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カマダルは焦っていた。
きっかけは精霊の力を使う農民の情報を手に入れたことで、カマダルがもつ商人の勘が今までにないほど金の匂いを嗅ぎつけたことだ。
これは金になる!
そう思ったカマダルの行動は速かった。
不毛な土地であっても構わず買い占め、広大な農場を手に入れた。
さらには育成がとても困難なことで有名な作物、宝来の果実の種を莫大な資金を投じて入手した。
周りの商人たちはカマダルのことを密かに噂したが、カマダルはそれを気にすることは無く、逆に内心馬鹿にした。
馬鹿な奴らだ。
俺の成功は約束されているんだよ。
ゆくゆくは精霊樹だ!
精霊樹の葉っぱはどんな傷でもたちまち癒すと言われている。
絶対に金になる!
そして作戦は成功、精霊の力も手に入れる…はずだった。
「おいおい!どうして精霊の力が出ないんだよ!!」
「そんな馬鹿な!」
「これじゃあ大損どころか破産だ!ジーク責任とれよ!!」
「責任?それはお前だろカマダル」
「は?」
「お前が僕に偽の情報を渡してきたのが全ての発端だろ!」
結果カマダルは大損をし、さらにはジークに偽の情報を渡したとして信用まで失ったのだ。
「俺は嘘なんてついてない!」
「お~い、カマダルさん。いるんでしょ?出てきてくださいよ。貸した金、回収しに来ましたよ~」
「ひぃ!!」
カマダルは自分の資金の他に違法な金貸しからもお金を借りていた。
これも成功を確信した上での行動だった。
しかし、カマダルは無一文になった上、莫大な借金まで抱えてしまったのだ。
「どうして、どうして俺がこんな目に!!」
◇◇
廃村に追放されてから私はまず畑を作ることにした。
何を育てようか悩んでいると『リース』が1つの種をくれた。
「これ何の種?」
「これは宝来の果実の種ですよ。甘くてすごくおいしいんです」
「へぇ~。それは楽しみ!早速植えてみる」
植えるとたちまち成長し、実が成った。
1つ収穫し食べてみる。
「本当に美味しい!とても甘い」
「喜んでくれて嬉しいです。そうだ!この村の象徴が欲しいと思ってたんです」
『リース』は拳サイズの大きな種を村の中心に作った花壇に植えた。
するとたちまち種は大樹へと成長し、青々とした立派な葉っぱをいくつもつけた。
「綺麗!それに何だか暖かい」
「精霊樹っていう木です。あの葉っぱはとてもいい薬になるのです。あとお茶にすると最高に美味しいんですよ」
「そうなんだ!じゃあお茶にしましょう」
「やったのです!」
今日も平和な日常です。
きっかけは精霊の力を使う農民の情報を手に入れたことで、カマダルがもつ商人の勘が今までにないほど金の匂いを嗅ぎつけたことだ。
これは金になる!
そう思ったカマダルの行動は速かった。
不毛な土地であっても構わず買い占め、広大な農場を手に入れた。
さらには育成がとても困難なことで有名な作物、宝来の果実の種を莫大な資金を投じて入手した。
周りの商人たちはカマダルのことを密かに噂したが、カマダルはそれを気にすることは無く、逆に内心馬鹿にした。
馬鹿な奴らだ。
俺の成功は約束されているんだよ。
ゆくゆくは精霊樹だ!
精霊樹の葉っぱはどんな傷でもたちまち癒すと言われている。
絶対に金になる!
そして作戦は成功、精霊の力も手に入れる…はずだった。
「おいおい!どうして精霊の力が出ないんだよ!!」
「そんな馬鹿な!」
「これじゃあ大損どころか破産だ!ジーク責任とれよ!!」
「責任?それはお前だろカマダル」
「は?」
「お前が僕に偽の情報を渡してきたのが全ての発端だろ!」
結果カマダルは大損をし、さらにはジークに偽の情報を渡したとして信用まで失ったのだ。
「俺は嘘なんてついてない!」
「お~い、カマダルさん。いるんでしょ?出てきてくださいよ。貸した金、回収しに来ましたよ~」
「ひぃ!!」
カマダルは自分の資金の他に違法な金貸しからもお金を借りていた。
これも成功を確信した上での行動だった。
しかし、カマダルは無一文になった上、莫大な借金まで抱えてしまったのだ。
「どうして、どうして俺がこんな目に!!」
◇◇
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「綺麗!それに何だか暖かい」
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「そうなんだ!じゃあお茶にしましょう」
「やったのです!」
今日も平和な日常です。
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