妹の婚約者の娼婦になった私

京月

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あの店主は食堂店主兼娼館に女性を斡旋する仕事をしていたらしい。
 私みたいな流れ者を娼婦として働かせその売り上げの一部を手にすることが出来る。
 食堂があまり儲かっていなくても斡旋した女性の売り上げでこの娼館に毎日通えるだけの資金はもらっているそうだ。
 そんなことを楽しそうに話す店主、だけど私にはそんな余裕なんてない。

 
 ベッドの上に放り投げられた私。
 逃げようにも恐怖で腰が抜けて上手く歩けない。
 そんな私を見て店主が少し困った顔をした。


「そんなに怯えられても俺は興奮しない。愛のある秘め事が好きなんだよ」
「ふ、ふざけないで!!いい人だと思っていたのに!!」
「いい人だろ?俺がライラに話したことは嘘じゃない。実際そうやって悲しい思いをしてきた女は星の数ほどいる。ここで生きていくには娼婦になるしかないんだ。そこでだ、俺はお前に何をしてやった?この街一番の娼館で働けるよう手助けをした。これでももし雑多な娼館で働くことになったらお前は今頃泣く気力すらなく絶望の淵に立たされているぞ。それを救ってやった俺にお前は感謝すらすべきなんだ」


 店主の話は筋が通っている。嘘ではないのかもしれない。
 けど……こんなの酷すぎる。
 誰が襲われそうになって感謝なんてするのよ!!


「どうして……どうしてこんな目にあうの。マキ…母様…」
「それがお前の人生だ。開き直れ。今を生き、将来の糧としろ。そのうち慣れるさ。今は俺だけに集中していればいい」


 店主はその大きな体で私に覆いかぶさった。


 甘い匂いを放つお香、ある木の皮を乾燥させたものだ。
 その匂いはリラックス効果があると評判で娼婦になりたての女性の部屋ではよく使われる。
 その主な理由は…自殺防止のため。 
 私の初めては…店主に奪われた。
 

◇◇◇◇
 

 店長はまた来るとだけ言い残し私を部屋に残して出て行った。
 寝よう。寝て忘れよう。
 あのクソ野郎も秘め事の最中に言っていた、これが日常になるって。
 はぁ~早く慣れないと。慣れてお金を稼いで幸せになろう。
 

 幸せってなんだ?私が今まで送ってきたマキや母様、そして父様との生活は間違いなく幸せだった。
 なのに何で今私は涙で枕を濡らしながらこんな思いをしているの?
 誰が私の幸せを奪ったの?
 誰が、誰が私の…………レレイ。
 今の私にはレレイの気持ちが分かるかもしれない。
 どんなに大切なものがあっても、それを壊して捨てて二度と手に入らなくなっても、それでも……復讐をしたいとそう思う自分がいる。


 レレイ……私はあなたを絶対に許さない。
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