Make A Joyful Noise!

外鯨征市

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第11話

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 とうとうこの日がやってきた。
 定期演奏会はすでに開演され、今は第二部の真っ最中。
 ステージではゲストの鳴子川高校吹奏楽部が星野の指揮の元で演奏している。
 怪我による柘植の入院は痛かったがそれでも部員たちはベストを尽くして練習してきた。残念ながらステージに上がることができなくなった大御所の先生に自分たちの成長を見てもらうためにも。
 合奏練習は宗太郎が主導し、それを苅田と星野が補佐する形で進めてきた。
 宗太郎にとって合奏指導は初めての経験だったらしいが、さすがは柘植が最後に取った弟子だった。特に低音パートは比べ物にならないほどに強化されている。
「よし、最後のチューニングだ」
 譜面台に置いた腕時計をチラリと確認した宗太郎は傍に置いてあったハーモニーディレクターを操作する。高さの違う四つのB♭がアンプを通して鳴らされると、宗太郎は主席クラリネット奏者からその隣へと一人ずつ指を差していく。指名された奏者は同じ音を出すとその音の高低によって宗太郎が合図を出す。管を調整して再び音を出し、合格が出るとさらに次の奏者へと指示が飛んでいく。
 木管楽器のチューニングが終わり続いてチューバにキューが飛んだ。
 そしてコントラバスを担当する東郷へと指示が出た。弦を指板に押さえつけて弓で力強くひっかく。弓の根元から先端までのひと引きで合格が出た。
 次に指名された後輩の久留米にも合格が出て、ホルン、トロンボーン、トランペットと続いていく。
 全員のピッチが揃ったところで宗太郎は片手を大きく振って音を止めた。そして再び腕時計をちらりと確認すると、基準音を鳴らしていたハーモニーディレクターを停止させた。
「少し時間が余ったな。まさかこんな短時間でチューニングが終わるほど上達するとは思わなかったぞ」
 冗談めいて部員たちを褒める宗太郎。
 その言葉に頬を緩める部員たち。
「今から移動しても舞台袖で待ちぼうけだ。少し俺の仕事の話をしよう」
 日本を滅ぼそうとしている奴をぶっ殺すことだ。
 中止となった先日の合同練習で宗太郎が言っていた言葉だ。
「陸上自衛隊と聞くと迷彩服を着て匍匐前進しているイメージを持っているだろう? だけど現在では平原のような自然環境だけでなく障害物や死角が多い市街地での戦闘も想定されている。それに伴って取り回しの良い拳銃の訓練も行われるようになった」
 夕方のニュースで特集された自衛隊の訓練を東郷は見たことがある。
 迷彩服を着た隊員が屋上からロープで降りてきて、そのまま窓を突き破って建物に突入していた。
 もちろん東郷の隣で祖母も一緒に放送を見ていた。ロープ一本で勢いよく屋上から降りてくるその技術と勇気に驚嘆していたものだ。東郷ならば手摺の外側に出ることすらできないだろう。
「確かに閉所では小銃よりも拳銃のほうが有利な場合がある。だけど拳銃には閉所戦闘以外にも使い道がある」
 ヒントは指揮官が携帯していること。なんだと思うか?
 宗太郎に問いかけられたクラリネットの部員たちは首を傾げた。
「作戦失敗の責任を取って頭をブチ抜くんだよ」
 さも当然とでも言うかのように宗太郎は言い放った。
「作戦が失敗したら死んで詫びるという責任を表すために指揮官は拳銃を携行している。相撲の立行司も「差し違えたら切腹する」という意味を込めて短刀を帯に差しているが、俺たちもそれと同じだな」
 まぁ俺たちは失敗したら本当にブチ抜くだろうけどな。
 さらりと宗太郎は呟いたが、それを聞かされる部員たちは恐ろしくて仕方なかった。
 しかしその様子を意に介することなく彼は真面目な表情で語り続ける。
「俺は最後の合同練習を中止した。新人指揮者に加えて最終調整すらしていないのだから今回の合同演奏は酷いものになるかもしれない」
 特に三年生。最後の定期演奏会だというのに悪かったな。
 そのように宗太郎は謝ったが、部員の誰も彼を恨むような顔をしていなかった。それどころか今回のステージを最後に送られる者も送る者も、誰もが真剣に宗太郎の話に耳を傾けていた。
「『ヘタクソな演奏者なんていない。ヘタクソな指揮者がいるだけだ』。これはオーケストラの有名な格言だ。全ての責任は指揮者の俺にある。だから責任なんて考えずに思い残すことがないように楽しんでこい」
 その訓示は指揮者というよりも指揮官のものだった。
 宗太郎が陸上自衛隊の小隊長だからそのように感じるのだろうか。それとも直前に作戦失敗の責任の取り方を話していたからそのように聞こえるのだろうか。
 スピーチが終わると宗太郎は譜面台の腕時計を確認した。
 ちょうど舞台袖に移動する予定時刻になっていた。
 今は鳴子川高校が演奏しているからできるだけ物音を立てないように、と彼は注意喚起をすると、重い防音扉を解放して部員たちを外へと送り出す。これからの演奏に緊張しつつも退出していく部員ひとりひとりに彼が声を掛けていく。
 最初にパーカッションが出ていき、次は木管楽器。
 続いて金管楽器が出ていき、最後に低音パートだ。
「アンタはセンスがある。ホールに響く音を想像するんだ。それと楽しんで来い」「アンタは今年入ったやつだな。未熟なのは仕方ない。隣で先輩の雄姿をよく見届けておけよ。それが今後のためになる。目でも耳でもいい。先輩の姿を記憶に刻みつけておくんだ」
 同じ楽器だということでチューバの二人に宗太郎は熱心に語り掛けていた。
「苅田先生に聞いたぞ。教えてくれる先輩がいないのにほぼ独学で頑張ったらしいな。それでここまで上達できるなんて才能のひとつだ。今日だけは先輩がいるんだから思う存分甘えて来い」
 べた褒めされた久留米は嬉しそうにはにかみながらコントラバスを抱いて退室する。
 最後に残ったのは東郷だった。
「たまには大勢で合奏するのもいいものだろう」
「そうですね」
「俺も基本は一人で吹いているが、定期演奏会には母校に戻って一緒に演奏している」
「母校、ですか」
「赤岩中学校だ。同じ市内だから知っているだろう?」
「赤岩ってそこそこに強いところじゃないですか」
 毎年のように九州大会に進むような強豪というわけではないが、たしか東郷が現役最後のコンクールでは金賞を獲得していたはずだ。金賞でも上位大会には進めないいわゆる『ダメ金』だったが、金賞は金賞だ。
「おいおい、今と昔は違うぞ。俺がいたのはその暗黒時代のときだ」
 彼の出身中学校も同じ日向市の市立中学校だ。
 日向市内の多くの吹奏楽部の生徒はその学校の吹奏楽部のことを知っている。その中学校は毎年県大会で金賞の成績を収めていて数十年前の最盛期には全国大会に連続出場もしていた。しかしそんな吹奏楽部にもどうしようもない時期があったことも聞いている。
 宗太郎が口にした『暗黒時代』と呼ばれるものだ。
 東郷がもしそんな時代に在籍していたならば、吹奏楽部にいたことすら口を閉ざすだろう。
 しかし宗太郎はなにも気にしていないとでもいうようにカラカラと笑っている。
「今回の演奏が楽しかったと思えたら、たまには戻ってやれよ」
 そう言って東郷の肩を叩くと、宗太郎は近くのスイッチを操作して照明を消し、重い扉を閉鎖した。
「……宗太郎さん」
「なんだ?」
 すでに他の部員たちは舞台袖に行ってしまった。
 いまこの場所にいるのは二人だけだ。
「宗太郎さんが指揮を振ることになったときの最初のミーティングで「『Make A Joyful Noise!』を選曲したときに、なんの意味も込めていなかった」って言っていましたよね?」
「さぁどうだったかな?」
 深く切り込もうと東郷は質問するが、それは不敵にはぐらかされてしまった。
 いつもの宗太郎だろうか。
 東郷はそのように思ったが違っていた。
 過去を懐かしみながらも、何かを後悔するようだった。
「しいて言うならば、俺が中学のコンクールで吹いた自由曲だったからだ。中学二年、課題曲は『ブライアンの休日』。結果は県大会銅賞だった。その結果が発表されて号泣する先輩や同級生たちの姿を今でもよく覚えている」
 東郷は声を掛けることができなかった。
 結果を聞いて号泣する先輩や同級生たちの姿。
 その姿を見て心を痛めたことは東郷だって経験している。
 これは罪悪感だろうか。
 もっと自身の演奏技術が高ければ、もう一つ上の銀賞を取れていたかもしれない。先輩や同級生の涙を見なくて済んだかもしれない。
 吹奏楽は集団で奏でるものだ。
 かといって個人が責任を感じないというものではない。
 東郷が今回の合同演奏に参加する意思を表明しなかった理由。彼はそれを認識することがなかったが、その正体は罪悪感なのかもしれない。
 仲間たちの夏を終わらせた。
 周りの人たちはそれを否定するだろう。しかし東郷はそのように考えることができなかった。重くのしかかったその責任に耐えることができなくなり、東郷は楽器を置いてしまった。
 本番を目前にして東郷は心の奥底に閉じ込めていた感情に気づいた。
 コンクールの結果に泣く同級生への申し訳なさ。後悔。罪悪感。
 そして再びあの感情を味わうかもしれないという恐怖。
 今回の合同演奏だって後輩たちの最後の演奏を台無しにしてしまうかもしれないという不安を感じて参加するか否かの意思を表明することができなかった。
 それは吹奏楽に対してだけではない。
 あらゆる音楽に対してその感情を抱いているのではないだろうか。
 鶴見たちから熱烈に軽音楽部に勧誘されたが、それでも頑なに入部はしなかった。
 集団で奏でる音楽に恐怖し、たった一人の殻に閉じこもっていた。
 東郷は無意識のうちにその感情に蓋をしていた。
 その蓋を無意識のうちに開けてしまった。
 恐怖に押しつぶされそうになっている東郷を察したのだろう。宗太郎は何も見ていないとでも言うように自身の過去の話を続けた。
「コンクールをぶち壊したのは俺だ。それに責任を感じていたんだろうな。高校では吹奏楽を続けなかった。チューバを二度と吹かないと決めていた。音楽の世界には二度と戻らないし、俺には戻る資格もないと思っていた」
「……でも戻ってきたんですよね」
「そうだな。だけどそれが遅すぎたのか、運命だったのかは今でも分からない」
「すごいですよ。僕なんてそんな……」
 東郷にそんな勇気はなかった。
 今回の本番に参加するかどうか。演奏会当日になってもその答えを出すことはできなかった。ずるずると惰性で進んでいき、結局はそのままステージに上がることになってしまった。
 東郷は心のどこかで感じていた。
 この演奏に参加したいと。
 しかしそれを言い出す勇気が出なかった。
 仲間たちの青春を終わらせてしまった。
 そんな自分が再び舞台に立つ資格があるとは思えなかった。
 今回、舞台を共にする仲間たちの青春に泥を塗るのが怖かった。
 宗太郎の演奏技術がどれほど酷かったかは分からないけども、東郷もあまりコントラバスが上手いほうではなかったと思っている。自分がもう少し上手であれば現役時代のコンクールはもう少し良い結果が出たに違いないと今でも思っている。
 東郷が感じていたものは宗太郎が経験したものと似たようなものだった。コンクールに対する自分の責任を感じ、自分にはあの場所に戻る資格がないと思っていた。だからこそ演奏に参加したいとは言い出せなかったのだろう。
「宗太郎さん、すみません。結局、演奏会に参加するかどうかの返事をできなくて」
「別にいいんだよ。期限を決めなかったのは俺だ。ただ無理に答えを出してもらいたくなかった。それに俺は東郷が参加すると信じていた」
「……どうしてですか?」
「東郷を見ていると、まるで昔の俺を見ているような感覚がしたんだ。自分の演奏を嫌っていて、再び楽器を持つ勇気が出なくて悩んでいる。それが昔の俺にそっくりだった」
「そっくりだなんて……」
 いくら昔の話だとしても、それは東郷を買いかぶりすぎだ。
「宗太郎さんは強い人ですよ。それなのに僕は弱くて勇気すらない臆病者ですよ……」
 東郷は嘆いた。
 この期に及んでいまだステージに立つ勇気は持てていない。
 しかしその自信のなさを宗太郎は見ぬいたのだろう。
「東郷はきちんと練習にも参加していた。リハーサルにも参加してチューニングも終わらせた。今日は自分の意思でこの会場にやって来たんだろう? それは勇気以外の何物でもない。ここまでしておいて他にどんな勇気が必要なんだ?」
 それこそが勇気だと宗太郎は言うが、東郷はそうは思わなかった。
 彼はただ惰性で進んできただけだ。参加するか否か、答えを出すといいながら結局は先送りにしていただけだ。いや、その答えを出す勇気がなかった。
「当時の俺はチューバを吹くのが怖かった。しかし今では吹奏楽の世界に戻ってきたどころか今日は指揮を振ることになった。東郷も再びコントラバスを弾くことになった。音楽とは不思議なものだよ。人の生き方を変える不思議な力を持っている」
 指揮棒の後端に装着されているコルクを弄びながら宗太郎は語る。
 星野は高校時代に柘植の指導を受けたことがきっかけで吹奏楽指導者となった。宗太郎が一時期吹奏楽から離れていたという話は初耳だったけども、今はこうして指揮者として舞台の裏側で控えている。
 東郷だって、最初は入れ違いの後輩の面倒を見るために母校に戻った。そしてそのままずるずると今日の演奏会を迎えた。それは東郷が優柔不断なだけだと思っていた。
 しかし本当に音楽が不思議な力を持っているとするならば、それは惰性で進んできたのではなく音楽に引き寄せられたのではないだろうか。
「俺たちはプロの音楽家じゃない。アマチュアの中でも底辺の部類だ。だからヘタクソな音楽しか奏でることができない」
 東郷の最後のコンクールは県大会銅賞。
 宗太郎の言う通り、ヘタクソな音楽しか奏でることができなかった。
 しかし、東郷と同じ経験をしている宗太郎は語り続ける。
「だけどな東郷。どんなにヘタクソな演奏だったとしても、それが誰かの人生を豊かに、そして人生を変えるきっかけとなったのであれば、それは立派な音楽だと思わないか?」
 東郷はその質問に答えることができなかった。
「俺は銅賞しか取れなかった。しかし銅賞の重みを知っている。銅賞は「金と同じ」と書くが「どうしよう」とも読める。アンタはこの先をどうしたいんだ?」
「………………」
 今はそれでいいんだ。
 そう言うかのように宗太郎は回答を待たず、元の話題へと戻っていった。
「話が逸れたが『Make A Joyful Noise!』に込めた意味だったな。東郷はどんなものだと思ったんだ?」
「いえ、ただなんとなく思っただけなんですけど……宗太郎さんって一度もこの曲の邦題を口にしませんでしたよね?」
「ただ単に邦題を知らなかっただけかもしれないぞ?」
「宗太郎さんがこの曲の邦題を知らないだなんて思えません」
 東郷が宗太郎と初めて会った日のこと。
 宗太郎は星野の高校最後のコンクールで使用された課題曲のすべてを暗唱した。その時代に吹奏楽部に所属していたならばともかく、それよりも昔の課題曲を暗唱するだなんて並大抵の知識ではないはずだ。さらにルールが変わってその年を最後にコンクールでエレキベースを使用できなくなった事や、それによって実質的にコンクールで演奏することができなくなった曲も語っていた。よりにもよって過去のコンクールで一度しか自由曲として使用されていないという情報も加えて。
 そんな彼がこの曲の邦題を知らないだなんて思えない。そもそも動画サイトで検索すれば普通に邦題が併記された動画が出てくる。ましてや彼は中学生のときにこの曲を演奏しているのだ。指揮者としても演奏者としてもこの曲に関わっている宗太郎が邦題を知らないだなんてとても考えられなかった。
「そうか、それに気づかれていたか」
 彼は気まずそうだった。
 そういう反応をするということは、邦題を口にしなかったのは意図的なものだったのだろうか。
 しかしそこまで指摘されてもなお、彼は明言することはなかった。
「もしもこの曲に意味が込められているとすれば、その意味に気づけたやつは幸せ者だ」
 何かを懐かしむように語りながら宗太郎は革靴を履くと三、四段の階段を降りる。
 コントラバスを抱きかかえた東郷も急いでローファーに足を突っ込み、階段を踏み外さないように彼に続いた。
 二重扉の外側の扉を通過すると宗太郎が閉鎖した。
 ここ日向市民文化交流センターのリハーサル室は舞台裏と楽屋前の廊下が直角に交差する場所に設けられている。
 右を見ても左を見ても、廊下には誰もいない。
 舞台からは鳴子川高校の演奏が聞こえてくる。
 そこにはそれを楽しむ観客たちもいる。
 それなのにここには誰もいない。
 まるでスパイになって敵の基地に隠密潜入しているかのような気分だ。
「今でも現役で吹奏楽をやっているやつがそれに気づかなくて、引退した東郷が気づいていたなんてな。いや、吹奏楽から一度離れたからこそ気づけたのかもしれない」
 その語り口にはなにかを懐古しているように感じた。
 彼は東郷がその意味に気づいたかのように話しているが、東郷はその意味を理解できていないどころか予想すらついていない。
 しかし「まだ気づいていません」だなんて野暮なことは口にしない。
 その代わりに別の質問をした。
「宗太郎さん。最初に話したとき、よもの海がなんとかって呟いていましたよね?」
 記憶力は悪いほうではないが、古い言葉を突然呟くものだから全てを覚えることができなかった。
「あれってどういう意味だったんですか?」
「よもの海、みなはらからと騒ぐ世に、など波風のたち騒ぐらむ。ってやつか?」
「はい、それです」
「海の周りの国々は兄弟だと思っているのに、なぜこのように波風が立つのだろう。つまり争い事が生まれるのだろうかって意味だ。これを詠んだのは明治天皇な?」
 東郷が学校で習った歴史を思い出す。
 たしか日本が近代化しだした頃の天皇だ。
「明治天皇は日露戦争に反対していた。しかし南下政策としてアジアを侵攻してくるロシア帝国から日本を防衛するためには戦争を避けることはできなかった。その開戦が決まった後に詠んだのがこの歌だ」
 それは初耳だった。
 天皇家が和歌を詠むということは知っていたが、日露戦争が開戦されるまえにそのような歌が詠まれていたとは。
「どうだ東郷。学校でのいざこざは収まったか?」
「いえ、少しは落ち着いたようですけど、今もまだ冷戦状態です」
 生徒総会での吹奏楽部と軽音楽部の戦争。
 お互いに正面から言い合う機会がないことで生徒総会のときのような舌戦が繰り広げられることはないが、それでも互いに敵視していることは気づいている。
 正面切っての言い合いがないだけで友好的な関係とは言い難い。
「天気晴朗なれども波高し、か……」
 宗太郎が呟いた。
 しかしその口ぶりは呆れているようではなかった。
「東郷みたいにすぐに気付けるやつもいる。何年もかけてすべてが手遅れになった頃に気づく馬鹿もいる」
 あいつらはいつ気付くんだろうなぁ。
 宗太郎はなにかを懐かしむように呟いた。
「ホトケさんは四十九日であっちの世界に行くって言われているけどな、ちょっと前まで人間をやっていたやつがそんな簡単に未練を断ち切れるわけがないんだよ。東郷、前を向いて歩いて行くんだ。振り返るのはたまにでいい。ホトケさんはいつもすぐ後ろで見守ってくれている」
「………………」
「この会場のどこかで東郷の婆さんが聴いているかもな」
「……そうだといいですね」
 宗太郎は重い空気を振り払うかのように冗談めいてそんなことを話した。
 それに対して東郷も小さく笑った。
 彼の祖母はもう亡くなってしまった。
 散骨式も済んで遺骨は日向灘の海底に沈んでいる。
 もう二度と会えることはないと東郷は理解している。
 しかし再会することができなくても、会話をすることができなくても、再び同じ空間に居られることができればどんなに幸せだろうか。
「今年ももう終わりか。大晦日のベートーヴェン第九番が楽しみだ」
 宗太郎はそう呟きながら東郷を置いて舞台袖へと歩き去った。
 ひらひらと揺れる燕尾服のしっぽを眺め、コントラバスを抱いた東郷も後に続いた。

 防音扉を通過すると鳴子川高校吹奏楽部の演奏が聞こえてきた。
 あと五分ほどで演奏が終わり、細島中学校吹奏楽部が合流する。
 この舞台袖のひんやりとした空気や独特の緊張感。
 壁の向こうでは合奏が行われているというのに舞台袖ではだれもが息を潜めている。この不思議な静かさは体験した人間でないと理解できないだろう。
 吹奏楽コンクールの本番直前と同じ状況だ。この奇妙な感覚を味わいつつも東郷は現役部員だったころを思い出していた。
 ステージでは演奏が終わり客席から盛大な拍手が送られる。
 その直後にステージの照明が落とされた。
 細島中学校吹奏楽部の入場だ。
 ステージ進入に備えて一列に並んでいた部員たちの先頭が動き出し、その動きはチューバ、コントラバスへと伝わってくる。
 反響板の隅に設けられた扉を通ってステージに足を踏み入れるとさらに空気が変わった。音楽をやる人間の誰にとってもステージという空間は神聖な場所だ。
 暗闇の中で立ち位置や譜面台を調整する。その間に鳴子川高校吹奏楽部の代表者が時間稼ぎのMCを行い、先ほどまで指揮を降っていた星野は舞台袖に戻り、事前に準備していたホルンを抱いて定位置へと向かう。
 準備が整ったことを確認したMCは話題を変えて本題に入る。
『私たち鳴子川高等学校吹奏楽部を束ねる顧問の星野先生は、高校最後の吹奏楽コンクールで全国大会に出場し、金賞を獲得することができました。高校生だった星野先生を全国大会へと導き、吹奏楽指導者になるきっかけとなった当時の顧問の名前を、星野先生は今でも忘れることはできないそうです』
 突然客席にスポットライトが照らされた。
 周囲の注目を浴びるなか、男性が立ち上がって四方八方に頭を下げる。そしてステージに向けて両手を振った。
『柘植理先生です。私たちの星野先生だけではなく、赴任した学校の吹奏楽部をことごとく九州大会、全国大会へと連れて行った柘植先生は優しい楽曲解釈をされることから『宮崎県の吹奏楽界の女神様』との異名を持ち、宮崎県で吹奏楽に関わっている人間でその異名を知らない人はいないとも言われています』
 スポットライトに照らされた柘植は「やめてくれ!」とでも言うかのように手を振っている。しかしMCは決して紹介を中断することはなかった。
『柘植先生は高校教師を定年退職された現在でも県内のあらゆる学校で吹奏楽の指導をされています。今回の定期演奏会で特別ゲストとして指揮を振って頂けないかと依頼したところ、指揮者ではなく観客として昔の教え子の成長した姿を見てみたいとのことでご辞退なされました』
 階段を踏み外して負傷したことでステージに上がれなかった、とはさすがに紹介されなかった。そんなことまでアナウンスしていたら、さすがの柘植も激怒していただろう。
 しかしスポットライトを浴びながらあらゆる方向に頭を下げている柘植の動きは、つい最近まで車椅子生活をしていたとは思えないほどにしっかりとしていた。
『それと同時に先生はとある指揮者を指名されました。柘植先生の助手であり最後の門下生。上岡宗太郎さんです』
 アナウンスが終わると拍手が巻き起こり、舞台下手から燕尾服に身を包んだ宗太郎が入場してきた。最上級の礼服とされる燕尾服は筋骨隆々な宗太郎には良くも悪くも似合っていない。
『次の演奏は日向市立細島中学校吹奏楽部と宮崎県立鳴子川高等学校吹奏楽部の共演です。二曲続けて演奏します。最初の曲は2006年度全日本吹奏楽コンクールの課題曲として使用された楽曲であり、星野先生が柘植先生に振って頂いた最初で最後のコンクールの課題曲でもあります。柘植先生の影響で演奏者から指導者となったいま、星野先生は初心に戻り、再び一人の演奏者として音楽に向き合います』
 感動的な師弟の再会。
 最初は他人事だと聞いていたがそのうちむず痒くなってきた。気を紛らわせるために雛壇に上ったホルンパートに視線を送ると、ホルンを抱いた星野の瞳が潤っていた。
 コントラバスとホルンは意外と距離が離れているはずなのに、その表情はよく見えた。
『それでは演奏いたします。第54回全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ『海へ…吹奏楽の為に』、ジェイムズ・スウェアリンジェン作曲『Make A Joyful Noise!』。指揮者、上岡宗太郎』
 拍手を全身に浴びながら宗太郎は客席に向かって一礼。指揮者台に上って周囲を見渡し、一呼吸置くとティンパニーを指さした。
 すべての演奏者の注意がその指先に集中する。
 指先が揺れた。
 ポポポポン……。
 大村がティンパニーを静かに叩く。
 トロンボーンとトランペットが控えめに吹奏され、チューバとコントラバスはまるで大船のようにどっしりと響き渡る。
 静かに凪いでいた海面が突然轟音と共に割れて何かが浮上してきた。
 クジラだろうか。
 イルカだろうか。
 それとも潜水艦だろうか。
 しかし音楽は何もなかったと言わんばかりに海面は元に戻り、キラキラと太陽の光を反射させるばかりだ。
 幻覚だったのだろうか。
 何か巨大なものが浮上してきたとは思えないほどに海面は凪いでいる。
 その静かな海の遥か遠く。
 一隻の大船が進んでいく。
 半旗に掲げた大漁旗をなびかせながら。
 これはあの時の東郷の心情にそっくりだ。
 この作曲者は東郷の心の中を覗いていたのだろうか。
 違うとすればあの時の散骨式はこんなに海は凪いではいなかった。
 規則的なエンジン音を聞きながら沖に向かった。これから祖母の遺骨を海に撒くという悲しさに包まれながらもその音はどこか懐かしさを覚えていた。
 さざなみが船体を叩く音。
 頬を撫でる潮風の音と匂い。
 少しずつ流れていく時間。
 徐々に近づいてくる別れの時。
 共に過ごせる最後の時間を惜しみ、東郷は胸に抱いた純白の骨壺を抱いていた。
 どこまでも広がる海を表現するかのように宗太郎がゆったりと腕を振る。それにあわせて演奏者たちが同じイメージで楽器を奏でる。
 この音楽はどこまでも続く大海原を一隻の船が進む様子を表しているようだった。
 航行するその船はとても大きな船だ。しかし海のど真ん中にぽつんと浮かぶその大船は豆粒のようにちっぽけだ。そのちっぽけな大船が白い航跡を残しながら少しずつ進んでいく。
 この曲は星野が柘植に最後に振ってもらったコンクールの曲だ。だからこの曲を提案した。と宗太郎は言っていた。
 しかし別の意味を含まれていたのではないだろうか。
 例えば大きな問題も本当はちっぽけなものだ、とか、どんなに目的地が遠くてもただひたすらスクリューを回して前進しなければならない、とか。
 彼の事だ。もっと深い意味を込めているのかもしれない。
 この『海へ…吹奏楽の為に』は初めて演奏する曲だ。
 中身を聞いたどころか曲名すら聞いた事がなかった。
 しかしどこか懐かしさを感じる。
 中学校での三年間は部活漬けの毎日だった。
 朝早くに出発する東郷のために休みの日も毎朝のように祖母が朝食を作ってくれた。昼休憩を挟んで午後まで練習する日も必ず祖母が弁当を作ってくれていた。
 毎年のコンクールだって、電車やタクシーを使って必ず聴きにきてくれていた。年金だって少ない上に、日向市から宮崎市は遠くて交通費も馬鹿にならないのに、それでも毎回聴きに来てくれていた。銅賞で落胆していたとしても、まるで金賞でも獲ったかのような大騒ぎぶりだった。
 いくら小さなステージでも客席には必ず祖母の姿があった。
 東郷はあまりコントラバスが上手くないことを自覚している。
 そして彼は自身の演奏を嫌っていた。
 しかし祖母は東郷の演奏に喜んでいた。それは漁協や近所の人々に自慢するほどに。
 部活を引退してコントラバスからエレキベースに転向したときだって同じだった。
 自宅にはパソコンもスマートフォンもない。
 あるのはただ古いCDプレイヤーのみ。
 東郷は近くのショッピングモールに入った本屋で買ってきたエレキベースの入門書を睨みながら付属のCDを参考に練習していた。
 初心者とはいえあのときのエレキベースは騒音以外の何者でもなかっただろう。
 しかし東郷が発するひとつひとつの音を祖母は喜んでいた。チューニングで弦の音が引っ張られるように変わる様子。ポジションチェンジで指が弦を撫でる音。アンプの唸り声。その全てに祖母は感動していた。
 最期の日から四十九日が経過して祖母は天国へと旅立った。
 しかし東郷はこの会場のどこかに祖母がいるような気がしてならなかった。
 きっと空席のどこかに座って演奏を聴いているのかもしれない。
 東郷が奏でるコントラバスの音色に喜んでいるのかもしれない。
 客席だろうが天国だろうがどこだっていい。
 どこかにいる婆ちゃんにこの音を届けるんだ。
 そういう思いで東郷は弓に力を込めてコントラバスを弾き鳴らす。
 演奏は再び主題へと戻ってきた。
 今回の主題はやや明るいような気がする。
 その演奏が続いていくが突然曲の流れが遅くなった。
 なにかに後ろ髪を引かれるかのような、二度と戻れない場所との別れを惜しんで振り返るかのような、そんな曲調だ。
 しかしそんな未練を断ち切るかのように曲調が激しくなる。
 クレッシェンドがかかったティンパニーのロール。
 シンバルが轟き、シロフォンが激しく連打される。
 曲は終盤に向けて盛り上がっていく。それにつられて東郷の弓にも力が入る。
 いよいよ曲が終わる。
 盛り上がっていた曲調は一気に元の凪いだ海面へと戻り、自然の厳しさを現したかのような厳格な響きで一曲目の『海へ…吹奏楽の為に』の演奏が終わった。
 宗太郎が手を下ろした。
 それが合図だったかのように会場に割れんばかりの拍手が轟く。
「ブラボー!!!」
 その声は漁業組合の組合長の声だった。
 似合わないスーツを着て客席の端に陣取っていた矢部が立ち上がって大きな拍手を送っている。その隣に座る矢部の妻が無理やり座らせようと腕を引っ張っている。
 東郷の中学最後の定期演奏会でもこんなことがあった。
 一曲終わっただけなのに矢部がスタンディングオベーション。
 それを恥ずかしがって止めさせようとする矢部の妻。
 その夫婦漫才を近くで笑う東郷の祖母。
 去年ステージから見ていたあの光景を思い出しながら、そして矢部の言動に呆れながらも東郷は弓の後部にある部品をねじって緩んだ弓を締め上げる。
 宗太郎が譜面台の楽譜を入れ替えた。
 それを合図に部員たちがページをめくる。
 その動作で察したようで拍手が徐々に小さくなっていく。それと入れ替わるように次の演奏に対する期待感が膨らんでいくのを感じた。
 全員の準備ができただろうか。
 宗太郎がステージをぐるりと眺める。
 パーカッションセクション、木管セクションと続き、金管楽器を順番に眺めていき、ユーフォニアム、チューバ。そしてコントラバス。
 宗太郎は東郷をじっと見つめた。
 本日天気晴朗なれども波高し。
 海はいまだに高く波打ち、騒めいている。
 しかし東郷の心の中はこれ以上ない晴天だった。
 今年の生徒総会。軽音楽がうるさいと言い放った大村に幻滅した。それに対して吹奏楽部を敵視する鶴見たちにもうんざりしていた。あらゆる人間関係にうんざりしても、彼女たちとは分かり合えないと割り切ることができなかった。
「足元だけ見ていても前には進めない。前に進みたければ前を向くことだ」
 以前、宗太郎はそう言っていた。
 東郷はこの居心地の悪いこの場所にいつまでも立って悩んでいた。
 ずっと足元ばかりを見ていた。
 うるさい?
 へたくそ?
 耳障り?
 それが何だというのだ。
 騒音や雑音といった言葉を聴くと、それは迷惑なものを想像するかもしれない。
 だけどその音の中に幸せは潜んでいるのだ。
 遭難の連絡を受けて祖母に連れて行かれたあの時の漁協の不穏な騒めき。
 夜更かしして二人で鑑賞した戦争映画。壮大なオーケストラを背景に乱射される対空砲の射撃音。爆弾や魚雷の爆発音。
 延々と同じフレーズを繰り返す東郷のベースとそれに合わせてドタドタとヒゲダンスを踊る祖母の足音。
 二人で鑑賞した陸上自衛隊第8音楽隊の演奏。終演後に中庭で感想を語り合うあらゆる観客の騒めきのなか、印象に残った尻を振るスタイルの指揮者の真似をしながら興奮気味に語る祖母の姿。
 そんな雑音や騒音のひとつひとつだって、東郷と祖母がともに暮らした記憶だ。
 それだけじゃない。
 あの葬式の日の雨音。
 棺桶を運ぶリフトの音に火葬炉のモーターの音。
 火葬炉で漏らした嗚咽。
 僧侶による読経。
 散骨式に轟いた護衛艦の弔笛。
 さらさらと東郷の手を滑り落ちる遺骨に風と波の音。
 全てが終わって母港に帰る漁船のエンジン音。
 耳に焼き付いたそれらのノイズだって、東郷にとっては祖母との大事な思い出だ。
 生前の祖母は東郷が奏でるすべての音に喜んでいた。
 県大会でコンクールが終わってしまったときも、まるで全国大会に出場して金賞を取ったかのように喜んでいた。お世辞にも上手いとは言えなかった東郷の演奏を祖母は喜び、近所の人たちに自慢して回っていた。
 東郷の最後のコンクールは銅賞だった。
 しかし祖母にとっては金と同じだったのだろう。
 銅賞は「金と同じ」と書くが「どうしよう」とも読めると宗太郎は言っていた。
 東郷は自身の演奏が嫌いだった。
 その気持ちは今でも変わらない。
 それでもその演奏を大切に思ってくれる人がいたのであれば、これほど誇らしいことはないだろう。
 宗太郎が次の曲に込めた思いはそういうことだったのかもしれない。
 この演奏が終わったら本人に聞いてみようか。
 いや、東郷だって音楽家の端くれだ。
 音楽家は音で語り合う。
 東郷の心の中を見透かしたかのように、まるでそれが伝えたかったことだと言うかのように宗太郎は彼に向かって頷いた。そして両手を再び掲げてティンパニーを指さした。
 それを合図に全員が楽器を構える。
 東郷もそっと弓を弦に当てた。
 彼が見ているのは手元ではない。
 まっすぐと宗太郎を見ていた。
 しっかりと前を向いていた。
 指揮者の両手がぴくりと沈む。
 さぁ!
 喜びの音楽を奏でよう!Make A Joyful Noise!
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