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魔王国アディス~アライズ連合国
準備期間七日目④
しおりを挟む魔王国アディス
魔王城 執務室
とりあえず泣いちゃっているハルト君を放置して話を進める。
「………それでだ」
「「「いやいやいやいや」」」
「それはレオが可哀想じゃないかな」
「さすがに放置はないだろう」
「トーイチさん………」
うむ、安定のツッコミである。
しかしアレだ………『ハルト』は『レオ』って呼ばれているのか…。
「………………」
そんな格好良い愛称はもったいない。『ハルト』で十分だろ。
「ソコは『ハルト』でも別にいいけれど…」
「「リディアさんっ!?」」
だろ?十分だよな。
「シクシクシクシク…」
お前はいい加減泣き止め。
結局、呼び出されて執務室に来てから、何の話も進まずに一旦休憩となった。
俺のせい?いやいや、絡んできたハルトが悪いんだよ?俺じゃなくて先輩だったら無言で殴ってるレベルだよ?
つまり俺のせいではない。
むしろ怪我の一つもしていないのだから感謝してくれてもいいレベル。
そんなことを考えつつソファーに座り、出されたお茶を啜る。
ルシファス、リディア、マサシも同じくお茶を飲んでいた。
ちなみにハルトは別室(先ほど出てきた扉。やはり資料室だった)で連れの執事さん(羊の獣人)に慰められているらしい。
獣王Jr.………そんなメンタルでいいのか?
~~~~~~~~~~~~~~~~
一息ついてお茶のお代わりが出された頃…。
資料室の扉が開かれた…。
『ガチャ』
「おいっ冒険者っ!調子にのるなよっ!」
「「「………………」」」アイター
開口一番コレである。
さっきのことは忘れたのか、無かったことにしたのか知らんが…。
ルシファス、リディア、マサシも手のひらで額を押さえてアイターのポーズである。
「………………」フー、ヤレヤレ
そして俺は肩を竦め首を振る。
もちろん、この後…
『結界』
結界を展開しハルトを囲む。
今度は半透明の磨りガラス風にしてみた。
「ぷっ………警察二十四時間みたいだな」
「ぶはっ」
「「………………?」」
俺の呟きはマサシには受けたが二人には分からなかったみたいだ。それもそうか。
二人が知っているワケがない。
「………さて」
磨りガラス風の結界を横目に俺は話を進める。
今度は三人とも何も言わず、俺の次の言葉を待つ…。
俺は一呼吸おいて…
「………………チェンジで」
「ですよねぇ」
「だよなぁ」
「そうよねぇ」
満場一致である。
~~~~~~~~~~~~~~~~
結界を解除して、泣いちゃっているハルトを執事さんが首トンで気絶させ引きずっていくのを見届けてから、話し合いを再開。
全員ソファーに座り…
「ふぅ………………執事さんの方が強いんじゃない?」
「………ですね」
「………そうだな」
「………みたいね」
「「「「………………」」」」
「「「「見なかったことにしよう…」」」」
満場一致である。
「そもそも、何でハルトだったんだ?王国に入るのに獣人は駄目なんじゃないか?」
俺の質問に答えたのはリディア。
「私の魔法で何とかしようとしたのよ。まあ出来なくはないしね…。ただ…」
同族を拐われて激昂している獣王が無理矢理押し通したと…。
………あれ?
「魔王国で人員出すんじゃなかったっけ?」
「………諜報部以外に適任がいなかった。無理矢理当て嵌めると………従姉さんなんだ…」
「………それは駄目だな…」
ヴィーネさんが来たらもれなく先輩も付いてくる。調査とか言ってる場合じゃなくなってしまうからな。
「獣人とドワーフは駄目だろ?エルフはどうなんだ?」
「魔法は使えるんだけど…」
「だけど?」
「ずっと使える子はいないのよねぇ…」
エルフは狙われやすいため、それこそ二十四時間人化の魔法を使い続けなくてはいけない。
そもそも獣人と併せて狙われているのだから万が一を考えればアライズとしては出せない、と…。
じゃあ何でハルトを出してきた?
エルフとしてはやはり同族が拐われていることもあり、叶うならば人員を出したいらしい。
ソコは調査後の本隊で本気出す!とのことでまとまったとかなんとか…。
となると…
「じゃあ帝国からなのか?」
「ですね。戻ったら直ぐ選定します」
こうして結果、調査隊の人員の決定はならず。マサシにお鉢が回っただけになった。
しかし…
「………………最初にこの辺の話、出来ただろ?」
「「「………………あはははは」」」
全員目を逸らしたのは見逃してやることにしよう。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
ハルト=退場
執事さん=ツオイ
磨りガラス風=なんとなく
チェンジで=チェンジと言える日本人
獣王Jr.ハルト君退場。
せっかく名前考えたのに…。
とりあえず七日目は終了です。
次回もよろしくお願いします。
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