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第九章
第六十八話
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女神の放った神々しい光線は、八角堂の建物を突き抜けて天を黄金色に染め上げた。
住民達も、騎士も、王族達でさえも地に膝をつき──
その光景を崇めている。
──すると……
ポタリ。
パラ、パラ……
サァ────と、宙から雨粒が降り注ぎ、それを見上げたカリファールの民達の全ての顔を濡らした。
島国の民達は、最初ソレが何なのか分からなかった。
もう何十年という間、飲料水すらも他国からの輸入によって賄ってきた彼らは、『雨』を忘れていた。
「Oh……我らの……VENUS……」
オルテガの目から溢れた涙さえも洗い流してゆく慈愛の雨に──
店先のバケツにチタチタと溜まり始めた水に──
おっさんの作った手水舎から湧き出始めた聖水に──
砂埃を鎮めて湿ってゆく大地に──
島中から喜びの号泣が響き渡るのだった。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
渇ききってひび割れた大地に、急に緑が生えるわけもなく。
無惨に殺された子供達が生き返るわけでもない。
それでも──カリファールという島国は、神に赦されたのだろう。
もはや結婚式どころではない、国の一大事によって、八角堂の中には人影もなくなった。
ニッコニコ顔で謎のダンスを踊る女神と──
おっさんとリリとセーブルとシェリー、それから家族達以外には。
「パーパ!?雨とかどーでもいーし?
早く誓いのチュー見たいんデスケド~~!?」
テティスからのヤジが飛んで来る、屋根を跳ねる雨音のほか、静まり返った堂内。
先程の参拝の時に、心の中でしっかりと誓いを立てたおっさんであるが、改めて言葉にしろと言われると……顔が真っ赤になってしまった。
純白のウエディングドレスに包まれたリリを見れば──
メガネは真っ白に曇り、顔から湯気が出そうなほど赤面している。
『今日は機嫌が良い。特別にサービスしてあげるわ』
謎ダンスをやめた女神は、佇まいを直して二人を見つめる。
『汝らに祝福を──命尽きるその時迄──
──支え合い愛し合うことを妾に誓え──』
「「誓います」」
暖かくて優しい光が二人を包み込んで、最高の結婚式は、これにて幕を閉じる。──と思われた。
『それから──後ろの絶滅危惧種達よ──
ドワーフとダークエルフと……ハーフフェアリー?
なんとも変わった娘達よ、其方らも誓え──
そこなおっさんと子を成して種を守る事を──』
「ちっかうよ~!おとーさんに子供作って貰うー♪」
「ち////誓うし!?パーパとハーフダークエルフ産むし!?」
「……誓いますわ。勇者様を支え、子を成しますわ」
突然の花嫁の増殖に、顔を引き攣らせて固まるおっさん。
『──良い日じゃ。この家族に幸あれ──』
満足そうに鼻を鳴らした女神は、瞬きの間に閉じられた貝の中に消えていったのだった。
住民達も、騎士も、王族達でさえも地に膝をつき──
その光景を崇めている。
──すると……
ポタリ。
パラ、パラ……
サァ────と、宙から雨粒が降り注ぎ、それを見上げたカリファールの民達の全ての顔を濡らした。
島国の民達は、最初ソレが何なのか分からなかった。
もう何十年という間、飲料水すらも他国からの輸入によって賄ってきた彼らは、『雨』を忘れていた。
「Oh……我らの……VENUS……」
オルテガの目から溢れた涙さえも洗い流してゆく慈愛の雨に──
店先のバケツにチタチタと溜まり始めた水に──
おっさんの作った手水舎から湧き出始めた聖水に──
砂埃を鎮めて湿ってゆく大地に──
島中から喜びの号泣が響き渡るのだった。
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渇ききってひび割れた大地に、急に緑が生えるわけもなく。
無惨に殺された子供達が生き返るわけでもない。
それでも──カリファールという島国は、神に赦されたのだろう。
もはや結婚式どころではない、国の一大事によって、八角堂の中には人影もなくなった。
ニッコニコ顔で謎のダンスを踊る女神と──
おっさんとリリとセーブルとシェリー、それから家族達以外には。
「パーパ!?雨とかどーでもいーし?
早く誓いのチュー見たいんデスケド~~!?」
テティスからのヤジが飛んで来る、屋根を跳ねる雨音のほか、静まり返った堂内。
先程の参拝の時に、心の中でしっかりと誓いを立てたおっさんであるが、改めて言葉にしろと言われると……顔が真っ赤になってしまった。
純白のウエディングドレスに包まれたリリを見れば──
メガネは真っ白に曇り、顔から湯気が出そうなほど赤面している。
『今日は機嫌が良い。特別にサービスしてあげるわ』
謎ダンスをやめた女神は、佇まいを直して二人を見つめる。
『汝らに祝福を──命尽きるその時迄──
──支え合い愛し合うことを妾に誓え──』
「「誓います」」
暖かくて優しい光が二人を包み込んで、最高の結婚式は、これにて幕を閉じる。──と思われた。
『それから──後ろの絶滅危惧種達よ──
ドワーフとダークエルフと……ハーフフェアリー?
なんとも変わった娘達よ、其方らも誓え──
そこなおっさんと子を成して種を守る事を──』
「ちっかうよ~!おとーさんに子供作って貰うー♪」
「ち////誓うし!?パーパとハーフダークエルフ産むし!?」
「……誓いますわ。勇者様を支え、子を成しますわ」
突然の花嫁の増殖に、顔を引き攣らせて固まるおっさん。
『──良い日じゃ。この家族に幸あれ──』
満足そうに鼻を鳴らした女神は、瞬きの間に閉じられた貝の中に消えていったのだった。
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