異世界召喚されました……断る！

潜入！ポークレア王国！！

ｅｐ．２ 潜入side：トーイチ⑥

 
 ポークレア王国
『セイト』


 奴隷商人に雇われている運び屋の男たちを追った先のお店で飯を食べ終わったら張飛が現れた。
 
 ちょっと何言ってるか分からないが事実マジである。
 いや、容姿が某無双ゲーにそっくりなだけで別人かもしれない…。
 しかし、俺のサイドエフェク…ゲフンゲフン、俺の勘がアレは張飛だと言っている。

 もともと三國志の武将が関わっているんじゃないかと疑念を持っていたワケだが…

「おらっ、お前めえらっ、早く嬢ちゃんのトコ行くぞっ！」
「ちょっ！？『ヨク＝トク』さん待って…まだ食い終わってねえからっ！」

『ヨク＝トク』さんねぇ…。
 十中八九、張飛だと思っていたが………九分九厘、張飛だなぁ…。

 ………となるとだ…。

 ほぼ確実に…

 



『他』にも『いる』だろう…。




 噂じゃ数年で農村が街にまで成ったんだったか…。
 俺の知っている張飛のイメージじゃあ、そんなことは絶対に無理だ。
 いや、実は張飛も頭が良かったとかワンチャンあるかも知れないが………チラッと今店内にいる『ヨク＝トク』を見る限りはないだろう…。

 ………頭にちらつくのは扇子？を持った『伏龍』の異名を持つ人物…。
『鳳雛』の可能性もあるけれど…。

 そんなことを俺が考えていると…

「ああっ！？ちょっ………『ヨク＝トク』さん、俺らの飯っ！？」
「うるせぇっ！早く食って行くぞっ！」

 ガツガツと運び屋たちの食べ物を口に放り込む『ヨク＝トク』と言う男。
 運び屋たちも負けじと残っている食べ物を口に放り込み始めた。

 あっという間に食べ終わり、残っていた酒を一呷り…

「プハァ………おらっ、行くぞっ！」
「ちょっ！？払い、俺らかよっ！？」

 う～～～ん………がさつ…。
 アレだな………あの男が張飛だとしたら、凄いイメージ通りだな。

 そして…
 俺は、このコーヒーをゆっくり飲んでからマーキングを追えば良いか…。
 恐らく………というか、どうせ『タイシュ』のところに行くんだろうし？

 ………いや。
『嬢ちゃん』………のところ………と言っていたか？

『嬢ちゃん』………誰かの娘………とかか？
 俺が知っている限りで、そう呼ばれそうな人物は蜀にはいないと思うんだが…。

 運び屋の男たちも『嬢ちゃん』のところということに何の疑問も持っていない………ということは知っているということだろうか…？
 
 雇い主である奴隷商人でもなく、『タイシュ』でもなく、『嬢ちゃん』………駄目だ、全っ然分からん。
 まったく繋がらないんだけれど…。

 頭を捻り、う～んと悩みながらコーヒーを一口。
『高速思考』のおかげで結構考えたりしても、現実には大して時間が経っていない。

「早くしろっ！」

 そう言いながらバンッバンッと運び屋の背中を叩く『ヨク＝トク』に…

「痛いてえっ、痛いてえからっ！？今アイツが払ってるからちょっと待ってっ！？」 

 もうアレだな………イジメられてるのかなんなのか、よく分からんな…。
 まあ、嫌がってるワケじゃなさそうだし？弄られてる………が正しいか？

 コーヒーも残り半分程度。
 これ飲み終わったら丁度良いくらいかな？………そう思っていた俺の状況は、突然変わる…。





「お～い………さっきからこっち窺ってるお前めえも行くぞ？ウチの軍師さまがお呼びだ」





 何故、バレてるし…。



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がさつオブがさつな『ヨク＝トク』さん。
たかられる運び屋さん。
そしてバレてる主人公。
次回もよろしくお願いします。