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アライズ連合国~ポークレア王国
龍は廻り橋を架ける③
しおりを挟むポークレア王国
初級ダンジョン『ウァーアンダーの神殿』前
「こういうのも良いわねぇ…」
そう宣うのは、購入したリクライニングチェアを全開に倒し、ソレに身を沈めるリディア・フォン・エルフリア。
何故か、既にサングラスも装備済みである。
………いや、買ったのは俺だけれども…。
もちろん、俺も既に装備しているのは言うまでもないだろう…。
いや、サングラスだけではない。
テーブルにパラソル………両方で一万五千円。レート十倍で金貨十五枚である。
………リクライニングチェアと合わせると結構したな…。
まあいい…。
『ズズズ…』と綺麗な青色のドリンクをストローで啜るリディアさん。
美人さんは何しても様になって良いですね。
しかし…
そう!しかしである。
………戦闘中なんだよなぁ…。
………リュウジが…。
「おい、リディア………まだ戦闘中だぞ。気ぃ抜くなよな」
「………………トーイチには言われたくな~~~い」
ですよねぇ~…。
そう言われつつ、追加で購入したサングラスを『クイッ』と中指で直し、『ロックウォールプリズン』内のリュウジVS『暫定:誘拐犯一味』に視線を移す。
紙一重………と見せかけて、攻撃を余裕で回避するリュウジ。
余裕が失くなってきたリーダー格の男がリュウジにミドルキックを放つ。
コレも余裕で回避するのだろう…と思っていると…
『ニヤリ…』
リュウジの口角が少し上がる…。
今、アイツ笑ったか…?
『ガシィッ…』
そして避けると思っていた右ミドルキックは左腕でガードしたあとに素早く抱え込むような形になる。
アイツ………まさか…
次の瞬間…
リュウジは抱え込む相手の右足の下に自身の右腕から回り込むように身体ごと回転する。
「ぐわぁぁぁっ!!」
「ドラゴンスクリューだとっ!?」
リーダー格の男はリュウジの回転に少し遅れるように回転しダウ………ゲフンゲフン………倒れ込んだ。
俺はリュウジがドラゴンスクリューを使用したことにリクライニングチェアから思わず立ち上がってしまっていた。
恐らく………というか絶対にだろうが先輩が仕込んだ?教えた?であろうプロレス技に俺の魂が揺さぶられる…。
「(俺も今度使おう…)」
俺のプロレス熱がちょっと上がっている中、岩の牢獄内では…
「ぐうぅ………」
右膝を押さえて痛んでいるリーダー格の男に…
「おいおいおい…」
「何だ?今のは…?」
見たこともないドラゴンスクリューというプロレス技にザワつく一味。
そらまあプロレス技なんか知らんわな。
そしてリュウジは…
リーダー格の背後に回り、痛んでいるのはお構い無しに羽交い締めにして引き起こす。
いや、相手の後頭部の辺りで自分の両掌を組んでいるから、プロレスで言うところのフルネルソンだな…。
俺はここで次の技を察した。
フルネルソンで極められているリーダー格の男は…
「ぐうっ………は、放せっ!」
抵抗を試みるもガッチリ極められているし、膝も痛んでいるしで、フルネルソンから逃げることはできない。
リーダー格の男がリュウジより頭一つ大きいことから、引き起こされた状態は少し不恰好ではあるがリュウジにはその状態でも関係無かったのだろう…。
「せぇ~~~………のぉっ!!」
「ぅわあぁっ!?」
『スドンッ!!』
フルネルソンの状態から勢いよく後方へ。所轄ドラゴンスープレックスである。
そこには見事な龍の架け橋が存在した…。
「お………おぉ………」
俺はさらに魂が揺さぶられていた。
「(やるな………リュウジ)」
見事なブリッジから立ち上がるリュウジ。
リーダー格の男はでんぐり返しの途中のような無様な状態で気絶。
そして見たこともないプロレス技に沈黙する残りの男たち。
大勢は決した………と言って良いのではないだろうか…。
そしてリュウジは自分のアイテムバッグから黒い大剣を取り出し、男たちに突き付ける。
「さて………お前らはどうする?」
獰猛な笑みを浮かべ、そう言い放つ…。
リーダー格の男との戦闘で何のダメージも受けずに見たこともない技で圧倒し、今まで素手だったのに今から大剣を持って戦闘ですか?
一味の男たちはそんな表情を浮かべ全員が土下座した…。
ちなみにリュウジのプロレス技に俺が魂を揺さぶられている時、隣のリディアさんは『スン…』と無表情であったのは秘密である。
魔術師系女子にはプロレス技は理解されないようだ…。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
神殿前の戦闘終了。
サブタイの謎はドラゴンスクリューとドラゴンスープレックスでした。
当て字や無理矢理な感じなのはご勘弁を…。
次回、戦闘後の後始末?編。
次回もよろしくお願いします。
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