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第四話 アクセルの力
アクセルの力 04
しおりを挟む俯いて考えるゼオンの手前、セレーラルは心の中では回答の内容は期待しないまま肩を竦めて彼女の答えを待つ
姉の面子を守る為にセレーラルは妹達の目の前でゼオンが答えるより先に堂々と答えを暴露する気はない
昔ーーー
しっかりと基礎知識を学んだ過去はあるものの、やがて戦いを重ねていく過程の中、感覚で能力の扱い方を身に染みて覚えていくが、その理論に関しては今に至るまでの長い時間の中で忘れてしまったのだろうと、セレーラルは解釈していた
「うーん何というか、体全体で表す能力の代表…みたいな?」
「すごい抽象的だけど、間違いではないかな」
ようやく出てきたゼオンの回答を聞いたセレーラルはゼオン同様ーーー
感覚的に能力を物覚えて、知識として忘れていそうな妹を探し、アーシェリと目が合うと、動かしていた目線の動きを止める
すかさずアーシェリは露骨に目線を外すものの…
「はい、じゃあアーシェリよ!答えておくれ」
結局見逃してはもらえなかった
わからないものはわからない為、アーシェリは観念しながら正直に口を開く
「もう覚えてねーよ…」
「素直でよろしい!けど、理論は覚えておいた方がいいよ
理論あっての応用だからね」
二人からの回答を引き出したセレーラルは黒いマーカーペンでボードを小突いて、視線を自分に集中させるとボードに文字を書き込みながら説明を開始した
「私たち能力者はまず、体内の心臓部にエネルギーを霊気に変換する霊核を形作ることから始めるけど、『メインアクセル』というのは霊核と体外に纏う霊気を直接繋げて発動させる能力の事だよ」
「…」
「まぁ本来霊気は神経回路や血流を通して外に流すものだけど、『メインアクセル』はそれらと別に体の中に『アクセルライン』という霊核と体の外を繋げる線を使って霊気を外に流すんだ」
『メインアクセル』に関しての説明を続けながらセレーラルは簡易的な人間の全身像をボードに描いた上で図形を通してわかりやすいように解説する
「霊核から外への通り道が神経回路や血流、近道が『アクセルライン』ってことだな
そして近道を通ることで『メインアクセル』が使えると」
ゼオンの例え話にセレーラルは頷いて肯定する
「そう、更に言い方を変えれば体内にある能力の元となるものを霊核で発生させて、『アクセルライン』を通して体外に纏った霊気と交わると発動する力なんだ」
「なるほど」
「だんだん思い出してきたぜ」
セレーラルの話を聞くうちに、ゼオンとアーシェリはかつて同じことを学んだ記憶が鮮明になっていく過程で頭の中がクリアになっていくような感覚を感じていた
「しかも『アクセルライン』自体は全身に伸びていて、霊気を身体中に拡散させていくからゼオ姉の言う通り体全体を使う能力が結構多いんだ」
実際、ゼオンの『メインアクセル』である『反復時空間』は過去のゼオンの位置と態勢を強制的に再現させており、全身を強制移動させる能力だった
「え~…では諸君!『メインアクセル』のことはわかったかな?」
「ああ、もう大丈夫だ!」
「よし、じゃあ次は『ブランチアクセル』の説明だね」
一同の反応を見ながら今度は別の能力の説明ということで、セレーラルはホワイトボード上の図を消しにかかる
「早速ですがマレーシャさん、『ブランチアクセル』とは何でしょう?」
「…」
質問をマレーシャに投げかけて、ボードに書かれたものを全てまっさらな状態に戻したセレーラルは彼女に向き合って掌を差し出し、回答を待つ
「えっと…『メインアクセル』と違って体の神経回路と霊気を同調させて出来た『アクセルライン』もどきに霊気を通して、手から放つ能力…」
マレーシャは辿々しく、何とか説明を終えるとセレーラルは差し出した掌から水色をした火の玉を出現させて満足そうに首を縦に振る
「うん、大体そんな感じだね」
『ブランチアクセル』とは身体中に張り巡らせた神経回路を擬似的な『アクセルライン』へと変換させて霊気の通り穴を開通し、神経が集中している手足に、霊気に属性を帯びさせて体外へ放出することを可能にする力ーーー
先の戦いにおいては、マレーシャの緑の火玉や紫髪の悪魔が放出したレーザーが該当する
「『アクセルライン』もどきってことは、『アクセルライン』とは違うってことだな」
「そうそう、『アクセルライン』に霊気を通せば『メインアクセル』が発動ーーー
『アクセルライン』もどきに霊気を通せば『ブランチアクセル』が発動するよん」
首を縦に頷いて納得するゼオンの台詞に捕捉を付け加えたセレーラルはホワイトボードとペンを取り出して向き合う
説明内容を図解を描いたボードに書き加えて四人に教えると、セレーラルは空中で遊ばせていた火の玉を消して身体全体に水色の霊気を発生させて更なる捕捉説明を加える
「因みに知ってると思うけど、手足以外からでも霊気を放出出来るけど、人間の構造上属性を持たせることができないから、肉体強化にしか使えないよ」
「構造がちがう 悪魔は別だけどな」
セレーラルの捕捉説明にぶっきらぼうな口調でさらに言葉を付け加えたシェリエールは体を伸ばして退屈していた
ゼオンやセレーラル達より若い分、兵士になった時期や能力を会得した時期が比較的に遅かったシェリエールはここ一、二年前ので勉強で理解していたが
ゼオンに関しては習ってから既に九年経っており、感覚的に理解できていても、言葉や用語に関しては忘れてしまい、度々記憶が抜け落ちていた
それを差し引いても能力を扱う兵士なら、本来は忘れてはいけない筈なのだが
その為、ゼオンやアーシェリは感心して聞いているが、シェリエールに至っては今更説明はいらないといった気怠げな態度をとっていた
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