DIYと異世界建築生活〜ギャル娘たちとパパの腰袋チート

みーくん

文字の大きさ
110 / 279
第六章

第十五話

しおりを挟む
大型路線バスが、

プシュー…と折れ戸を開く。

駅名は、冒険者ギルド スイングドア前。

おっさんが事情を説明しようと、
受付嬢リリの元へ。

理解の早い彼女は、
乗客を一通り見て、ライオンギルドマスターの元へ。

未だ混沌としている奥の会議室から…

野球チームライオンズマスコットホワイトタイガーのように真っ白になったギルマスが現れ、

彼の方が死にそうなので、他を当たってくれ。

という目で訴えられたので、
他の知人…と浅慮し、教会へ向かった。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

ガタポコと石畳を揺らしながら、
バスはゆっくりと減速する。

「次は~、光る女神像前~、お降りの方は……って誰も起きとらんか」

乗客たちは疲労と安心からか、まだ目を覚まさない。

おっさんはトゥエラとテティスを連れ、そっと車外へ降りた。



教会の門を開けた瞬間──

中から、燃えるような髪と剛腕を振り乱しながら

「あぁあ~~あぁ~~ん! ウルトラ・ハレルヤ~~ッ!!」

と、讃美歌ともオペラともメタルともつかないシャウトが響く。

聖母ポーネポセイドンである。

礼拝堂の天井が震えていた。



その傍らには、すっかり“シスター”らしい姿になったエミリー。
かつての貧民くずれのようなボロ服は、
地味ながらも丁寧に整えられた白い法衣へと変わり、
髪もきちんとまとめられ、清楚な空気をまとっていた。

……おっさんは一瞬だけ、「誰だっけコレ」って顔をした。


ライブ聖歌が終わると、前に置かれた棺桶ギターケースにライスシャワーのようなお布施チップが舞い、

信者ファン達が捌けるのを待って、
ポーネに事情を説明する。

してるのは、一緒に乗り込んできた受付嬢リリだ。

おっさんは、今夜のラーメンの具材と味付けをどうするかで憂慮しており、

真剣に焼酎を啜っている。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

ポーネはさすがに神職で、
直ぐに休ませてあげましょう、と協力してくれ…

乗客を大聖堂の長椅子へ運んでくれた。

この長椅子だが…

実は個々に分かれており、
見た目ではただのベンチなのだが、

それはまるで、健康センターのリクライニングシートのように…オットマンも立ち上がる。

ゆったりと寝かされた被害者サウナー達に、

気前のいい奥の女神像が発光し、
神聖な霧スチームサウナを展開し、

なんならお香っぽい煙まで吹き出し…

おっさんの焼酎が乏しくなった頃には、

全員が目覚め、全てを、取り戻し、整ってていた。

バスの乗客達は、皆々で手を取り合い、抱擁し、
慰め合い、この場に居ない人を悲しみ、

──それでも笑った。

そうこうしていると、前に見たような鎧男たちが大勢現れ、
サ~ソ までいそうなセバスチャン的な執事服達が乗客達を保護、誘導し消えていった。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

奇跡を見慣れているポーネ達でさえ、

女神像がスパ効果を出すのには驚いたらしく、改めて祈りを捧げていた。


おっさんも…

ポーネとエミリーの間に跪き、祈った。

「今日は担々麺が食いてかったんだっぺよぉ」



刹那…



女神像は優しく微笑み…

おっさんの前に、山盛りのスーパーのカゴを、フワリと顕現した。


大喜びしたおっさんは、腰袋から、以前作業服屋で売っていた、工務店の忘年会で利用した
薄桃色のナース服を取り出し、
お礼に着せてあげた。

コンクリート強度検査にもつかう聴診器も首に掛けてあげ、
電動工具使用時に必要な保護メガネも、
縁が赤く少し斜めで、おっさんには似合わないのでかけてあげる。

ホクホク顔でカゴを抱え帰路に着くおっさん家族。



その後方には…

どう見ても如何わしいナースの女神像が、
頬を染めてカルテのような石板を持っていた。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

処理中です...