侯爵家の清純美少女?いいえ、腹黒ドS大魔王ですが何か?

阿華羽

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SS 子息たちの憂鬱 ー前編ー

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 まず、始めにオレの自己紹介をしておこう。
 とりあえず、今からつらつらと登場人物が出てくるため面倒だからな。

 オレの名は「アルフレッド=コール」。

 王国騎士団の団長を父に持ち、学園卒業後は自動的に騎士団への入隊が決まっている。
 容姿は…。
 そうだな、短めの父譲りのブロンズ色の髪に、母譲りの黒曜石の様な瞳といった所か?

 卒業まで数日。

 嫌でも気合いが入り始めた今日この頃だ。
 入隊後は、団長の息子とて新人扱いだ。
 見習いから始まり、正騎士になるまでの暫くは、騎士団の宿舎で生活する事になっている。
 おかげで、ここのところ、学園から帰宅すると準備等に追われる毎日だった。

 だが、そんな中。

 ここ最近、オレは毎日の様に友人と「」について愚痴り合っていた。

「まったく、あの方にも困ったものだ」

 昼休み、学園のカフェテラスにて、オレ達は項垂れながら、ここ最近の恒例行事となった愚痴り合いをしていた。

 だが、今日は何時もの愚痴り合いとはひと味違う。

 先程オレ達は聞いてしまったのだ。
 アイリッド殿下とメリッサ嬢の有り得ない会話を。

「まったくね?……本気で将来が不安になってきたよ。ボク達、に仕えるんだよ?」

 オレの目の前では、愚痴り合いの相手である王国魔法士団の団長の息子、「マルカス=シュタイン」が不貞腐れる様にテーブルに突っ伏していた。
 金色の肩口まであるストレートの髪に、アクアマリンとエメラルドのオッドアイ。
 この瞳の色は、こいつの家の特徴だな。
 因みに、こいつもオレ同様、今年この学園を卒業し、そのまま城に仕える予定だ。

「ねぇ、ボクは思うんだ。このままあの二人が結婚したら、この国は危ないんじゃないのかなぁってさ?」
「マルカス…お前、いくら盗聴防止の魔道具を使っているとはいえ……大胆だな」

 こいつの言わんとしている事はよく分かる。
 確かにあれを聞いて不安にならない訳がないな…。

「だってさぁ、あれは無いよ!まさかシーちゃんに婚約破棄を言い渡す予定だなんてさ!しかも、めっちゃノリノリで言ってたよ?」

 こいつの言う「シーちゃん」とは、オレ達の幼馴染みであり、大切な友人である「シルビア=サフィール」の事だ。
 サフィール家の「長男」にして、次期当主。
 見た目だけなら、そこいらのご令嬢など目でも無い純粋美少女。

 まぁ、見た目だけなら…な。

 実際は、父親である宰相閣下にそっくりな「腹黒ドS」だ。
 間違っても敵にまわそうものなら……考えただけでも恐ろしい。
 まぁ、とは言っても、普通にしていれば害は無いし、あいつは身内をとことん大切にする。
 だから、オレ達はあいつの事が好きなんだ。

「しかし、殿下は何故シルビアが男だと忘れているんだ?幼少期からの知り合いだろ?しかも、王族の方がサフィール家の事情を知らない訳がないはずなのに」

 そう、サフィール家はこの国の貴族の中でも異質な家だ。
 あの家では、男子の出生率が何故かかなり低い。
 しかも、生まれたとしても、16歳の成人まで生きられない者がほとんどなのだ。
 そのせいで、男子は、生まれると、魔除のために成人まで女性の姿をとらされる。

 現にシルビアも幼少期は体が弱く、オレ達はあいつが何度も倒れ、生死の境を彷徨った事をよく覚えている。
 まぁ、今では考えられない位元気になったが。

「どうせ、あのトリ頭の事だから、自分のいい様に解釈完結したんじゃないの?シーちゃん、見た目だけは可愛いからさぁ」

 嫌いなのは同意するが、「トリ頭」は言い過ぎだ。
 まったく、こいつはこいつで口が悪すぎる。

 オレは、面倒くさそうな顔で、目の前にあるグラスから果実水をストローで吸うマルカスに、溜息しか出なかった。
 しかも何か「ジュー」って音たててるし………汚いな。

「で、この事はシルビアに言うのか?」

 いきなり卒業式で殿下から宣言されたら、流石のシルビアでも困るはずだ。
 先に伝え、対処を考えた方がいいかもしれない。

「んー、そうだねー。シーちゃんには伝えた方がいいかも。あ、後、ラルフとミカにも言っといた方がいいだろうね」

 因みに、「ラルフ」は冒険者ギルドの総裁の息子で、ミカ…「ミカエリス」は商業ギルドの総裁の息子だ。
 二人共、オレ達の幼馴染みになる。
 因みに、この二人は、シルビアと同い年。オレとマルカスの一つ年下だ。

「とりあえず、先にシルビアに伝えておくか?どうせ何時もの場所にいるだろうからな」

 シルビアは、何時も昼休みになると決まって「ある場所」へ向かう。
 それは、今オレ達がいるカフェテラスからそう遠くない。
 ラルフとミカエリスを探すより、先に居場所が分かっているシルビアに伝えた方が効率がいいだろう。

「そうだね。んじゃ、シーちゃんの所に行きますか?」

 だが、オレ達は自分達のこの行動が間違っていたと、後から後悔する事になるとは思いもしなかった。
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