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公爵令嬢タルト
その美しさは男性のみならず女性すら見とれてしまうほど。
しかし彼女には婚約者がいない。
両親の意向で結婚相手は本人の意思を尊重するとのこと。
公爵令嬢という立場から絶えぬ男性からのアプローチ、だがタルトは一向に婚約者を作ろうとしなかった。
そんな彼女にまつわるあるニュースが王国中を騒然とさせた。
曰く、公爵令嬢タルトは男爵という身分格差のある男性と駆け落ちをして帝国へ逃げたと。
◇◇◇◇
帝国の首都ランデル。
ランデルの中でも一際飲食店が立ち並ぶエリアの路地裏。
廃棄食品が捨てられたゴミ捨て場の前にタルトは立っていた。
降りしきる雨で泥まみれになったドレスと憔悴しきった虚ろな目をしているタルト。
その脳裏にはあの日の情景が鮮明に浮かんでいた。
バロスト公爵の屋敷で行われている誕生日パーティー、リビングから二階へとつながる大階段の前に立つ一人の女性、彼女こそこのパーティーの主役でもあるバロスト公爵の一人娘タルト。
彼女は多くの身なりの良い男性に囲まれながら笑顔を振りまいている。
しかしその表情と内心は一変していた。
(はぁ~めんどくさい。これだから誕生日パーティーは嫌いなのよ。皆私の誕生日を祝う気なんて無いじゃない)
タルトはこれから起きるだろうイベントを予期して既に嫌気がさしていた。
(ほら来た)
一人の男がタルトに声をかける。
「タルト、お誕生日おめでとう。流石公爵令嬢だ、ここにきている参加者は皆国有数の貴族だな。全く羨ましいよ。ああ、覚えてるかな?俺、タルトと同じ学園に通ってたんだ」
「ええ覚えてるわよ。(そんなわけなでしょ、同じ学園って生徒500人くらいいたわよ。それなのによく友達面出来るわね)」
「そうか!もしよければ青春時代の話に花を咲かせながら食事でもどうかな?」
「おい待てよ。そんなこと言ったら俺だってタルトと同じ地区に住んでいる!やっぱり公爵令嬢は凄い屋敷に住んでいるな。我が家とは比べ物にならないよ。そうだ今度我が家に遊びに来ないか?できる限りのおもてなしをするからさ?」
「機会があればね(近所に住んでいるからって家に呼ぶとかどういう神経しているのかしら)」
「なんだよ同じ地区って!ほぼ無関係だろ!それに比べて俺とタルトは…同い年だ!公爵令嬢であるタルトと伯爵である僕が同じ年齢、運命を感じるな!運命で結ばれた同士今度デートでもどうかな?」
「行けたら行く(痛いわ~。そもそも剥げているから20歳以上年上だと思った)」
「「「いい加減にしろ!!今タルトと俺が喋っているんだ!!」」」
些細な会話から始まる大乱闘、毎年勃発するこのイベントはいつしかタルトの誕生日パーティーの恒例になっていた。
(はぁ~やっぱり誰も私を祝う気なんてないじゃない。皆私と接点が欲しいだけ、くだらない)
タルトを巡り喧嘩が始まるや否やタルトはどさくさに紛れてそこから離れる。
ドン!べちゃ!
乱闘騒ぎから少し離れたところで一休みしていると3人組の女性にぶつかりワインのような赤い液体をドレスにかけられたタルト。
かけた本人は偶然を装ってはいるがお付きの2人がにやけていた。
その美しさは男性のみならず女性すら見とれてしまうほど。
しかし彼女には婚約者がいない。
両親の意向で結婚相手は本人の意思を尊重するとのこと。
公爵令嬢という立場から絶えぬ男性からのアプローチ、だがタルトは一向に婚約者を作ろうとしなかった。
そんな彼女にまつわるあるニュースが王国中を騒然とさせた。
曰く、公爵令嬢タルトは男爵という身分格差のある男性と駆け落ちをして帝国へ逃げたと。
◇◇◇◇
帝国の首都ランデル。
ランデルの中でも一際飲食店が立ち並ぶエリアの路地裏。
廃棄食品が捨てられたゴミ捨て場の前にタルトは立っていた。
降りしきる雨で泥まみれになったドレスと憔悴しきった虚ろな目をしているタルト。
その脳裏にはあの日の情景が鮮明に浮かんでいた。
バロスト公爵の屋敷で行われている誕生日パーティー、リビングから二階へとつながる大階段の前に立つ一人の女性、彼女こそこのパーティーの主役でもあるバロスト公爵の一人娘タルト。
彼女は多くの身なりの良い男性に囲まれながら笑顔を振りまいている。
しかしその表情と内心は一変していた。
(はぁ~めんどくさい。これだから誕生日パーティーは嫌いなのよ。皆私の誕生日を祝う気なんて無いじゃない)
タルトはこれから起きるだろうイベントを予期して既に嫌気がさしていた。
(ほら来た)
一人の男がタルトに声をかける。
「タルト、お誕生日おめでとう。流石公爵令嬢だ、ここにきている参加者は皆国有数の貴族だな。全く羨ましいよ。ああ、覚えてるかな?俺、タルトと同じ学園に通ってたんだ」
「ええ覚えてるわよ。(そんなわけなでしょ、同じ学園って生徒500人くらいいたわよ。それなのによく友達面出来るわね)」
「そうか!もしよければ青春時代の話に花を咲かせながら食事でもどうかな?」
「おい待てよ。そんなこと言ったら俺だってタルトと同じ地区に住んでいる!やっぱり公爵令嬢は凄い屋敷に住んでいるな。我が家とは比べ物にならないよ。そうだ今度我が家に遊びに来ないか?できる限りのおもてなしをするからさ?」
「機会があればね(近所に住んでいるからって家に呼ぶとかどういう神経しているのかしら)」
「なんだよ同じ地区って!ほぼ無関係だろ!それに比べて俺とタルトは…同い年だ!公爵令嬢であるタルトと伯爵である僕が同じ年齢、運命を感じるな!運命で結ばれた同士今度デートでもどうかな?」
「行けたら行く(痛いわ~。そもそも剥げているから20歳以上年上だと思った)」
「「「いい加減にしろ!!今タルトと俺が喋っているんだ!!」」」
些細な会話から始まる大乱闘、毎年勃発するこのイベントはいつしかタルトの誕生日パーティーの恒例になっていた。
(はぁ~やっぱり誰も私を祝う気なんてないじゃない。皆私と接点が欲しいだけ、くだらない)
タルトを巡り喧嘩が始まるや否やタルトはどさくさに紛れてそこから離れる。
ドン!べちゃ!
乱闘騒ぎから少し離れたところで一休みしていると3人組の女性にぶつかりワインのような赤い液体をドレスにかけられたタルト。
かけた本人は偶然を装ってはいるがお付きの2人がにやけていた。
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