26 / 29
22一先ず落ち着きました?
しおりを挟む
陛下の護衛に拘束され、部屋を出て行く元正妃と元王子達。
「私は正妃ですよ!お離しなさい無礼者ぉぉぉ!」
「母上!もうお止めください!」
元正妃の醜い叫び声が、部屋から遠のいてくのが耳に微かに残る中、ゆっくりと扉が閉ざされた。
やれやれだな……。
「誠、皆には見苦しいものを見せた…すまぬ」
そんな中、陛下がドカリと椅子に座り直し、深く溜息を吐いた。
「さて、愚か者どももいなくなった事だ……本題に移そうか。……シルビア殿、待たせたな」
「いえ、事前に我が国の国王、並びに宰相に話は聞いておりましたから、問題はございません」
「そう言ってもらえると助かる」
そう。
今回、この国に私が来たのには理由がある。
一つは、トーラス国王からの命。
今回の件である、トーラス国伯爵家バルシルとエルドラント国の正妃との繋がりと、事の詳細を伝える事。
そして、もう一つは、サフィール家当主である母からの書簡を届ける事。
まぁ、仕方ない。
宰相である父は城を空けられず、外務大臣の叔父は別の仕事が入り自分では来れない。かと言って、内容が内容だけに向かう人物は限られている。
そして。
サフィール家当主である母は大変お怒りで、「何故、あの様な痴れ者の国に私が態々出向かなくてはならぬのです!」と、絶対に行かないと断固拒否してしまった。
で、両方こなせる私にお鉢が回って来たのだ。
「陛下、遅れましたが、サフィール家より正式な回答にございます」
私は、陛下の前に母から預かった書簡を差し出した。
「内容は、今回そちらのご要求にありました、サフィール家三女バイオレットと第二王子殿下との婚約について、お断りのむねが記されております……ご確認をお願い出来ますでしょうか?」
今回、元正妃により承諾された姉の婚約は、エルドラント国にて正式なものとなっている。
そのため、それを断るためには、此方も正式な書簡を認める必要があったのだ。
「うむ、確認しよう」
陛下は、私から書簡を受け取ると、封蝋を切り、内容を確認し、そのまま宰相に手渡した。
「確認した。では、此方から破棄に関する書類を作成し、サフィール家へとお渡しする。シルビア殿、此れをご当主に渡してもらえるか?」
そして、代わりに破棄の書類を宰相から受け取り、それにサインと印鑑を押すと、私に見せた。
「内容に間違いはないな?」
「はい、有り難うございます」
これでひと段落だな。
本当………今回は、面倒だった。
城に上がると同時に、トーラス国王と宰相である父に呼び出しをくらい、今回のお家騒動の話をされた。
まさか、自国の伯爵が隣国の正妃と通じているなんて……。
聞いた瞬間、頭が痛くなった。
で、何で私なぞにその話をしたのか…。
それは、将来エリオット様がつく王位の足場固めと、人脈作り。
内容の中に、正妃を処罰並びに、王子二人を王家から出した後、現側妃ミランダ様を正式に正妃とし、娘であるエマリア様を次期国王にすると言う事柄があったのだ。
つまり、同盟国であるエルドラントの次期国王と繋がりを作っておけ………と。
まぁ、私が代理としてパイプ役になり、エルドラント国に恩を売っておくのも良いのではないか?と言う、陛下と父の考えもあった様だが。
そして、そんな中で追加された、姉の婚約騒動だ。
姉を欲する第二王子と、サフィール家を欲する正妃の間で利害の一致があったのだろう。
本当…嫌になる。
で、私は陛下の命により、急遽エルドラント国へと発つ事になった。
それから何と慌ただしかった事か。
まず、急ぎ家に戻り、母に書簡の用意を頼み、その間に姉の婚約者である王弟ダリス様を呼びに、学園内の研究施設に向かい、書簡を受け取りに帰り、間髪入れずに城に戻った。
そして、憔悴したバカ王太子……もぅ、「元」だが、彼に「時の門」を開かせ、エルドラント国に到着。
ざっとこんな感じだったが、正直疲れた。
「シルビア、今回は有り難う」
私が、エルドラント国王より預かった書類を仕舞うと、珍しく姉から感謝された。
「家族だから当たり前ですよ?……それに……ねぇ?」
「まぁ、そうよね?このまま放置してたら……ふふ」
「面白いものが見れなくて残念でしたか?」
「あら?人聞きが悪い。……まぁ、でも貴方にとっては良かったんじゃなくて?ちゃんと解決しておけば、将来「楽」でしょ?色々と…うふふ」
「まあ、否定はしませんが」
やはり、血は争えないなぁ。
あ、周囲の視線が痛い。
「誠、其方ら姉弟は……将来恐ろしいのぉ」
「エマリア、ある意味力強いから…頑張りなさい」
「お母様………はい」
真っ黒ダダ漏れな私達姉弟。
エルドラント国の皆様は、顔を引きつらせていた。
だがそんな中、平然とする人間が一人。
「ははは。相変わらず仲良しさんだね、君たちは……まぁ、役に立つものは使わないと損だから仕方ないね」
やはり、王弟殿下は「アノ」国王の弟だなぁ…と思った。
「私は正妃ですよ!お離しなさい無礼者ぉぉぉ!」
「母上!もうお止めください!」
元正妃の醜い叫び声が、部屋から遠のいてくのが耳に微かに残る中、ゆっくりと扉が閉ざされた。
やれやれだな……。
「誠、皆には見苦しいものを見せた…すまぬ」
そんな中、陛下がドカリと椅子に座り直し、深く溜息を吐いた。
「さて、愚か者どももいなくなった事だ……本題に移そうか。……シルビア殿、待たせたな」
「いえ、事前に我が国の国王、並びに宰相に話は聞いておりましたから、問題はございません」
「そう言ってもらえると助かる」
そう。
今回、この国に私が来たのには理由がある。
一つは、トーラス国王からの命。
今回の件である、トーラス国伯爵家バルシルとエルドラント国の正妃との繋がりと、事の詳細を伝える事。
そして、もう一つは、サフィール家当主である母からの書簡を届ける事。
まぁ、仕方ない。
宰相である父は城を空けられず、外務大臣の叔父は別の仕事が入り自分では来れない。かと言って、内容が内容だけに向かう人物は限られている。
そして。
サフィール家当主である母は大変お怒りで、「何故、あの様な痴れ者の国に私が態々出向かなくてはならぬのです!」と、絶対に行かないと断固拒否してしまった。
で、両方こなせる私にお鉢が回って来たのだ。
「陛下、遅れましたが、サフィール家より正式な回答にございます」
私は、陛下の前に母から預かった書簡を差し出した。
「内容は、今回そちらのご要求にありました、サフィール家三女バイオレットと第二王子殿下との婚約について、お断りのむねが記されております……ご確認をお願い出来ますでしょうか?」
今回、元正妃により承諾された姉の婚約は、エルドラント国にて正式なものとなっている。
そのため、それを断るためには、此方も正式な書簡を認める必要があったのだ。
「うむ、確認しよう」
陛下は、私から書簡を受け取ると、封蝋を切り、内容を確認し、そのまま宰相に手渡した。
「確認した。では、此方から破棄に関する書類を作成し、サフィール家へとお渡しする。シルビア殿、此れをご当主に渡してもらえるか?」
そして、代わりに破棄の書類を宰相から受け取り、それにサインと印鑑を押すと、私に見せた。
「内容に間違いはないな?」
「はい、有り難うございます」
これでひと段落だな。
本当………今回は、面倒だった。
城に上がると同時に、トーラス国王と宰相である父に呼び出しをくらい、今回のお家騒動の話をされた。
まさか、自国の伯爵が隣国の正妃と通じているなんて……。
聞いた瞬間、頭が痛くなった。
で、何で私なぞにその話をしたのか…。
それは、将来エリオット様がつく王位の足場固めと、人脈作り。
内容の中に、正妃を処罰並びに、王子二人を王家から出した後、現側妃ミランダ様を正式に正妃とし、娘であるエマリア様を次期国王にすると言う事柄があったのだ。
つまり、同盟国であるエルドラントの次期国王と繋がりを作っておけ………と。
まぁ、私が代理としてパイプ役になり、エルドラント国に恩を売っておくのも良いのではないか?と言う、陛下と父の考えもあった様だが。
そして、そんな中で追加された、姉の婚約騒動だ。
姉を欲する第二王子と、サフィール家を欲する正妃の間で利害の一致があったのだろう。
本当…嫌になる。
で、私は陛下の命により、急遽エルドラント国へと発つ事になった。
それから何と慌ただしかった事か。
まず、急ぎ家に戻り、母に書簡の用意を頼み、その間に姉の婚約者である王弟ダリス様を呼びに、学園内の研究施設に向かい、書簡を受け取りに帰り、間髪入れずに城に戻った。
そして、憔悴したバカ王太子……もぅ、「元」だが、彼に「時の門」を開かせ、エルドラント国に到着。
ざっとこんな感じだったが、正直疲れた。
「シルビア、今回は有り難う」
私が、エルドラント国王より預かった書類を仕舞うと、珍しく姉から感謝された。
「家族だから当たり前ですよ?……それに……ねぇ?」
「まぁ、そうよね?このまま放置してたら……ふふ」
「面白いものが見れなくて残念でしたか?」
「あら?人聞きが悪い。……まぁ、でも貴方にとっては良かったんじゃなくて?ちゃんと解決しておけば、将来「楽」でしょ?色々と…うふふ」
「まあ、否定はしませんが」
やはり、血は争えないなぁ。
あ、周囲の視線が痛い。
「誠、其方ら姉弟は……将来恐ろしいのぉ」
「エマリア、ある意味力強いから…頑張りなさい」
「お母様………はい」
真っ黒ダダ漏れな私達姉弟。
エルドラント国の皆様は、顔を引きつらせていた。
だがそんな中、平然とする人間が一人。
「ははは。相変わらず仲良しさんだね、君たちは……まぁ、役に立つものは使わないと損だから仕方ないね」
やはり、王弟殿下は「アノ」国王の弟だなぁ…と思った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです
ほーみ
恋愛
「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」
その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。
──王都の学園で、私は彼と出会った。
彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。
貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。
弟が悪役令嬢に怪我をさせられたのに、こっちが罰金を払うだなんて、そんなおかしな話があるの? このまま泣き寝入りなんてしないから……!
冬吹せいら
恋愛
キリア・モルバレスが、令嬢のセレノー・ブレッザに、顔面をナイフで切り付けられ、傷を負った。
しかし、セレノーは謝るどころか、自分も怪我をしたので、モルバレス家に罰金を科すと言い始める。
話を聞いた、キリアの姉のスズカは、この件を、親友のネイトルに相談した。
スズカとネイトルは、お互いの身分を知らず、会話する仲だったが、この件を聞いたネイトルが、ついに自分の身分を明かすことに。
そこから、話しは急展開を迎える……。
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる