを搭載していた。つまり、この2日の戦闘で、半数近い戦闘機を喪ったことになる。
それに対して、戦闘機隊は2日間合計で大型爆撃機4機、一式陸攻14機、九九艦爆10機、零戦2機を撃墜したと主張していた。
だが実際には、被撃墜は一式陸攻2機と九九艦爆2機のみにとどまっていた。
Re4は米軍の迎撃そのものではついに1機も落ちず、1機が降着装置が展開できずラバウルの海岸に不時着し大破喪失となった他、4機が今日の出撃までに修理が間に合わなかった。
また、前日には航続距離の足りない九九艦爆の収容のためにホワイトアローがショートランド南方沖まで向かい、九九艦爆7機が着艦。そのうち損傷の酷かった2機を修理不可能として海上で投棄した。
「…………哨戒機が受信した890Mc/s付近の電波の正体は解ったのか?」
「正確な報告はまだですが、おそらくレーダー波で間違いないかと」
早朝、哨戒の為に飛行していた、オーストラリア空軍の双発哨戒機、ロッキード『ハドソン』の1機が、正体不明の電波を受信していた。
それは860~890Mc/sの間の複数の周波数で確認された。音声信号にある電波の短時間の強弱や周波数の遷移が見られず、ただ無変調の電波が断続的に送出されていたため、当初よりレーダー波であることが疑われていた。
なお、旧単位であるc/sと後世使用されるHzは同値と考えて差し支えない。
「電波の方角は哨戒機から北東方面…………」
フレッチャーは、海図を見ながら、呟くように言う。
海図の上には、哨戒機が電波を受信した位置にピンが立てられていた。
想定される電波源の範囲内に、日本軍が泊地化しているショートランド諸島が含まれていた。
「この範囲からレーダー波と疑われる電波の送出があったということは、味方ではない艦がこちらへ向かっている可能性がある、ということか……」
「日本軍はレーダーの使用に積極的ではありませんが、チハーキュ軍はレーダーを使用している可能性が高いとされています」
フレッチャーの言葉に、彼の参謀は賛同の意味でそう言った。
ミッドウェイでは、現在判明しているチハーキュ艦への誤認攻撃の30分ほど前から、ミッドウェイの通信所がやはり、300Mc/s付近の正体不明の電波を受信していて、ハワイへの有線電話で報告されていた。
海戦に敗退し、ミッドウェイが日本軍に占領されたため、詳細な資料を得ることはできなかったが、ハワイに設置されている、太平洋方面の通信監視部隊・HYPOは、この報告を無視するべきではないとしていた。今回同様、断続的な無変調波と報告されていて、レーダー波であることが疑われていた。
「この探知範囲内に、チハーキュ艦を伴う日本艦隊が存在する可能性が高いが……」
フレッチャーは言いながら、参謀の顔をちらりと見る。
参謀は、それに気づくと、こくりと頷いた。
「我々が空母を伴う部隊であることは理解しているはずです」
「だとすれば、その艦隊が空母を伴わない水上艦だけの部隊である可能性は低い」
チハーキュが派遣した4隻の空母は、中部太平洋方面にいることが解っている。
日本の空母は、ミッドウェイ戦後の再編のために日本に寄港しているとされたが、そのすべての所在が把握できているわけではなかった。
「もしそうだとすると、我々は今、非常に危険な位置にいる」
フレッチャーが、極めて険しい表情でそう言った。
「今の我々の位置は、ミッドウェイでのナグモ艦隊と同じになっている。敵空母の存在が明らかだが、まだ発見はできていない」
電波源は常に追えているわけではない。30Mc/s以上の超短波は直進性が高いが、地球は丸いため、然程高くない高さのアンテナから送信された超短波は、そのまま直進していって宇宙まで飛び出してしまい、水上・陸上から検知できる範囲は半径100kmに満たない。
哨戒機は高い位置にいるため、より遠くからこの電波を受信する事ができる。だが、現状では航空優勢が充分ではなく、ソロモン諸島より西方に向かって哨戒機を電波監視のためだけに飛ばしておくことは現実的ではなかった。
他方、第61任務部隊は、戦闘機は陸上支援にとられ、艦隊の防空は薄くなっている。これはナグモ艦隊、つまりミッドウェイでの日本機動部隊の状況に近かった。
日本機動部隊が被害を受けなかったのは、VB-6がチハーキュ艦隊を誤認して攻撃した、という、日本艦隊にとっての幸運があったために過ぎない。
「────────そしてそんな幸運を期待して戦うことはナンセンスだ」
フレッチャーは言う。
「我々は海兵隊とTF62の支援を一時中断し、日本空母部隊の捜索を実施する。発見できない場合は、安全な海域まで離脱する」
フレッチャーは、そう命令を出した。
「宜しいのですか?」
参謀は、戸惑いつつも然程慌ててはおらず、険しい表情で、手振りを加えながら聞き返した。
「現段階で、これ以上空母を喪うわけにはいかない」
ワスプとレンジャーを大西洋から引き抜いたことで、アフリカ方面の連合軍の反攻スケジュールは大幅な見直しを余儀なくされていた。
それは米海軍の危機感に基づいたものだが、それを作戦を無理強いして喪ったのでは元も子もなくなる。
「ターナー(TF62指揮官、リッチモンド・ケリー・ターナー少将)とヴァンデグリフト(第1海兵師団指揮官、アレクサンダー・アーチャー・ヴァンデグリフト海兵隊少将)にはそのまま伝えておけ。『我々の援護がない状況での上陸作戦継続が困難であれば撤退しろ』と付け加えてな。ああ、それと────」
フレッチャーはそこまで言って、忌々しげに表情を歪ませた。
「──ついでに、マッカーサーのやつにもな」
「あれから敵には接触されずにここまでこれたが……」
『鳥海』戦闘艦橋。
「これは僥倖かね? それともなにか理由があるか、神君はどう思う?」
三川は、自身の参謀長である神重徳に問いかけた。
14時頃、チョイスル島・サンタイザベル島と、ニュージョージア島・ガダルカナル島を結ぶ線との間、連合軍側が“ザ・スロット”と呼んでいる海域を、“殴り込み艦隊”はガダルカナル島へ向けて南東方向に進んでいた。
「はっきりしたことは言えません。ただ、敵は空母の手が足りていないのかもしれません」
神はそう答える。
「空母が足りないと?」
「はい。アメリカが現在作戦投入できる大型空母は、最大限見積もっても3隻。ハワイ方面をがら空きにできないでしょうから、少なくとも1隻はそっちに行っているとして、2隻。そこへ持ってきて、昨日、今日と我が軍、それにチハーキュ軍の重爆の攻撃を受けていますから……」
「上陸部隊の上空援護だけで手一杯、というわけか」
「ええ」
三川達は、フレッチャーが作戦を離れて単独行動をしていることを知らない。
もっとも神の言う通りだとして、陸上の哨戒機もやって来ないことを、三川は若干怪訝に思っていたが、それ以上の追求はしなかった。
ラピス・デル・プエルトが撃墜したハドソン機は、攻撃に移る直前に「大型巡洋艦2隻、中型巡洋艦3隻、駆逐艦3隻ないし4隻、水雷艇4隻」の艦隊がいると報告していた。これは、鳥海やキャルヴェロンでも傍受していた。
ところが、この報告を受信したニューギニア島・フォールリバーの連合国通信基地は、この報告を上級司令部に伝達することを後回しにしていて、この時点では、連合軍の指揮官達には知らされていなかった。
「司令! 二五航戦からの報告が入っています」
通信士がそう告げる。
「我が戦隊と902航空団の攻撃により、巡洋艦1隻、駆逐艦1隻撃沈、輸送船少なくとも10隻を撃沈破。なお敵空母の所在不明」
大爆発したバックレイを巡洋艦と誤認していたが、この他に駆逐艦『ジャーヴィス』(USS, DD-393)も轟沈し、輸送船に与えた損害も含めて、それほど大きく逸脱しない内容が伝えられていた。
「突入を決行する!」
自信を深めた三川は、そう決断し、麾下の艦に訓示を行う。
『帝国海軍ノ伝統タル夜戦ニオイテ必勝ヲ期シ突入セントス。各員冷静沈着ヨク其ノ全力ヲツクスベシ』
ラピス・デル・プエルトとヴェンタ・トレドールが増速し、日本第六戦隊と鳥海を追い抜き、先頭に立つ。
出撃前の軍議で、突入直前に序列を交代し、ラピス・デル・プエルト級2隻が先行することになっていた。議論は色々あったが、最終的に大型で防御力もあり、火力に優れる2隻を先頭とし、日本艦隊、キャルヴェロン以下のチハーキュ本隊の順で突入する。集団機動に不安があるため、この3隊は1つの縦隊に再集結せず、そのまま、ガダルカナル島とその北端の対岸に位置するサボ島の間を突っ切る。
──ついに夜戦ができるぞ……夢にまで見た夜戦が!!
隣を追い抜いていくヴェンタ・トレドールを横目に見ながら、鳥海艦長・早川幹夫大佐が、興奮を抑えられないと言った様子で、握った拳をぶるぶると震わせていた。
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