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第3話 チハーキュへようこそ日本人さん
Chapter-29
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【訂正】
Chapter-22、25で「ユーエンビー古代語」を
「ユーネイヒ古代語」と誤記していました(旧設定) 。
修正済みです。
─※──※──※──※─
8月24日。
ヴォゥ、ヴォォォォォッ
まだ断続的に、雪が振り続ける中、アレクシオとアサギリの引率で、日本視察班はホテルのエントランスから外に出た。
ディーゼルエンジンの唸りを上げながら、後輪にタイヤチェーンを巻いた帝都工業機械製造製3.5トン級ホイールローダーが、路面の雪を掬いながら通過していく。
「機械力の導入が凄まじいな……」
丈乃が呟くように言った。
融雪水路への落とし口で、向きを変えて、バケットを上げて雪を捨てる。バケットの上下は地球の油圧アームとは異なる形式だった。
「ホイールローダーは10年……そうですね、12年程前に初めて開発されました。初期のものは機械式の作動系の信頼性が低かったのですが……」
アレクシオが説明する。彼の言う通り、チハーキュでは新学暦193年に開発された。開発元の帝都工業機械製造は、小さい会社ではないが、建機・重機の車両進出はその少し前だったため、エンジンの開発ノウハウがなく、レイアナーが担当した。
で、まぁ、黎明期の重量級機械にありがちな話で、最初はバケットの駆動をエンジンで直接行っていたが、クラッチで繋ぎ変える構造だったので、走行しながらのバケットの操作ができない上、チェーンやワイヤーが切れるわ、歯車はすぐ丸坊主になるわ、信頼性に難があった。
特にチェーンやワイヤーの切断は、機械が動作不可能になるだけではなく、作業者を負傷させる危険もあって、改善が急がれた。
結果として行き着いたのが電気モーターだった。エンジンの回転を一部失敬して発電機を回し、モーターでバケット位置や角度を変える。チェーンやワイヤーを廃することができる上、走行中でもバケット操作ができるようになった。
…………が、初期は電気モーターの容量の設定が不適切なこともあって、ちょっとした過負荷で電機子焼損が相次いだ。
そこでチハーキュではバケットアーム駆動のモーターと歯車の間に “油圧カップリング” を挿入して、過負荷時にモーターにかかる物理的衝撃を和らげた。地球でいうところの流体継手である。全体的な見直しもあって、実用性の向上に成功した。
ホイールローダーの当初の開発目的は、地球と同様に採石場や鉱山等で、パワーショベルのほどの前身掘削は必要ない反面、バラ荷物を効率的にダンプトラックや鉄道貨車に積載するためだったが、レングードが降雪地帯であるために、除雪に使いたいということで早期に改良が進んだ。その後、四輪駆動のモデルが出現し、現在に至る。
「工業生産品が日本に似ていると言うが、技術的にはやはり進んでいるんだな……」
ため息を吐くかのように、丈乃が言う。
「あら、そうかしら?」
珊瑚が、そう、疑問形の声を出した。
「日本工業新聞の方に神戸製鋼所が75トン電気ショベルの広告を出しているのを見たわ。日本にもこれぐらいは作れるんじゃないかしら?」
「作れるか否かで言えば、作れはするだろうな」
学が、まずは珊瑚の言葉を肯定するようにも言うものの、
「ただ、それを大量生産するとなると、…………昨日見た通りだ」
前日の午後、彼らは、チハーキュの乗用車最大手であるレンド自動車工業のレングード工場を見学させてもらっていた。
ベルトコンベアを使った流れ作業を採用した巨大な生産施設で、続々と車両が完成していっていた。
日本の自動車工場でも、すでに流れ作業は導入されている。だが、ここまで大規模なものはまだなかった。
しかもレンド自動車工業にとっては、レングードの工場はさほど大きな工場ではないと言うのだ。最大の生産工場は、スターリーにある。
生産を担当しているのも、レンド自動車工業にとっては、数の上での主力車種ではないと言う。
前面から見ると箱型のグリルに流線型のボンネットが乗っているようなデザインの小型乗用車だが、オープントップのスポーツモデルで、そのモデル名もSS。車体の基本設計は量販用乗用車と共用してはいるが、そちらほど大量に売れるものではない。
さらには、SSシリーズの上位車種としてSS-Cというモデルがあった。CはCompresseur、つまり過給器装備を意味する。エンジン本体はシリーズ共通の直列3気筒975cc・Fヘッド(吸排気弁の一方がOHV、一方がSVとなっている形式。チハーキュは吸気SV、排気OHVで、地球とは逆だったりする)だが、アクセルを踏み込んだ時の加速は2クラス上のエンジンを搭載しているかのようだと言う。
地球の1930年代、すでに過給器付自動車はアメリカやヨーロッパに出現していたが、日本にはまだない。自家用車の普及が、まだこのような車種が市場に受け入れられるほどの水準に達していなかった。
学達には判断できなかったが、アメリカより進んでいる部分もあった。SS-Cはフロントディスクブレーキをすでに採用していた。
「日本は東京の大通りでも未舗装の場所が多いですし、こんな自動車社会なんていつ来るんですかね……」
ため息を吐くような口調で、丈乃はそう言った。
レングード中央駅、ではなく、プリンセスホテルの近くの駅まで徒歩で向かう。
「すみません、雪の中歩かせてしまって」
「いえ、そこまで言ってもらうほどの距離ではありませんよ」
駅舎の入口で、傘をたたみながらアレクシオが言うと、学は他の班員を確認してから、自身も傘をたたみつつ、そう返した。
当然ながら、傘はチハーキュ政府が用意したものである。
「全行程、自動車にしても良かったのでは?」
「そうですね……雪で交通状況が悪化することを考えれば、鉄道の方が良いという判断だったのですが」
アイリがアレクシオに問いかけるように言うと、アレクシオも、苦笑しながら、失敗したな、という感じの言い訳じみた言葉を発した。
ホームに入ると、電車が入ってくる。ユージンが70系と呼んでいた、2枚窓のクハ76形を先頭にして入ってくる。もっともレングード・スターリー線のレングード都市圏電車と異なり、新型は先頭車だけで、中間車はモハ51形、モハ41形といった旧形式で構成された6両編成だった。
レングード都心部から南東方向に向かう路線を、電車で1時間ほど揺られる。都心部から離れた駅で電車を降りる。ビルが林立する都心部に比べると、いくらか長閑さのある地区だったが、トロリーバスに混じって道路を行き交う自動車はそれなりの数が見られ、その自動車の為に、やはりホイールローダーが道路の雪を除雪している。
「こちらの電車に乗り換えになります」
アレクシオが案内する。ホームを移動すると、2両編成の電車が停車している。オールロングシート3扉のモハ30形と、クロスシート2扉のモハ32形で、車体自体、主要路線を飛ばしている電車より長さが短かった。
塗装も、レングード都市圏電車の濃い青に窓周りの白ではなく、日本でもおなじみの茶色一色だった。
── 支線区の電車でも、貫通幌を装備しているのか……
2両の連結部に、幌付きの貫通路が整備されているのを見て、克三郎が心中で呟く。
この時期、日本の電車や気動車は、客車列車と異なり、車両間を自由に行き来できる通路がないことが普通だった。例外として、豪華さを誇る関西圏の私鉄と、それに対抗する関西省電だけが装備していた。
一方のチハーキュでは、電車や気動車も、基本的に例外なく編成が貫通していて、客車列車と同様に貫通路には幌が装備されていた。
クロスシート車に乗って出発する。モーターの唸る音がかなり大きく響く。勾配が連続している。それだけではなく、カーブもきつく、速度を出して飛ばしていた特急ラスティナや、乗り換えまでの電車に比べても、かなり揺れるように感じられた。路線も単線で、設備は貧弱のように見えた。
低速で勾配を登る電車に揺られること小一時間、到着するのは山間の町、コラベルン市 ──── “舟形遺跡” の存在する大空洞が存在する街だった。
駅で乗用車に乗り換え、大空洞への入口へと向かう。
「皆さん、足元に気をつけてください!」
大空洞の入口で、そこに入るための準備を整える。入口の周囲には作業小屋や、作業員が滞在する為の宿泊・居住施設があった。
そこへ入る全員が、ライト付きの安全ヘルメットを装着する。それに加えて、アレクシオと学が、大型の懐中電灯を手に持った。
内部は、この舟形遺跡が発見されてから造られた石造りの階段が、さらにコンクリートで補強されていて、手すりもついたしっかりとした通路になっている。だが、その階段の傾斜そのものはかなりきつい。
ライトを持たされたものの、通路には照明が取り付けられていて、薄暗くはあるものの、それだけでも視界は充分に確保できていた。
「磯原さん、大丈夫かい?」
「大丈夫よ、このぐらい」
気遣って振り返った克三郎に、珊瑚は笑い飛ばすような様子でそう言った。
「女だから心配しているの? サンミル中尉やウェブスター二飛曹だって女性でしょ」
珊瑚がそう言うと、殿を務めていたアサギリとアイリが、一瞬、目を円くする。
「2人は軍人じゃないか……」
「そうですよ、一般人の感覚で言われると……」
克三郎は軽く呆れたように言い、アサギリが、気まずそうに頬を掻きながら、それに言葉を続けた。
「そうね。でも、私も大丈夫よ。ありがとう」
そんな会話をしながら、大空洞の壁面に造られた階段を降りていく。
「今でもここには、技術的な情報を得る為に調査員が訪れることもあります」
アレクシオの解説を聞きつつ、大空洞の、最も開けた場所へと出る。そこには ──── ────
「こっ、これは!?」
日本人として、最初にそれを見る事になった学と丈乃は、それを目にして、愕然とし、立ち尽くしてしまった。
“舟形遺跡”、というからには、船のような形状をしているなにかである、という認識はあった。だが……────
「これは……完全に……船、そのものじゃないか……」
大空洞の壁は、まるで星空のようにところどころ発光している。その仄かな、と言うにはやや明るすぎる光に照らされたそのシルエットを見て、丈乃が唖然とした状態から声を漏らすように言う。
彼の言う通り、それはまさしく、台のような岩石の上に乗っている、船、そのもの、だった。
「ああ、それも……これは……」
学もまた、愕然とした様子のまま、そのシルエットの細部を確認して、呻くように声を出す。
「これは……軍艦だ……」
鋼鉄の船体には、確かに砲座がある。
機帆併用のマストがある辺りは、昭和の時代からはだいぶ旧いものだ。地球で言うなら、明治……日清、日露の戦役の頃の軍艦だろうか。
手に持っていたライトで、下方から甲板の高さのあたりを照らすようにしながら、学はそのディテールを観察していく。
「!」
そして、それを見つけてしまった。
「フェルディアさーん!!」
「!」
「!?」
学が張り上げた、切迫したような声に、アレクシオが驚いたようにその声の方を向く。アサギリとアイリの表情が緊張する。
「ど、どうしました?」
アレクシオはアサギリとともに学のところへ駆け寄ってきて、何事かと緊張しながら問いかける。
「ら、ランプを貸してくれ!」
「あ、は、はい!」
アレクシオは、学に言われるまま、手に持っていた大型懐中電灯を渡す。
学は、自身の持っていたそれと、2つで、どう見ても軍艦に見えるそれの、艦尾に当たる部分に光を当てた。
そこには3文字のひらがなが書かれていた。
「あ…………あ、あ、……そんな、そんな……そんなバカな……」
学は、腰を抜かしかけたかのようにガクガクとしながら、正常な言語野を失ってしまったかのように、うわ言のような声を出す。
「!」
その学の様子に、先にアサギリが気がついた。
「もしかして、この船を知っているんですか!?」
「まさか! この船が日本と関係のあるものだというのですか!?」
アレクシオも、驚愕する態度を隠せず、問いかける。
ガクガクとしたかのように、学が頷く。
「この船……『びねう』が日本と……」
アサギリが、その船を見上げて、やや険しい視線を向けながら、呟くような声を出す。
「ち、違う……」
「え?」
学の言葉に、アサギリとアレクシオが、学の顔に視線を戻した。
「右から左へ読むんだ! 『うねび』。防護巡洋艦『畝傍』だ!」
「ええっ!?」
「こ、これが、日本の巡洋艦だって言うんですか!?」
アサギリが驚愕の声を出し、アレクシオも驚愕のあまり目を開きすぎた状態で、問い質す。
「そうとも言えるし、そうではないとも言える」
「? ど、どう言うことですか?」
軽く横に首を振る学に、アレクシオがさらに踏み込んで問い質す。
「畝傍はフランスで建造されたが、回航中に行方不明になったんだ」
「えっ!?」
「明治19年、1886年10月にフランスのル・アーブル港を出港 ────」
アレクシオが反射的に聞き返すと、別の方向から説明する声が聞こえてきた。
アレクシオとアサギリがそちらを見ると、丈乃がアイリを伴って近くまで来ていた。
「── 地球を半周して、12月3日にシンガポールを出港。まもなく日本というところで、消息を絶ちました。推測される航路を我が国、それに外国船にも依頼して捜索しましたが、手がかりは一切なく、翌年、亡失とされました」
「…………」
丈乃の説明を聞いて、アサギリとアレクシオは、再度 “舟形遺跡” ──── 『畝傍』の艦尾を見上げる。
「当時は無線通信も未発達で、飛行機もなく、人知れず遭難する船というものがあった時代ではあります。ただ、それでも、一切の漂着物、漂流物もないというのは、当時にあっても不自然で、明治最大の謎のひとつとされています」
丈乃が説明すると、チハーキュの3人が、ゴクリ、と喉を鳴らした。
「でも、でもおかしいじゃないですか!」
アレクシオが、縋るような声を出す。
「今年、新学暦206年が西暦1942年なんですよね!? だとしたら、畝傍の行方不明は56年前 ──── 新学暦150年ということでしょう!?」
「そうですよ! 私達は2ヶ月以上地球にいました。時間の流れ方が違うということもないはずです!」
続いて、アサギリも焦った声を出す。
「それは解りません。ただ、畝傍は確かにここにある。そして、貴方がたチハーキュの住民は、遺跡としてこの畝傍を探索し、この世界で科学技術による産業革命を “再現” した。そしてその過程で、日本語もユーエンビー古代語として “復元” された」
丈乃は一見、平静に見えるが、よく見ると意識して感情の高揚と困惑を抑えているのが解る。
「確かに、それなら説明がつく……」
アレクシオは、畝傍の艦体を見上げて、呟くように言った。
「畝傍……ユーエンビー……訛った結果だとすれば、自然な範囲か……」
「じゃ、じゃあ、日本食の様式が、我が国に残っているのも!?」
アイリが、ハッと気がついたように声を上げる。
「ええ? でも、食事の様式全体は、別にここから復元されたものってわけじゃないはず……」
アサギリが、困惑した声を出した。
「…………」
丈乃は、腕を組んで少し考え込むようにした後、
「ここでの発掘作業で、この畝傍は、どれだけ古いものか、どれだけ年月を経たものか、解っていますか?」
と、訊ねた。
「……いえ、この大空洞が形成された地層自体は2000年前から3000年前程度のものですが、この船が同じくらい古いものなのかは、正確なところは解っていません」
アレクシオは、そこまで答えると、畝傍の艦体を見上げて、言葉を続ける。
「なにせ、発掘されてからの300年間、劣化がほとんどないのです。我々は、何らかの魔法的措置が施されているものとばかり思っていましたが……」
アレクシオが、やはり困惑と、なにかの事実に触り始めている興奮とがないまぜになった感情を顔に出しながら、そう言った。
「なるほど。それともうひとつ。この遺跡からは、人間の遺骨は発見されましたか?」
丈乃が、更に問いかける。
「はい。記録では、人間族のものと思しき遺骨が2人分……────」
「えっ!?」
アレクシオの説明の最中、声を上げたのはアサギリとアイリだった。
「そ、それはおかしいじゃないですか! もし、仮にですよ、航海中に地球から過去のエボールグに飛んできたんだとしたら、軍艦の乗組員はそんな数じゃないはずですよ!?」
「脱出したんでしょう。それで説明がつきます」
アイリの言葉に、丈乃がそう言った。
「時間と空間を跳躍した後にも、乗組員が生きていたのだとしたら、ここに留まってそのまま死を待つ意味がありません。そして、脱出したのだとすれば、地上では貴方がたが暮らしている」
「──── そうか、当時のチハーキュの住民の中に溶け込んでいったんだ……」
アサギリが呟くように言った。
「作家である自分の、空想を混じえた仮説に過ぎません。ですが、そうであれば、チハーキュに和食の様式が伝わっている説明になります」
丈乃は、そこまでは、口元に笑みを作ってそう言った。
「魔法技術文明のエボールグで突然変異的に出現した科学技術文明、どの言語にも関連性を見出せないユーエンビー古代語の存在……全てはここから始まった……」
アレクシオは呟くように言い、その艦体を再度、見上げた。
「ですが、それでもまだ説明がつかない事がある……なぜ、工業生産品がいちいち日本に似るのか…………特に鉄道車両は、偶然というレベルではない……」
丈乃はその疑問に、表情を顰め、自身の思考を声に出しながら逡巡する。
「その事ですが……もし、この巡洋艦『畝傍』が、時間軸をも飛び越えて地球からエボールグの過去に渡ってきたのだとしたら、 …………別の答えをもたらせてくれるかも知れない、それを今から、貴方がたに見てもらうことになっています」
アレクシオの言葉に、丈乃と学が、唖然としたような、驚いたような表情になる。
「こ、この畝傍 ──── “舟形遺跡” の他にも、そのようなものが存在するのですか!?」
「はい」
丈乃の問いかけに、アレクシオが真摯な表情で言う。
「“聖遺箱” です」
Chapter-22、25で「ユーエンビー古代語」を
「ユーネイヒ古代語」と誤記していました(旧設定) 。
修正済みです。
─※──※──※──※─
8月24日。
ヴォゥ、ヴォォォォォッ
まだ断続的に、雪が振り続ける中、アレクシオとアサギリの引率で、日本視察班はホテルのエントランスから外に出た。
ディーゼルエンジンの唸りを上げながら、後輪にタイヤチェーンを巻いた帝都工業機械製造製3.5トン級ホイールローダーが、路面の雪を掬いながら通過していく。
「機械力の導入が凄まじいな……」
丈乃が呟くように言った。
融雪水路への落とし口で、向きを変えて、バケットを上げて雪を捨てる。バケットの上下は地球の油圧アームとは異なる形式だった。
「ホイールローダーは10年……そうですね、12年程前に初めて開発されました。初期のものは機械式の作動系の信頼性が低かったのですが……」
アレクシオが説明する。彼の言う通り、チハーキュでは新学暦193年に開発された。開発元の帝都工業機械製造は、小さい会社ではないが、建機・重機の車両進出はその少し前だったため、エンジンの開発ノウハウがなく、レイアナーが担当した。
で、まぁ、黎明期の重量級機械にありがちな話で、最初はバケットの駆動をエンジンで直接行っていたが、クラッチで繋ぎ変える構造だったので、走行しながらのバケットの操作ができない上、チェーンやワイヤーが切れるわ、歯車はすぐ丸坊主になるわ、信頼性に難があった。
特にチェーンやワイヤーの切断は、機械が動作不可能になるだけではなく、作業者を負傷させる危険もあって、改善が急がれた。
結果として行き着いたのが電気モーターだった。エンジンの回転を一部失敬して発電機を回し、モーターでバケット位置や角度を変える。チェーンやワイヤーを廃することができる上、走行中でもバケット操作ができるようになった。
…………が、初期は電気モーターの容量の設定が不適切なこともあって、ちょっとした過負荷で電機子焼損が相次いだ。
そこでチハーキュではバケットアーム駆動のモーターと歯車の間に “油圧カップリング” を挿入して、過負荷時にモーターにかかる物理的衝撃を和らげた。地球でいうところの流体継手である。全体的な見直しもあって、実用性の向上に成功した。
ホイールローダーの当初の開発目的は、地球と同様に採石場や鉱山等で、パワーショベルのほどの前身掘削は必要ない反面、バラ荷物を効率的にダンプトラックや鉄道貨車に積載するためだったが、レングードが降雪地帯であるために、除雪に使いたいということで早期に改良が進んだ。その後、四輪駆動のモデルが出現し、現在に至る。
「工業生産品が日本に似ていると言うが、技術的にはやはり進んでいるんだな……」
ため息を吐くかのように、丈乃が言う。
「あら、そうかしら?」
珊瑚が、そう、疑問形の声を出した。
「日本工業新聞の方に神戸製鋼所が75トン電気ショベルの広告を出しているのを見たわ。日本にもこれぐらいは作れるんじゃないかしら?」
「作れるか否かで言えば、作れはするだろうな」
学が、まずは珊瑚の言葉を肯定するようにも言うものの、
「ただ、それを大量生産するとなると、…………昨日見た通りだ」
前日の午後、彼らは、チハーキュの乗用車最大手であるレンド自動車工業のレングード工場を見学させてもらっていた。
ベルトコンベアを使った流れ作業を採用した巨大な生産施設で、続々と車両が完成していっていた。
日本の自動車工場でも、すでに流れ作業は導入されている。だが、ここまで大規模なものはまだなかった。
しかもレンド自動車工業にとっては、レングードの工場はさほど大きな工場ではないと言うのだ。最大の生産工場は、スターリーにある。
生産を担当しているのも、レンド自動車工業にとっては、数の上での主力車種ではないと言う。
前面から見ると箱型のグリルに流線型のボンネットが乗っているようなデザインの小型乗用車だが、オープントップのスポーツモデルで、そのモデル名もSS。車体の基本設計は量販用乗用車と共用してはいるが、そちらほど大量に売れるものではない。
さらには、SSシリーズの上位車種としてSS-Cというモデルがあった。CはCompresseur、つまり過給器装備を意味する。エンジン本体はシリーズ共通の直列3気筒975cc・Fヘッド(吸排気弁の一方がOHV、一方がSVとなっている形式。チハーキュは吸気SV、排気OHVで、地球とは逆だったりする)だが、アクセルを踏み込んだ時の加速は2クラス上のエンジンを搭載しているかのようだと言う。
地球の1930年代、すでに過給器付自動車はアメリカやヨーロッパに出現していたが、日本にはまだない。自家用車の普及が、まだこのような車種が市場に受け入れられるほどの水準に達していなかった。
学達には判断できなかったが、アメリカより進んでいる部分もあった。SS-Cはフロントディスクブレーキをすでに採用していた。
「日本は東京の大通りでも未舗装の場所が多いですし、こんな自動車社会なんていつ来るんですかね……」
ため息を吐くような口調で、丈乃はそう言った。
レングード中央駅、ではなく、プリンセスホテルの近くの駅まで徒歩で向かう。
「すみません、雪の中歩かせてしまって」
「いえ、そこまで言ってもらうほどの距離ではありませんよ」
駅舎の入口で、傘をたたみながらアレクシオが言うと、学は他の班員を確認してから、自身も傘をたたみつつ、そう返した。
当然ながら、傘はチハーキュ政府が用意したものである。
「全行程、自動車にしても良かったのでは?」
「そうですね……雪で交通状況が悪化することを考えれば、鉄道の方が良いという判断だったのですが」
アイリがアレクシオに問いかけるように言うと、アレクシオも、苦笑しながら、失敗したな、という感じの言い訳じみた言葉を発した。
ホームに入ると、電車が入ってくる。ユージンが70系と呼んでいた、2枚窓のクハ76形を先頭にして入ってくる。もっともレングード・スターリー線のレングード都市圏電車と異なり、新型は先頭車だけで、中間車はモハ51形、モハ41形といった旧形式で構成された6両編成だった。
レングード都心部から南東方向に向かう路線を、電車で1時間ほど揺られる。都心部から離れた駅で電車を降りる。ビルが林立する都心部に比べると、いくらか長閑さのある地区だったが、トロリーバスに混じって道路を行き交う自動車はそれなりの数が見られ、その自動車の為に、やはりホイールローダーが道路の雪を除雪している。
「こちらの電車に乗り換えになります」
アレクシオが案内する。ホームを移動すると、2両編成の電車が停車している。オールロングシート3扉のモハ30形と、クロスシート2扉のモハ32形で、車体自体、主要路線を飛ばしている電車より長さが短かった。
塗装も、レングード都市圏電車の濃い青に窓周りの白ではなく、日本でもおなじみの茶色一色だった。
── 支線区の電車でも、貫通幌を装備しているのか……
2両の連結部に、幌付きの貫通路が整備されているのを見て、克三郎が心中で呟く。
この時期、日本の電車や気動車は、客車列車と異なり、車両間を自由に行き来できる通路がないことが普通だった。例外として、豪華さを誇る関西圏の私鉄と、それに対抗する関西省電だけが装備していた。
一方のチハーキュでは、電車や気動車も、基本的に例外なく編成が貫通していて、客車列車と同様に貫通路には幌が装備されていた。
クロスシート車に乗って出発する。モーターの唸る音がかなり大きく響く。勾配が連続している。それだけではなく、カーブもきつく、速度を出して飛ばしていた特急ラスティナや、乗り換えまでの電車に比べても、かなり揺れるように感じられた。路線も単線で、設備は貧弱のように見えた。
低速で勾配を登る電車に揺られること小一時間、到着するのは山間の町、コラベルン市 ──── “舟形遺跡” の存在する大空洞が存在する街だった。
駅で乗用車に乗り換え、大空洞への入口へと向かう。
「皆さん、足元に気をつけてください!」
大空洞の入口で、そこに入るための準備を整える。入口の周囲には作業小屋や、作業員が滞在する為の宿泊・居住施設があった。
そこへ入る全員が、ライト付きの安全ヘルメットを装着する。それに加えて、アレクシオと学が、大型の懐中電灯を手に持った。
内部は、この舟形遺跡が発見されてから造られた石造りの階段が、さらにコンクリートで補強されていて、手すりもついたしっかりとした通路になっている。だが、その階段の傾斜そのものはかなりきつい。
ライトを持たされたものの、通路には照明が取り付けられていて、薄暗くはあるものの、それだけでも視界は充分に確保できていた。
「磯原さん、大丈夫かい?」
「大丈夫よ、このぐらい」
気遣って振り返った克三郎に、珊瑚は笑い飛ばすような様子でそう言った。
「女だから心配しているの? サンミル中尉やウェブスター二飛曹だって女性でしょ」
珊瑚がそう言うと、殿を務めていたアサギリとアイリが、一瞬、目を円くする。
「2人は軍人じゃないか……」
「そうですよ、一般人の感覚で言われると……」
克三郎は軽く呆れたように言い、アサギリが、気まずそうに頬を掻きながら、それに言葉を続けた。
「そうね。でも、私も大丈夫よ。ありがとう」
そんな会話をしながら、大空洞の壁面に造られた階段を降りていく。
「今でもここには、技術的な情報を得る為に調査員が訪れることもあります」
アレクシオの解説を聞きつつ、大空洞の、最も開けた場所へと出る。そこには ──── ────
「こっ、これは!?」
日本人として、最初にそれを見る事になった学と丈乃は、それを目にして、愕然とし、立ち尽くしてしまった。
“舟形遺跡”、というからには、船のような形状をしているなにかである、という認識はあった。だが……────
「これは……完全に……船、そのものじゃないか……」
大空洞の壁は、まるで星空のようにところどころ発光している。その仄かな、と言うにはやや明るすぎる光に照らされたそのシルエットを見て、丈乃が唖然とした状態から声を漏らすように言う。
彼の言う通り、それはまさしく、台のような岩石の上に乗っている、船、そのもの、だった。
「ああ、それも……これは……」
学もまた、愕然とした様子のまま、そのシルエットの細部を確認して、呻くように声を出す。
「これは……軍艦だ……」
鋼鉄の船体には、確かに砲座がある。
機帆併用のマストがある辺りは、昭和の時代からはだいぶ旧いものだ。地球で言うなら、明治……日清、日露の戦役の頃の軍艦だろうか。
手に持っていたライトで、下方から甲板の高さのあたりを照らすようにしながら、学はそのディテールを観察していく。
「!」
そして、それを見つけてしまった。
「フェルディアさーん!!」
「!」
「!?」
学が張り上げた、切迫したような声に、アレクシオが驚いたようにその声の方を向く。アサギリとアイリの表情が緊張する。
「ど、どうしました?」
アレクシオはアサギリとともに学のところへ駆け寄ってきて、何事かと緊張しながら問いかける。
「ら、ランプを貸してくれ!」
「あ、は、はい!」
アレクシオは、学に言われるまま、手に持っていた大型懐中電灯を渡す。
学は、自身の持っていたそれと、2つで、どう見ても軍艦に見えるそれの、艦尾に当たる部分に光を当てた。
そこには3文字のひらがなが書かれていた。
「あ…………あ、あ、……そんな、そんな……そんなバカな……」
学は、腰を抜かしかけたかのようにガクガクとしながら、正常な言語野を失ってしまったかのように、うわ言のような声を出す。
「!」
その学の様子に、先にアサギリが気がついた。
「もしかして、この船を知っているんですか!?」
「まさか! この船が日本と関係のあるものだというのですか!?」
アレクシオも、驚愕する態度を隠せず、問いかける。
ガクガクとしたかのように、学が頷く。
「この船……『びねう』が日本と……」
アサギリが、その船を見上げて、やや険しい視線を向けながら、呟くような声を出す。
「ち、違う……」
「え?」
学の言葉に、アサギリとアレクシオが、学の顔に視線を戻した。
「右から左へ読むんだ! 『うねび』。防護巡洋艦『畝傍』だ!」
「ええっ!?」
「こ、これが、日本の巡洋艦だって言うんですか!?」
アサギリが驚愕の声を出し、アレクシオも驚愕のあまり目を開きすぎた状態で、問い質す。
「そうとも言えるし、そうではないとも言える」
「? ど、どう言うことですか?」
軽く横に首を振る学に、アレクシオがさらに踏み込んで問い質す。
「畝傍はフランスで建造されたが、回航中に行方不明になったんだ」
「えっ!?」
「明治19年、1886年10月にフランスのル・アーブル港を出港 ────」
アレクシオが反射的に聞き返すと、別の方向から説明する声が聞こえてきた。
アレクシオとアサギリがそちらを見ると、丈乃がアイリを伴って近くまで来ていた。
「── 地球を半周して、12月3日にシンガポールを出港。まもなく日本というところで、消息を絶ちました。推測される航路を我が国、それに外国船にも依頼して捜索しましたが、手がかりは一切なく、翌年、亡失とされました」
「…………」
丈乃の説明を聞いて、アサギリとアレクシオは、再度 “舟形遺跡” ──── 『畝傍』の艦尾を見上げる。
「当時は無線通信も未発達で、飛行機もなく、人知れず遭難する船というものがあった時代ではあります。ただ、それでも、一切の漂着物、漂流物もないというのは、当時にあっても不自然で、明治最大の謎のひとつとされています」
丈乃が説明すると、チハーキュの3人が、ゴクリ、と喉を鳴らした。
「でも、でもおかしいじゃないですか!」
アレクシオが、縋るような声を出す。
「今年、新学暦206年が西暦1942年なんですよね!? だとしたら、畝傍の行方不明は56年前 ──── 新学暦150年ということでしょう!?」
「そうですよ! 私達は2ヶ月以上地球にいました。時間の流れ方が違うということもないはずです!」
続いて、アサギリも焦った声を出す。
「それは解りません。ただ、畝傍は確かにここにある。そして、貴方がたチハーキュの住民は、遺跡としてこの畝傍を探索し、この世界で科学技術による産業革命を “再現” した。そしてその過程で、日本語もユーエンビー古代語として “復元” された」
丈乃は一見、平静に見えるが、よく見ると意識して感情の高揚と困惑を抑えているのが解る。
「確かに、それなら説明がつく……」
アレクシオは、畝傍の艦体を見上げて、呟くように言った。
「畝傍……ユーエンビー……訛った結果だとすれば、自然な範囲か……」
「じゃ、じゃあ、日本食の様式が、我が国に残っているのも!?」
アイリが、ハッと気がついたように声を上げる。
「ええ? でも、食事の様式全体は、別にここから復元されたものってわけじゃないはず……」
アサギリが、困惑した声を出した。
「…………」
丈乃は、腕を組んで少し考え込むようにした後、
「ここでの発掘作業で、この畝傍は、どれだけ古いものか、どれだけ年月を経たものか、解っていますか?」
と、訊ねた。
「……いえ、この大空洞が形成された地層自体は2000年前から3000年前程度のものですが、この船が同じくらい古いものなのかは、正確なところは解っていません」
アレクシオは、そこまで答えると、畝傍の艦体を見上げて、言葉を続ける。
「なにせ、発掘されてからの300年間、劣化がほとんどないのです。我々は、何らかの魔法的措置が施されているものとばかり思っていましたが……」
アレクシオが、やはり困惑と、なにかの事実に触り始めている興奮とがないまぜになった感情を顔に出しながら、そう言った。
「なるほど。それともうひとつ。この遺跡からは、人間の遺骨は発見されましたか?」
丈乃が、更に問いかける。
「はい。記録では、人間族のものと思しき遺骨が2人分……────」
「えっ!?」
アレクシオの説明の最中、声を上げたのはアサギリとアイリだった。
「そ、それはおかしいじゃないですか! もし、仮にですよ、航海中に地球から過去のエボールグに飛んできたんだとしたら、軍艦の乗組員はそんな数じゃないはずですよ!?」
「脱出したんでしょう。それで説明がつきます」
アイリの言葉に、丈乃がそう言った。
「時間と空間を跳躍した後にも、乗組員が生きていたのだとしたら、ここに留まってそのまま死を待つ意味がありません。そして、脱出したのだとすれば、地上では貴方がたが暮らしている」
「──── そうか、当時のチハーキュの住民の中に溶け込んでいったんだ……」
アサギリが呟くように言った。
「作家である自分の、空想を混じえた仮説に過ぎません。ですが、そうであれば、チハーキュに和食の様式が伝わっている説明になります」
丈乃は、そこまでは、口元に笑みを作ってそう言った。
「魔法技術文明のエボールグで突然変異的に出現した科学技術文明、どの言語にも関連性を見出せないユーエンビー古代語の存在……全てはここから始まった……」
アレクシオは呟くように言い、その艦体を再度、見上げた。
「ですが、それでもまだ説明がつかない事がある……なぜ、工業生産品がいちいち日本に似るのか…………特に鉄道車両は、偶然というレベルではない……」
丈乃はその疑問に、表情を顰め、自身の思考を声に出しながら逡巡する。
「その事ですが……もし、この巡洋艦『畝傍』が、時間軸をも飛び越えて地球からエボールグの過去に渡ってきたのだとしたら、 …………別の答えをもたらせてくれるかも知れない、それを今から、貴方がたに見てもらうことになっています」
アレクシオの言葉に、丈乃と学が、唖然としたような、驚いたような表情になる。
「こ、この畝傍 ──── “舟形遺跡” の他にも、そのようなものが存在するのですか!?」
「はい」
丈乃の問いかけに、アレクシオが真摯な表情で言う。
「“聖遺箱” です」
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