妹の婚約者の娼婦になった私

京月

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 私達の馬車の周りを十数人の武装した男たちが囲む。

「どうなっているのですかこれは?」
「分かりません奥様。ですが護衛もついております故ここから出ないようにお願いします。特にラーナ様」
「わ、分かっているわよ!!それくらい」
「本当に分かっていますか?こういう時こそ冷静にならなければならないのですよ。レレイ様のように―レレイ様!?」


 レレイはマキの静止を振り払って馬車の外に出た。
 外では武装した集団と護衛達が戦闘をしている。


「もう茶番はいいわ」


 その1言で両陣営が一斉に膝をつき敬服の姿勢になった。
 これは一体どういうこと?
 私達が疑問を抱く中、母様が最初に言葉を発する。


「レレイ、説明なさい」
「お母様、そんな怖い顔をしないでください。綺麗な顔にしわが出来ますよ」
「レレイ!あなたの冗談に付き合っている暇はないの!答えなさい!!」

 
 あそこまで激高した母様を見たのは初めてだ。
 しかしそんな母様を見てもレレイは動じず、手を腰の部分で重ね、堂々とした態度で私達を見つめる。


「もちろん説明は致します。ですがまだ聞く姿勢が整っていないようなので、先ずはそれからですね」


 レレイの手の合図で男たちは一斉に私達を組み敷いて泥まみれの地面に顔を押さえつけられた。
 こんな屈辱は初めてだ。私はレレイを睨め付けるが、彼女は足元の私など興味が無いように1人の男に傘を差させる。

「これでようやく聞く姿勢が出来ましたね。何故こんなことをしたのか、だったかしら?それは……復讐をするためですよ」


 ……何それ、馬鹿げている。
 身に覚えがないことでこんな事…!


「レレイ!馬鹿なこと言わないで!!私達は確かに喧嘩もしたけどそれ以上に本当の姉妹みたいに楽しく過ごしてきたじゃない。今なら謝れば許してあげる!だからこの男たちを下がらせなさい!」


 私は恨まれることなんて何もしていない。
 それは母様も同じ、マキだって。
 レレイが何を恨んで何に復讐しようとしているのかは分からないけどとにかく止めなくちゃ。


 私はレレイのことを許す気でいたし、母様やマキが許さなくても説得する気だった。
 それくらい私はレレイのことが大好きだ。
 だから……レレイの一言に唖然とした。


「何か誤解をしていませんかラーナお姉さま?私は別に母様もマキも、もちろんラーナお姉さまのことだって1度も恨んでいません。今も昔も変わらず大好きですよ」


 私はレレイが何を言っているのか分からなくなった。
 いや、言葉の意味は分かるが、だからこそレレイの言葉と私達の状況に対する矛盾が理解できなったのだ。
 放心する私を見て、マキは冷静にレレイに質問を投げかける。


「レレイ様、あなたのおっしゃることは矛盾しています。私達に恨みが無いのであればこれは誰への復讐になるので…すか…!?」
「フフフ。流石はマキ。頭の回転が速いですね。そう、私が憎くて、憎くて、この様なことまでして復讐したいのは―」


 レレイは顔の向きを変え、私達とは別の方向を向く。
 あの方向にあるのは…私達の屋敷!?


「お父様ですよ」
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