追放された聖女はざまあなんてしません!!その代わり騎士団長がします。

京月

文字の大きさ
6 / 8

二人の関係

しおりを挟む
「ねぇ、なんでここにいるの?」


 私は冒険者ギルドを出た後歩いて三十分のところにある小さな一軒家に向かった。

 ここは冒険者ギルドが提供してくれた家でかなり格安で住まわせてくれる。あまり持ち合わせがなかったので本当に感謝しているのだが今目の前の状況によってその感謝が薄れていた。



「いやーそのー」


 先程別れたグレードがそこにはいた。


「宿屋に行ったんだよね?」


「宿屋には行った。けどこの国でジリオン王国の通貨が使えないことを知らなかったんだ」


 グレードは本当に馬鹿だ。そのくらいは一般常識だろ。あれ?


「この国の通貨持ってなくてどうやってこの街に入ったのよ?検問で通貨払わないといけないでしょ」


「それはあれだよ、壁をぴょーんと飛んで越えて来た」


「はぁ!?この城壁何メートルあると思って…それが出来るから騎士団長にまでなれたのね」


 いちいち驚いていても仕方がないので納得することにした。


「それでなんでここにいるの?」


「俺今泊るところがないからさ…できれば泊めて欲しいなって」


 本当にも仕訳けなさそうに笑うグレード。仕方ないので私は一日だけ宿泊を許可した。


「ありがとう!今日は俺が夕食を作るよ」


 私はグレードにお金を渡し食材の買い出しに行っている間にお風呂に入りながら今日の疲れをとる。

 私がお風呂から出た時にはグレードは家に戻っており夕食の準備をしている。


「出来た!」


 テーブルにはグレードが作った豪華な料理が並んでいる。


「おー」


「なんか反応薄くない?」


「ちゃんと感心してるよ。私料理できないし」


「そうなんだ。それならこれから俺が作ってあげるよ」


「それはいい」


 私は席に着き料理を食べ始める。グレードが作った料理は見た目だけではなく味も良かった。


「美味しかった。ごちそうさま」


 グレードがお風呂に入っている間私は寝る支度をする。しかし問題が一つあった。この家にはまだ来たばかりなので来客用のベットが用意されていない。


 あるのは寝室のベット一つだけ。


「さすがに大丈夫だよね……」


 私はお風呂上がりのグレードにベットが一つしかないことを伝えるとなら一緒に寝ようとふざけながら提案してきた。

 この笑顔は私をからかう時にする笑顔だ。癪に障った私はその提案を受け入れた。

 そして私とグレードは今同じベットで寝ている。



「…ねえグレード」


「なに?」


「あんた本当は何のために騎士団団長を辞職してきたの?」


「どういうこと?」


「私の為に辞めて来たなんて嘘でしょ。本当のことを教えて欲しい」


 お互い背中合わせで寝ていたがグレードは向きを変え私の耳元口を近づける。


「カーナの為に辞めて来たのは本当だよ。そこに嘘偽りなんてない、それを今から証明する」


 グレードは起き上がり私に馬乗りになるような姿勢になる。


「嫌なら言ってくれ」


「…」


「ありがとう」


 私たちはその日眠れない夜を過ごした。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。 再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。 妻を一途に想い続ける夫と、 その想いを一ミリも知らない妻。 ――攻防戦の幕が、いま上がる。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

偽りの呪いで追放された聖女です。辺境で薬屋を開いたら、国一番の不運な王子様に拾われ「幸運の女神」と溺愛されています

黒崎隼人
ファンタジー
「君に触れると、不幸が起きるんだ」――偽りの呪いをかけられ、聖女の座を追われた少女、ルナ。 彼女は正体を隠し、辺境のミモザ村で薬師として静かな暮らしを始める。 ようやく手に入れた穏やかな日々。 しかし、そんな彼女の前に現れたのは、「王国一の不運王子」リオネスだった。 彼が歩けば嵐が起き、彼が触れば物が壊れる。 そんな王子が、なぜか彼女の薬草店の前で派手に転倒し、大怪我を負ってしまう。 「私の呪いのせいです!」と青ざめるルナに、王子は笑った。 「いつものことだから、君のせいじゃないよ」 これは、自分を不幸だと思い込む元聖女と、天性の不運をものともしない王子の、勘違いから始まる癒やしと幸運の物語。 二人が出会う時、本当の奇跡が目を覚ます。 心温まるスローライフ・ラブファンタジー、ここに開幕。

冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています

放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。 希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。 元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。 ──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。 「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」 かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着? 優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。

処理中です...