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第11話
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「き、きしゃま……にゃにを……!?」
倒れ込んだセドリックに、アリシアの声が降ってくる。
「麻痺毒の仕込まれた吹き矢です。この間どこぞの馬鹿王子と従者のカップルに犯罪予告をされて怖かったので、万が一に備えて持ち歩いていたのです」
「く、そ……ちかりゃ、はいりゃん……」
「致死性ではありませんが、行動の自由も奪い、大きな声も出せなくなる代物です。無味無臭で検知は難しく、後遺症も出ません……ちょっとしか」
「ッ!?」
「あ、大丈夫ですよ。後遺症と言っても人によっては体臭がキツくなる程度ですし、閣下はいまさらですよね」
「ッ!?!?」
「いや、でもセドリック閣下が部下を追い払ってくださって助かりました」
色々な意味で衝撃を受けているセドリックの眼前で、アリシアはスカートの下に手を入れた。そこから取り出されたのは人工的に削られた木材である。
「せっかく隠し持っていた武器も、組み立てる暇すらなかったので困っていたのです」
パズルのように組み立てて完成したのは小型のボウガンである。同じくスカートから矢筒を取り出してセットする。
「いやぁ、全部ゴードン殿下のお陰ですね! 素敵な教育方針に感謝しますわ」
「ぐぐぐっ……!」
「時に閣下。一応お伺いしますが、頭と胸、射抜かれるならどちらがお望みですか?」
「ぐぅっ!?」
「外には兵士が二人もおりますし、私一人じゃ倒せませんもの……かといって借りを作るのは嫌ですし」
小さく呟きながらボウガンをセドリックに向ける。
「ここで私が閣下を殺ったとします」
「!?」
「当然ながら、『どうしてここにアリシア・フローライトがいるのか』という話になりますよね?」
「…………」
「でも、言い訳を考えたり何かを捏造するべき閣下は死んでいますので、部下の皆さんは正直に喋ると思うんですよ」
アリシアが誘拐されたことが判れば、殺人は正当防衛と見なされるだろう。
「逆に、生きてると仕返しも怖いですし、可愛い妹の笑顔も守らねばなりませんからね」
「待て、まっふぇふえ……!」
「何言ってるか分かりませんので予想ですけど『喉、あっ胴も』ですかね」
どんな自殺志願者ならそんな提案をするというのか。アリシアがボウガンを構えたところで、ドン、と鈍い響きが館を揺らした。
「ああもう……借りは作りたくなかったのに」
衝撃は何度も続き、そして段々と大きくなっていく。
否、近づいてきているのだ。
「我が姫を拐かして無事に済むと思うなよ? 髪の毛一本でも傷つけていたら一人残らず八つ裂きにしてくれるからな!」
ドアの外がバタバタと騒がしくなった直後、ドアノブが鍵ごと引き裂かれた。そこから入ってきたのは血に染まったようにも、燃え盛っているようにも見える紅の巨狼。
アルフレッドだった。
「無事かっ、アリシ……ア…………? 何をしているんだ?」
「黒幕に毒を盛って、トドメをどうするか悩んでました」
「……俺は必要なかったようだな」
「いえいえ。嬉しかったですよ?」
アリシアがフォローに聞こえる返答をすれば、アルフレッドは人間の姿になる。
「あっ」
「どうした?」
「誘拐・監禁で溜まったストレスを癒したかったのですが」
アニマルテラピーである。
「……まぁ、これが最後になりそうだし構わんが」
アルフレッドは自嘲気味に笑い、巨狼となった。
倒れ込んだセドリックに、アリシアの声が降ってくる。
「麻痺毒の仕込まれた吹き矢です。この間どこぞの馬鹿王子と従者のカップルに犯罪予告をされて怖かったので、万が一に備えて持ち歩いていたのです」
「く、そ……ちかりゃ、はいりゃん……」
「致死性ではありませんが、行動の自由も奪い、大きな声も出せなくなる代物です。無味無臭で検知は難しく、後遺症も出ません……ちょっとしか」
「ッ!?」
「あ、大丈夫ですよ。後遺症と言っても人によっては体臭がキツくなる程度ですし、閣下はいまさらですよね」
「ッ!?!?」
「いや、でもセドリック閣下が部下を追い払ってくださって助かりました」
色々な意味で衝撃を受けているセドリックの眼前で、アリシアはスカートの下に手を入れた。そこから取り出されたのは人工的に削られた木材である。
「せっかく隠し持っていた武器も、組み立てる暇すらなかったので困っていたのです」
パズルのように組み立てて完成したのは小型のボウガンである。同じくスカートから矢筒を取り出してセットする。
「いやぁ、全部ゴードン殿下のお陰ですね! 素敵な教育方針に感謝しますわ」
「ぐぐぐっ……!」
「時に閣下。一応お伺いしますが、頭と胸、射抜かれるならどちらがお望みですか?」
「ぐぅっ!?」
「外には兵士が二人もおりますし、私一人じゃ倒せませんもの……かといって借りを作るのは嫌ですし」
小さく呟きながらボウガンをセドリックに向ける。
「ここで私が閣下を殺ったとします」
「!?」
「当然ながら、『どうしてここにアリシア・フローライトがいるのか』という話になりますよね?」
「…………」
「でも、言い訳を考えたり何かを捏造するべき閣下は死んでいますので、部下の皆さんは正直に喋ると思うんですよ」
アリシアが誘拐されたことが判れば、殺人は正当防衛と見なされるだろう。
「逆に、生きてると仕返しも怖いですし、可愛い妹の笑顔も守らねばなりませんからね」
「待て、まっふぇふえ……!」
「何言ってるか分かりませんので予想ですけど『喉、あっ胴も』ですかね」
どんな自殺志願者ならそんな提案をするというのか。アリシアがボウガンを構えたところで、ドン、と鈍い響きが館を揺らした。
「ああもう……借りは作りたくなかったのに」
衝撃は何度も続き、そして段々と大きくなっていく。
否、近づいてきているのだ。
「我が姫を拐かして無事に済むと思うなよ? 髪の毛一本でも傷つけていたら一人残らず八つ裂きにしてくれるからな!」
ドアの外がバタバタと騒がしくなった直後、ドアノブが鍵ごと引き裂かれた。そこから入ってきたのは血に染まったようにも、燃え盛っているようにも見える紅の巨狼。
アルフレッドだった。
「無事かっ、アリシ……ア…………? 何をしているんだ?」
「黒幕に毒を盛って、トドメをどうするか悩んでました」
「……俺は必要なかったようだな」
「いえいえ。嬉しかったですよ?」
アリシアがフォローに聞こえる返答をすれば、アルフレッドは人間の姿になる。
「あっ」
「どうした?」
「誘拐・監禁で溜まったストレスを癒したかったのですが」
アニマルテラピーである。
「……まぁ、これが最後になりそうだし構わんが」
アルフレッドは自嘲気味に笑い、巨狼となった。
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