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カッツ司法大臣も逮捕さる
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それからガーニー官房長官は直ちに馬車で最高検へと連行され、そのまま取調室に押し込まれた。
聴取は極めて異例ではあるが、長官のワセダ女史が自ら行うことになった。
だがワセダ女史の取調べに対してガーニー官房長官はすべての罪を公設秘書のライリーになすりつけるかのような供述を行ったのであった。
すなわち、ガセミックより裏献金を…、金貨を受け取ったのは公設秘書のライリーであり、自分はそうとは知らずにその金貨に触れたやも知れぬが、ただそれだけに過ぎないと、平然と嘯いてみせたのであった。
もっとも、ガーニー官房長官が公設秘書のライリーにその罪をなすりつけるであろうことはワセダ女史も当初より予期していたことなので、それに備えてライリーにも同時に任意同行をかけていた。
但し、ライリーの場合はあくまで参考人扱いであり、取調室の隣の部屋でガーニー官房長官の供述をじっくりと「見学」させてやった。
案の定、ライリーは自分に罪をなすりつけるかのような供述を繰り出すガーニー官房長官に大激怒、結果、ライリーは進んでガセミックからの裏献金を告白した。
すなわち、ガセミックから日本円にして3億円相当の金貨3000枚を受け取ったこと、しかもそのうちの半額の1億5千万相当の1500枚もの金貨をカッツ・アンリ夫妻に対して「ご褒美」として渡したことをも告白してくれたのであった。
言うまでもなく、カッツは司法委員会委員長として、アンリは商務委員会委員長としてそれぞれ、遊技機メーカーのガセミックにカジノを取り仕切らせるべく汗を流した、その「ご褒美」であり、ライリーのこの告白により、カッツ・アンリ夫妻の収賄容疑も裏付けられた。
いや、のみならず、ライリーはさらにカッツとアンリがその1500枚もの金貨、1億5千万相当を選挙でばら撒いたその裏事情についても告白してくれた。
それと言うのもライリーはカッツとアンリがその選挙区とするカープ県へと派され、総選挙の折、選挙の手伝いをしたのだが、地元のカープ県議に金を…、ガセミックからの裏献金を買収資金としてばら撒いたその一切の事情についても告白したのだ。
そこでワセダ女史は直ちにライリーと司法取引を成立させ、ライリーの罪については問わないこととした。
さて、ライリーの供述を受け、ワセダ女史はさらにカッツ・アンリ夫妻に対する逮捕状…、収賄・買収・公職選挙法違反での逮捕状をやはり簡易裁判所に請求、その発付をみた。
するとこの段になるとさすがに内閣を主宰するアヴェガーの耳にも異変が届いた。
ガーニー官房長官の逮捕の事実が内閣を主宰するアヴェガーの耳に届いたのはその日の夜半であった。
何しろ、ガーニー官房長官は彼を警護していたSP(セキュリティポリス)…、異世界警察省より派遣されているSPの目の前で逮捕されたのだ。いや、正確には任意同行を求められたわけだが、ともあれ、異世界警察省より内閣へと、それも内閣を主宰する総理のアヴェガーの耳へと届くのは時間の問題と言えよう。
「なぜだっ!どうして検察は勝手に動いてるんだっ!指揮権発動しただろうがっ!」
アヴェガーは司法省より出向している秘書官のタテとジュンを相手にそう怒鳴りまくると、彼らの親分とも言うべき司法大臣のカッツをも呼びつけたのであった。
アヴェガーは総理執務室にカッツを呼びつけると、今しがた、タテとジュンに対して怒鳴ったのと同じ内容を繰言のように怒鳴った。
「あの…、指揮権発動はあくまで最高検察庁長官個人に対して発せられるものでして…」
カッツは恐る恐るそう言い訳した。
「すると何だ?末端の検事の動きまでは縛れないってわけか?」
アヴェガーはそう確かめた。
「いえ、正確には指揮権発動を受けました最高検察庁長官は末端の検事に対してその命令を伝える義務があります。ですが…」
「最高検察庁長官は…、ワセダは末端の検事にはその命令は伝えなかったと?」
「恐らくは、いえ、それどころか命令を…、指揮権発動を無視するかのように、末端の検事の背中を押したものと…」
「君ぃ、指揮権発動をしたのは司法大臣たる君だろうがっ!そんな他人事みたいな言い方はやめろっ!」
アヴェガーは不安を紛らわせるかのようにそう怒鳴った。
「はっ、申し訳ございません」
カッツは腰を折った。
「それで…、これから私はどうすれば良いんだ?女房役が逮捕されてしまった私は…」
アヴェガーはそれから頭を抱えてみせた。明日からマスコミの十字砲火を浴びるのは間違いなかった。
すると不意に、総理執務室のドアが開き、ワセダ女史の姿が浮かび上がった。
「お前…、呼んだ覚えはないぞっ!」
アヴェガーは不意の訪問者にそう怒鳴った。
「ええ。でしょうとも」
ワセダ女史は平然とそう応ずると、司法大臣のカッツの元へと歩み寄り、そして今しがた簡易裁判所より発付されたばかりの逮捕状を掲げて見せた。
「カッツ大臣、あなたを収賄、買収、公職選挙法違反の疑いで逮捕します」
ワセダ女史は司法大臣のカッツにそう告げると、自らカッツに手錠をかけた。
聴取は極めて異例ではあるが、長官のワセダ女史が自ら行うことになった。
だがワセダ女史の取調べに対してガーニー官房長官はすべての罪を公設秘書のライリーになすりつけるかのような供述を行ったのであった。
すなわち、ガセミックより裏献金を…、金貨を受け取ったのは公設秘書のライリーであり、自分はそうとは知らずにその金貨に触れたやも知れぬが、ただそれだけに過ぎないと、平然と嘯いてみせたのであった。
もっとも、ガーニー官房長官が公設秘書のライリーにその罪をなすりつけるであろうことはワセダ女史も当初より予期していたことなので、それに備えてライリーにも同時に任意同行をかけていた。
但し、ライリーの場合はあくまで参考人扱いであり、取調室の隣の部屋でガーニー官房長官の供述をじっくりと「見学」させてやった。
案の定、ライリーは自分に罪をなすりつけるかのような供述を繰り出すガーニー官房長官に大激怒、結果、ライリーは進んでガセミックからの裏献金を告白した。
すなわち、ガセミックから日本円にして3億円相当の金貨3000枚を受け取ったこと、しかもそのうちの半額の1億5千万相当の1500枚もの金貨をカッツ・アンリ夫妻に対して「ご褒美」として渡したことをも告白してくれたのであった。
言うまでもなく、カッツは司法委員会委員長として、アンリは商務委員会委員長としてそれぞれ、遊技機メーカーのガセミックにカジノを取り仕切らせるべく汗を流した、その「ご褒美」であり、ライリーのこの告白により、カッツ・アンリ夫妻の収賄容疑も裏付けられた。
いや、のみならず、ライリーはさらにカッツとアンリがその1500枚もの金貨、1億5千万相当を選挙でばら撒いたその裏事情についても告白してくれた。
それと言うのもライリーはカッツとアンリがその選挙区とするカープ県へと派され、総選挙の折、選挙の手伝いをしたのだが、地元のカープ県議に金を…、ガセミックからの裏献金を買収資金としてばら撒いたその一切の事情についても告白したのだ。
そこでワセダ女史は直ちにライリーと司法取引を成立させ、ライリーの罪については問わないこととした。
さて、ライリーの供述を受け、ワセダ女史はさらにカッツ・アンリ夫妻に対する逮捕状…、収賄・買収・公職選挙法違反での逮捕状をやはり簡易裁判所に請求、その発付をみた。
するとこの段になるとさすがに内閣を主宰するアヴェガーの耳にも異変が届いた。
ガーニー官房長官の逮捕の事実が内閣を主宰するアヴェガーの耳に届いたのはその日の夜半であった。
何しろ、ガーニー官房長官は彼を警護していたSP(セキュリティポリス)…、異世界警察省より派遣されているSPの目の前で逮捕されたのだ。いや、正確には任意同行を求められたわけだが、ともあれ、異世界警察省より内閣へと、それも内閣を主宰する総理のアヴェガーの耳へと届くのは時間の問題と言えよう。
「なぜだっ!どうして検察は勝手に動いてるんだっ!指揮権発動しただろうがっ!」
アヴェガーは司法省より出向している秘書官のタテとジュンを相手にそう怒鳴りまくると、彼らの親分とも言うべき司法大臣のカッツをも呼びつけたのであった。
アヴェガーは総理執務室にカッツを呼びつけると、今しがた、タテとジュンに対して怒鳴ったのと同じ内容を繰言のように怒鳴った。
「あの…、指揮権発動はあくまで最高検察庁長官個人に対して発せられるものでして…」
カッツは恐る恐るそう言い訳した。
「すると何だ?末端の検事の動きまでは縛れないってわけか?」
アヴェガーはそう確かめた。
「いえ、正確には指揮権発動を受けました最高検察庁長官は末端の検事に対してその命令を伝える義務があります。ですが…」
「最高検察庁長官は…、ワセダは末端の検事にはその命令は伝えなかったと?」
「恐らくは、いえ、それどころか命令を…、指揮権発動を無視するかのように、末端の検事の背中を押したものと…」
「君ぃ、指揮権発動をしたのは司法大臣たる君だろうがっ!そんな他人事みたいな言い方はやめろっ!」
アヴェガーは不安を紛らわせるかのようにそう怒鳴った。
「はっ、申し訳ございません」
カッツは腰を折った。
「それで…、これから私はどうすれば良いんだ?女房役が逮捕されてしまった私は…」
アヴェガーはそれから頭を抱えてみせた。明日からマスコミの十字砲火を浴びるのは間違いなかった。
すると不意に、総理執務室のドアが開き、ワセダ女史の姿が浮かび上がった。
「お前…、呼んだ覚えはないぞっ!」
アヴェガーは不意の訪問者にそう怒鳴った。
「ええ。でしょうとも」
ワセダ女史は平然とそう応ずると、司法大臣のカッツの元へと歩み寄り、そして今しがた簡易裁判所より発付されたばかりの逮捕状を掲げて見せた。
「カッツ大臣、あなたを収賄、買収、公職選挙法違反の疑いで逮捕します」
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