運命の相手は君しかいないと求婚され結婚したのに、帝国で捨てられました。~途方に暮れていたらまた求婚されました?!

京月

文字の大きさ
1 / 4

1

 公爵令嬢タルト

 その美しさは男性のみならず女性すら見とれてしまうほど。

 しかし彼女には婚約者がいない。

 両親の意向で結婚相手は本人の意思を尊重するとのこと。

 公爵令嬢という立場から絶えぬ男性からのアプローチ、だがタルトは一向に婚約者を作ろうとしなかった。

 そんな彼女にまつわるあるニュースが王国中を騒然とさせた。

 曰く、公爵令嬢タルトは男爵という身分格差のある男性と駆け落ちをして帝国へ逃げたと。


◇◇◇◇


 帝国の首都ランデル。

 ランデルの中でも一際飲食店が立ち並ぶエリアの路地裏。

 廃棄食品が捨てられたゴミ捨て場の前にタルトは立っていた。

 降りしきる雨で泥まみれになったドレスと憔悴しきった虚ろな目をしているタルト。

 その脳裏にはあの日の情景が鮮明に浮かんでいた。



 バロスト公爵の屋敷で行われている誕生日パーティー、リビングから二階へとつながる大階段の前に立つ一人の女性、彼女こそこのパーティーの主役でもあるバロスト公爵の一人娘タルト。

 彼女は多くの身なりの良い男性に囲まれながら笑顔を振りまいている。

 しかしその表情と内心は一変していた。

(はぁ~めんどくさい。これだから誕生日パーティーは嫌いなのよ。皆私の誕生日を祝う気なんて無いじゃない)

 タルトはこれから起きるだろうイベントを予期して既に嫌気がさしていた。

(ほら来た)

 一人の男がタルトに声をかける。


「タルト、お誕生日おめでとう。流石公爵令嬢だ、ここにきている参加者は皆国有数の貴族だな。全く羨ましいよ。ああ、覚えてるかな?俺、タルトと同じ学園に通ってたんだ」

「ええ覚えてるわよ。(そんなわけなでしょ、同じ学園って生徒500人くらいいたわよ。それなのによく友達面出来るわね)」

「そうか!もしよければ青春時代の話に花を咲かせながら食事でもどうかな?」

「おい待てよ。そんなこと言ったら俺だってタルトと同じ地区に住んでいる!やっぱり公爵令嬢は凄い屋敷に住んでいるな。我が家とは比べ物にならないよ。そうだ今度我が家に遊びに来ないか?できる限りのおもてなしをするからさ?」

「機会があればね(近所に住んでいるからって家に呼ぶとかどういう神経しているのかしら)」

「なんだよ同じ地区って!ほぼ無関係だろ!それに比べて俺とタルトは…同い年だ!公爵令嬢であるタルトと伯爵である僕が同じ年齢、運命を感じるな!運命で結ばれた同士今度デートでもどうかな?」

「行けたら行く(痛いわ~。そもそも剥げているから20歳以上年上だと思った)」

「「「いい加減にしろ!!今タルトと俺が喋っているんだ!!」」」

 
 些細な会話から始まる大乱闘、毎年勃発するこのイベントはいつしかタルトの誕生日パーティーの恒例になっていた。

(はぁ~やっぱり誰も私を祝う気なんてないじゃない。皆私と接点が欲しいだけ、くだらない)

 タルトを巡り喧嘩が始まるや否やタルトはどさくさに紛れてそこから離れる。


 ドン!べちゃ!

 乱闘騒ぎから少し離れたところで一休みしていると3人組の女性にぶつかりワインのような赤い液体をドレスにかけられたタルト。

 かけた本人は偶然を装ってはいるがお付きの2人がにやけていた。
感想 0

あなたにおすすめの小説

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?

3333(トリささみ)
恋愛
貴族令嬢だが自他ともに認める醜女のマルフィナは、あるとき王命により結婚することになった。 相手は王女エンジェに婚約破棄をされたことで有名な、若き公爵テオバルト。 あまりにも不釣り合いなその結婚は、エンジェによるテオバルトへの嫌がらせだった。 それを知ったマルフィナはテオバルトに同情し、少しでも彼が報われるよう努力する。 だがテオバルトはそんなマルフィナを、徹底的に冷たくあしらった。 その後あるキッカケで美しくなったマルフィナによりエンジェは自滅。 その日からテオバルトは手のひらを返したように優しくなる。 だがマルフィナが新婚時代に受けた仕打ちを、忘れることはなかった。

どうやら貴方の隣は私の場所でなくなってしまったようなので、夜逃げします

皇 翼
恋愛
侯爵令嬢という何でも買ってもらえてどんな教育でも施してもらえる恵まれた立場、王太子という立場に恥じない、童話の王子様のように顔の整った婚約者。そして自分自身は最高の教育を施され、侯爵令嬢としてどこに出されても恥ずかしくない教養を身につけていて、顔が綺麗な両親に似たのだろう容姿は綺麗な方だと思う。 完璧……そう、完璧だと思っていた。自身の婚約者が、中庭で公爵令嬢とキスをしているのを見てしまうまでは――。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

 怒らせてはいけない人々 ~雉も鳴かずば撃たれまいに~

美袋和仁
恋愛
 ある夜、一人の少女が婚約を解消された。根も葉もない噂による冤罪だが、事を荒立てたくない彼女は従容として婚約解消される。  しかしその背後で爆音が轟き、一人の男性が姿を見せた。彼は少女の父親。  怒らせてはならない人々に繋がる少女の婚約解消が、思わぬ展開を導きだす。  なんとなくの一気書き。御笑覧下さると幸いです。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】