王子に買われた妹と隣国に売られた私

京月

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第八話

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 怒涛の展開を見せた2試合を終え決勝戦はスペード王国ダカvダイヤ王国ヴォルで行われることになった。

「これはジーク・ダイヤ様私になんの御用でしょうか?」

 
 ジークは今ユリ・ジョーカーと二人きりで対面している。


「別に用というほどでもない。僕はお互い正々堂々悔いのないよう戦おうと伝えに来ただけだ。くれぐれも呪いなんていう姑息な手段に頼らないよう忠告しておく」


 ジークはそう伝えるとすぐにユリの前から平然と立ち去って行く。しかしユリはそうではない。額に汗かき拳を力いっぱいに握りめている。


 なんで私がリリアに呪いをかけた犯人だと知っているの?まさかやつが裏切ったか…これはまずい。


「お待ちになってくださいジーク・ダイヤ様。私と一つ勝負をしませんか?簡単な勝負です。どちらの代表選手が勝利するか」


「ほぅ…もし僕が勝ったら何かあるのかな」


「もしジーク・ダイヤ様が勝ったら私は自首をします。もちろんリリア・ジョーカーにかけた呪いの首謀者ということでです。しかし私が勝ったらジーク・ダイヤ様はリリア・ジョーカーの呪いのことと今回の勝負に関して一切他言しないことをお約束願していただきたいのです」


「いいでしょう。その勝負乗りました」



 ユリはサリウスのいる観客席に戻ると緊張で渇いた喉を潤す為にジュースを一気飲みする。

 
 大丈夫負けるはずがない。ダガの実力は本物、それに加えてもしもの時用に神経毒が塗ってある針を持たせてある。負ける可能性は極めて低い。だがユリは遠くで座っているジークの余裕が無視出来なかった。


 遂に決勝戦が始まる。入場したダガとヴォルは互いに武器を構える。先手を取ったのはダガだった。


「ふん!!!」


 ダガが降った棍棒はヴォルに難なくかわされてしまうがそのまま地面を叩きつけ半径数メートルの地面を大きく凹ませる。一撃食らうだけでも致命傷は避けられない攻撃を何度も放つダガ、しかしその攻撃はヴォルを捉えることが出来ない。


「ちょこまか逃げるんじゃね!!!」


 ダガはゴルフのように棍棒を振り無数の土の塊をヴォルに飛ばす。ヴォルはこれを横に移動して回避するがそれを予想したダガの真上からの全力の振り下ろしをもろに食らってしまう。


「雑魚が…!?」


 勝利を確信したダガだったが全力の一撃は交差された双剣のカードに受け止められていた。


「もう十分でしょ。」


 ヴォルは目にも止まらぬ剣戟がダガを襲う。そのスピードは光剣ゾーラを凌駕していた。一撃は浅くとも確実に追い込まれていくダガ、そして遂に両膝をつき棍棒で体を支える。勝負は決した。


「まだだ!!!!」


 最後の力を振り絞ったダガはヴォルに飛びかかりユリからもらった毒針を刺そうするが針が届く前に十数回ヴォルに切られ意識を失い地面に倒れ込んだ。


「勝者ダイヤ王国ヴォル!!!!」


 大歓声がコロシアムを包みヴォルを祝福する中一人の叫び声が大歓声を鎮める。ユリ・ジョーカーだった。


「イカサマだわ!!!この勝負は無効よ!!!」


「ユリ・ジョーカー、見苦しいぞ。約束を果たし然るべき罰を受けろ」


「約束?罰?なんのことだユリ」


「サリウス様、ジーク・ダイヤは私にリリア暗殺などというあらぬ罪を擦り付けスペード王国を危機に陥れようとしているのです」


「何!?ジーク・ダイヤ殿それは真か?」


「サリウス・スペード殿、ユリ・ジョーカーの言っていることは全て虚言だ。調べれば分かる」


「サリウス様!!私を信じてください!!」


「サリウス・スペード殿、冷静になれ」


「………私は愛すべきユリの言葉を信じる。ジーク・ダイヤ殿、貴殿の発言は我が国への不信を煽るような行為だ。早急な謝罪を要求する」


「どいつもこいつも自分勝手にも程がある。リリアが今どれほど苦しんているかも知らないくせに…発言の謝罪はしない。そこの悪女の行動について厳正な調査を願う」


「悪女!?その発言は無視できないぞ」


「僕は真実を言ったまでだ」


「もう我慢できん!ダイヤ王国ジーク・ダイヤ、貴様に国家をかけた勝負をしてもらう。俺と貴様の一対一だ!!」


「言っても無駄なようだな…その話受けよう」


 ここに国家対戦が始まった。
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