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甘やかしたい
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「これを魔法で殴打していただけませんか?」
「……おうだ? こねるとか混ぜるじゃなくて?」
「ええ。うどんという料理は麺のコシが命。殴打するくらいの気持ちで生地をド突き回すことが美味しさの秘訣なのです」
「分かった! がんばるね!」
汚しちゃったりするわけにはいかないので、使うのは風魔法。
拳のような空気の塊で生地を跳ね上げる。
空中に舞った白い塊に、左右上下あらゆる方向から魔法をぶつけていく。
——ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!
途中で何度かノノに加減を見てもらったけれど、無事にうどん生地が完成した。
アーヴァインがあんぐりと口を開けてたけど、もしかして私が回復魔法以外も使えるって知らなかったっけ?
いや、知ってるはずのロンドさんも何か変な汗かいてるけどさ。
「ありがとうございますお嬢様。……これで変な奴も手出しできないでしょう」
「うん! ……うん?」
「何でもありませんよ」
生地を休ませている間に他の具材やお汁の準備だ。
ごまがたくさん入ったすり鉢はいつも通りにアーヴァインの元へ渡して、ノノは鶏肉を蒸したり野菜を切ったりと具材を用意していた。
「ノノ? アーヴァインも一応は皇太子なんだけど、その扱いで良いの?」
「……マリィよ。一応とか言われると俺もちょっとショックなんだが」
「えっ!? あっ、ごめん!」
「手伝いに関しては面白いとも思っている。気にするな」
……なんか本当にごめん。でも皇太子って普通は気軽にご飯食べに来ないと思うんだ。
すり終わったごまに醤油、砂糖、マヨネーズ、酢と調味料をどんどん入れていくノノ。
「あ、お味噌だ」
「さすがお嬢様です。よくお分かりになりましたね。当たったので景品として具材をちょっと豪華にします!」
「やった! ありがと!」
「……ふむ、唐辛子の後に追加したのはごま油だな?」
「その通りですが、何か?」
「……景品は?」
「入れるとこ見てたじゃないですか」
「くぅぅぅっ! わかってたけど扱いが露骨すぎる! マリィにだけ甘いっ!」
「当たり前です! 可能ならばもうとろっとろに甘やかして差し上げたいくらいなんです! これでも我慢してるんですよ!?」
嬉しいけど何にもできないのは困るし、ノノも大変じゃないのかなぁ。今だってたくさんやってもらってるのに、まだまだだったのか。
でも自分でも動けるようになりたい。
「……おうだ? こねるとか混ぜるじゃなくて?」
「ええ。うどんという料理は麺のコシが命。殴打するくらいの気持ちで生地をド突き回すことが美味しさの秘訣なのです」
「分かった! がんばるね!」
汚しちゃったりするわけにはいかないので、使うのは風魔法。
拳のような空気の塊で生地を跳ね上げる。
空中に舞った白い塊に、左右上下あらゆる方向から魔法をぶつけていく。
——ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!
途中で何度かノノに加減を見てもらったけれど、無事にうどん生地が完成した。
アーヴァインがあんぐりと口を開けてたけど、もしかして私が回復魔法以外も使えるって知らなかったっけ?
いや、知ってるはずのロンドさんも何か変な汗かいてるけどさ。
「ありがとうございますお嬢様。……これで変な奴も手出しできないでしょう」
「うん! ……うん?」
「何でもありませんよ」
生地を休ませている間に他の具材やお汁の準備だ。
ごまがたくさん入ったすり鉢はいつも通りにアーヴァインの元へ渡して、ノノは鶏肉を蒸したり野菜を切ったりと具材を用意していた。
「ノノ? アーヴァインも一応は皇太子なんだけど、その扱いで良いの?」
「……マリィよ。一応とか言われると俺もちょっとショックなんだが」
「えっ!? あっ、ごめん!」
「手伝いに関しては面白いとも思っている。気にするな」
……なんか本当にごめん。でも皇太子って普通は気軽にご飯食べに来ないと思うんだ。
すり終わったごまに醤油、砂糖、マヨネーズ、酢と調味料をどんどん入れていくノノ。
「あ、お味噌だ」
「さすがお嬢様です。よくお分かりになりましたね。当たったので景品として具材をちょっと豪華にします!」
「やった! ありがと!」
「……ふむ、唐辛子の後に追加したのはごま油だな?」
「その通りですが、何か?」
「……景品は?」
「入れるとこ見てたじゃないですか」
「くぅぅぅっ! わかってたけど扱いが露骨すぎる! マリィにだけ甘いっ!」
「当たり前です! 可能ならばもうとろっとろに甘やかして差し上げたいくらいなんです! これでも我慢してるんですよ!?」
嬉しいけど何にもできないのは困るし、ノノも大変じゃないのかなぁ。今だってたくさんやってもらってるのに、まだまだだったのか。
でも自分でも動けるようになりたい。
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