妹の婚約者の娼婦になった私

京月

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オリンに街に出る許可をもらい、私はまた街に出る。
 目的地はあの酒場、今日も情報収集だ。父様のことをもっと調べないと。
 慣れた歩みで酒場へと向かう私、その進路を2人男性が阻む。
 急な出来事に驚きながらもすぐに身構える私。
 男たちはひそひそと会話をした後声を掛けてきた。


「昨日酒場にいた女だな。ついてこい」
「誰ですか?私は用事があるので失礼します」
「ある方がお前をお呼びだ」
「ある方?一体誰ですかそれは?」
 「ドートル・カルゼスト様だ」


 私は期せずして父様のとの再会を果たすことになった。


◇◇◇◇


 街の郊外、あまり人の寄り付かない場所に似合わないほど豪勢な馬車が一台止めてある。
 私に声を掛けた2人の男性は馬車の扉を開け中に入るよう指示してきた。

 白く染まった髪の毛にやつれた顔。
 背筋を伸ばす力も残っていないのか猫背になり杖を突く男性。
 最後にあった時とは見間違えるほどの変貌を遂げているが、それは間違いなくラーナの父、ドートル・カルゼストだった。


「よく来た。お座りなさい」
「失礼します」


 向かい合うように対面した席に座る私。
 何て話しかけたらいいのかしら……。
 あまりに変わりすぎてて、どう声を掛けていいのかすらわからない。
 ただ静寂が流れる中、父様が話始める。


「昨晩私の元に訪ね人がやってきた。その女性とは社交界での顔なじみでな。私のことを聞いて涙を流すおかしな娘がいたので話を聞いてみたらどうだと提案された。それを聞いて少し興味が湧いてな、何か私に聞きたいことでもあったのか?」


 昨日酒場で会ったあの女性だ。
 まさか父様と知り合いだったなんて……。
 これも何かの縁、このチャンスを逃してはいけないと本能が言っている。


「まずはお久しぶりです。私の顔に覚えはございませんか?」
「すまない。もう目は見えていなくてな。かすかな光を捉えることしかできない」
「……そうですか。突然こんなことを言われても信じられるかは分かりませんが、父様、私です!ラーナです!!」


 私は目の前にいる父様に正体を話した。
 信じてもらえず、最悪ここから追い出され一生会うことが出来ないかもしれない。
 けど…私が生きているとどうしても父様に伝えたかった。
 父様は見えてない目で私のことをしっかり見つめると優しく笑いかける。


「やはりな。この話を聞いた時にそうではないかと思っていた。久しいな、ラーナ」
「父様!!私っ!私っ!」
「さぞつらい思いをしただろう。今は泣きなさい」
「うわあああああああああんん」


 私は父様の胸の中で赤子のように声をあげて泣いた。

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