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ラーナ・カルゼスト、それが私の本当の名前。
カルゼスト家は王国より侯爵の爵位を頂いた由緒ある家柄だ。
私はその家の正妻の子として生まれた。
あれは私がまだ5歳の時。
「お母さま!お庭の片隅に家があります!入ってもいいですか?」
「ラーナ、人のおうちに勝手に入ってはダメなのは分かるでしょ?あそこにも人が住んでいるのだから勝手に入ってはダメよ」
「?どうしてお屋敷にすまないのですか?あの家よりきれいで大きいですよ?」
「あの家に住んでいる人がそれを望んでいないからです」
私の家の庭の隅にあったボロい家、あそこに住んでいたのは父親の愛人、側室だ。
平民の出自だがそれでも父親は私のお母さんと同様彼女のことを愛していたらしい。
だけど子供を身ごもった側室は後見人争いで迷惑を掛けたくないと自ら志願してあの家に移り住んだ。
当時の私にはそんなこと説明されてもわかるはずもない、ただ母親からの忠告より好奇心の方が勝っていた。
今にも外れそうな扉を開けるゆっくりと開ける。
錆びた金具の音が静かな家の中に響き渡り、開けた隙間から入った光が薄暗い部屋の中を照らす。
「誰かいますか~?」
「……誰?」
浅緑の色をした髪を持つ少女が部屋の端にうずくまる様に座っている。
これが私と義理の妹、レレイの出会いだった。
◇◇◇◇
酷く痩せ細ったレレイを見つけた私は急いで家の使用人に食事を運ばせた。
何故か食べようとしないレレイだったが私が食べていいよと言ったら涙を流しながら料理を口に運ぶ。
子供ながらに私は思った。これは異常だと。
私はすぐに書斎へと足を運ぶと仕事をしている父親に直談判をした。
「お父様!レレイを屋敷に住まわせてあげて!!」
「私もレレイとともに生活することを望んでいるし、お前の母さんも以前からそれを望んでいた。だが何度そのことを提案してもレレイの母親がそれを許容しなかったのだ」
「レレイのお母さんって誰?あの家にはレレイしかいなかったよ」
「なんだと!?」
その後父親の命令でレレイの母親探しが始まった。
我が家に在中していた兵士も総動員して調べた結果、レレイの母親は家で働いている庭師の男の家に住んでいることが分かった。
レレイの母親は庭師の男と関係を持ちレレイを捨てて暮らしていたらしい。毎月送られてくる衣類や食材も庭師の男との生活に使っていた。
レレイはそんなことも知らず母親の帰りをあの家で1人、ずっと待っていたのだ。
「何ということだ……。我が子を置き去りに…。すまなかったレレイ。これから私達は家族だ」
「レレイ。これから私のことはお母さんと呼んで。つらい思いもたくさんしただろうけどこれからはもう大丈夫よ」
「よろしくねレレイ!私はラーナ!!レレイのお姉ちゃん!」
「お姉ちゃん」
こうして私にはレレイという可愛らしい義妹が出来た。
カルゼスト家は王国より侯爵の爵位を頂いた由緒ある家柄だ。
私はその家の正妻の子として生まれた。
あれは私がまだ5歳の時。
「お母さま!お庭の片隅に家があります!入ってもいいですか?」
「ラーナ、人のおうちに勝手に入ってはダメなのは分かるでしょ?あそこにも人が住んでいるのだから勝手に入ってはダメよ」
「?どうしてお屋敷にすまないのですか?あの家よりきれいで大きいですよ?」
「あの家に住んでいる人がそれを望んでいないからです」
私の家の庭の隅にあったボロい家、あそこに住んでいたのは父親の愛人、側室だ。
平民の出自だがそれでも父親は私のお母さんと同様彼女のことを愛していたらしい。
だけど子供を身ごもった側室は後見人争いで迷惑を掛けたくないと自ら志願してあの家に移り住んだ。
当時の私にはそんなこと説明されてもわかるはずもない、ただ母親からの忠告より好奇心の方が勝っていた。
今にも外れそうな扉を開けるゆっくりと開ける。
錆びた金具の音が静かな家の中に響き渡り、開けた隙間から入った光が薄暗い部屋の中を照らす。
「誰かいますか~?」
「……誰?」
浅緑の色をした髪を持つ少女が部屋の端にうずくまる様に座っている。
これが私と義理の妹、レレイの出会いだった。
◇◇◇◇
酷く痩せ細ったレレイを見つけた私は急いで家の使用人に食事を運ばせた。
何故か食べようとしないレレイだったが私が食べていいよと言ったら涙を流しながら料理を口に運ぶ。
子供ながらに私は思った。これは異常だと。
私はすぐに書斎へと足を運ぶと仕事をしている父親に直談判をした。
「お父様!レレイを屋敷に住まわせてあげて!!」
「私もレレイとともに生活することを望んでいるし、お前の母さんも以前からそれを望んでいた。だが何度そのことを提案してもレレイの母親がそれを許容しなかったのだ」
「レレイのお母さんって誰?あの家にはレレイしかいなかったよ」
「なんだと!?」
その後父親の命令でレレイの母親探しが始まった。
我が家に在中していた兵士も総動員して調べた結果、レレイの母親は家で働いている庭師の男の家に住んでいることが分かった。
レレイの母親は庭師の男と関係を持ちレレイを捨てて暮らしていたらしい。毎月送られてくる衣類や食材も庭師の男との生活に使っていた。
レレイはそんなことも知らず母親の帰りをあの家で1人、ずっと待っていたのだ。
「何ということだ……。我が子を置き去りに…。すまなかったレレイ。これから私達は家族だ」
「レレイ。これから私のことはお母さんと呼んで。つらい思いもたくさんしただろうけどこれからはもう大丈夫よ」
「よろしくねレレイ!私はラーナ!!レレイのお姉ちゃん!」
「お姉ちゃん」
こうして私にはレレイという可愛らしい義妹が出来た。
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