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第七章
第三十話
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かつては巨大な穴の底にあり、
亡霊のように、
生気のない住人が徘徊していたホビット族の都市は、
今や人族だけに収まらず、獣人、巨人、羽や鱗のある多種多様の種族達が活発に街を闊歩し、
活気もあり、それなりに騒動や諍いもあるのだろうが…
「ば行」以外の雑踏が街に溢れていた。
おっさんたちは、
街中を走るトラックを徐行しつつ、
人をはねぬよう細心の注意を払って、冒険者ギルドの裏手にある大きな倉庫兼処理場へと乗りつけた。
すると、上階の窓から見ていたかのように…
いつ見ても軍服が似合いそうなギルマスが、螺旋階段をドカドカと駆け降りてくる。
おっさんより、頭一つ半くらい大きく、
服の上からでも解る、ムキムキの、強そうな外人が、
両手を揉み合わせて擦り寄ってくる…
嘘ばかりつく営業職のような、
薄気味悪さを覚えたおっさんは、
「普通にしてくんちぇ」と一括すると…
掘りの深い顔を赤て、
「ご…ご苦労だった。」と、態度を改めてくれた。
「そ…それで成果の程は?」
と、空のトラックの荷台と手ぶらのおっさんを見回し、
不安そうなギルドマスター。
おっさんはフレコンバックを腰袋から引っ張り出して、中身を披露する。
殆どの魔物は綺麗に解体されており、
おっさん家族にとって有益な魔石は抜かれ、
食肉や、装備の素材となる皮や牙、ツノ、骨など…
A型のおっさんらしく、細かく分類された袋を
倉庫の隅から几帳面に並べ始めた。
どよめく群衆…と、
喝采を挙げる職人達。
はっきり言おう。
この十日程度の旅路で、おっさん達が狩り、集め…
ギルドに搬入した食材、素材類は……
新築されたばかりのこの冒険者ギルドの備蓄用倉庫に、
半分も入り切らない量だったのだから…
冒険者ギルドの地階は、
熱を持たない、通さないストーンウッドの密室により、
壮大な氷室となっている。
そこへ、ギルマスや受付嬢たちの号令により、
見習い~中級冒険者達が一同に列をなし、種類別に素材を運び始めた。
だが、一部……このお祭り騒ぎを面白く思わない、
腕っぷしの立つ冒険者チームの面々は…
併設された酒場の椅子にふんぞり返り、
おっさん家族を、射殺すような目つきで見ていた。
無邪気なトゥエラと、ノリノリのテティスはさておき、
関係者であるリリは、機敏に事態を察知し、
つまらない諍いが起こらぬようにと、
ギルマスに進言する。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
おっさん達の帰還と、その桁違いの成果は——
瞬く間に街中へと広まり、
まるで建国祭でも始まったのかと錯覚するほどの、
大騒ぎとなった。
だが、何よりも脚光を浴びたのは……
思いも寄らぬ一品——グリーンカレーであった。
あの、芋虫うごめく田んぼで収穫した米の中には、
煮込まれたルゥに浸されたサフランライスもあったのだ。
それを一口食べた町長の、涙ながらの食レポを聞いた民衆は……
全ホビが泣いた。
「ヴァベヴァヴェヴォ……ヴィヴォビバボフバブ!!」
ブロッコリーのような深緑ホビットも、
アロエみたいな若緑ホビットも——
もう我慢できなかった。
街が揺れるほどの喝采が、空へと弾け飛んだ!
亡霊のように、
生気のない住人が徘徊していたホビット族の都市は、
今や人族だけに収まらず、獣人、巨人、羽や鱗のある多種多様の種族達が活発に街を闊歩し、
活気もあり、それなりに騒動や諍いもあるのだろうが…
「ば行」以外の雑踏が街に溢れていた。
おっさんたちは、
街中を走るトラックを徐行しつつ、
人をはねぬよう細心の注意を払って、冒険者ギルドの裏手にある大きな倉庫兼処理場へと乗りつけた。
すると、上階の窓から見ていたかのように…
いつ見ても軍服が似合いそうなギルマスが、螺旋階段をドカドカと駆け降りてくる。
おっさんより、頭一つ半くらい大きく、
服の上からでも解る、ムキムキの、強そうな外人が、
両手を揉み合わせて擦り寄ってくる…
嘘ばかりつく営業職のような、
薄気味悪さを覚えたおっさんは、
「普通にしてくんちぇ」と一括すると…
掘りの深い顔を赤て、
「ご…ご苦労だった。」と、態度を改めてくれた。
「そ…それで成果の程は?」
と、空のトラックの荷台と手ぶらのおっさんを見回し、
不安そうなギルドマスター。
おっさんはフレコンバックを腰袋から引っ張り出して、中身を披露する。
殆どの魔物は綺麗に解体されており、
おっさん家族にとって有益な魔石は抜かれ、
食肉や、装備の素材となる皮や牙、ツノ、骨など…
A型のおっさんらしく、細かく分類された袋を
倉庫の隅から几帳面に並べ始めた。
どよめく群衆…と、
喝采を挙げる職人達。
はっきり言おう。
この十日程度の旅路で、おっさん達が狩り、集め…
ギルドに搬入した食材、素材類は……
新築されたばかりのこの冒険者ギルドの備蓄用倉庫に、
半分も入り切らない量だったのだから…
冒険者ギルドの地階は、
熱を持たない、通さないストーンウッドの密室により、
壮大な氷室となっている。
そこへ、ギルマスや受付嬢たちの号令により、
見習い~中級冒険者達が一同に列をなし、種類別に素材を運び始めた。
だが、一部……このお祭り騒ぎを面白く思わない、
腕っぷしの立つ冒険者チームの面々は…
併設された酒場の椅子にふんぞり返り、
おっさん家族を、射殺すような目つきで見ていた。
無邪気なトゥエラと、ノリノリのテティスはさておき、
関係者であるリリは、機敏に事態を察知し、
つまらない諍いが起こらぬようにと、
ギルマスに進言する。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
おっさん達の帰還と、その桁違いの成果は——
瞬く間に街中へと広まり、
まるで建国祭でも始まったのかと錯覚するほどの、
大騒ぎとなった。
だが、何よりも脚光を浴びたのは……
思いも寄らぬ一品——グリーンカレーであった。
あの、芋虫うごめく田んぼで収穫した米の中には、
煮込まれたルゥに浸されたサフランライスもあったのだ。
それを一口食べた町長の、涙ながらの食レポを聞いた民衆は……
全ホビが泣いた。
「ヴァベヴァヴェヴォ……ヴィヴォビバボフバブ!!」
ブロッコリーのような深緑ホビットも、
アロエみたいな若緑ホビットも——
もう我慢できなかった。
街が揺れるほどの喝采が、空へと弾け飛んだ!
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