偽装離婚のつもりでしたが、ちょうどいい機会なのでそのまま離婚します!

京月

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 バロンが出してくれた紅茶を一口飲む。

「本当に美味しいですわ!こんなの初めて」

「気に入ってくれて嬉しいよ。これは俺も大好きで向こうでも暇があれば飲んでたんだ」

「そうだったんですの。もっと他国の話を聞かせてちょうだい」


 バロンの話はとても面白かった。見たこともないはずなのにまるで今体験しているかのような時間はここ最近で一番安らぐ時間でした。

 気が付けば夕日が沈む時間になって…家に帰らなければいけませんわね。


◇◇◇◇



 待たせていた馬車に向かうライネをバロンは引き留める。


「結婚したって聞いたんだけど…」

「……ええ」

「風の噂で聞いた。あんまり出来た奴じゃないって」

「確かに…そうですわね。最初はこんな風になるなんて予想もつかなくて、見通しが甘いですわね私って」


 自虐してしまうなんて…私どうやら疲れているみたいですね。あまりこんな姿をバロンには見せたくなかったのですけど…。


 バロンはゆっくりとライネに近づき耳元でささやく。


「またここにきて。待ってるから」

「……もちろんですわ」


 多分私達はお互いのことを好いている。

 でもそれは決して許されてはいけないことですわ。この気持ちを言葉にしてしまったら、世間から何と言われるか分かりませんもの。

 馬車に揺られながらライネは胸を締め付けられるほど苦しく、それでいて苦痛ではない不思議な感覚を身にやつしていた。


◇◇◇◇


 家に帰る頃にはすっかり日が暮れていた。

 カイルが玄関で私の帰りを待っている。


「遅かったじゃないか。どこで何してたの?」

「…お友達とお茶会を。気が付いたらこんな時間に。ごめんなさい」

「遅くなるならそう言っておいてくれよ」


 どの口がそんなことを言えるんですか、そう思いましたけど口にはしません。

 私とカイルは食卓に着き、一緒に食事をとりますが会話は一切ありません。

 この重苦しい空気がカイルに対する嫌悪感をさらに増長されている気がします。

 カイルは口にしている食事を見つめる。


「これ、ライネが作った奴じゃないよね?」

「…」
 
「どうしてこう僕をイラつかせるかな。僕は何も悪くないのに、むしろ頑張ってるだろ?領地の管理なんて大きな仕事を毎日こなしているんだから。って女の君に行っても分からないか」


 貴族として当たり前にするべきことをあたかも偉業のように話すカイルに何も思わないわけではありません。ですが言い返す気にもなれません。

 何というのでしょうか…たぶん私は心底カイルとの関わりを無意識のうちに避けてしまっているにですわ。喋るのも嫌なほどに彼を嫌悪している。愛なんて冷めてしまったのですね。

 …バロンに会いたい。


「飲みに行くから」

 
 そう言い残してカイルは出て行きました。

 その日から2日間カイルは帰きませんでした。
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