運命の相手は君しかいないと求婚され結婚したのに、帝国で捨てられました。~途方に暮れていたらまた求婚されました?!

京月

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 まだ日が昇ったばかりの早朝。

 そんな時間にもかかわらずタルトはルゼスの収監されている牢獄に来ていた。

 タルトの顔はいつにも増して暗い。

 ルゼスも心配になり声をかけた。


「どうした?体調でも悪いのか?」

「…あなたの………絞首刑が決まったの」


 長い沈黙の後タルトは必死に言葉を絞り出した。
 
 まだタルト自身ルゼスの絞首刑に動揺している証拠である。


「なんだそんなことか。ビックリさせるなよ」

「え?」


 まるで自分がどうなるか知っていたかのように平然とするルゼス。

 予想外の反応に驚くタルト。


「知っていたの?自分の命がないって…?」

「そりゃ公爵令嬢に男爵ごときが手を上げたんだ。首が飛んでもおかしくないだろ」

「知っていたならなんであんなことしたのよ!」

「言ったろ?むかついたからだって」


(意味が分からない!命を粗末にしてまでなんで私に…これじゃあ私のせいでルゼスが死んでしまう!)

 ルゼスの死刑宣告という事実に困惑し頭を抱えるタルト。

 するとルゼスは両手を鉄格子の隙間からだしタルトの顔をつねった。


「…痛い。なにするのよ」

「ちょっとは落ち着け、タルトは悪くない。それに俺がどういう理由でことに及んだとしてもやってしまったものは変わらないんだ。これからどうするかが大事だろ?」


 そういって笑うルゼス。

 その笑顔でタルトは冷静さを取り戻した。

(確かにそうね。これからのことが優先よね)

 タルトは自分の頬をつねっていたルゼスの手を掴むとまるで宝物を扱うようにそっと手を添える。


「俺が助かる余地はあるのか?」

「…残念だけど無いわ」


 タルトはルゼスの処罰を聞いた時父親に対し猛反発をした。
 
 しかし彼女の声は父親を動かすには至らなかったのだ。

 長い沈黙の間タルトはルゼスの体温を肌で感じ…悲しくなる。


「一つだけ方法がある」


 突然ルゼスが真剣な表情になった。


「本当!?」

「ああ。そのためにも俺の頼みを1つだけ聞いてくれ」


(本当に解決策があるのなら…)


「分かったわ。それで頼みって?」

「俺絞首刑になる前日までここに通ってくれ」

「通ってどうするのよ?」

「会話するんだよ。お互いの思うこと、思い出、全部話し合おう」

「それじゃあ何の解決にも―」

「大丈夫!策があるから!でもそれにはタルト協力が必要不可欠なんだ」

「…分かった」


 こうしてタルトは期日までルゼスの牢を訪れることになった。
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