妹の婚約者の娼婦になった私

京月

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店主とともにこれから私が働く娼館に向かう。
 まだ採用されるかは分からないけど店主曰く間違いなく採用基準は満たしているらしい。
 

「あんたはこの街でも指折りの美人だからな。俺の知り合いは見る目がある、顔を合わせただけで間違いなく採用だ。おっと、ついたぞ。ここが今日からお前が働く娼館だ」
「凄い…私が住んでいたお屋敷よりも広い」


 エルザンテのほぼ中心部に建つその娼館はこの街一番の名に恥じない格式ばった造りの豪邸だった。
 ここには3桁の娼婦が在中しており貴族が利用することもあるのだとか。
店主は娼館の大きな門を叩くと一人のコンシェルジュが笑顔で出迎えてくれた。


「いらっしゃいませ…ってお前か。何の用だ?」
「おいおい昔からの親友だろ。それに俺はここの常連。もっとふさわしい態度ってもんがあるだろうよ」
「お前相手に礼儀は要らない。それより後ろの女の子は誰だ?…凄い上玉だ。もしかして娼婦希望か?」
「ああ!俺が連れてきた!」
「あ、あの!よろしく」
「そうか。うん、採用。まずはその泥だらけの服を脱いで風呂に入ってもらおうか」


 本当に会っただけで採用された…。
 これから私は本当に娼婦として働くんだ。
 コンシェルジュに連れられ私と店主は娼館の関係者専用の道を歩く。
 着いたのは宿舎のような建物、娼婦と思わしき女性が会話をしたり、煙管を吸ったりとそれぞれの時間を過ごしている。

 
「ここがうちで働く娼婦たちが住む宿舎だ。君もここに住んでもらう。そう言えば名前を聞いていなかった。なんていう名前だ?」
「ラーナ」
「そうか。ならラーナ、君の名前はこれからライラだ。本名は使うな。特に君は訳ありだろう?」


 見透かされた目。
 私みたいなのが他にもいるのか特にコンシェルジュは深堀せず私にライラという新しい名前を付けてくれた。
 確かにラーナと名乗ったらレレイに知られてしまうかもしれない。
 マキ、母様……会いたいな。


 私は共同の大浴場に連れられ汚れを落とすよう言われた。
 流石街一番の娼館、お風呂が広くて綺麗。
 泥汚れをお風呂で落とす私。久々のお風呂が体にしみる。
 娼婦になるっていうのも案外悪くないのかも。


 風呂を出た後用意された服に袖を通す。
 服と一緒に置いてあった紙には部屋番号とその部屋への行き方が書いてあった。
 ここに行けってこと?
 私は指定された部屋の前にたどり着き、締められた扉を開ける。
 薄暗く甘い香りが漂う部屋にいたのは一糸まとわぬ姿をした店主だった。


「え……何その恰好?何かの冗談?」
「冗談?箱入り娘のライラでもさすがに理解は出来ているんじゃないか?」


 そう言って店主はたじろぐ私をベッドにほうり投げる。
 開いた扉を閉めさらに暗くなり目が効かない部屋で店主の言葉がより鮮明に私に伝わる。


「おめでとうライラ。今日からは立派な娼婦だ。そして俺が最初の客だ」

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