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17知らなかったでは済まない
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昔話をしよう。
トーラス国は、花の国と称される程、一年を通して常春な国だ。
この国の王家は何代も続いており、国自体も大変古い。
そんな国の「王」の話。
先代の父王を亡くした時の王は、若くしてその地位を継承した。
その当時の年齢は、20歳。
成人して数年しか経たない王だったが、その手腕はとても良く、国営は順調に行われた。
そんな中、王は兼ねてより婚約していた侯爵家の令嬢と婚姻。そして、めでたく三人の王子をもうけた。
跡取りにも不十する事なく、順風満帆な日々。
だが、そんな時……不幸と言うものはやって来るもので。
王妃は流行病にて、あっという間に空へと上がってしまった。
その後、塞ぎながらも、王は王子達に一生懸命愛情を注ぎ、国のためにその身を投じた。
それから二十年の月日が流れ…。
ある日、視察のために降りた城下にて、王はある娘と出会う。
その娘は王妃の親類に当たる者で、どこか王妃に似た雰囲気をもつ娘だった。
その出会いから数年後、二十歳と言う歳の差もあり、色々と問題も起こったが、娘に惚れ込んだ王は、彼女に妻になってほしいと申し出、娘もそれを嬉しそうに了承した。
ただ一つ、娘から条件はあったが…。
それは自分を「正妃」ではなく「側妃」にしてほしいと言う事だった。
前の王妃が亡くなっており、正妃になるのは、何ら問題はなかったのだが、娘は王妃の事を、それは慕っており、正妃なら婚姻は受けないと言った。
あくまで、この国の王妃は「あの方」なんだと。
その後、周りからは政略的だなど、余りよい見方をされない事もあったが、二人の仲はとても良く、前妃の子供である三人の王子達も新しい義母にとても懐いた。
そして、娘が王の妻になり数年後、彼女は子供をもうけた。
上に王女、その下に三歳下の王子。
二人とも、王と王妃によく似た、銀の髪に赤い瞳の子供だった。
その後…。
「その、下の王子が私の「弟」だ」
昔話を交え、トリ頭の王太子にも分かりやすく説明した陛下。
この国の人間なら皆知っている事だ。
しかも…。
「それともう一つ言っておこう。側妃であった義母は、サフィール家の人間だ。つまり、バイオレットは王家と血縁関係なのだよ」
そう。
前国王の側妃である「ソフィア」様は、サフィール家の人間。
私の母の叔母に当たる人だ。
今は、退位された前国王様と、離宮にて仲良くお過ごしになっている。
本当に、この場にお二人とウチの母がいない事に感謝してほしい位だ。
いたら今頃……。
うん、それはそれで面白いものが見れたかもしれないけど。
「なっ……そんな事は、しっ、知らなっ」
とたんに、ルドニーク殿下の顔色が悪くなった。
先程まで騒ぎまくっていたのは何処へやら。
それはそうだろう。
これは、この国の王家に喧嘩を売った様なものだ。
しかも、まだ王にもなっていない、だだの「次期後継者候補」が。
ウチの国で起こった王太子の廃嫡で分かる様、何かあれば、その地位は簡単に揺らぐ。
………それと。
トリ頭のバカ王太子は気付いているのだろうか。
殿下の弟がやらかした件もだが……殿下自身もサフィール家に…トーラス王家に喧嘩を売ったという事を。
「まぁ、公表はしておらぬし、弟は学者の道に進み、王家の柵からは逃れておるしの。そなたが知らなくても不思議ではないが……ルドニーク殿」
そして、陛下は広角を上げ、ニヤリと笑った。
ただ、目だけは怒りに満ち、全く笑っていないのが印象的だ。
「知らなかった…で、済む問題だとお思いか?」
その瞬間、ルドニーク殿下の後ろで近侍が倒れた。
トーラス国は、花の国と称される程、一年を通して常春な国だ。
この国の王家は何代も続いており、国自体も大変古い。
そんな国の「王」の話。
先代の父王を亡くした時の王は、若くしてその地位を継承した。
その当時の年齢は、20歳。
成人して数年しか経たない王だったが、その手腕はとても良く、国営は順調に行われた。
そんな中、王は兼ねてより婚約していた侯爵家の令嬢と婚姻。そして、めでたく三人の王子をもうけた。
跡取りにも不十する事なく、順風満帆な日々。
だが、そんな時……不幸と言うものはやって来るもので。
王妃は流行病にて、あっという間に空へと上がってしまった。
その後、塞ぎながらも、王は王子達に一生懸命愛情を注ぎ、国のためにその身を投じた。
それから二十年の月日が流れ…。
ある日、視察のために降りた城下にて、王はある娘と出会う。
その娘は王妃の親類に当たる者で、どこか王妃に似た雰囲気をもつ娘だった。
その出会いから数年後、二十歳と言う歳の差もあり、色々と問題も起こったが、娘に惚れ込んだ王は、彼女に妻になってほしいと申し出、娘もそれを嬉しそうに了承した。
ただ一つ、娘から条件はあったが…。
それは自分を「正妃」ではなく「側妃」にしてほしいと言う事だった。
前の王妃が亡くなっており、正妃になるのは、何ら問題はなかったのだが、娘は王妃の事を、それは慕っており、正妃なら婚姻は受けないと言った。
あくまで、この国の王妃は「あの方」なんだと。
その後、周りからは政略的だなど、余りよい見方をされない事もあったが、二人の仲はとても良く、前妃の子供である三人の王子達も新しい義母にとても懐いた。
そして、娘が王の妻になり数年後、彼女は子供をもうけた。
上に王女、その下に三歳下の王子。
二人とも、王と王妃によく似た、銀の髪に赤い瞳の子供だった。
その後…。
「その、下の王子が私の「弟」だ」
昔話を交え、トリ頭の王太子にも分かりやすく説明した陛下。
この国の人間なら皆知っている事だ。
しかも…。
「それともう一つ言っておこう。側妃であった義母は、サフィール家の人間だ。つまり、バイオレットは王家と血縁関係なのだよ」
そう。
前国王の側妃である「ソフィア」様は、サフィール家の人間。
私の母の叔母に当たる人だ。
今は、退位された前国王様と、離宮にて仲良くお過ごしになっている。
本当に、この場にお二人とウチの母がいない事に感謝してほしい位だ。
いたら今頃……。
うん、それはそれで面白いものが見れたかもしれないけど。
「なっ……そんな事は、しっ、知らなっ」
とたんに、ルドニーク殿下の顔色が悪くなった。
先程まで騒ぎまくっていたのは何処へやら。
それはそうだろう。
これは、この国の王家に喧嘩を売った様なものだ。
しかも、まだ王にもなっていない、だだの「次期後継者候補」が。
ウチの国で起こった王太子の廃嫡で分かる様、何かあれば、その地位は簡単に揺らぐ。
………それと。
トリ頭のバカ王太子は気付いているのだろうか。
殿下の弟がやらかした件もだが……殿下自身もサフィール家に…トーラス王家に喧嘩を売ったという事を。
「まぁ、公表はしておらぬし、弟は学者の道に進み、王家の柵からは逃れておるしの。そなたが知らなくても不思議ではないが……ルドニーク殿」
そして、陛下は広角を上げ、ニヤリと笑った。
ただ、目だけは怒りに満ち、全く笑っていないのが印象的だ。
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その瞬間、ルドニーク殿下の後ろで近侍が倒れた。
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