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土砂降りの雨の中、マキの言葉は凄く明瞭に聞こえた。
「このままではいずれ追い付かれてしまいます。それでは奥様が命を張った意味がありません。ですから私がここで追っ手を足止めします。その間に逃げてください」
何言っているのよマキ。あなたに追っ手を足止めできるわけないでしょ。
相手は武器を持っているのよ!?そんなことしたらマキまで…。
極限の緊張で涙を流すことすらできない私の頬に雨が涙の代わりとなって流れる。
「マキ、約束したわよね。どんなことがあっても側にいるって」
「申し訳ありません。どうやらその約束は果たせそうにありません」
「嘘つき…。嘘つき嘘つき嘘つき!」
「はい。ラーナ様は嘘つきの私は嫌いですか?」
その質問はずるいよ、マキ。
「大好き!!私はマキのことが大好きだよ!!!」
「私もラーナ様のことが大好きです!だから…最後のお願いです。逃げてください」
「……絶対!また生きてマキに会いに行くから!!」
「……はい。お待ちしております」
マキは手を腰の前に添え深々と頭を下げる。
いつも私のわがままを聞き入れてくれていたマキの初めてで最後のわがまま。
これを無下にすることは私には出来ない。
私は唇をかみしめながらマキに背中を向けるとひたすら走り続ける。
どれだけ走ったのだろうか…気が付けば雨はやみ泥で汚れたドレスも乾いていた。
後ろを確認しても誰もおってきていない。
もう、泣いてもいいよね…母様、マキ。
「うわあああああああああんん!!!」
◇◇◇◇
森を抜けた私はこれからどうすればいいのか分からなくなっていた。
私達を襲ってきた男たち、屋敷で見たことある顔だ。もし使用人の全員がマキの傀儡なら屋敷戻ることなんてできない。
とりあえず街に行ってお金を稼がないと。ここから一番近い街は…エルザンテだ。
私はエルザンテに向かうことを決意した。
森を抜けた私はこれからどうすればいいのか分からなくなっていた。
私達を襲ってきた男たち、屋敷で見たことある顔だ。もし使用人の全員がマキの傀儡なら屋敷戻ることなんてできない。
とりあえず街に行ってお金を稼がないと。ここから一番近い街は…エルザンテだ。
私はエルザンテに向かうことを決意した。
エルザンテについたけど今まで働らいてお金を稼いだことなんて無い。
とりあえずあそこにある食堂らしいお店に入ってみよ。もしかしたら皿洗いとして働かせてくれるかも。
食堂の店主さんはスキンヘッドの大男だった。
私は店主を見た瞬間あまりの迫力に固まってしまう。
でも怖いのは見た目だけで中身は優しい人だった。私の泥まみれな姿を見た店主さんは何も言わず温かいスープをごちそうしてくれた。
美味しい…スープってこんなに美味しかったんだ。
私は店主さんにここで働かせてもらえないかとお願いしてみた。
「悪いがうちの店にあんたを雇う余裕はねえよ。こっちもその日暮らしの貧乏人だ」
「そう…無理を言ってごめんなさい」
「ああ。それにしてもあんたかなりの美人さんだな。娼館に行けばいくらでも仕事が見つかるぞ」
「娼館…?それって何をする仕事なの?」
「おいおいマジかよ。見た目からしてそうかと思っていたが飛んだ箱入り娘だな。いいか娼館ってのはー」
な、何言っているのよこの店主!!不潔!最低!!
男性とそんなこと…結婚する相手以外に出来るわけないでしょ!!
「この街ではそう言う仕事が主流だ。うちにも娼婦がよく飯を食いに来る。あんたがここで生きていくならなおさら娼婦になることを勧めるね」
「どういうこと?お金がたくさん手に入るの?」
「金もそうだが一番は身の安全のためさ。このエルザンテに住む女のほとんどは娼婦だ。逆に娼婦以外の女は少ない。何故かわかるか?娼婦じゃないと乱暴されるからさ。夜道を一人で歩くようなら路地裏に引っ張られてこの世の地獄を味わう」
「そ、そんな…。でもそれは娼婦でも一緒じゃない」
「いやそういった奴は娼婦を襲わない。娼婦を襲うとその娼館の後ろにいるヤバい組織に命を取られるからだ。いいか、あんたがどれだけ高潔で清廉潔白な人間でも他人にとってそれは関係が無い。娼婦か娼婦じゃないかの2択で運命が変わる。俺は顔が広い、この街一番の娼館にも知り合いがいるから紹介してやる。それが嫌なら帰りな。精々夜道に気をつけろよ」
ここが私の運命の分岐点だった。
「このままではいずれ追い付かれてしまいます。それでは奥様が命を張った意味がありません。ですから私がここで追っ手を足止めします。その間に逃げてください」
何言っているのよマキ。あなたに追っ手を足止めできるわけないでしょ。
相手は武器を持っているのよ!?そんなことしたらマキまで…。
極限の緊張で涙を流すことすらできない私の頬に雨が涙の代わりとなって流れる。
「マキ、約束したわよね。どんなことがあっても側にいるって」
「申し訳ありません。どうやらその約束は果たせそうにありません」
「嘘つき…。嘘つき嘘つき嘘つき!」
「はい。ラーナ様は嘘つきの私は嫌いですか?」
その質問はずるいよ、マキ。
「大好き!!私はマキのことが大好きだよ!!!」
「私もラーナ様のことが大好きです!だから…最後のお願いです。逃げてください」
「……絶対!また生きてマキに会いに行くから!!」
「……はい。お待ちしております」
マキは手を腰の前に添え深々と頭を下げる。
いつも私のわがままを聞き入れてくれていたマキの初めてで最後のわがまま。
これを無下にすることは私には出来ない。
私は唇をかみしめながらマキに背中を向けるとひたすら走り続ける。
どれだけ走ったのだろうか…気が付けば雨はやみ泥で汚れたドレスも乾いていた。
後ろを確認しても誰もおってきていない。
もう、泣いてもいいよね…母様、マキ。
「うわあああああああああんん!!!」
◇◇◇◇
森を抜けた私はこれからどうすればいいのか分からなくなっていた。
私達を襲ってきた男たち、屋敷で見たことある顔だ。もし使用人の全員がマキの傀儡なら屋敷戻ることなんてできない。
とりあえず街に行ってお金を稼がないと。ここから一番近い街は…エルザンテだ。
私はエルザンテに向かうことを決意した。
森を抜けた私はこれからどうすればいいのか分からなくなっていた。
私達を襲ってきた男たち、屋敷で見たことある顔だ。もし使用人の全員がマキの傀儡なら屋敷戻ることなんてできない。
とりあえず街に行ってお金を稼がないと。ここから一番近い街は…エルザンテだ。
私はエルザンテに向かうことを決意した。
エルザンテについたけど今まで働らいてお金を稼いだことなんて無い。
とりあえずあそこにある食堂らしいお店に入ってみよ。もしかしたら皿洗いとして働かせてくれるかも。
食堂の店主さんはスキンヘッドの大男だった。
私は店主を見た瞬間あまりの迫力に固まってしまう。
でも怖いのは見た目だけで中身は優しい人だった。私の泥まみれな姿を見た店主さんは何も言わず温かいスープをごちそうしてくれた。
美味しい…スープってこんなに美味しかったんだ。
私は店主さんにここで働かせてもらえないかとお願いしてみた。
「悪いがうちの店にあんたを雇う余裕はねえよ。こっちもその日暮らしの貧乏人だ」
「そう…無理を言ってごめんなさい」
「ああ。それにしてもあんたかなりの美人さんだな。娼館に行けばいくらでも仕事が見つかるぞ」
「娼館…?それって何をする仕事なの?」
「おいおいマジかよ。見た目からしてそうかと思っていたが飛んだ箱入り娘だな。いいか娼館ってのはー」
な、何言っているのよこの店主!!不潔!最低!!
男性とそんなこと…結婚する相手以外に出来るわけないでしょ!!
「この街ではそう言う仕事が主流だ。うちにも娼婦がよく飯を食いに来る。あんたがここで生きていくならなおさら娼婦になることを勧めるね」
「どういうこと?お金がたくさん手に入るの?」
「金もそうだが一番は身の安全のためさ。このエルザンテに住む女のほとんどは娼婦だ。逆に娼婦以外の女は少ない。何故かわかるか?娼婦じゃないと乱暴されるからさ。夜道を一人で歩くようなら路地裏に引っ張られてこの世の地獄を味わう」
「そ、そんな…。でもそれは娼婦でも一緒じゃない」
「いやそういった奴は娼婦を襲わない。娼婦を襲うとその娼館の後ろにいるヤバい組織に命を取られるからだ。いいか、あんたがどれだけ高潔で清廉潔白な人間でも他人にとってそれは関係が無い。娼婦か娼婦じゃないかの2択で運命が変わる。俺は顔が広い、この街一番の娼館にも知り合いがいるから紹介してやる。それが嫌なら帰りな。精々夜道に気をつけろよ」
ここが私の運命の分岐点だった。
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