DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート

みーくん

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第一章

第七話

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こんな化け物だらけの森だ。
おっさんは、酔ってはいたが油断はしない。

腰のえだで、ツンツンと少女の背中をつつく。
……だが、動かない。
息はあるようだが、反応はない。

どう見ても──幼女。
小……三くらいか?

おっさんはロリコンではない。
なので変な気は起きない。
一応社会人としての責任感はあるので、義務を果たすことにする。

うつ伏せの少女をそっとひっくり返し、
怪我の確認をするが……
目立った外傷は見当たらない。

プニプニした、普通の幼女だ。

左手に残った食いかけの焼き鳥を顔の近くに持っていく。

すると──

「ギュロロロロロロロ……」

……震源地はここだったようだ。

串から一切れ外して、
口元に当ててやる。

だが、口を開けるものの、噛む力がないのかアワアワしている。

仕方ない。

おっさんは、
酒と煙草の香りが染みついた口で──
その肉をある程度噛み砕き、もう一度、そっと少女の口に戻した。

ムグムグ。
そして……ゴクリ。

喉が動いた。

──どうやら、生きているらしい。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

喉に詰まらせてはいけない。
おっさんは水筒を腰袋から取り出し、
少しずつ、慎重に口元へ。

むせないように、
頭を抱えて、ほんの少しだけ──。

数口飲ませては休ませ、
それを何度か繰り返す。

やがて、少女はスゥ……スゥ……と
静かな寝息を立てはじめた。

おっさんは、そっと息を吐く。

とりあえず、連れて帰るか。

お姫様抱っこで少女を抱え、
二連梯子を後ろ向きに登る──
そう、“上昇ムーンウォーク”である。

「ポゥ!」

と、誰にでもなくつぶやいたあと、
デッキにたどり着き、少女を寝かせる。

上からそっと、
ケルベロスで作った毛皮の寝具をかけてやった。

森の風が、すこしだけ優しかった気がした。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

この森に来て、
初めて見た──“人っぽい”生き物。

しかも、幼女。

「……親どこだよ」

とぼやいてみたが、
階下の森には気配もない。

仕方ない。

最近ようやく完成した、
おっさん自慢の干し肉を、
小鍋に入れて煮込む。

そう──あれは数日前。

森でバランスボールを繋げたような化け物芋虫を
間違って草刈機で真っ二つにしてしまったところ──

なぜか、ドチャリと米が出た。

……まあ、異世界だしな。

一応ちゃんと水で研ぎ、
その米も一緒に鍋へ。

グツグツと、少し煮過ぎるくらいに炊き、
水を足し、しょっぱ過ぎないように調整。
ちょっとだけ砂糖も入れて、火を落とす。

夜風にあたりながら鍋を冷ます間、
おっさんは酒でほんのり火照っていた。

やがて──

モゾ……モゾ……

幼女が動いた。

おっさんは、スプーンを手に取り、
完成した一杯をすくい、そっと口元へ。

名付けて──
「特製カニ雑炊:離乳食風味」

口に入れると、
エアホッケーの玉みたいに、
少女の目が左右にキョロキョロと動き出す。

だが──

一拍おいて、
うっとりと目を閉じた。

……味は、気に入ったようだ。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

最初は弱っていたようだが…

結局土鍋一杯、全部食いやがった。

どんな幼女だ。

するとあっとゆうまに目がトロンとなり、
床に頭を打ちそうになったので…


「めんごくて仕方ねぇから…」

と、

以前特注で造らされた、「起きたくない君」

を腰袋から召喚する。

これは、厚み5ミリ程度の、
アンティークな天然木を、
釘を使わず、結束線。
(鉄筋コンクリートの鉄筋を編む為の針金)
で、縫っていき、完成した器に、
人をダメにするビーズクッションを複数嵌めた、…

「家族をダメにするビーズベッド」

を展開し、寝かしてやる。


なんだか分からんが、
異世界だ。

そうゆうこともあるのだろう。

作ったもの全てを喰われたおっさんは、

ゴロリと寝転がり、タバコと酒を楽しんで、今日を終えた。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

目が覚めると、幼女は居なかった。

しかし階下から…

「ふぎゅうぅ~」
とか
「うきゃあぁ~」とか聞こえた。

とりあえずコーヒーを沸かし、
ステンレス保温タンブラーに詰め、

余りをカップに注ぎ、
空を見上げ一服。

良い天気だった。

きーとかきゅーとかうるさいので、

下に降りると…

まぁまぁの巨木に斧が刺さり、
押しても引いても取れないの図。

が出来上がっていた。

「朝っぱらからせづねーうるせーこと」

おっさんは近寄るが、
警戒したり襲ってくる様子はなく、困ったようにモゴモゴと…

「bxjふぃひfけj」とよく分からない言葉を言っている。

おっさんはその斧に手を掛け、グイッと引っ張るが…抜けない。

まるで、木が怒ってるようだ……って、

本当にオコであった。

少し上を見上げると樹皮がグニャグニャ動き、

あれだ、般若。

ウロが吊り上がり、枝がツノみたいに伸び、
斧を噛み砕きそうになっている。


「んだこの…」

エンジンチェーンソーは、排気ガスが臭く、服も汚れるので、
充電式チェーンソーを出し、

「ギャリリリリイィィィィィィィィィィ!」

とぶっ倒して斧を救出してやった。

ほれ、と手渡すと…
口をパクパク、目がグルグルし、
ぶーと泡を吹いて倒れた。

「なんだっぺ?」

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

細めのタワマンを一棟解体し、
景観法的に見晴らしの良くなった森で、
幼女の口の泡を見て、カニを思い出すおっさん。
折りたたみ式アウトドアテーブルを広げ、
七輪をドン、と出し

カニ蛇肉をジュウジュウ焼いてゆく。

切り倒した般若の口から出た魔石を振ると、
チャポチャポ音がするので…
両手で捻ってみると、ガチャガチャのカプセルみたいに開いた。

中身は……今まさに欲しかった酢醤油だ。

霧吹き式の調味料入れに移し、焼けたカニにシュッシュと吹いて、パクリ。

朝からご馳走である。

特に予定のないおっさん。

こんな樹海で予定もクソもない。

朝から酒を楽しみ、焼きガニにうつつを抜かす。

幼女が起きてきたので手招きし、一緒に食う。
ホットミルクを沸かし、砂糖を塗してやり飲ます。

ほっぺが落ちそうである。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

身振り手振りと…

面白い顔と…

「xbうぃgートゥエラ」

というワードで

「トゥエラっちゅーのけ」

おっさんは事情を理解した。
樹海で一人で腹っぺらしいだという事だけ。

まぁ狭い部屋だが幼女一人くらいどうということはない。

「一緒に住むけ?」

と聞くとブンブン首を縦に振っていた。

「んだば、今日からここがおめの部屋だ。」
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