彼を取り戻すためにすべてを捧げ…なくても別に良い気がしてきた闇落ち令嬢は、美食家の悪魔と契約をする

hosiiimo

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レイン、召喚に挑む。

レインは、お試しの召喚をする

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さて、いよいよ召喚を、と思ったところで、レインは不安になってきた。

たくさん独り言を言ったことにより、喉がカッサカサに乾いていたので、コーヒブレイク終えてみたところ、それまでのMAX☆ハイテンションな状態は、冷めてしまったからだ。

「…本当に完璧、なのか」

カチカチと出してはしまいを繰り返してみた結果、ゲルスラエッグのエッグ部分、つまり入れ物としての収納力はたしかに問題なさそうだ。けれどこれはあくまでも、おまけ機能。

召喚陣には携帯性は求められていないが、バレないように、いっそ部屋で召喚してしまおうといろいろやっていたら…、こうなっただけ……。

平日には寮の部屋で、週末には王都にある両親が残してくれたこの屋敷に、ずっと籠って作り上げただ。

粋なアイディアの全部乗せだが、やはり肝心なのは『下敷き』の召喚の性能。

そもそも召喚は神秘の術。

いくら我がゲルスラエッグが完璧であろうとも、召喚できない可能性だってある。
まことに遺憾ながらも…、そのような結果に終わるかもしれないのだ……。

ちなみにデロデロのヌタヌタの見た目の方は、全く問題視していない。

レインは、機能性を重視する方の人間なのだ。



◇◇◇◇



悩んだ末に、レインは試しに何かをんでみることにした。
すべてを掛けたっていいが…、いいのだが……レインは小心者なのである。

の前には、動作確認だ。

伝説級の『対象』の召喚にはさすがに不安を感じざるを得ないが、小物ぐらいならば余裕であろう。試してみて、駄目だったら、そこからまた考えたらいい。

それに道具がいくら完璧でも、召喚には代価となる『贄』も必要なはず。
召喚には大きな代償を伴うと言われている。

今回はただのお試しなので家にあるもので済ませるが、本番はしっかりと準備しなくてはならないだろう。

「ふむ…。そうだな。わたしの望む……、大悪魔の召喚方法を授けてくれる存在をぼうではないか」

レインは誰も聞く者がいないのに、王都デビューに合わせて身に着けた、『尊大なる口調』で独り言を言った。

クラスメートとはまだ連絡事項程度の会話しかできないので、地道なトレーニングは欠かせない。

(こうして偉大なる魔術師を目指し日々鍛錬に励むわたしならば…、いけるのではないか。いきなり高位な大悪魔の召喚は難しくとも、大悪魔の召喚方法を知っている者くらいならば……。)

とんでもない高望みをしていることに、本人はいたって無自覚だ。

「大悪魔の召喚方法が知る者となると……、おそらくは英知に関わる存在だな」

知識を司る存在が好むという知恵の実のしぼり汁を父の魔術筆に吸わせる。

カチっとボタンを押しゲルシートをデロッと輩出すると、その上に安静作用のある香草で作られた魔術紙を乗せる。

ちなみに知恵の実は、古い油のような臭いがする果物だ。
そこに加えたるはニッキに近い甘い匂いの『紙』。
半熟のピータンの黄身に、それらがトッピングされた所をイメージしてみると…かなりえげつない。

完璧な素材を揃えたと、本人的はご満悦である。なにしろレインは、機能性を重視する方の人間なのだから。

「ふふふ、あとは供物、供物だな」

知識や記憶力を高めるポーションや覚醒作用のあるカフェイン飲料辺りが良さそうな気がしたが、最近の不摂生な生活で、大量に消費してしまいストック切れだ。

レインは13歳にして、既にエネルギードリンクジャンキーなので、これは仕方がない。

仕方がないので代わりに、丸薬にしたものと薬草庫のストックから、その材料となりそうな干からびた薬草を持ってきた。

(うんうん、これでいい。方向性は間違ってないはず、いやむしろ正しい。)

用意したるは、アンモニア、カメムシなど、癖のある匂いがするものばかり…。

機能性を重視した完璧なセレクトのつもりだが、合わさることで、さらにとんでもない臭気を発生させてしまった……。組み合わせとしてはどう考えても最悪だ。

けれど長らく風呂にも入ってない汚部屋の住人レインは、見過ごしてしまった…。

すっかり嗅覚が、になっていたのだ。

だからそのまま、ただ慎重に作業を開始した。


◇◇◇◇


丁寧に、正確に、陣を刻む。


『墨』にレインの貧弱な魔力という熱を通わせたことにより、素材が炙られ、臭気がさらに強化されていく。『筆』を通して『紙』にも伝わり『下敷き』が界を通して、伝えていく。

陣を起動させ、召喚の呪文を唱える。を参考に。


「我を知り、その先を知り、願いの果てを知るものよ。我が召喚に応え、我にそなたの知識を授けたまえ」


召喚陣がキラキラと煌めき、高エネルギー反応した。


まばゆい光とともに室内にモワモワと黒いスモークが立ち込める。




これは、やった。やったのか?


(す、すごいっ、やっぱりわたしは、すごい、すごいんだ。)


「ふはは、ふははっ、ふっははは、やった、やったぞぉ。『時は来たれりぃ』!!」

いつか言ってみたかったけれど、使い時が分からなかった台詞を口にしながら、霧が晴れるのを待つと、陣の中に確かに生き物の姿が、確認できた。


召喚成功だ。



◇◇◇◇



「こんにちは、ご指名ありがとう、クダンよ」



ソレは、たぶんだった。

身体自体は子牛ぐらいのサイズ。
白黒模様の牛の体。蹄。座り込んでいるように見える。

けれど首から上は人面で、きめの細かい色白の美肌。
肩ロース?の下ぐらいまでの流れるような黒髪。自分と同じ黒髪に少しだけ親近感を感じる。

瞳の色まで漆黒色で、魔術師の石と呼ばれるヌーマイトの様に煌めいている。
人の鼻に当たる部分に鼻輪、耳にもピアス。

あどけない若い娘のように見える顔立ち。牝牛なのか?

知的な存在を望んだが、まさか本当に人の言葉を喋るなんて。
それになんという美しさだろう。レインが思わず見とれていると、ぱっと目を見開いて、ソレはこちらを見た。

「くっさ、くっさ。なんなの?最悪っ。窓開けて、早く!!」

この後レインは、全力で換気した。
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