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第四話 アクセルの力
アクセルの力 03
しおりを挟む玄関を潜って帰宅したゼオン、セレーラル、マレーシャの三人は寝室にて別の戦闘服を取り出して着替え始め、アーシェリも彼女たちに習って自分の戦闘服を手に取った
「なんだおまえら、今日は随分はやいな」
新たな戦闘服を羽織る四人の後ろで、そう言って共用である寝室の様子を見に顔を覗かせたのは、自宅待機していた八女・シェリエールだった
「今日は楽な任務だったのか?」
「いや~話すと長くなるんだけど…私たちやられたて帰ってきたのさ」
「ふーん…」
困惑した顔で肩をすくめて戯けて見せるセレーラルだったが、普段から冗談ばかりでふざけている彼女の言葉をシェリエールはまともに受ける気がなく、適当に返事を流していた
「あ、信じてないな~」
「おまえ動きがわざとらしいからしんじられるか!
本当のことをいえ!」
「ホントのことだよん」
「うそつけ!」
事実セレーラルは本当のことを言っているのだが、全く信じる気配を見せないシェリエールとの間にゼオンがやれやれと言って口を挟む
「ふざけているように聞こえるかもしれないが、本当のことだ」
ゼオンはシェリエールに肩やお腹にできた打撲跡や痣を見せる
傷を見せつけられたシェリエールは怪訝な顔でセレーラルとマレーシャに視線を移すと、彼女達にも包帯や打撲跡が散見していた
「じゃあ…本当なのか」
「話すと長くなるがーーー」
そうしてゼオン達は着替えながら今日の任務に対する経緯を説明していく
その内容はシェリエールの想像以上で、話の全てを飲み込めた訳ではないがゼオン達が一人の悪魔に敗北したという深刻な事実だけは理解できた
そして、ゼオンが『神器霊核』について話をしようとしたとき、セレーラルがシェリエールにだけ聞こえるように小声で何かを話す
すると、苦虫を噛み潰したような顔でセレーラルを睨んだ後、シェリエールも自分の戦闘服を用意して黙って着替え始める
「もしかして、シェリーもオレ達の訓練に参加するのか」
「…最初は参加する気はなかったけど
おまえらが戦いで負けたなら人ごとでもないとおもったんだ
それにあのくそばかが…」
「セレーラルがどうかしたのか?」
「なんでも無い」
シェリエールがセレーラルに何を吹き込まれたのは知らないが、どちらにせよ誘いの声をかけるつもりだったゼオンは大して気にすることはしなかった
やがて、戦闘服に着替え終えたゼオン、セレーラル、アーシェリ、マレーシャ、シェリエールの五人は廊下から地下へ繋がる階段を降りていく
突き当たりまでまっすぐ降りると、地上の部屋より大きな扉がそびえ立っていた
その扉を開いて足を踏み入れたその先には、白いコンクリート壁に覆われた巨大な空間が広がっており、突き当たりの壁際にはトレーニング器具が横並びに並び、その左手には雲梯や綱渡り等、アスレチックのような大きな遊具があった
更にアスレチックから離れた場所には射撃訓練で使われるターゲットボードが無造作に置かれており、まるでトレーニング施設を思わせるような風景が部屋全体にに広がっていた
本社にもトレーニング用の施設があるのだが、それに比べると幾分かは格が落ちる部屋ではあるものの、周りの目を気にせず、自分達のペースで鍛えることができる為『九人姉妹』はこの部屋を愛用している
元々は廃れてしまった地下施設ということらしいが、『九人姉妹』の父親であるカイン・ジークフリートが施設そのものを買い取り、隔たれていた全部屋の壁を取り除く改装を行った後、一つの大部屋として完成した部屋である
最も、今回に限ってはゼオンとセレーラル、マレーシャの三人は運動を制限されているので、部屋にある設備は殆ど使うことが出来ないのだが
「そういう訳で諸君!我々はこれから我々自身が持ち得る能力を最大限に活かす為に、おさらいを行うべく集ってもらった」
その部屋の真ん中でホワイトボードを背にしたセレーラルが椅子に座る残りの四人に対して演説めいた言葉を放っていたのだが本人自身はやる気に満ちており、大袈裟な手振りをしながら注目を集める為にホワイトボードを軽く叩く
「本日は基礎知識を固めていくことをテーマにこの私、セレーラルが説明をしようではないか!」
「おいおい、大丈夫か…」
「…」
セレーラルの妙なテンションに気圧され気味な四人だが、それぞれが折り畳み式の椅子を広げて座り、とりあえず話に対して聞く耳を持つ
「早速だけど先ずは『メインアクセル』の説明といこう!」
「きゅうになんだ」
「なんつーか今更って感じがするんだが…」
突拍子もなく始まったセレーラルの話題にシェリエールとアーシェリに軽い野次を飛ばすが、セレーラルは片手で静止して話を続ける
「私たちは普段使い慣れている能力の向上だけを目指して鍛えることばかりしかしていなかったからね、今日の反省を機に一度初心に帰って自分を顧みようと思ったんだよ」
「なるほどな…」
ゼオン達から、任務で戦った悪魔に自分の能力に関する無知な部分を指摘されたことを聞いていたアーシェリはセレーラルの言い分に納得して、ゆっくり頷く
「それでゼオ姉!『メインアクセル』とは?」
「えっ?お、オレか!?」
セレーラルからのいきなりの指名に虚を突かれたゼオンは、もたれかかっていた姿勢を直ぐに起こして、どう答えようかと考えながら口籠もった
「そうだよ、まずは長女としてビシッとね!」
「そりゃあ『メインアクセル』は能力だ…」
「いやあ…そういうことじゃなくて、その能力の説明だよ」
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