黒い夢

第三話

悪夢

　暗闇の世界をただひたすら走ってる。

何かに怯えて、その何かに捕まらないように
必死で足を動かしている。

捕まってしまったらもう2度と自分をコントロール出来なさそうで。
怖くてたまらない。

でも、見えないものは日に日に大きくなっている気がする。

いつも、捕まる瞬間で目が覚めるのだが、
この日は違った。

声がした。野太くて高い声。



「お前は今、本当に幸せなのか。

それでいいのか」



男なのか女かわからない声は続けて話す。


「我慢するな、無理して抑えるな、したいことをすればいい」

その瞬間、私はベッドから起き上がった。
全身に汗をかいていて息苦しい。
夢の世界で走っていたはずのにまるで、本当にランニングでもしたかのような疲れ具合だ。

あの声は一体...? 

私のしたいことを...??

でも、それをしてしまったらきっと...!



脳裏に浮かんだことを忘れて、
私はまた深い眠りについた。