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第九章
第三十七話
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耳掻き一杯程度の煌めく粉。
それが七つ、玉蟲の背に鎮座している。
本体の人型ビートル君は足音もなく移動して、
壁際の棚から一つの酒樽を抱えて戻ってきた。
シャリン…っと玻響音をたてて絢爛なカクテルグラスが、歌うように7つ並んだ。
ニョキニョキと、腕が10本くらいに増え、何をしているのかわからない手品みたいな動きで、
カチャカチャ、クルクル、シャカシャカと──
──瞬きをする間に、7杯の美しい酒が出来上がった。
「……コリャ…いかん。アイツらに見せにゃ…」
おっさんは慌てて階段を登り、明日の宝探しに胸を膨らませて団欒しているめんごいヤツらを呼ぶ。
「おめさ達!ちょっと来てくんろ!とんでもねぇ酒が出来ちまったんだっけ!」
一目見てわかった。
あれは、島国の立ち飲み屋で呑んだ酒とは格が違う。
──いや、あの酒も相当に衝撃を受けたし、美味かったのだが、今し方ビートル君が淹れた七杯の酒の雰囲気は、まだ嗅いでも舐めてもいないにも関わらず、脳がヤバいと告げてきた。
「なにナニなぁ~に~?パーパってばま~たお酒?
ほんっと好きだよね~──ぇ?ちょ……」
「オジサマがお作りになられたのですか?
とっても楽しみですわ──こ……これは…っ!」
「さすが旦那様、
もうカリファールのスパイスを使われたのですね?──あ……あぁぁふぁ~ぁん♡」
「おっとーさん!トゥエラだってねー!
おっさけ飲めるんだよ~!──うわぁ!きれぃ~~!!」
とりあえず見てみてくれと、みんなを促し地階への階段を先導しゾロゾロと降りる。
わちゃわちゃと喋りながらカウンターの前まで来たその瞬間、全員が息を呑み──
その美しすぎる酒の虹光に、目も心も思考までをも奪われた。
ただ、ただ──綺麗すぎて言葉が出てこなかった。
「マスター、ハヤクノメ、コレハドワーフヲ、コエタゾ」
バーテンダーっぽい服を、いつの間にか纏ったビートル君が、おっさんを急かしてきた。
──それ程自信がある出来なのだろうか?
「マジ綺麗…こんな色、あーし魔法で出せない…」
テティスが最初に手を伸ばしたのは、彼女の肌にも少し似た、藍色の一杯。
持ち手にそっと手を添えて、壁についたランタン風の照明に酒を翳す。
グラスの中で揺らめく、夜明け前の空のような暗海の光が優しく降り注いだ。
唇を当て、僅かに口へ運んでみれば──
「んくっ……はぁ~。卍ナニこれ?……エモ尊い…」
その酒の名は、アイオライト。
遥か昔、海を圧する海賊達が羅針盤と呼んだ宝石。
舌の上では甘酸っぱく、ブルーベリーを思わせる果実の香りが広がり、喉に滑らせるとミントソーダの爽やかな刺激が踊り、鼻をくすぐる。
息をつくと、清涼なメントールがお腹の奥の方まで涼やかに冷やしてくれた。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
半分程残った酒を、おっさんに渡すテティス。
「もーチルい、あーし寝るから?」
歩くことも諦めたのか、体育座りのポーズでフワリと宙に浮き、
胎内の赤子のように目を閉じて自室の方へ漂い、居なくなった。
御相伴に預かったおっさんが残りを飲み干せば、
「あーこりゃ、サファイアが霞んだわ」
あれ程感銘を受けた島国の地酒をあっさりと上書きし、おっさんの胃袋にセーブされたのだった。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
「私も頂いても宜しいですの?」
パステルが手に取ったのは、ルベライト。
深く、紅い。異世界の夜空に浮かぶ月のようなその酒は、ハイビスカスをイメージするフローラルな香り。
しかし咥内に広がるのは芳醇な…赤ワイン。
ピリッとした辛味と、シュワシュワした発泡が後から追いかけてくる。
嚥下した瞬間、燃えるような酔いが全身を支配する。
「んん……お、オジサマ……わ、私ぃ~…はにゃ~~」
倒れ込んできた王女殿下を、慌てて受け止めるおっさん。
完全に脱力したパステルをお姫様抱っこすれば、
インフルエンザ並みに火照った躰から、フワリと漂う甘い薫り。
「テティスやパステルにゃーちっと強えかったんだっぺなぁ…上に運んで寝かしてくっからよ」
リリとトゥエラをそこに残して、王女の私室に運び入れ、優しくベッドに寝かせれば──
キュッとパステルの手に抱きしめられて、
プクッと膨らんだ唇に触れてしまった。
「んん~~……オジ…サマ……愛して…ます…わ」
呟いた後静かな寝息を立て始めたので──
「よし、何もなかったっぺね」
おっさんは地下へと戻るのだった。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
地下室まで降りてくると、パステルの飲み残しも半分程置いてあったので、卑しいおっさんがキュッと飲み干せば、
「かあぁ~~こりゃ凄え。ワインの飲みやすさで
酒精が高ぇ!パステルもぶっ倒れる訳だわ」
身体が風呂上がりみたいに火照って汗が吹き出す。
腰袋からチェイサーの水を出してコップに注ぎ、ガブガブと飲み、少し落ち着く。
「──リリはどれか試してみっけ?」
と見ると、残っていた5杯の酒が、何故かみんな一口くらいづつ減っている。
「うーーん!どれもおいっしいねー!
でもねー!タピミルクのーがおいしーよ!」
いつの間にか、トゥエラが全部味見したようであった。
「旦那様──できれば一緒に、少量づつ、
二人で一緒に味わっても良いでしょうか?」
可愛い顔で嬉しいことを言う。
隣同士で椅子に座って、舐めるような量を、交互に飲ませ合えば──
いつの間には二人は、艶やかな色のカクテルをお互いの唇で注ぎ合うのであった。
──トゥエラの気配は──とっくに消えていた。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
「旦那様?──パステルの唇も、奪ってこられたのですか?」
ドキッ!とするおっさん。
「い、いや違げぇんだっけ~、寝かせる時にくっついちまった、っつーかよ……」
愛を囁き合って間もない妻に、疑いを持たれてしまったおっさんは、慌てて事故であることを弁明する。
「──ふふ、冗談ですよ旦那様。」
ペロっと舌を出し、自分の唇を舐めるリリ。
メガネの奥の目はとても優しく、どこか悪戯っぽかった。
「あの子がいつか──自分から勇気を出した時には、 旦那様が受け止めてあげてくださいね?」
そんな事を言われて、そうなった場合のシュミレーションを、少しだけ頭に描いてみるが……
「いやいやいやいや……
あんな若けぇの無理だっぺよ……」
つい失言をするおっさん。
「──私は、オバサンですか?」
おっさん、二度目のドッキリである。
こういうところが、良くも悪くも『おっさん』なのであった。
「んなわけあんめ。おめさは異世界一めんごい嫁さんだっぺよ」
気がつけば、7つのグラスは綺麗に空になっていた。
気を遣っていたのか、姿の見えなかったビートルバーテンダーが、カウンターの奥に姿を現せた。
「カーネリアン、シトリン、ジェダイト、アクアマリン、スギライト」
リリの味見ばかりに気を取られて、5杯の酒の印象がおぼろげだったおっさんに、バーテンダーが並んでいた順番通りに酒の名前を教えてくれた。
そして空いたグラスがシャリンっと消えて、またイリュージョンタイムのようだ。
バーテンダーが両手をかざして、まるで並べた時のドラゴンボールみたいな感じで、七色のスパイスを空中で操る。
さっきよりも少ない──本当にごく少量だ。
そして、瞬きをしないように見ていたのだが、
フワッと一瞬で……
ピンク色の新しいカクテルが、二人の目の前に一杯だけ置かれていた。
「マスター、モッテキタスパイス、コレガシュータイセー、サメナイ、クサラナイ、クダケナイ、エターナルラブ、ピンクダイヤモンド」
と、言うだけで言ってバラっと虫モードに分解されて、カサカサと何処かへ消えていった。
「永遠の──ですか。そうですね、何時迄もお側に置いてくださいね」
リリが先に口に含み、「温かいですね」と漏らす。
おっさんも飲んでみて、驚く。
その酒は、熱かった。
甘さも、苦味も、香りも味もない。
じゃあお湯か?と問われれば──そうではない。
重い酒精と、煌めくピンク色に酔わされる。
普段であれば、旨すぎてキュッと飲み干し、おかわりを強請る所だが……この酒は、リリと二人でゆっくりと、分け合って呑みたい。
そんな気がした。
見れば、リリのメガネはすっかり曇って、瞳を見ることができない。
おっさんは両手でそっと、ソレを外してカウンターに置き、俯いて潤んだその目を見たくて、指で顎を持ち上げた。
この星がどれ程広いか知らないが、今だけは──
リリの顔しか見えなかった。
それが七つ、玉蟲の背に鎮座している。
本体の人型ビートル君は足音もなく移動して、
壁際の棚から一つの酒樽を抱えて戻ってきた。
シャリン…っと玻響音をたてて絢爛なカクテルグラスが、歌うように7つ並んだ。
ニョキニョキと、腕が10本くらいに増え、何をしているのかわからない手品みたいな動きで、
カチャカチャ、クルクル、シャカシャカと──
──瞬きをする間に、7杯の美しい酒が出来上がった。
「……コリャ…いかん。アイツらに見せにゃ…」
おっさんは慌てて階段を登り、明日の宝探しに胸を膨らませて団欒しているめんごいヤツらを呼ぶ。
「おめさ達!ちょっと来てくんろ!とんでもねぇ酒が出来ちまったんだっけ!」
一目見てわかった。
あれは、島国の立ち飲み屋で呑んだ酒とは格が違う。
──いや、あの酒も相当に衝撃を受けたし、美味かったのだが、今し方ビートル君が淹れた七杯の酒の雰囲気は、まだ嗅いでも舐めてもいないにも関わらず、脳がヤバいと告げてきた。
「なにナニなぁ~に~?パーパってばま~たお酒?
ほんっと好きだよね~──ぇ?ちょ……」
「オジサマがお作りになられたのですか?
とっても楽しみですわ──こ……これは…っ!」
「さすが旦那様、
もうカリファールのスパイスを使われたのですね?──あ……あぁぁふぁ~ぁん♡」
「おっとーさん!トゥエラだってねー!
おっさけ飲めるんだよ~!──うわぁ!きれぃ~~!!」
とりあえず見てみてくれと、みんなを促し地階への階段を先導しゾロゾロと降りる。
わちゃわちゃと喋りながらカウンターの前まで来たその瞬間、全員が息を呑み──
その美しすぎる酒の虹光に、目も心も思考までをも奪われた。
ただ、ただ──綺麗すぎて言葉が出てこなかった。
「マスター、ハヤクノメ、コレハドワーフヲ、コエタゾ」
バーテンダーっぽい服を、いつの間にか纏ったビートル君が、おっさんを急かしてきた。
──それ程自信がある出来なのだろうか?
「マジ綺麗…こんな色、あーし魔法で出せない…」
テティスが最初に手を伸ばしたのは、彼女の肌にも少し似た、藍色の一杯。
持ち手にそっと手を添えて、壁についたランタン風の照明に酒を翳す。
グラスの中で揺らめく、夜明け前の空のような暗海の光が優しく降り注いだ。
唇を当て、僅かに口へ運んでみれば──
「んくっ……はぁ~。卍ナニこれ?……エモ尊い…」
その酒の名は、アイオライト。
遥か昔、海を圧する海賊達が羅針盤と呼んだ宝石。
舌の上では甘酸っぱく、ブルーベリーを思わせる果実の香りが広がり、喉に滑らせるとミントソーダの爽やかな刺激が踊り、鼻をくすぐる。
息をつくと、清涼なメントールがお腹の奥の方まで涼やかに冷やしてくれた。
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半分程残った酒を、おっさんに渡すテティス。
「もーチルい、あーし寝るから?」
歩くことも諦めたのか、体育座りのポーズでフワリと宙に浮き、
胎内の赤子のように目を閉じて自室の方へ漂い、居なくなった。
御相伴に預かったおっさんが残りを飲み干せば、
「あーこりゃ、サファイアが霞んだわ」
あれ程感銘を受けた島国の地酒をあっさりと上書きし、おっさんの胃袋にセーブされたのだった。
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「私も頂いても宜しいですの?」
パステルが手に取ったのは、ルベライト。
深く、紅い。異世界の夜空に浮かぶ月のようなその酒は、ハイビスカスをイメージするフローラルな香り。
しかし咥内に広がるのは芳醇な…赤ワイン。
ピリッとした辛味と、シュワシュワした発泡が後から追いかけてくる。
嚥下した瞬間、燃えるような酔いが全身を支配する。
「んん……お、オジサマ……わ、私ぃ~…はにゃ~~」
倒れ込んできた王女殿下を、慌てて受け止めるおっさん。
完全に脱力したパステルをお姫様抱っこすれば、
インフルエンザ並みに火照った躰から、フワリと漂う甘い薫り。
「テティスやパステルにゃーちっと強えかったんだっぺなぁ…上に運んで寝かしてくっからよ」
リリとトゥエラをそこに残して、王女の私室に運び入れ、優しくベッドに寝かせれば──
キュッとパステルの手に抱きしめられて、
プクッと膨らんだ唇に触れてしまった。
「んん~~……オジ…サマ……愛して…ます…わ」
呟いた後静かな寝息を立て始めたので──
「よし、何もなかったっぺね」
おっさんは地下へと戻るのだった。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
地下室まで降りてくると、パステルの飲み残しも半分程置いてあったので、卑しいおっさんがキュッと飲み干せば、
「かあぁ~~こりゃ凄え。ワインの飲みやすさで
酒精が高ぇ!パステルもぶっ倒れる訳だわ」
身体が風呂上がりみたいに火照って汗が吹き出す。
腰袋からチェイサーの水を出してコップに注ぎ、ガブガブと飲み、少し落ち着く。
「──リリはどれか試してみっけ?」
と見ると、残っていた5杯の酒が、何故かみんな一口くらいづつ減っている。
「うーーん!どれもおいっしいねー!
でもねー!タピミルクのーがおいしーよ!」
いつの間にか、トゥエラが全部味見したようであった。
「旦那様──できれば一緒に、少量づつ、
二人で一緒に味わっても良いでしょうか?」
可愛い顔で嬉しいことを言う。
隣同士で椅子に座って、舐めるような量を、交互に飲ませ合えば──
いつの間には二人は、艶やかな色のカクテルをお互いの唇で注ぎ合うのであった。
──トゥエラの気配は──とっくに消えていた。
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「旦那様?──パステルの唇も、奪ってこられたのですか?」
ドキッ!とするおっさん。
「い、いや違げぇんだっけ~、寝かせる時にくっついちまった、っつーかよ……」
愛を囁き合って間もない妻に、疑いを持たれてしまったおっさんは、慌てて事故であることを弁明する。
「──ふふ、冗談ですよ旦那様。」
ペロっと舌を出し、自分の唇を舐めるリリ。
メガネの奥の目はとても優しく、どこか悪戯っぽかった。
「あの子がいつか──自分から勇気を出した時には、 旦那様が受け止めてあげてくださいね?」
そんな事を言われて、そうなった場合のシュミレーションを、少しだけ頭に描いてみるが……
「いやいやいやいや……
あんな若けぇの無理だっぺよ……」
つい失言をするおっさん。
「──私は、オバサンですか?」
おっさん、二度目のドッキリである。
こういうところが、良くも悪くも『おっさん』なのであった。
「んなわけあんめ。おめさは異世界一めんごい嫁さんだっぺよ」
気がつけば、7つのグラスは綺麗に空になっていた。
気を遣っていたのか、姿の見えなかったビートルバーテンダーが、カウンターの奥に姿を現せた。
「カーネリアン、シトリン、ジェダイト、アクアマリン、スギライト」
リリの味見ばかりに気を取られて、5杯の酒の印象がおぼろげだったおっさんに、バーテンダーが並んでいた順番通りに酒の名前を教えてくれた。
そして空いたグラスがシャリンっと消えて、またイリュージョンタイムのようだ。
バーテンダーが両手をかざして、まるで並べた時のドラゴンボールみたいな感じで、七色のスパイスを空中で操る。
さっきよりも少ない──本当にごく少量だ。
そして、瞬きをしないように見ていたのだが、
フワッと一瞬で……
ピンク色の新しいカクテルが、二人の目の前に一杯だけ置かれていた。
「マスター、モッテキタスパイス、コレガシュータイセー、サメナイ、クサラナイ、クダケナイ、エターナルラブ、ピンクダイヤモンド」
と、言うだけで言ってバラっと虫モードに分解されて、カサカサと何処かへ消えていった。
「永遠の──ですか。そうですね、何時迄もお側に置いてくださいね」
リリが先に口に含み、「温かいですね」と漏らす。
おっさんも飲んでみて、驚く。
その酒は、熱かった。
甘さも、苦味も、香りも味もない。
じゃあお湯か?と問われれば──そうではない。
重い酒精と、煌めくピンク色に酔わされる。
普段であれば、旨すぎてキュッと飲み干し、おかわりを強請る所だが……この酒は、リリと二人でゆっくりと、分け合って呑みたい。
そんな気がした。
見れば、リリのメガネはすっかり曇って、瞳を見ることができない。
おっさんは両手でそっと、ソレを外してカウンターに置き、俯いて潤んだその目を見たくて、指で顎を持ち上げた。
この星がどれ程広いか知らないが、今だけは──
リリの顔しか見えなかった。
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