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レイン、召喚に挑む。
レインは、復讐のために全力を尽くす②
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魔術士が作るスクロールとは、媒体となる『紙』に『陣』を記載(ただ描くのではなく必要の魔力を込めて描くこと)して作られる制作物である。
『行使』をする際に、なぞる程度の魔力を込めることで、指定された内容が実行される仕組みだ。
『制作』は魔力の高い専門の資格保持者である魔術師のみに許されているが、安全性の高いものを
『行使』することは、この国の者ならば誰でもできる。
そのため、様々な状況下での『行使』が想定されているため、携帯性と劣化の少ない紙や墨こそが重視される。
それに対し召喚陣の場合は、『制作』に許可が必要ない。魔力量もあまり問われないので『記載』ではなく陣をただ描くだけでもいい。
なぜならば、未だ不確かな神秘の御業だからだ。
本人の年齢、地位、魔力に関わらず、陣さえ書ければ、誰でも挑むことは出来るが、その成功率は非常に低い。
また召喚成功した者でも、再度の召喚が出来ないこともあれば、対象との『契約』によって同じ相手を何度も召喚できる者などもおり、その全貌は未だに明らかになっていない。
そんな、もはや博打ようなものではあるが、有益な存在を召喚し、契約を結ぶことのできた者は多くの尊敬を集めることとなる。
不利な戦況をひっくり返したり飢饉に飢える国を救ったりといった、今も名高い伝説級の存在との契約をする栄誉に憧れる者も多い。
つまり、召喚に挑むのは、無謀な賭けであり、道楽、ロマンなのだ。
◇◇◇◇
召喚術の召喚陣とは召喚される『対象がいる界』と、『召喚陣がある界』とを繋ぐものであると考えられている。
『下敷き』とは、その界と界を挟んで異界の存在を呼び込むために必要なもの。様々な弊害を除去し、召喚対象を呼び込みやすくするため、その入り口を大きく開くような作用のあるものを指す。
召喚の成功率を上げることを目的にして、地形の魔法抵抗値を減少させたり、土地や水、空気を清める効果のある薬剤や巨大なシートなど、これまでにも様々な『下敷き』が開発されてきた。
レインは考えた。
結局、『下敷き』使っても、召喚は出来ないかもしれないのか。
既存の『下敷き』は、値段が高い。すっごく高い。家が買えるくらい値段のものまである。
けれど、正直その効果の程は不明。
中には、粗悪品を掴ませられて、胡散臭いシートや危ない薬剤を使用したことで、術者の健康や地形に深刻な影響が発生した事例もあるそうだ。
栄誉と一獲千金を夢見る夢想家たちは、悪徳業者の良いカモなのだ。
欠陥品を使用するのは、絶対にマズイ。
それと、召喚術なんてあやふやな術に挑もうとしたことが知られたら、また心配させてしまう。
(バレようにしないとなのだ。絶対に。)
正式な契約さえ交わせれば、陣を刻んだアクセサリーなどを媒介にして同じ対象の再召喚もできるそうだが、それもこれもまずは一回目の召喚して、契約をしてからの話だろう。
だから作ることにしたのだ。
安全性と、徹底的な抗菌作用、そして場所を選ばずこっそり召喚できる『下敷き』を。
そうして完成したのが、このヌルヌルの生き物のような暗緑色の特殊なゲルシートだ。
さらには、そのゲルシートを収納、かつ素早く輩出。使用後の再収納までできる入れ物をも完成させた。
卵型でボタンを押すだけで、パカッっと卵を割った時のように素早く輩出される。
『陣』を描く時には別のボタンを押すことで卵を焼いた時のように、しっかりと硬化。
収納ボタンを押せば再度白身のようにヌルっと液状に変形、そのままズルズルと容器へ自動で戻る楽々仕様。
用意した紙の媒体に合わせたその『下敷き』サイズの変更もできる上、描く際の筆滑りも良い。
さらには使用後の『紙』をシートに吸わせて、廃棄することまでもが可能なのだ。
(その名も、ゲルスラエッグ、なんて画期的な発明なんだっ!!)
レインは自分の才能にうち震えた。
何度もボタンをカチカチと押して、シートを出してはしまい、出してはしまい、出来栄えを確認した。
名前の通り、卵型ではあるのだが、濁った斑のある灰褐色の籾殻のついたピータンのような外観である。
大きめの籾殻の粒の様に見えるものがボタンやサイズ変更用のメモリである。
シートを輩出時にはピータンが半分に割れて、中から半熟のピータンの黄身のような暗緑色の不可解な物質がデロデロと蠢き飛び出していく。
新種の毒持ちのモンスターにしか見えないナニカだが、本人は大満足の仕上がりである。
彼女は努力家ではあるのだが、その感性は…なんというか非常に残念だった。
「未だかつてない抗菌率。収納力。最高だっ。最高だな!!これなら絶対召喚できる。すんごいのを召喚できるっ!!!」
墨、紙、筆、下敷き、すべて揃った。
「ついについに願いが叶うのだ。ここまでできたのだ。こんなすごいことができるのだ。わたしはもう『お荷物』なんかじゃない。絶対にない。それを認めさせてやるのだ。その証明のためならば、全てを掛けたっていいのだ!!」
『行使』をする際に、なぞる程度の魔力を込めることで、指定された内容が実行される仕組みだ。
『制作』は魔力の高い専門の資格保持者である魔術師のみに許されているが、安全性の高いものを
『行使』することは、この国の者ならば誰でもできる。
そのため、様々な状況下での『行使』が想定されているため、携帯性と劣化の少ない紙や墨こそが重視される。
それに対し召喚陣の場合は、『制作』に許可が必要ない。魔力量もあまり問われないので『記載』ではなく陣をただ描くだけでもいい。
なぜならば、未だ不確かな神秘の御業だからだ。
本人の年齢、地位、魔力に関わらず、陣さえ書ければ、誰でも挑むことは出来るが、その成功率は非常に低い。
また召喚成功した者でも、再度の召喚が出来ないこともあれば、対象との『契約』によって同じ相手を何度も召喚できる者などもおり、その全貌は未だに明らかになっていない。
そんな、もはや博打ようなものではあるが、有益な存在を召喚し、契約を結ぶことのできた者は多くの尊敬を集めることとなる。
不利な戦況をひっくり返したり飢饉に飢える国を救ったりといった、今も名高い伝説級の存在との契約をする栄誉に憧れる者も多い。
つまり、召喚に挑むのは、無謀な賭けであり、道楽、ロマンなのだ。
◇◇◇◇
召喚術の召喚陣とは召喚される『対象がいる界』と、『召喚陣がある界』とを繋ぐものであると考えられている。
『下敷き』とは、その界と界を挟んで異界の存在を呼び込むために必要なもの。様々な弊害を除去し、召喚対象を呼び込みやすくするため、その入り口を大きく開くような作用のあるものを指す。
召喚の成功率を上げることを目的にして、地形の魔法抵抗値を減少させたり、土地や水、空気を清める効果のある薬剤や巨大なシートなど、これまでにも様々な『下敷き』が開発されてきた。
レインは考えた。
結局、『下敷き』使っても、召喚は出来ないかもしれないのか。
既存の『下敷き』は、値段が高い。すっごく高い。家が買えるくらい値段のものまである。
けれど、正直その効果の程は不明。
中には、粗悪品を掴ませられて、胡散臭いシートや危ない薬剤を使用したことで、術者の健康や地形に深刻な影響が発生した事例もあるそうだ。
栄誉と一獲千金を夢見る夢想家たちは、悪徳業者の良いカモなのだ。
欠陥品を使用するのは、絶対にマズイ。
それと、召喚術なんてあやふやな術に挑もうとしたことが知られたら、また心配させてしまう。
(バレようにしないとなのだ。絶対に。)
正式な契約さえ交わせれば、陣を刻んだアクセサリーなどを媒介にして同じ対象の再召喚もできるそうだが、それもこれもまずは一回目の召喚して、契約をしてからの話だろう。
だから作ることにしたのだ。
安全性と、徹底的な抗菌作用、そして場所を選ばずこっそり召喚できる『下敷き』を。
そうして完成したのが、このヌルヌルの生き物のような暗緑色の特殊なゲルシートだ。
さらには、そのゲルシートを収納、かつ素早く輩出。使用後の再収納までできる入れ物をも完成させた。
卵型でボタンを押すだけで、パカッっと卵を割った時のように素早く輩出される。
『陣』を描く時には別のボタンを押すことで卵を焼いた時のように、しっかりと硬化。
収納ボタンを押せば再度白身のようにヌルっと液状に変形、そのままズルズルと容器へ自動で戻る楽々仕様。
用意した紙の媒体に合わせたその『下敷き』サイズの変更もできる上、描く際の筆滑りも良い。
さらには使用後の『紙』をシートに吸わせて、廃棄することまでもが可能なのだ。
(その名も、ゲルスラエッグ、なんて画期的な発明なんだっ!!)
レインは自分の才能にうち震えた。
何度もボタンをカチカチと押して、シートを出してはしまい、出してはしまい、出来栄えを確認した。
名前の通り、卵型ではあるのだが、濁った斑のある灰褐色の籾殻のついたピータンのような外観である。
大きめの籾殻の粒の様に見えるものがボタンやサイズ変更用のメモリである。
シートを輩出時にはピータンが半分に割れて、中から半熟のピータンの黄身のような暗緑色の不可解な物質がデロデロと蠢き飛び出していく。
新種の毒持ちのモンスターにしか見えないナニカだが、本人は大満足の仕上がりである。
彼女は努力家ではあるのだが、その感性は…なんというか非常に残念だった。
「未だかつてない抗菌率。収納力。最高だっ。最高だな!!これなら絶対召喚できる。すんごいのを召喚できるっ!!!」
墨、紙、筆、下敷き、すべて揃った。
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