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第二章
第四話
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呑み足りんな…
トゥエラを車の後部座席に寝かしつけ、
陽の落ちた街灯もない港町をふらつく。
「しかしだな、この世界の貨幣皆無なんだよね…」
財布には万札、携帯にはペイ系アプリ。
でも異世界で使えるわけもない。
腰袋には、ドラゴンがくれた黄金の鎖があるが、
飲み屋ごと買うわけにもいかないので出せるはずもない。
酔って騒ぐ冒険者たちや
胸を強調しながらこちらを誘ってくる牛獣人の少女がこちらを誘ってくるが、先立つもののない俺は背中を丸め、
トボトボと歓楽街を通り抜ける。
「ムフフなシーサイドミッドナイト……」
⸻
歩き続けると海辺が見えてきた。
漁師たちの船が並ぶ護岸を抜けると、人の手の入っていない岩場。ショアブレイクの打ち付ける岸壁にたどり着く。
波飛沫のギリギリかからなさそうないい感じの岩に腰を下ろし、
ポケットから焼酎を取り出す。
ぬるい焼酎が、胃じゃなくて心に染みる夜だった。
靴の裏に石が挟まったままだったが、どうでもよかった。
暗い海の向こうにあるものは何も見えない。
でも、背中にはちゃんと帰る場所がある。
そう思ったら、またちょっと飲みたくなった。
⸻
薄暗かった空にかかっていた雲が少しだけ晴れ、
赤い月の灯火が辺りを照らす。
「星もきれいだなぁ…」
夜空を見上げて、ふと思う。
「こんなかに地球は…ないんだろうなぁ」
⸻
心残りは、少しあった。
発売間近だった150V充電式電動工具…
オートコンベックスとレーザー水準器が搭載された現場用保護サングラス…
太陽光発電機能付きヘルメット…
一瞬で高所作業と地上作業を切り替えられる作業用エアー竹馬…
「もっともっと特殊な現場で変な仕事してみたかった」
そうぼやいて、空になった容器をポケットにしまった。
「ま、異世界って現場も、だいぶ変だけどな」
⸻
「ふぁ…眠くなった…」
寝床へ戻りながら、明日をぼんやり考える。
「ここの貨幣、少しは稼いで……なにがしたいんだっけ?」
酔った頭で段取りを考えるが、特に思いつかないので、
トゥエラの横に転がる。
数秒で意識は落ちた。
⸻
トゥエラ:「見てください!枝垂れドラタンが満開に咲きましたよ!…Zzz…」
トゥエラを車の後部座席に寝かしつけ、
陽の落ちた街灯もない港町をふらつく。
「しかしだな、この世界の貨幣皆無なんだよね…」
財布には万札、携帯にはペイ系アプリ。
でも異世界で使えるわけもない。
腰袋には、ドラゴンがくれた黄金の鎖があるが、
飲み屋ごと買うわけにもいかないので出せるはずもない。
酔って騒ぐ冒険者たちや
胸を強調しながらこちらを誘ってくる牛獣人の少女がこちらを誘ってくるが、先立つもののない俺は背中を丸め、
トボトボと歓楽街を通り抜ける。
「ムフフなシーサイドミッドナイト……」
⸻
歩き続けると海辺が見えてきた。
漁師たちの船が並ぶ護岸を抜けると、人の手の入っていない岩場。ショアブレイクの打ち付ける岸壁にたどり着く。
波飛沫のギリギリかからなさそうないい感じの岩に腰を下ろし、
ポケットから焼酎を取り出す。
ぬるい焼酎が、胃じゃなくて心に染みる夜だった。
靴の裏に石が挟まったままだったが、どうでもよかった。
暗い海の向こうにあるものは何も見えない。
でも、背中にはちゃんと帰る場所がある。
そう思ったら、またちょっと飲みたくなった。
⸻
薄暗かった空にかかっていた雲が少しだけ晴れ、
赤い月の灯火が辺りを照らす。
「星もきれいだなぁ…」
夜空を見上げて、ふと思う。
「こんなかに地球は…ないんだろうなぁ」
⸻
心残りは、少しあった。
発売間近だった150V充電式電動工具…
オートコンベックスとレーザー水準器が搭載された現場用保護サングラス…
太陽光発電機能付きヘルメット…
一瞬で高所作業と地上作業を切り替えられる作業用エアー竹馬…
「もっともっと特殊な現場で変な仕事してみたかった」
そうぼやいて、空になった容器をポケットにしまった。
「ま、異世界って現場も、だいぶ変だけどな」
⸻
「ふぁ…眠くなった…」
寝床へ戻りながら、明日をぼんやり考える。
「ここの貨幣、少しは稼いで……なにがしたいんだっけ?」
酔った頭で段取りを考えるが、特に思いつかないので、
トゥエラの横に転がる。
数秒で意識は落ちた。
⸻
トゥエラ:「見てください!枝垂れドラタンが満開に咲きましたよ!…Zzz…」
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