異世界召喚されました……断る!

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潜入!ポークレア王国!!

ep.3出会いと出会いsideリュウジ④

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 ポークレア王国
『テンダーロ』
 領主館二階


 兵士控え室をあとにした俺は再び気配を薄くしながら領主館二階を探索。
 …と言っても探すのは隠し通路、隠し部屋の類いなのだが…

「(怪しい部屋も無く、入口らしき箇所もない…。しかし…)」

 歩いていると不自然に長い廊下…。

「(途中に扉もない…壁だけの廊下って怪しいだろう…。それに…)」

 この辺りはオークション会場の上辺りじゃないか?

 そうは思っても入る場所か見つからないんじゃなぁ………と思っていると、オークション会場内であろう下方から魔力の高まりと…
 
『ドガガァッ!!』

 破壊音とそれによる振動…瞬間…

「(チャンスッ!!)」

『ソレ』が収まる前に俺はグラディマーグを取り出し、廊下の壁を叩き切る。

『キンッ………………ズズズ…ズン…』

「………見つけた…」

 切れた石造りの壁がズレ、俺の前に表れた部屋。
 そこはオークション会場を上から見下ろすことのできる部屋だった。
 そして…

「………………」

 そこには、突然部屋の壁が破壊されたことで言葉を失っている上等そうな服を着ている男…

 テンダーロ領主『サーロイ・フォン・テンダーロ』伯爵が椅子に座ったまま目を見開き、こちらを見ていた…。

 証拠になりそうな書類やらなんやらを探していたんだがな…。まさかここで、この奴隷売買の大元であるであろう最重要人物を見つけることが出来るとは思わなかった…。

 コイツを見逃す手はない…。

 俺はグラディマーグを右肩に背負い、『ニヤリ』と口角を上げ、サーロイを見下ろす…。

 一拍遅れ、反応するサーロイ。

「………な、ななな何だ貴様はっ!?」

 サーロイのその言葉に反応して遅れて動く、護衛であろう二人の騎士。
 サーロイの前に立ち、剣を鞘から抜き放ち、俺へと向けてくる…が…

「………おせえよ…」
『フォン…』
 
 右肩に背負ったグラディマーグを袈裟に振り下ろす。
 こちらに向けられた剣も鎧もまるで関係が無いと言わんばかりに、グラディマーグは二人の騎士を切り裂く。

「ひいっ!?」

 情けない声を上げ、椅子から転げ落ちるサーロイ伯爵…。
 
『ブンッ…』

 俺はグラディマーグに付いた血糊を払い、再び右肩に担ぎ、サーロイへと一歩、二歩と近付く。

「ひいっ!?」

 バタバタと手足を動かし、四つん這いで俺から距離を取ろうとするサーロイ。
 しかし直ぐに壁まで追い詰められ、座り込んだままこちらに振り向く。

「な、何なんだ貴様っ!?金…金か?………ならば、いくらでもくれてやるっ!だか」『ズガンッ!!』「うひぃっ!?」

 サーロイの顔の直ぐ横の壁に、グラディマーグを突き刺す…。

「………だから助けろ。………か?」

『コクコクコクコク…』

 すでに涙と鼻水にまみれた顔を上下に動かし懇願する男に俺は…

「………とりあえず…洗いざらい、全部吐いてもらおうか…」

『助けてやる』とは一言も使わず、そうサーロイを見下ろしながら言い放った…。

 

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


『出会い』というより『遭遇』。
大物感の欠片も全く無い領主を確保。
次回もよろしくお願いします。
 
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