【R18】TSエロゲの世界でチョロインになった件

Tonks

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家出少女⑤

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「んー……」

 午前十時。僕は一枚の封筒と、その上に広げられた五枚の一万円札を眺めていた。

 朝、目を覚ましたとき、昨日の朝と同じく先輩の姿はもうなかった。

 ただ、今朝は昨日のように書き置きのメモはなかった。その代わりに五枚の万札を納めたこの封筒が僕の枕元に置かれていたのである。

「これやるからもう出てけ、ってことなのかな……」

 このお金の意味を考えたとき、まず真っ先に思い浮かぶのはそれだろう。

 昨日、先輩が僕の処女を奪うことなしに寝袋に逃げ込んでしまったことを思えば、僕に手を出したことに先輩が何らかの罪悪感をいだいたことは想像に難くない。

 そのことへの贖罪と、手切れ金を兼ねた先輩なりの精一杯の餞別……一昨日、昨日と垣間見た先輩のパーソナリティーに照らせば、このお金はそういうものと考えていいのだろう。

 ――だがそれを額面通りに受け取って、僕はこのままこの家を出て行くべきなのだろうか?

 僕がここに居座ることが先輩に法的なリスクを課すものであることはもう何度も確認した通りだ。そのことを思えば僕は今すぐにでもこの家を出て行った方がいい。

 けれども昨夜の件で、先輩が僕の身体を強く求めていることもまたはっきりした。

 噂通り先輩がロリコンだったかどうかはこの際どうでもいいとして、昨日、僕に夜這いをかけてきた先輩の様子には明らかに只ならぬものが感じられた。

 グッとこらえてきた我慢が限界に達し、たまらず襲いかかってしまったという雰囲気が見て取れたのだ。

 そんな僕の観察が正しければ、先輩は本来感じる必要のない罪悪感に苛まれ、渡す必要のない慰謝料をこうして僕に渡してきたことになる。……なぜなら昨日、僕は先輩に手を出されることを覚悟してこの家に留まったのだし、そうなるように自分から仕向けた部分さえあったからだ。

「でも……やっぱり怖がっちゃったけど」

 先輩が僕を求めてきたら抵抗しない――そんな決意を固めてはいたものの、いざ先輩のペニスが膣内なかに入り込んでこようとしたときには涙がこぼれた。ずっと寝たフリをしていたのに怯えた声を出して、その結果、先輩に無用の罪悪感を与えてしまった。

 ……いや、もっと言えば逆に先輩を怯えさせてしまったのかも知れない。

 眠っている僕にイタズラしていたものと思っていた先輩が、いきなり僕に「起きてますよ」というようなことを言われれば、それはそれはびっくりするだろう。やってはいけないと我慢してきた理性のダムが決壊して夢中で僕の身体を貪っていたのであればなおさらだ。

 ともあれ、興奮の頂点にしていよいよこれからというときに冷や水を浴びせかけられた先輩の心情を思うと、ぶっちゃけ元男として同情を禁じ得ない。

 こうしている今も先輩の心はぐちゃぐちゃに乱れているのかも知れない。そしてそのぐちゃぐちゃの中には、昨日中途半端なところで終わった僕とのセックスへの未練があるのは間違いない。

「……うん、そうだよ」

 先輩の気持ちを考えれば、このままこの家を出てゆくことはできない。

 ここを出てゆくのであれば、せめて先輩に正当な見返りを受け取ってもらわなければならない。

 昨日も確認したことだが、僕は先輩とセックスすることにもうそれほどの嫌悪はない。先輩を相手に初体験ロストバージンを迎えることについても精神的な抵抗はないのだ。ただ処女喪失の際の痛みを恐れているだけで……それも先輩が求めるのであれば受け入れようと決心はしているのである。

 そうなると、問題は先輩のメンタリティーをどう持ってゆくかだ。

 やはりここは僕が一肌脱いで、先輩が僕に手を出しやすい状況をととのえてあげるべきだろう。

 この際、女の子であることをカミングアウトする――いや、これは上策のように見えて下策だ。男の子である僕が家に転がり込んできたというここまでの流れをぜんぶナシにして、最初からやり直しということになってしまうからだ。

 だが、先輩はもう僕が女の子であることを知っている……このボタンの掛け違いを逆に上手く利用できないだろうか?

 あくまで僕が男の子であるという当初の枠組みを維持しつつ、女の子である僕に先輩が自然に手を出せるようにする何か上手い方法は……。

「……よし、これでいってみよう」

 しばらく考えて、僕の中で方針が固まった。

 封筒の上に並べられたお金を財布に収め、一昨日この家を訪ねてから初めて、僕は玄関の外に出た。

* * *

「おかえりなさい!」

「……」

 先輩が玄関のドアを開けてすぐ満面の笑みでお出迎えする僕に、さすがの先輩も目を丸くして驚き、呆然としているようだ。

 まだ僕が家にいたことに驚いたのもあるのだろう。だがそれ以上に先輩はに驚いたに違いない。

 水玉をあしらった黒のキャミソールにピンクのフレアスカートというガーリーな服装は年齢を考えると少し背伸びしたコーディネートだったかも知れない。

 でもブティックのフィッティングルームで鏡に映ったは男だったらロリコンでなくとも二度見せずにはいられないほど小悪魔感が半端なかったし、下着も可愛いくてエッチなのを選んだつもりだ。

 昨日までの家出少女とは違う。今、先輩の目の前に立っているのは寸分の隙もない正真正銘のロリ美少女だった。

 その証拠に、長い沈黙のあと、どこか呆れたような声で先輩は言った。

「……男の子じゃなかったのか」

「んーん? ボク男の子だよ?」

「……そんな格好した男の子がいるわけないだろ」

「お兄さん知らないの? 男の『むすめ』って書いて男のって言葉があるんだよ?」

「なんだよ……その男のってのは」

「女の子の格好するのが好きな男の子のことだよ。ボク、前から女の子の服に興味あったんだ。だから、お兄さんにもらったお金で買ってきちゃった!」

 先輩はまだ何か言いたそうだったが、「そうか」と一言だけ言って部屋に入った。

 予想はしていたのだけれど、今夜は先輩は僕の分の弁当を買ってきてはいなかった。けれども僕はそれを見越してすでに夕ご飯を済ませていたので、追加の弁当をコンビニに買いに行く必要はなかった。

 先輩はまた昨日のように机で食べようとしたが、これも昨日のように僕が強くお願いし続けると、床に座って差し向かいで食べることに同意してくれた。

 それでも弁当を食べている間、先輩は寡黙だった。なぜ僕がここを出て行かなかったのかも、いきなり女の子の格好になった理由も訊かなかった。

 そんな先輩に、僕は一方的に話しかけ続けた。ときどき生返事を返すだけの先輩を相手に会話を盛り上げようと頑張りながら、なぜ自分はこんなにも一生懸命になっているのだろうと少し不思議に思ったりもした。

 ただそれは僕にとって、別に苦痛な時間というわけでもなかった。

 相変わらず見ているだけで笑ってしまうほどブサイクな顔の、中年オヤジのように腹の出た先輩を相手になにかれと話しかけている時間が、僕は決して嫌ではなかった。

 弁当を食べ終わると先輩はおもむろに机に向かい、ここ数日見てきたように何やら作業を始めた。

「また課題ってやつ?」

「……」

「ねえってば。また課題?」

「……課題じゃなくてバイト」

「バイト?」

「……ああ。翻訳のバイト。海外製のマイナーな電化製品の取説」

「へぇ……」

「……地味で退屈な作業だけど、こういうのも誰かがやらないといけないんだ」

「すごーい。お兄さんて頭いいんだ、カッコいい……」

 半分本音で僕はそう呟いていた。

 まだあっちで同じ研究室にいたころ、バイトをしている様子がないコミュ障の先輩を揶揄して、実は親のスネを齧りまくっている大金持ちのボンボンなんじゃないかと妙な陰口を叩く輩もいた。

 それが実際のところ先輩はこうして得意の勉強を活かし、地道に稼いでいたのだということを知った僕の感動は小さくなかった。

 地味で退屈な作業だけど、誰かがやらないといけない――その言葉も、なにげに僕の心に刺さった。たった二日間だが、間近に垣間見てきた先輩の人柄を、その一言が表している気がした。

「見えないとこで人のために頑張ってるお兄さんはえらいなぁ。ボクも見習わなきゃ」

 実感をこめてしみじみと僕は呟いた。

 先輩がキーボードを叩く音が少し大きくなり……けれども先輩からの返事はなかった。



「――おフロ入らないの?」

 夜十一時を過ぎたところで、僕は満を持して先輩に声をかけた。

「……先に入っていいぞ」

「んーん、今日はお兄さんに先に入ってもらうの!」

 一方的に宣言する僕に先輩は振り返り、不審そうな目を向けてきた。

「……なんで」

「今日、すごく暑かったでしょ? だから、今夜はお兄さんにゆっくり入ってもらおうと思って」

「……そのうち入る」

「だったら、ボクがお湯入れるね」

「お湯入れる? ……おい、俺はバスタブにお湯は――」

「ちゃんと入れるから任せて!」

 先輩の話を最後まで聞かず、僕はユニットバスへと向かった。

 バスタブにお湯を張ってしまうと僕はユニットバスを出て部屋に戻った。そして先輩に向けて元気いっぱいの声で言った。

「おフロできたよ!」

「……入ればいいだろ」

「今日はお兄さんに先に入ってもらう日だって言ったでしょ?」

「だから、なんで俺が――」

「いいから! ……入って?」

 最後はいっぱいの想いをこめて懇願した。

 先輩は渋い顔でしばらく僕を見つめていたが、やがて無言で席を立ち、しぶしぶといった様子でユニットバスへと向かった。

 かすかな衣擦れの音のあとに折り戸が引き開けられる音がして、先輩がユニットバスに入ったのがわかった。

 それを確認したあと、しばらく時間を置いて、僕は着ていたものを脱ぎ、ユニットバスに入った。

「入るね……」

「……!?」

 前も隠さずに入ってきた僕を見た先輩はさすがに仰天したのか、一度はザバッと音を立てて湯船から立ち上がった。

 けれど、僕の裸を見てみるみる大きくなりすぐヘソに向けて反り返るまでになったペニスを隠すためか、また湯船の中に戻った。

「先に身体洗っちゃうね」

 そう言って僕は身体を洗いはじめた。

 ……一糸まとわぬ姿を先輩に見られていると思うとさすがに恥ずかしかった。それでも僕はいつも一人で入っているときのようにボディーソープで丹念に身体を洗い、シャワーで泡を流してしまうと、先輩に向き直って言った。

「ボクも……一緒に入っていい?」

「……」

 先輩からの返事はなかった。僕はそのままゆっくりと湯船に入った。

 小さなバスタブは先輩の巨体でいっぱいだった。そこへ僕が入ったものだから、膝を突き合わせると言うより、先輩の両脚の間に僕の身体が挟み込まれるような格好になった。

「……男の子じゃなかったのか?」

 ずいぶん時間が経ってから、ようやく僕の顔を真っ直ぐに見て先輩はそう言った。

「うん。ボク、男の子だよ?」

「……その身体で男の子なわけないだろ」

「実はね、ボクここへ来るとき、おちんちん家に忘れてきちゃったんだ」

 僕がそう言って笑うと、何か感じるものがあったのか、お湯の中で先輩のペニスがビクビクと別の生き物のようにのたうつのがわかった。

 確かにそれは大きなペニスだった。20センチとはいかないまでも、僕がこれまでに見てきたペニスの中で一番大きい。

 今夜こそはこのペニスが大蛇のように僕の膣内なかにもぐりこんでくる……その瞬間をリアルに想像して、また怯え出しそうになる心を頑張って奮い立たせた。

「……気持ち悪くないのか」

「え?」

「俺と一緒にフロ入って……マコトは気持ち悪くないのか」

「気持ち悪くなんかないよ? だって、男の子同士だし」

「……」

「お兄さんと一緒におフロ入るのなんて、ボクぜんぜん気持ち悪くない」

 正面から先輩を見据えて僕はそう言った。先輩は何かをこらえるように僕から目をそらし、苦しそうな声で言った。

「……それでも、昨日のは気持ち悪かっただろ」

「昨日?」

「……ああ。昨日の夜のことだ」

「昨日っていえば、ボク昨日ヘンな夢みちゃった」

「夢?」

「うん。ボクが寝てたら、お兄さんにイタズラされちゃった夢」

 そんな僕の言葉に、先輩は愕然としたような目で僕を見た。それからまた僕から視線をそらすと、さっきよりも更に苦しそうな、ほとんど震える声で言った。

「……気持ち悪かっただろ」

「んーん、気持ち悪くなんてなかったよ?」

「……」

「ただお兄さんのそれ……すごく大きいでしょ? だから……中に入ってきたら痛いんだろうなって思って、ボク怖くなっちゃって」

「……」

「ボクはじめてだから……痛いのが怖かっただけ。お兄さんにイタズラされたのは気持ち悪くなんてなかった」

 僕のその言葉に、湯船の中で先輩のペニスがまた苦しげにビクビクとのたうった。

 早く僕のおまんこに入りたくてたまらないのだ……そう思って、なんだか先輩のことがかわいそうになってきた。

 僕は思いきって湯船から立った。そしてお湯のしたたり落ちる股間を隠さずに先輩の目の前に晒して「もう上がるね」と言った。

「ねえ、今夜は一緒にベッドで寝よ?」

「……」

「そしたら今夜もヘンな夢みちゃうかも知れないけど、ボクはそれでもいいから」

 先輩の息がかかるほど近くに剥き出しの股間を晒したまま、僕は一息に言い放った。

 先輩は何も言わず、ただじっと僕の股間を見つめていた。

 大きなペニスが湯船の中にいよいよ激しく暴れ出すのを見ながら僕はお湯から上がり、ユニットバスを出た。



 ユニットバスを出た僕は、先輩が上がってくる前に服を着てベッドに入った。

 昨日と同じ先輩の開襟シャツとぶかぶかのトランクスという格好だった。先輩は別の服を用意してくれたのだが、僕はわざわざ自分でクロゼットの中から探してきてそれを着たのだ。

 やがてユニットバスから出てきた先輩は僕がベッドに寝ていることを認めると、昨日のように部屋の電気を消して机に向かった。

 先輩がノートパソコンのキーボードを叩く単調な音を聞きながら、けれども僕は昨日のように寝つかれなかった。

 それでもうとうとしかけたところで、先輩が椅子を引く音が聞こえた。

 ノートパソコンの明かりが消え、部屋の中が真っ暗になった。

 ゆっくりと先輩の足音が近づいてきて、止まった。僕の身体にかかっていたブランケットがめくり上げられ、ベッドが軋む音がして先輩がブランケットの中にもぐりこんでくるのがわかった。

(……来た……来ちゃった)

 僕が寝ているベッドに入ってきたあとも、先輩はしばらく僕の身体に手を伸ばしてこなかった。

 僕は壁に向かい、先輩におしりを向ける姿勢で、じっと固く身を竦ませていた。

 さんざん先輩を焚きつけ、今夜は先輩に最後まで許すという決意を固めていても、いざとなるとさっき浴室で見た獰猛なまでのペニスを思い出してしまう。

 そのペニスが自分の小さなあそこを限界まで押し広げて入ってくるさまを想像すると、やっぱり怖くなって身体が竦んでしまうのだった。

「……起きてるのか」

 やがて興奮にかすれる声で先輩がそう尋ねてきたとき、僕は返事を返さなかった。先輩に背中を向けたまま、ついにそのときが来たことを思って、もう一度キュッと身を固くした。

「……フゥ……フゥ……フゥ……フゥ」

 頭の裏側のあたりに荒い息がおこるのがわかった。……さっき僕が起きているかどうか尋ねてきた声も、まるで憧れの女の子に告白する中学生男子のようにかすれ、うわずっていた。

(先輩……僕に興奮してるんだ)

 同じブランケットの下にある僕の身体に先輩が欲情している……そう思ったとき、僕は首筋の裏側にねっとりとした生温かいものが押し当てられるのを感じた。

「……ぁ」

 最初、首筋の裏側を這いまわっていた先輩の舌と唇は、大きく開いたシャツの肩口のあたりを通って、やがて顎やのどぼとけのあたりを熱心についばみ始めた。

 同時に、背中から僕を抱きかかえるように前に回された先輩の手が、シャツのボタンを手早く外していった。ボタンをぜんぶ外し終えると先輩は僕の身体を少し持ち上げ、シャツを腕から抜いて完全に脱がせてしまった。

 ふぁさっ、とシャツが床に落ちる小さな音がした。

 そうしてブランケットの下にぶかぶかのトランクス一枚になった僕の胸の膨らみに、先輩の手がスッと伸びてきた。
 
「……ぁんっ……ぁぁ……」

 先輩に背中を向けたまま、僕はひとしきり先輩におっぱいを揉まれた。

 僕の両方の脇の下から突き出された先輩の大きな手が手ブラのように僕の左右のおっぱいを包みこみ、ときおり指の間に乳首を挟みこんだり、繊細な指先のタッチで胸全体を愛撫してみたり……やさしく愛おしむように先輩は僕のおっぱいを揉み続けた。

(……気持ちいい……おっぱい、気持ちいいよぉ)

 予想外に――と言っては失礼だが、先輩におっぱいを揉まれるのは予想外に気持ち良かった。

 先輩が僕の身体に強い欲情を覚えていることは一緒にお風呂に入る前から肌で感じていた。だからこそもっと乱暴な、荒々しい性行為を予想して身構えていたのだけれど、こんなにやさしく丁寧におっぱいを揉まれていると、そんな気持ちも解きほぐれてくる。

「……フゥ……フゥ……フゥ……フゥ」

「……ぁ……ぁぁ……ぁん……」

 おっぱいを揉む間も、先輩の舌と唇は僕の首筋から背中にかけて執拗にねぶりまわしている。

 けれども興奮に息を荒げ、欲望を剥き出しにして夢中で僕の身体を貪っている先輩を、やっぱり僕は気持ち悪いとは思えなかった。

(……ボクも、先輩とこうなりたかったのかな……)

 先輩の執拗な愛撫に身もだえ、絶え間なく小さな喘ぎ声をもらしながら、結局、僕の方でも先輩にイタズラされたかったのだろうかという疑問がふと心に浮かんだ。

 先輩の気持ちを考えればこのまま出てゆくことはできない。正当な見返りを先輩に受け取ってもらわなければならない――

 そんな建前の裏に隠れて、女の子としての自分に煮えたぎるような欲望を向けてくるこの人を前に無防備な身体を晒し、こうして性的にイタズラされたいという被虐心のようなものが、僕の中にまったくなかったと言えるだろうか……?

(……そうだよね……女の子のカッコなんかしたり……おフロで誘惑したり……)

 下着まで可愛いものにしたガーリッシュな格好で先輩を出迎えたとき、先輩とこうなりたいという思いが僕の中になかったと言えるだろうか……?

 湯舟からあがり、先輩の鼻先が触れるほど近くに股間を晒していたそのとき、先輩とこうなりたいという思いが僕の中になかったと本当に言えるだろうか……?

(……激しく求められるのに弱いのかな、ボク……)

 ……あるいはそうなのかも知れない。

 意外に誠実で品行方正なその人となりを知り、先輩が僕の中でキモい変態野郎ではなくなった時点で、この人はただ僕の身体に激しい執着をみせる一人の男に変わった。

 昨日の夜、寝込みを襲われ、欲望のおもむくまま先輩に身体を貪られていたとき、煮えたぎるようなその想いにほだされ、先輩の欲情のはけ口になることを僕は自ら求めていたのかも知れない……。

「……ぁ」

 トランクスが脚から抜き取られ、ブランケットの下に僕は一糸まとわぬ裸になった。

 先輩は左手で僕のおっぱいを揉み続けながら、剥き出しになった僕の股間に右手を伸ばしてきた。

「……ぁん……ぁぁ……」

 そうして先輩はその大きな手で、僕の女性器を愛撫しはじめた。

(……おまんこも……気持ちいい……先輩に触られるの……気持ちいい)

 予想外に気持ち良かったおっぱいの愛撫と同様に、先輩の手マンは想像よりずっと気持ち良かった。

 お風呂で処女であることをうったえたからだろう、先輩は膣内なかには決して指を入れず、クリトリスを中心にいわゆる小淫唇にあたる部分をゆっくりとやさしく丁寧に撫であげてくる。

 そこを撫でる先輩の指は潤っている。僕の身体の中から溢れ出たものだ。

 初体験はじめてだから、痛くしないでほしい。しっかりと濡らして、僕の膣内なかが先輩の大きなペニスを迎え入れる準備をととのえてから入ってきてほしい。

 そんな僕の切なる願いを、先輩はかなえようとしてくれているのだ。

(……先輩になら……ボクの初めてバージン……あげてもいいかな)

 背中から伸びる先輩の手におっぱいを揉まれ、くちゅくちゅと音を立てて女性器を愛撫され、首筋を淫らに舐めまわされながら、先輩が求めてくるなら今夜は最後まで許そうという想いが僕の意識を埋め尽くしていった。

 今夜、最後まで許したら、僕はきっと先輩のモノになる。

 この家で先輩に匿われたまま、毎日毎晩のように先輩の欲望を受け入れる性のはけ口になる。

 執拗な先輩の愛撫に身をゆだねながら、けれどもそうなっても構わないと僕は思った。

 先輩が心底僕を欲しがり、狂おしいまでに僕の身体を求めているのなら、先輩のモノになってその欲望を受け止め続ける日々は僕にとっておぞましい未来ではないと思った。

 むしろこれまでのこととか何もかも忘れてそんな日々に飛び込んでみるのもいいんじゃないかと、包み込まれるような快楽にぼうっとする頭で、僕はそんなことさえ考えはじめていた。

(……でも、やっぱり怖いな)

 ただ、そこに至るために、僕には乗り越えなければならない洗礼がある。

 僕の女性器が先輩のペニスを迎え入れるとき、同時に僕は処女を喪失することになる。

 浴室の照明のもとで見た先輩の規格外のペニス……あの大きなペニスによって処女膜が破られるのだ。そのことを思うと、先輩の丁寧な愛撫で淫らな方向に盛り上がってきた気持ちに暗い影がさす。

(……痛いのかな……やっぱり痛いんだろうな)

 先輩にペニスを挿れられそうになったら、僕はまた昨日のように泣いてしまうかも知れない。

 だが、それだけは避けようと思った。

 先輩のペニスが膣内なかに突き入れられようとするとき、それを拒んだり嫌がったりすることだけは絶対にするまいと思った。

「……マコト」

「……え?」

 ……そんなことを考えていたから、先輩に名前を呼ばれたとき、自分が寝たフリをしていたことも忘れて僕は返事をしていた。

「……俺が、マコトにあげる」

「……」

「ここへ来るとき家に忘れてきたって言ってたおちんちん、俺がマコトにあげるから」

 熱に浮かされたような先輩の声を、僕は頭の裏側に聞いた。


――――――――――――――――――
1.うん……おちんちんちょうだい。
2.はじめてだから……痛くしないで。

※いずれか一方を言葉にして下さい。
――――――――――――――――――
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