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グラスネス
11話
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食べ終わり勇者から渡された真っ白の軽装は身体に吸い付くようにぴったりだった。きっと赤の衣服と一緒に作って、渡されたんだろう。
「あ、やべ」
カランッコロ……
ふわふわと手触りのいい真紅をそれなりになるように畳もうと持ち上げると、何かが転がった。凹凸のないそれは床を走って、家具の隙間に入る前に掌で掬い上げられた。
真っ赤なまん丸の水晶は着替えた際にできた服の収納に突っ込んだことを思い出した。そして、勇者に返すのを忘れていた。一瞬、ひやっと緊張が走った脳内だが、もうどうしようもないので言わなかった勇者も悪いと開き直ることにする。
転がりやすい水晶は何度机に置いても落ちようとするので台座代わりに畳んだ衣服の収納に再度押し込む。水晶のときは硬貨の色が他とは異なっていたからきっと水晶の価値は壊れた想像すら憚れるほどだろう。
「、はあ……」
身を包むさらりとした軽装はおさまりが悪く、寝返りを打つと黒髪を寝具に散らした。
昨日よりも日が高い時間に訪れた露天街は行商人や観光客が多く、避けて歩くのに苦労するほどだった。けれど、背が高い勇者はその相貌と格好に人々が自然と道をつくっていたから、二人が逸れることはなかった。
「何か欲しいものはあるか?」
「あ、アイス……」
数日前なら考えられない反応だがあの甘さを知ってしまったら仕方ない。幼児のように目を煌めかせて様子を伺うセーレは勇者が大衆の前で豹変する人間ではないことを日常の中で感じ取っていた。それにしても、驚くセーレの変化だが魔王城では味わえない甘味というものを知ってしまった所為である。元より城を抜け出して果実を買いに行くほど甘味を好んでいたセーレが果実よりも甘い存在に出会ってしまえば、仕方のない変化とも言える。
数分歩くと見えてきたアイスの露店は列ができ、活気を見せていた。嬉しそうに対応する店主が勇者を見つけると通る声を響かせる。
「わかった。味はどうする?」
「え、ぇっと、赤いのと黒いの、?」
おずおずと口に出せば、頷いた勇者があの露店に足を運ぶ。
昨日から赤や他の色と同様に黒のアイスが並べられていることに疑問を持つセーレは首を傾げていた。漆黒というに等しい明度の低いそれは食べ物であると認識できなかったが、勇者が平然と買いに行ったからアイスであるんだろう。味を予測してはゆるりと裾の中を揺らした。
「すみませーん!馬車通りまーす!!」
「ぁわ、ぇッ……あぁ、ちょ、なになにっ、!?」
一台の馬車が露天街の中央を横断する。ただでさえ人が多かった道で大きな馬車が通れば、躱す人々が波となって身体が押される。周りは何事でもないように肩を避け、自身の方向に進む。けれど、セーレは混乱と動きずらい衣服に加えてふわりの舞う裾が押されやすく足を縺れさせ、人が少ない建物の壁まで押し付けられた。
「いっ、た……なんだいまの、?」
現在地は並ぶ勇者がかろうじて認識できるほどまでに離れてしまった。戻ろうにも人通りは多い。無闇に入ればまた、流されてしまうのは明白だった。幸いなのか勇者はまだ並んでいるため猶予はある。
縺れた拍子に痛めた足首を気遣って屈む。マントとは違う歩きづらさがあるそれに次は勇者のような脚に沿うものを買ってもらおうと考えていた。それは全くの無意識でセーレの意識に侵食した勇者の存在にセーレが気づくときはまだ来ない。
「お足元、大丈夫ですか?」
「へ、ぁはい!ッ、ひっ~!?、~~ッ!!」
勇者ではない声色に肩を揺らして顔を上げたセーレはその口元を勢いよく塞がれた。整えられた布地は音を容易く吸収して、見開いたセーレの悲鳴を抹消した。滲んだ視界に映るのは漆黒のローブを被った男の姿で、命の危機に鼓動が早まる。
「やっと、見つけました」
「っ!!ッふぁみぁ、っッ!」
けれど、数秒後には瞠目した瞳が恐怖から安堵に移り変わった。冷たくも暖かい声は身体に染み込んでいる。緩んだ布の押し付けに喜色を浮かべた声が名前を漏らす。幼少期から馴染んだカミラの黒い瞳に笑うと軽やかにセーレの身体を抱え上げた。
「ご無事でおられたようで。その格好のせいで見つけ出すのに手こずってしまいました」
「申し訳ありません」と謝るカミラに衣服の効果を知る。確かに追手から逃れるためには格好を変えてしまう手段が効果的である。そう考えれば自身の性別とは合わないこの衣服の形も色も納得できるものだった。
「、ぁ、アイス……」
「あいす?、どうしました?」
「なんでもない、」
ふと、買ったアイスを持つ勇者の姿が頭をよぎった。あのアイスは溶かされるのか、勇者の身体に入るのか。けれど、勇者がアイスを口にしているところは見ていない。無惨に溶かされる甘さが心残りで声に出てしまった。
昨日から探していたと話すカミラは慣れた様子で人の少ない裏道を通り、すぐに町と森の境まで来てしまった。
魔王城に帰れるのは、カミラと一緒に居られるのは、嬉しくて喜ぶべきなのに露店で食べたパイやアイス、ブノワのパンや魚を食べれないかと思うと少し名残惜しい。こうなってしまった以上、カミラは護衛を強化するから抜け出す隙はなくなる。人間の食べ物を口にするなど何百年後になってしまうだろう。
「遅れて申し訳ありません。おかえりなさい魔王様」
「ただいま、カミラ」
巨大な門に迎えられて王座に座る。
微かに浮かんだ勇者の声と瞳は掻き消した。極限状態でおかしくなってしまったのかもしれない。首を振って真紅のドレスを脱ぎ捨てる。歩きづらさは無くなった代わりに身体で引き摺る重たさが肩に押し掛かった。
「あ、やべ」
カランッコロ……
ふわふわと手触りのいい真紅をそれなりになるように畳もうと持ち上げると、何かが転がった。凹凸のないそれは床を走って、家具の隙間に入る前に掌で掬い上げられた。
真っ赤なまん丸の水晶は着替えた際にできた服の収納に突っ込んだことを思い出した。そして、勇者に返すのを忘れていた。一瞬、ひやっと緊張が走った脳内だが、もうどうしようもないので言わなかった勇者も悪いと開き直ることにする。
転がりやすい水晶は何度机に置いても落ちようとするので台座代わりに畳んだ衣服の収納に再度押し込む。水晶のときは硬貨の色が他とは異なっていたからきっと水晶の価値は壊れた想像すら憚れるほどだろう。
「、はあ……」
身を包むさらりとした軽装はおさまりが悪く、寝返りを打つと黒髪を寝具に散らした。
昨日よりも日が高い時間に訪れた露天街は行商人や観光客が多く、避けて歩くのに苦労するほどだった。けれど、背が高い勇者はその相貌と格好に人々が自然と道をつくっていたから、二人が逸れることはなかった。
「何か欲しいものはあるか?」
「あ、アイス……」
数日前なら考えられない反応だがあの甘さを知ってしまったら仕方ない。幼児のように目を煌めかせて様子を伺うセーレは勇者が大衆の前で豹変する人間ではないことを日常の中で感じ取っていた。それにしても、驚くセーレの変化だが魔王城では味わえない甘味というものを知ってしまった所為である。元より城を抜け出して果実を買いに行くほど甘味を好んでいたセーレが果実よりも甘い存在に出会ってしまえば、仕方のない変化とも言える。
数分歩くと見えてきたアイスの露店は列ができ、活気を見せていた。嬉しそうに対応する店主が勇者を見つけると通る声を響かせる。
「わかった。味はどうする?」
「え、ぇっと、赤いのと黒いの、?」
おずおずと口に出せば、頷いた勇者があの露店に足を運ぶ。
昨日から赤や他の色と同様に黒のアイスが並べられていることに疑問を持つセーレは首を傾げていた。漆黒というに等しい明度の低いそれは食べ物であると認識できなかったが、勇者が平然と買いに行ったからアイスであるんだろう。味を予測してはゆるりと裾の中を揺らした。
「すみませーん!馬車通りまーす!!」
「ぁわ、ぇッ……あぁ、ちょ、なになにっ、!?」
一台の馬車が露天街の中央を横断する。ただでさえ人が多かった道で大きな馬車が通れば、躱す人々が波となって身体が押される。周りは何事でもないように肩を避け、自身の方向に進む。けれど、セーレは混乱と動きずらい衣服に加えてふわりの舞う裾が押されやすく足を縺れさせ、人が少ない建物の壁まで押し付けられた。
「いっ、た……なんだいまの、?」
現在地は並ぶ勇者がかろうじて認識できるほどまでに離れてしまった。戻ろうにも人通りは多い。無闇に入ればまた、流されてしまうのは明白だった。幸いなのか勇者はまだ並んでいるため猶予はある。
縺れた拍子に痛めた足首を気遣って屈む。マントとは違う歩きづらさがあるそれに次は勇者のような脚に沿うものを買ってもらおうと考えていた。それは全くの無意識でセーレの意識に侵食した勇者の存在にセーレが気づくときはまだ来ない。
「お足元、大丈夫ですか?」
「へ、ぁはい!ッ、ひっ~!?、~~ッ!!」
勇者ではない声色に肩を揺らして顔を上げたセーレはその口元を勢いよく塞がれた。整えられた布地は音を容易く吸収して、見開いたセーレの悲鳴を抹消した。滲んだ視界に映るのは漆黒のローブを被った男の姿で、命の危機に鼓動が早まる。
「やっと、見つけました」
「っ!!ッふぁみぁ、っッ!」
けれど、数秒後には瞠目した瞳が恐怖から安堵に移り変わった。冷たくも暖かい声は身体に染み込んでいる。緩んだ布の押し付けに喜色を浮かべた声が名前を漏らす。幼少期から馴染んだカミラの黒い瞳に笑うと軽やかにセーレの身体を抱え上げた。
「ご無事でおられたようで。その格好のせいで見つけ出すのに手こずってしまいました」
「申し訳ありません」と謝るカミラに衣服の効果を知る。確かに追手から逃れるためには格好を変えてしまう手段が効果的である。そう考えれば自身の性別とは合わないこの衣服の形も色も納得できるものだった。
「、ぁ、アイス……」
「あいす?、どうしました?」
「なんでもない、」
ふと、買ったアイスを持つ勇者の姿が頭をよぎった。あのアイスは溶かされるのか、勇者の身体に入るのか。けれど、勇者がアイスを口にしているところは見ていない。無惨に溶かされる甘さが心残りで声に出てしまった。
昨日から探していたと話すカミラは慣れた様子で人の少ない裏道を通り、すぐに町と森の境まで来てしまった。
魔王城に帰れるのは、カミラと一緒に居られるのは、嬉しくて喜ぶべきなのに露店で食べたパイやアイス、ブノワのパンや魚を食べれないかと思うと少し名残惜しい。こうなってしまった以上、カミラは護衛を強化するから抜け出す隙はなくなる。人間の食べ物を口にするなど何百年後になってしまうだろう。
「遅れて申し訳ありません。おかえりなさい魔王様」
「ただいま、カミラ」
巨大な門に迎えられて王座に座る。
微かに浮かんだ勇者の声と瞳は掻き消した。極限状態でおかしくなってしまったのかもしれない。首を振って真紅のドレスを脱ぎ捨てる。歩きづらさは無くなった代わりに身体で引き摺る重たさが肩に押し掛かった。
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