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第4話 第二次珊瑚海海戦
Chapter-33
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「ヘイ、ジャップ! そんなオンボロなんか使うぐらいなら戦争やめちまいな!」
「かかったなアホが!!」
南シナ海。
「タービン起動! 面舵いっぱい! 転舵後に機関全速!」
「了解!」
一見、古典的に見えるチハーキュ帝国海軍ロザリナ級フリゲート『アルベリス』は、速度を上げながら急旋回する。
「気泡発見! 右舷側、45°! 距離800!!」
「爆雷砲用意!」
大型艦が高速時はレシプロ発電ユニットでの電気モーター駆動とタービン軸とを合流させているのに対し、駆逐艦以外の小型艦艇は搭載機器類の容積を減らすため、タービンもレシプロも共に発電して、推理力は全て電気モーターが発生させる形式になっている。
変針を終えたアルベリスが、27ノットの最大速度目指して加速し始める。
「雷跡発見! もう明後日の方向に行きます!」
「想定位置、爆雷砲の散布内に入ります!」
「爆雷砲、2番4番発射!!」
左右合計6基搭載されている、SBRC-195 4連装365mm対戦爆雷砲のうち、右舷側の2基から、親子式の365mm対潜爆雷弾205年型が8発発射される。1発の爆雷弾は時限信管で60kg小型爆雷4発に分かれ、着水した。
「タービン停止、速度原速(12ノット)、仕留め損なった時に備えておけよ!」
減速したアルベリスは、爆雷砲投射位置をほぼ中心にして緩く旋回する。2隻の僚艦が近づいてきていた。
ゴボ……ゴボ……
気泡とともに、油と、金属の破片が浮き上がってきた。
「…………」
アルベリスの艦長は、それを自ら視認した後、艦橋の受令電話器の受話器を取り上げる。ヴォルクスに合わせて、スピーカー側がひょこっと長くなっている。
「聴音どうだ?」
『反応ありません』
返答を聞いて、艦長は受話器を戻すと、身体を起こし、にっと笑った。
サーモン級潜水艦『シール』(USS SS-183)は南シナ海の波間に消えた。
枢軸軍呼称『ソロモン海戦』の際、味方制空権下で2度も敵潜水艦に接触され、2度目は雷撃され超大型巡洋艦『ヴェンタ・トレドール』が被雷する事になった事から、チハーキュ帝国陸海軍は、日本軍勢力圏内における潜水艦の出没状況の資料を、大日本帝国陸海軍に求めた。
そして、唖然とした。日本の目と鼻の先の東シナ海から、インドシナ、フィリピン、ニューギニアに至る海域で、何度も敵潜水艦が確認されているというのだ。
そしてそれ以上に驚いたのが、日本側がこの事実を軽視している事だった。
理由は、アメリカの潜水艦用魚雷の質が悪いこと。
不発率が高く、時には数十本受けた民間船が、平然と寄港してきた、と言う。
「だからって放置はムチャクチャな、いつ魚雷が改善されるかわからないし、たとえ直接損害が出なくても、戦略情報を収集されるおそれが高いんですよ!?」
そう言っても日本側の反応は鈍かった。
どうやら意識の差は国情の差もあるらしい。チハーキュで魚雷の不発が相次いだら原因究明は優先事項になる。そして改良されたら直ちに部隊配備する。──── が、どうも日本側は自国の生産力が低いが故に、高価な魚雷の配備変更は早々には進まない、と思い込んでいるようなのだ。
チハーキュなら半年もあれば既存魚雷の少なくとも半分は回収して入れ替える。そして、アメリカはチハーキュ以上の生産力を持っている。──── と、ここまで説明して、ようやく事の重大さが、数人には理解できたらしい。できたらしいが、主に日本陸軍の方が海軍より反応が強かったことで、更に頭を抱えることになった。
放っておくわけにも行かないということで、チハーキュ帝国陸軍航空隊から対潜哨戒部隊、沿岸哨戒部隊を捻出して ──── チハーキュでは、陸上配備の航空隊は、基本的に陸軍の所属である ──── この海域の潜水艦狩りを本格的に開始した。
さらに、それだけでは足りないと、警護総艦隊から3個警護隊と水上機母艦2隻が追加派遣され、南シナ海とその接続する海域で潜水艦狩りを実施した。
警護総艦隊で運用する艦は、機帆併用がその殆どを占める。何度目かになるが、エボールグでは、科学技術と魔学技術という2種類の技術形態が存在して世界を二分しているために、船舶への補給インフラが統一されていないため、燃料欠乏の事態でも航走手段の完全喪失を避けるため、民間でも機帆併用船が依然として多用されている。
これに侮りが出るのか、風がいいので帆走していたら「飛んで火に入る夏の虫」してきた米潜水艦もいた。帆走中は当然、サービス電源用の発電用タービン以外の動力は切っているので、自艦のノイズが少ないから水中聴音能力が上がっている。直ちに機走に切り替えて魚雷の射線を回避、爆雷砲をお見舞いして差し上げた。
そのようなエピソードを挟みつつ、1ヶ月弱で14隻の米軍潜水艦を撃沈した。その結果 ────
『東南アジア・オーストラリア方面での潜水艦による輸送船攻撃を一時的に禁止する』
ハワイ、アメリカ合衆国海軍太平洋艦隊司令部。
海軍作戦部長兼合衆国艦隊司令長官、アーネスト・ジョゼフ・キング大将から、太平洋艦隊司令長官、ウィリアム・チェスター・ニミッツ大将の下に、その命令が届けられた。
「これは……仕方がないな……」
ニミッツは苦い顔をしたが、それを受け入れざるを得なかった。
東シナ海、南シナ海からソロモンに至る範囲で展開している潜水艦の、実に2/3を喪失していた。
キングは、無制限潜水艦作戦より日本艦攻撃に潜水艦を使いたがっているフシもあったが、ニミッツの作戦に強く反対していたわけではない。
しかし、短期間で損害が出すぎた。チハーキュ軍が航空機による重点的な潜水艦狩りを実施している情報は、ニミッツにももたらされていた。制海権・制空権のない領域で潜水艦を積極的な作戦を就けることはリスクが大きくなっていた。
ただ喪失のリスクが有るだけなら、甘受しなければならない場合もある。だが、肝心のリターンが小さすぎた。潜水艦用のMk.14魚雷は、複数の重大な問題を抱えており、マトモに命中して炸裂し、標的にダメージを与えることが稀になっていた。
これら諸問題に対して、ニューポートの海軍魚雷ステーションは魚雷に欠陥があることを認めず、そのための試験を行うことに抵抗すらしていた。
古い潜水艦で使用しているMk.10魚雷は、致命的な構造上の欠陥は存在しないが、不発発生率はそれなりに高かった上、威力不足だった。
潜水艦乗りの中には、日本海軍の魚雷を羨むものさえいた。推進剤燃焼に高純度酸素を使用し、雷跡が目立たず、しかも自軍の魚雷の射程外から攻撃できる ──── その薄白い雷跡から青白い殺戮者と呼ばれている。
しかも、どうもチハーキュも酸素魚雷を使っているらしいぞ、となって、ちょっとした騒ぎになっている。
連合軍呼称『Battle of Savo Island』で大破着底させられた ──── 回収・修復不可能判定 ──── 武装輸送艦から不発の魚雷1本が回収された。それが日本のものではないことはすぐに判明した。まず、口径が日本の24インチ、21インチと異なり、21・4/5インチだった。また、日本の魚雷はスラッシュプレートエンジンを使っているが、その魚雷は対向ピストンエンジンを使っていた。
その上で、何故か酸化剤タンクが大小2つあり、エンジン始動後に切り替える機構が取り付けられていた。
現在は解析中だが、何の目的でそうなっているかを考えた場合、日本魚雷と同じように、エンジン始動後に高純度酸素に切り替えている、という想定が最も妥当のように思われた。
──── ともかく、被る損害に対して戦果があまりに乏しいのでは、作戦を強行し続けるわけには行かなかった。
ワシントンD.C.では政治マターになり始めていた。キングはそれを嫌っており、現在のポストに就く際の条件として提示していたが、ウィリアム・フランク・ノックス海軍長官から、潜水艦の急激な消耗が続くと、ソロモン海戦の大損害と合わせて、政治家の介入を防ぎきれなくなる、と、キングとニミッツに警告していた。キングの私情はどうあれ、この局面で議員達が作戦に干渉する事態は避けなければならなかった。
「ハルゼーが……うまくやってくれればいいが」
「そうですね……」
ニミッツは呟いたつもりだったが、参謀が反応して声を出した。
空母『サラトガ』(USS CV-2)。
「イエロー・モンキー共に一杯食わせるはずが、パピー共にまで好き勝手を許すことになるとはな!」
ウィリアム・フレデリック・ハルゼーJr.少将は、ソロモン反攻作戦において敵前逃亡に近い作戦離脱を行い、結果ソロモン海戦の連合軍側大損害の遠因になったとして更迭された、フランク・ジャック・フレッチャーに代わり、アメリカのTF61の司令官に任じられた。
ハルゼーは米海軍の中でも航空作戦の指揮官の第一人者とも言える存在だった。元々は水雷屋であり、第一次世界大戦では水雷艇や駆逐艦の艦長として活躍したが、1934年に空母『サラトガ』の艦長を打診された際、わざわざ航空機操縦士の資格を取っている。この時ハルゼーは52歳。史上最年長の新人航空機搭乗員だった。妻はその事を知らされた時は呆れ返ったと言う。ちなみに、この時ハルゼーに打診した人物というのが、当時海軍航空局長だったキングである。
その一方で、対外的には、度々侮蔑用語混じりの過激な発言をする、非常に攻撃的な指揮官という評価もされていた。
開戦以来、対日戦の先頭に立って活動していたが、ミッドウェイ沖海戦の直前に持病の乾癬が悪化し、離脱を余儀なくされた。サンフランシスコの病院に移る前、ニミッツとの会談で、レイモンド・エイムズ・スプルーアンスを自身の代わりの指揮官に指名した。
乾癬はすぐに寛解したが、6週間の休養が命じられた。その休暇中の8月1日、アメリカ合衆国は “異世界国家” チハーキュ帝国から宣戦布告を受けた。
「スプルーアンスに任せたのは私の最大の失敗だった」
休養期間中、合衆国海軍兵学校での士官候補生達に向けた講演会でハルゼーはこう言っていた。最初、候補生たちや周囲の海軍高官は、それがチハーキュ艦への誤認攻撃の事だと思っていた。
実際、スプルーアンスも特にその点を問題視され、前線から離されていた。
「違う、違う、そんな話じゃない」
その事を言われた時、ハルゼーは手を振りながら、半ば忌々しそうな、半ば呆れたような表情でそう言った。
「あんなところで犬人間どもが日の丸付けてウロウロしていたら、俺だって攻撃している。スプルーアンスの不味さは、単純に航空指揮の話だ。戦闘機隊と攻撃機隊を別々に送り出しても、攻撃機は戦闘機に食われてしまう。結果、積極的な反復攻撃が不可能になって、ジャップの空母を1隻沈めただけで終わってしまった」
どこか唖然としている士官候補生達に、ハルゼーはそう説明した。
──── そして、ハルゼーは戦場に戻ってきた。
「司令!」
ハルゼーのもとに、サラトガのスタッフが報告を上げてくる。
「レーダーが航空機と思しき不明の感があります。南側、本艦より220°の方向」
「反応は複数か?」
「いえ、単機と思われます」
自身の問い返しに対して、その答えを受けると、ハルゼーは即座に判断した。
「スクランブル機を向かわせろ」
「はっ、しかし、この反応はこちらには向かっておりません。東へ向かって飛行していますが……」
「だからこそ逃がすわけにはしておけないんだ」
ハルゼーは、荒い口調で言う。
「ラバウルのジャップの飛行場から活動している、パピーの対潜哨戒機だろう。この方面で活動している味方の潜水艦に多数の被害が出ている。看過するわけにはいかん」
「はっ、ただ、我々の場所が露呈することになりますが……」
「それは問題ない」
ハルゼーの代わりに、彼の参謀長であるマイルズ・ラザフォード・ブラウニング大佐が答えた。
「我々の最優先目標は日本、あるいは存在するのであればチハーキュの空母部隊になる」
「えっ?」
そのスタッフは、自分が受けていた当初の説明と異なる意見を受け、驚いた声を出した。
「作戦では……」
「作戦?」
ハルゼーが、不敵な笑みを浮かべる。
「我々の最優先目標は、敵の空母だ。これに勝る優先目標はない!」
ソロモン諸島、マニング海峡。
チョイスル島とサントイサベル島の間、太平洋とソロモン海をつなぐ海峡の北側を、チハーキュ軍・日本軍輸送船団の通過に合わせて、チハーキュ帝国陸軍第902航空団所属のレイアナーRe4 Mk.VSS対潜哨戒機の1機が、その北側で潜水艦の捜索を行っていた。
重爆撃機Re4の爆弾倉を前後方向に短縮して、航空機搭載型対水上用電波警戒器DKM-205とそのオペレーター席を搭載した機体だ。
ターボチャージャーは装備しているが、多少廉価なS5空冷星型9気筒エンジンを装備したMk.Vがベース機になっている。
「ん……」
機体後部側面のブリスター機銃座から、北側の空を見張っていた機銃手が、それを見つけた。
双眼鏡を持って目に当て、それを確認する。
「機長!」
双眼鏡で覗き込んだまま、機内受令電話器のヘッドセットマイクに呼びかける。
「左方向、小型機接近してきます」
「……味方の単発機がこんなところにいるはずは……」
機長は、わずかに逡巡してから、
「捜索一時中止。左旋回で向きを変える。機銃手は射撃位置について」
と、指示し、自ら握る操縦桿を操作する。
「青丸に白い星です! 敵です! アメリカ機です!!」
機銃手が怒鳴るように声を張り上げた。
「全速で逃げる! 接近してきたら撃っていいわよ!!」
機長はそう声を上げつつ、スロットルを全開にして増速した。
背部と尾部の20mm機銃動力銃塔が待ち構える。グリスウォルド研究所200年型APIブローバック20mm銃旋回型。このAPIブローバックというのは日本海軍の九九式二〇粍機銃、つまりスイスのエリコンFF20と同じ機構だ。ただ、銃身はかなり長い。
また、地球ではAPIブローバックは機関部にベルト給弾を行う余力が無いと思われていたが、200年型は端っからベルト給弾だった。
元々は動力旋回ではない銃座でも使いやすいよう、軽量化と小型化に重点をおいて設計された。当初は固定銃型も存在したが、固定搭載の場合はある程度の重量とサイズを許容できる為、動作安定性と射撃精度を追求して、グリスウォルド研究所201年型ショートリコイル20mm銃が開発され、こちらが普及型となっている。ただし、弾丸は共通の20×110mm・ストレートリムレス弾(実際には小さなボトルネックがある)仕様になっている。
敵の機影は4。Re4の上方を占めようと旋回しながら近づいてくる。グラマンF4F『ワイルドキャット』。特徴的なビヤ樽みたいなシルエットが、肉眼でも確認できる位置にまで迫ってきた。
「引き付けて……っ」
後部銃手は、2連装の機銃の照星を覗き込みながら、接近してくるF4Fに狙いをつけようとする。
電子制御の照準システムがなかったこの時代、爆撃機の旋回機銃など、狙って当たるものではなかった。弾幕を張って、近寄らせないようにするためのものである。ただ、だからといってあまり遠くから撃っても無駄玉をバラまくだけだ。
ダダダダ……
「えっ!?」
銃手は拍子抜けした声を出してしまった。撃ったのは彼女達の方ではない。F4Fの方が、充分に接近しないうちに、射撃をかけて、直上からロールを打って離脱していった。
原因は、簡単に言えばRe4が大きすぎたからだ。地球・太平洋戦線にRe4が出現して、まだ1ヶ月弱しか経っていない。日本軍は九七式・二式の大型飛行艇を除けば、双発機以下の機体ばかりだったし、ドイツやイタリアにも大した大型機はない。この為、4発大型爆撃機に対する迎撃の訓練が不充分だったのである。
「今度のは深く突っ込んでくる!」
最初の2機が一旦離脱した後、更に2機がRe4に迫ってきた。
── 今だ!
F4Fが充分に近付いてきたと判断した瞬間、トリガーを引き絞る。
ダダダダダダ……
20mm銃4門、それに操縦席構造物のうなじに当たる部分の開放式銃座から8mm機銃が火線を張る。
わずかに遅れて、F4Fも射撃する。
バチン、バチバチッ!
機体に嫌な衝撃音が響いた。F4Fの射撃が主翼に命中した。主翼内には燃料タンクが存在し、それが破られて、タンク内のガソリンが漏れ出す。
だが、それは僅かな間だけだった。チハーキュの軍用機は、合成繊維と合成樹脂を組み合わせた積層型防漏タンクを備えている。特にRe4は、敵迎撃機のある中を強襲攻撃することを前提に、高耐久性の物を搭載している。
一瞬だけ火の尾を引いた破孔もあったが、すぐに収まった。
再度、最初の2機が攻撃を仕掛けようとしてくる。
「落ちろ! 落ちろ! 落ちろ! このぉオォォォッ!!」
ダダダダダダダ…………ッ
ボッ!
「やった!」
2機、縦に連なって襲いかかってきたF4Fの後ろ側の1機が、翼の付け根で爆発を起こした。20mm機銃で片翼をもがれたF4Fは、グルグルとキリモミしながら、海面に叩きつけられた。
「このぉっ、このこのこのこのこの!!」
更に近付いてくる2機に、5丁の機銃が撃ちかける。
バチン!
もう1機、翼の端が弾け飛んだ。バランスを崩して横転しかける。体勢を立て直し、即座の墜落は免れたが、ふらついていて、戦闘機動には堪えない。
すると、Re4相手にF4F 4機では不足と見たのか、それとも弾切れか、残りの機体も翼を翻し、やはり北の方角へと離脱していった。
「へーん、Re4にはアンタ達の短小銃なんか聞かないよーんだ」
F4Fが去っていった方を見て、背面銃手が、からかうような手の仕種をしながら、舌を出しつつそう言った。……が ────
「そうでもない」
と、その下から声がかけられてきた。
「え!?」
「火が点かないのはいいけど、だいぶ漏れた。それに、全速飛行でだいぶ浪費したし、ラバウルまで持たないわ!」
「えーっ!?」
機長の言葉に、上から操縦席を覗き込んでいた背面機銃手が、驚いたような声を上げる。
F4F-4はAN/M2 .50機銃を6丁装備している。それで穴だらけにされたら、それだけでも漏れ出る燃料は結構な量になった。
「ショートランド泊地で不時着する! 総員、準備しておきなさい!」
──────── Re4 Mk.VSSは、その搭載する電波警戒器の形式号DKM-205で分かる通り、新学暦205年、つまり去年に生産が始まったばかりの “虎の子” だったが、早くも1機が不時着によって喪失となった。
最も、危険が予想される空域だったからRe4が割り当てられたのであって、防御性能がRe4よりはるかに落ちるRe2飛行艇や、単発戦闘機にはとてもじゃないが敵わないとされているEl9双発三座戦闘機では、搭乗員をショートランド泊地に辿り着かせることも不可能ではあっただろう。
「かかったなアホが!!」
南シナ海。
「タービン起動! 面舵いっぱい! 転舵後に機関全速!」
「了解!」
一見、古典的に見えるチハーキュ帝国海軍ロザリナ級フリゲート『アルベリス』は、速度を上げながら急旋回する。
「気泡発見! 右舷側、45°! 距離800!!」
「爆雷砲用意!」
大型艦が高速時はレシプロ発電ユニットでの電気モーター駆動とタービン軸とを合流させているのに対し、駆逐艦以外の小型艦艇は搭載機器類の容積を減らすため、タービンもレシプロも共に発電して、推理力は全て電気モーターが発生させる形式になっている。
変針を終えたアルベリスが、27ノットの最大速度目指して加速し始める。
「雷跡発見! もう明後日の方向に行きます!」
「想定位置、爆雷砲の散布内に入ります!」
「爆雷砲、2番4番発射!!」
左右合計6基搭載されている、SBRC-195 4連装365mm対戦爆雷砲のうち、右舷側の2基から、親子式の365mm対潜爆雷弾205年型が8発発射される。1発の爆雷弾は時限信管で60kg小型爆雷4発に分かれ、着水した。
「タービン停止、速度原速(12ノット)、仕留め損なった時に備えておけよ!」
減速したアルベリスは、爆雷砲投射位置をほぼ中心にして緩く旋回する。2隻の僚艦が近づいてきていた。
ゴボ……ゴボ……
気泡とともに、油と、金属の破片が浮き上がってきた。
「…………」
アルベリスの艦長は、それを自ら視認した後、艦橋の受令電話器の受話器を取り上げる。ヴォルクスに合わせて、スピーカー側がひょこっと長くなっている。
「聴音どうだ?」
『反応ありません』
返答を聞いて、艦長は受話器を戻すと、身体を起こし、にっと笑った。
サーモン級潜水艦『シール』(USS SS-183)は南シナ海の波間に消えた。
枢軸軍呼称『ソロモン海戦』の際、味方制空権下で2度も敵潜水艦に接触され、2度目は雷撃され超大型巡洋艦『ヴェンタ・トレドール』が被雷する事になった事から、チハーキュ帝国陸海軍は、日本軍勢力圏内における潜水艦の出没状況の資料を、大日本帝国陸海軍に求めた。
そして、唖然とした。日本の目と鼻の先の東シナ海から、インドシナ、フィリピン、ニューギニアに至る海域で、何度も敵潜水艦が確認されているというのだ。
そしてそれ以上に驚いたのが、日本側がこの事実を軽視している事だった。
理由は、アメリカの潜水艦用魚雷の質が悪いこと。
不発率が高く、時には数十本受けた民間船が、平然と寄港してきた、と言う。
「だからって放置はムチャクチャな、いつ魚雷が改善されるかわからないし、たとえ直接損害が出なくても、戦略情報を収集されるおそれが高いんですよ!?」
そう言っても日本側の反応は鈍かった。
どうやら意識の差は国情の差もあるらしい。チハーキュで魚雷の不発が相次いだら原因究明は優先事項になる。そして改良されたら直ちに部隊配備する。──── が、どうも日本側は自国の生産力が低いが故に、高価な魚雷の配備変更は早々には進まない、と思い込んでいるようなのだ。
チハーキュなら半年もあれば既存魚雷の少なくとも半分は回収して入れ替える。そして、アメリカはチハーキュ以上の生産力を持っている。──── と、ここまで説明して、ようやく事の重大さが、数人には理解できたらしい。できたらしいが、主に日本陸軍の方が海軍より反応が強かったことで、更に頭を抱えることになった。
放っておくわけにも行かないということで、チハーキュ帝国陸軍航空隊から対潜哨戒部隊、沿岸哨戒部隊を捻出して ──── チハーキュでは、陸上配備の航空隊は、基本的に陸軍の所属である ──── この海域の潜水艦狩りを本格的に開始した。
さらに、それだけでは足りないと、警護総艦隊から3個警護隊と水上機母艦2隻が追加派遣され、南シナ海とその接続する海域で潜水艦狩りを実施した。
警護総艦隊で運用する艦は、機帆併用がその殆どを占める。何度目かになるが、エボールグでは、科学技術と魔学技術という2種類の技術形態が存在して世界を二分しているために、船舶への補給インフラが統一されていないため、燃料欠乏の事態でも航走手段の完全喪失を避けるため、民間でも機帆併用船が依然として多用されている。
これに侮りが出るのか、風がいいので帆走していたら「飛んで火に入る夏の虫」してきた米潜水艦もいた。帆走中は当然、サービス電源用の発電用タービン以外の動力は切っているので、自艦のノイズが少ないから水中聴音能力が上がっている。直ちに機走に切り替えて魚雷の射線を回避、爆雷砲をお見舞いして差し上げた。
そのようなエピソードを挟みつつ、1ヶ月弱で14隻の米軍潜水艦を撃沈した。その結果 ────
『東南アジア・オーストラリア方面での潜水艦による輸送船攻撃を一時的に禁止する』
ハワイ、アメリカ合衆国海軍太平洋艦隊司令部。
海軍作戦部長兼合衆国艦隊司令長官、アーネスト・ジョゼフ・キング大将から、太平洋艦隊司令長官、ウィリアム・チェスター・ニミッツ大将の下に、その命令が届けられた。
「これは……仕方がないな……」
ニミッツは苦い顔をしたが、それを受け入れざるを得なかった。
東シナ海、南シナ海からソロモンに至る範囲で展開している潜水艦の、実に2/3を喪失していた。
キングは、無制限潜水艦作戦より日本艦攻撃に潜水艦を使いたがっているフシもあったが、ニミッツの作戦に強く反対していたわけではない。
しかし、短期間で損害が出すぎた。チハーキュ軍が航空機による重点的な潜水艦狩りを実施している情報は、ニミッツにももたらされていた。制海権・制空権のない領域で潜水艦を積極的な作戦を就けることはリスクが大きくなっていた。
ただ喪失のリスクが有るだけなら、甘受しなければならない場合もある。だが、肝心のリターンが小さすぎた。潜水艦用のMk.14魚雷は、複数の重大な問題を抱えており、マトモに命中して炸裂し、標的にダメージを与えることが稀になっていた。
これら諸問題に対して、ニューポートの海軍魚雷ステーションは魚雷に欠陥があることを認めず、そのための試験を行うことに抵抗すらしていた。
古い潜水艦で使用しているMk.10魚雷は、致命的な構造上の欠陥は存在しないが、不発発生率はそれなりに高かった上、威力不足だった。
潜水艦乗りの中には、日本海軍の魚雷を羨むものさえいた。推進剤燃焼に高純度酸素を使用し、雷跡が目立たず、しかも自軍の魚雷の射程外から攻撃できる ──── その薄白い雷跡から青白い殺戮者と呼ばれている。
しかも、どうもチハーキュも酸素魚雷を使っているらしいぞ、となって、ちょっとした騒ぎになっている。
連合軍呼称『Battle of Savo Island』で大破着底させられた ──── 回収・修復不可能判定 ──── 武装輸送艦から不発の魚雷1本が回収された。それが日本のものではないことはすぐに判明した。まず、口径が日本の24インチ、21インチと異なり、21・4/5インチだった。また、日本の魚雷はスラッシュプレートエンジンを使っているが、その魚雷は対向ピストンエンジンを使っていた。
その上で、何故か酸化剤タンクが大小2つあり、エンジン始動後に切り替える機構が取り付けられていた。
現在は解析中だが、何の目的でそうなっているかを考えた場合、日本魚雷と同じように、エンジン始動後に高純度酸素に切り替えている、という想定が最も妥当のように思われた。
──── ともかく、被る損害に対して戦果があまりに乏しいのでは、作戦を強行し続けるわけには行かなかった。
ワシントンD.C.では政治マターになり始めていた。キングはそれを嫌っており、現在のポストに就く際の条件として提示していたが、ウィリアム・フランク・ノックス海軍長官から、潜水艦の急激な消耗が続くと、ソロモン海戦の大損害と合わせて、政治家の介入を防ぎきれなくなる、と、キングとニミッツに警告していた。キングの私情はどうあれ、この局面で議員達が作戦に干渉する事態は避けなければならなかった。
「ハルゼーが……うまくやってくれればいいが」
「そうですね……」
ニミッツは呟いたつもりだったが、参謀が反応して声を出した。
空母『サラトガ』(USS CV-2)。
「イエロー・モンキー共に一杯食わせるはずが、パピー共にまで好き勝手を許すことになるとはな!」
ウィリアム・フレデリック・ハルゼーJr.少将は、ソロモン反攻作戦において敵前逃亡に近い作戦離脱を行い、結果ソロモン海戦の連合軍側大損害の遠因になったとして更迭された、フランク・ジャック・フレッチャーに代わり、アメリカのTF61の司令官に任じられた。
ハルゼーは米海軍の中でも航空作戦の指揮官の第一人者とも言える存在だった。元々は水雷屋であり、第一次世界大戦では水雷艇や駆逐艦の艦長として活躍したが、1934年に空母『サラトガ』の艦長を打診された際、わざわざ航空機操縦士の資格を取っている。この時ハルゼーは52歳。史上最年長の新人航空機搭乗員だった。妻はその事を知らされた時は呆れ返ったと言う。ちなみに、この時ハルゼーに打診した人物というのが、当時海軍航空局長だったキングである。
その一方で、対外的には、度々侮蔑用語混じりの過激な発言をする、非常に攻撃的な指揮官という評価もされていた。
開戦以来、対日戦の先頭に立って活動していたが、ミッドウェイ沖海戦の直前に持病の乾癬が悪化し、離脱を余儀なくされた。サンフランシスコの病院に移る前、ニミッツとの会談で、レイモンド・エイムズ・スプルーアンスを自身の代わりの指揮官に指名した。
乾癬はすぐに寛解したが、6週間の休養が命じられた。その休暇中の8月1日、アメリカ合衆国は “異世界国家” チハーキュ帝国から宣戦布告を受けた。
「スプルーアンスに任せたのは私の最大の失敗だった」
休養期間中、合衆国海軍兵学校での士官候補生達に向けた講演会でハルゼーはこう言っていた。最初、候補生たちや周囲の海軍高官は、それがチハーキュ艦への誤認攻撃の事だと思っていた。
実際、スプルーアンスも特にその点を問題視され、前線から離されていた。
「違う、違う、そんな話じゃない」
その事を言われた時、ハルゼーは手を振りながら、半ば忌々しそうな、半ば呆れたような表情でそう言った。
「あんなところで犬人間どもが日の丸付けてウロウロしていたら、俺だって攻撃している。スプルーアンスの不味さは、単純に航空指揮の話だ。戦闘機隊と攻撃機隊を別々に送り出しても、攻撃機は戦闘機に食われてしまう。結果、積極的な反復攻撃が不可能になって、ジャップの空母を1隻沈めただけで終わってしまった」
どこか唖然としている士官候補生達に、ハルゼーはそう説明した。
──── そして、ハルゼーは戦場に戻ってきた。
「司令!」
ハルゼーのもとに、サラトガのスタッフが報告を上げてくる。
「レーダーが航空機と思しき不明の感があります。南側、本艦より220°の方向」
「反応は複数か?」
「いえ、単機と思われます」
自身の問い返しに対して、その答えを受けると、ハルゼーは即座に判断した。
「スクランブル機を向かわせろ」
「はっ、しかし、この反応はこちらには向かっておりません。東へ向かって飛行していますが……」
「だからこそ逃がすわけにはしておけないんだ」
ハルゼーは、荒い口調で言う。
「ラバウルのジャップの飛行場から活動している、パピーの対潜哨戒機だろう。この方面で活動している味方の潜水艦に多数の被害が出ている。看過するわけにはいかん」
「はっ、ただ、我々の場所が露呈することになりますが……」
「それは問題ない」
ハルゼーの代わりに、彼の参謀長であるマイルズ・ラザフォード・ブラウニング大佐が答えた。
「我々の最優先目標は日本、あるいは存在するのであればチハーキュの空母部隊になる」
「えっ?」
そのスタッフは、自分が受けていた当初の説明と異なる意見を受け、驚いた声を出した。
「作戦では……」
「作戦?」
ハルゼーが、不敵な笑みを浮かべる。
「我々の最優先目標は、敵の空母だ。これに勝る優先目標はない!」
ソロモン諸島、マニング海峡。
チョイスル島とサントイサベル島の間、太平洋とソロモン海をつなぐ海峡の北側を、チハーキュ軍・日本軍輸送船団の通過に合わせて、チハーキュ帝国陸軍第902航空団所属のレイアナーRe4 Mk.VSS対潜哨戒機の1機が、その北側で潜水艦の捜索を行っていた。
重爆撃機Re4の爆弾倉を前後方向に短縮して、航空機搭載型対水上用電波警戒器DKM-205とそのオペレーター席を搭載した機体だ。
ターボチャージャーは装備しているが、多少廉価なS5空冷星型9気筒エンジンを装備したMk.Vがベース機になっている。
「ん……」
機体後部側面のブリスター機銃座から、北側の空を見張っていた機銃手が、それを見つけた。
双眼鏡を持って目に当て、それを確認する。
「機長!」
双眼鏡で覗き込んだまま、機内受令電話器のヘッドセットマイクに呼びかける。
「左方向、小型機接近してきます」
「……味方の単発機がこんなところにいるはずは……」
機長は、わずかに逡巡してから、
「捜索一時中止。左旋回で向きを変える。機銃手は射撃位置について」
と、指示し、自ら握る操縦桿を操作する。
「青丸に白い星です! 敵です! アメリカ機です!!」
機銃手が怒鳴るように声を張り上げた。
「全速で逃げる! 接近してきたら撃っていいわよ!!」
機長はそう声を上げつつ、スロットルを全開にして増速した。
背部と尾部の20mm機銃動力銃塔が待ち構える。グリスウォルド研究所200年型APIブローバック20mm銃旋回型。このAPIブローバックというのは日本海軍の九九式二〇粍機銃、つまりスイスのエリコンFF20と同じ機構だ。ただ、銃身はかなり長い。
また、地球ではAPIブローバックは機関部にベルト給弾を行う余力が無いと思われていたが、200年型は端っからベルト給弾だった。
元々は動力旋回ではない銃座でも使いやすいよう、軽量化と小型化に重点をおいて設計された。当初は固定銃型も存在したが、固定搭載の場合はある程度の重量とサイズを許容できる為、動作安定性と射撃精度を追求して、グリスウォルド研究所201年型ショートリコイル20mm銃が開発され、こちらが普及型となっている。ただし、弾丸は共通の20×110mm・ストレートリムレス弾(実際には小さなボトルネックがある)仕様になっている。
敵の機影は4。Re4の上方を占めようと旋回しながら近づいてくる。グラマンF4F『ワイルドキャット』。特徴的なビヤ樽みたいなシルエットが、肉眼でも確認できる位置にまで迫ってきた。
「引き付けて……っ」
後部銃手は、2連装の機銃の照星を覗き込みながら、接近してくるF4Fに狙いをつけようとする。
電子制御の照準システムがなかったこの時代、爆撃機の旋回機銃など、狙って当たるものではなかった。弾幕を張って、近寄らせないようにするためのものである。ただ、だからといってあまり遠くから撃っても無駄玉をバラまくだけだ。
ダダダダ……
「えっ!?」
銃手は拍子抜けした声を出してしまった。撃ったのは彼女達の方ではない。F4Fの方が、充分に接近しないうちに、射撃をかけて、直上からロールを打って離脱していった。
原因は、簡単に言えばRe4が大きすぎたからだ。地球・太平洋戦線にRe4が出現して、まだ1ヶ月弱しか経っていない。日本軍は九七式・二式の大型飛行艇を除けば、双発機以下の機体ばかりだったし、ドイツやイタリアにも大した大型機はない。この為、4発大型爆撃機に対する迎撃の訓練が不充分だったのである。
「今度のは深く突っ込んでくる!」
最初の2機が一旦離脱した後、更に2機がRe4に迫ってきた。
── 今だ!
F4Fが充分に近付いてきたと判断した瞬間、トリガーを引き絞る。
ダダダダダダ……
20mm銃4門、それに操縦席構造物のうなじに当たる部分の開放式銃座から8mm機銃が火線を張る。
わずかに遅れて、F4Fも射撃する。
バチン、バチバチッ!
機体に嫌な衝撃音が響いた。F4Fの射撃が主翼に命中した。主翼内には燃料タンクが存在し、それが破られて、タンク内のガソリンが漏れ出す。
だが、それは僅かな間だけだった。チハーキュの軍用機は、合成繊維と合成樹脂を組み合わせた積層型防漏タンクを備えている。特にRe4は、敵迎撃機のある中を強襲攻撃することを前提に、高耐久性の物を搭載している。
一瞬だけ火の尾を引いた破孔もあったが、すぐに収まった。
再度、最初の2機が攻撃を仕掛けようとしてくる。
「落ちろ! 落ちろ! 落ちろ! このぉオォォォッ!!」
ダダダダダダダ…………ッ
ボッ!
「やった!」
2機、縦に連なって襲いかかってきたF4Fの後ろ側の1機が、翼の付け根で爆発を起こした。20mm機銃で片翼をもがれたF4Fは、グルグルとキリモミしながら、海面に叩きつけられた。
「このぉっ、このこのこのこのこの!!」
更に近付いてくる2機に、5丁の機銃が撃ちかける。
バチン!
もう1機、翼の端が弾け飛んだ。バランスを崩して横転しかける。体勢を立て直し、即座の墜落は免れたが、ふらついていて、戦闘機動には堪えない。
すると、Re4相手にF4F 4機では不足と見たのか、それとも弾切れか、残りの機体も翼を翻し、やはり北の方角へと離脱していった。
「へーん、Re4にはアンタ達の短小銃なんか聞かないよーんだ」
F4Fが去っていった方を見て、背面銃手が、からかうような手の仕種をしながら、舌を出しつつそう言った。……が ────
「そうでもない」
と、その下から声がかけられてきた。
「え!?」
「火が点かないのはいいけど、だいぶ漏れた。それに、全速飛行でだいぶ浪費したし、ラバウルまで持たないわ!」
「えーっ!?」
機長の言葉に、上から操縦席を覗き込んでいた背面機銃手が、驚いたような声を上げる。
F4F-4はAN/M2 .50機銃を6丁装備している。それで穴だらけにされたら、それだけでも漏れ出る燃料は結構な量になった。
「ショートランド泊地で不時着する! 総員、準備しておきなさい!」
──────── Re4 Mk.VSSは、その搭載する電波警戒器の形式号DKM-205で分かる通り、新学暦205年、つまり去年に生産が始まったばかりの “虎の子” だったが、早くも1機が不時着によって喪失となった。
最も、危険が予想される空域だったからRe4が割り当てられたのであって、防御性能がRe4よりはるかに落ちるRe2飛行艇や、単発戦闘機にはとてもじゃないが敵わないとされているEl9双発三座戦闘機では、搭乗員をショートランド泊地に辿り着かせることも不可能ではあっただろう。
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